satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第56話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で自由気まま好き勝手していく物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回までやっていた休日回ではユーリ達、ちょっぴり危険な探検とちょっとした家族風景をお見せしました。そして今回から、長い長い長編が幕を開けます。どれだけかかるのかさっぱりですが、最後までお付き合いくださいませ!
剣技大会編、トップバッターはいつもの彼女にお任せしましょう。


《L side》
いつも以上に忙しい生徒会室。人の出入りが激しく、どだばたしていた。お仕事したくありませ~んっと投げ出したい気持ちを抑えて、私も泣く泣くお仕事中だ。それくらい生徒会室が騒がしい……というか、学園全体が活気づいている。理由は一つ。新入生を迎えてから初めて行う恒例行事、『剣技大会』開催が迫っているのだ。
「会長さん! この書類は……」
「それは私が許可の判子押した! 実行委員君はここじゃなくて職員室に行け」
「フォース先輩、ここの数字なんですけど……これって、どうなってますか? 見つからなくって」
「大会経費として出て……の、前に申請貰ってねえ奴だな。どこの出店先?」
「副会長~! ポスター掲示箇所の再確認したいそうなのですが……」
「指定場所以外は駄目! それ以外で見つけたら問答無用ではがす。以上!」
……このように、騒がしいのです。いつも以上に。
剣技大会は生徒会だけではなく、剣技大会実行委員という団体が存在し、その委員会が大まかに進行してくれる……はずである。今回の生徒会としてのお仕事は、実行委員と協力して大会の運営が主である。運営とは言っても、主導するのは先生達だ。その手伝いだと思ってくれれば間違いはない。つまるところ、裏方仕事だ。
大会は文字通り、生徒達が試合形式で競い合うもので、ルールは毎年変化するものの、目的は変わらない。生徒全体の親睦を深める行事。……表向きには、だが。
実際は、たくさんの来賓の方々にアピールする場となっている。大きなギルドや教育機関、専門機関等のお偉い様がいらっしゃるために、将来のために自分を売り込むにはうってつけの場なのだ。二、三年……特に三年生は卒業後の進路もあり、参加傾向として、一年生よりも三年生が多い。まあ、試合ルールや上位入賞者へ贈られる賞品もろもろで変動はあるけれど。親睦うんぬんはどこへやら、である。
「ラルさん、この書類を見てもらってもいいですか? ここの項目を確認してもらいたくって」
「あぁ、うん。分かった。ありがと、ツバサちゃん。……って、なんかしょんぼりしてない?」
「う。……そう、見えますか?」
大量にある書類の仕分けをしてくれていたツバサちゃんは、先程から黙々と仕事をしてくれていた。いつもは笑顔で対応し、ほんわかした空気なのに、それが今日はない。ぶっちゃけここに来てから最初からなかったけれど、生徒会の仕事を手伝うようになって、ここまで忙しくなったのは初めてだからそれのせいかとも思ったのだ。が、普段の仕事ですら笑顔でこなすツバサちゃんが忙しいからという理由でしょんぼりするはずがない。もっと何か理由があるのでは、と。
「実はですね。今日の朝、お母さんに剣技大会の参加を止められちゃって」
「そうなの? する気満々だったよね?」
「はい。……私、『神の祝福』にかかってないので、大会中に何かあると危ないからって」
……神の、祝福?
私が聞き慣れない単語に首を傾げると、ツバサちゃんもこてんと愛らしく首を傾げた。
「ほえ? ラルさん、知りませんか? 魔法を使う人特有の風邪みたいなものなんですけれど」
……知っているような、知らないような……いや、知らないな。初めて聞いた……のか、単に覚えていないだけなのか。まあ、覚えていないのは知らないも同然である。
うんうん唸っていると、近くで当日の備品確認をしていたリリちゃんがこちらを振り向いた。
「会長様、『神の祝福』は魔力風邪とも呼ばれています。こちらの方が正式名称ですね♪」
「……風邪ってことは熱とかそういう?」
「はい。症状としては高熱、重度の咳等、結構重めなのですよ。先程、風邪と申しましたが、ウイルスから来るものではないので、誰かに感染するリスクはありません。また、一生に一度しかかからないのです」
魔法使用者限定で感染リスクがない。一生に一度しかかからないということは、魔力を扱う機能、魔素を魔力に変換する能力の成長過程に必要な行程だと捉えるべきなのだろう。なるほど。避けては通れない道という奴だ。
「リリアーナさんはいつ『神の祝福』を?」
「んーとね。中学二年生くらいだったから、十四歳……かな? ゆっちゃんは中学一年生……?」
「ほへ~……ユーリさん、早かったんですね? 魔力風邪って十二歳から十五歳の間に多いって」
「うん。ゆっちゃん、十三になってなかったかなぁ……ね!? ゆっちゃん!」
たまたま帰ってきたユーリ君に呼びかけるリリちゃん。その手には書類の束を持っていた。何の話なのか分かっていないらしく、彼は不思議そうな顔をしていた。ついでに投げ掛けられたものについての回答はない。そんなユーリ君にリリちゃんはふんふんと鼻を鳴らし、単語を叫ぶ。
「魔力風邪! 『神の祝福』!! 年!」
「……あぁ。その話になった経緯がよく分からないけれど、僕は中一に上がる少し前だね。……そっか。ツバサさんはまだなんですね?」
「はい。……ラルさん、魔力風邪が治った後は魔力な安定してより魔法が使いやすくなるんです♪ 高度な魔法も安定して使えて、数段レベルアップするんですよ~♪」
ふむふむ。やはり、おおよそ予想した通りで間違いないようだ。なんかこう……男の子とかにある成長痛的なそれなんだろう。
「ゆっちゃんもより凶暴化した~」
「そう? そんなことないよ」
「状態異常の! 範囲とか威力とか格段に変わってたよ!?」
「ユーリさんの場合は得意分野、デバフ系ですもんね。集団にはよく効きそうです」
「『神の祝福』後はかなり変化しましたよ。単体よりも複数の方が効率いいですから。……あ、会長、今回の大会の役員名簿が出来上がりましたので、お持ちしました。それと、こちらは来賓の方々のお名前と写真をまとめたものです」
ユーリ君はちょっと恐ろしいお話を適当に切り上げ、持っていた束を私に渡してきた。パラパラと捲っていけば、役員名簿なるものは、所属先と学年と名前が明記されている。
次に来賓の方々のリストをパラパラと捲る。が、私は対応する必要はないはずなので、覚える必要はない。あくまで、ざっと目を通しておけということなんだろう。何かあれば対策出来るように。まあ、当日は一応持っておこうか。
「役員に関しては、仕事の担当分けも明記しましたので、確認の程よろしくお願いしますね。何かあれば、すぐに修正します。また、大会へ参加する意思のある方は事前に申告してもらって、調整済みです」
「仕事が早い。ありがとうね」
ユーリ君にお礼を言うと、彼はにこりと笑って一礼をする。いやはや、働き者でいい子だな。この前の休日は色々あって少し驚いたけれど。
部屋を出ていこうとしていたユーリ君は何か思い出したのか、こちらを振り向いた。
「忘れてた。リリア」
「はぁい?」
「ここに来る途中でリア先生が捜してた」
「ふぁ!? ゆっちゃん、ありがと! 行ってくる! 会長様、失礼しますっ!」
慌ただしくぺこっと頭を下げ、ユーリ君の後に続けて出て行った。リリちゃんの担当は救護で、生徒会として責任者を任せている。いわゆる、バイトリーダーとかそんな立ち位置だ。事前にメンバー表は担当教員へと渡っているから、保健室の先生であるリアさんも把握済みだろう。
「リアさん、直接ここに来てもいいのに」
「先生ね、先生」
ようやく一段落したらしいティールからの突っ込みが飛んできた。私的にはその先生というものは聞き慣れないのだけれど。
リアさんこと、リア・フォルテ先生は高等部の養護教諭チンチラ族でクリーム色の髪を三つ編みにまとめている、ほんわかした人だ。年が近いのと、何かとお世話になっている関係で先生と呼ぶよりも「リアさん」と呼んでしまう。まあ、他の先生がいる場では気をつけるけど。……一部を除いて。
「……ラル、なんとなーく話聞いてたけど、ちゃんと勉強してよね」
「ほへー?」
「ツバサ達が教えてくれた魔力風邪。『神の祝福』については中等部でやったから」
「知らなぁい。……とまあ、それはさておき」
「置かないで欲しいな!?」
「そういうことなら、今回は仕方ないね。大会中に倒れたら大変だから」
読んでいた書類を机に置き、ツバサちゃんの頭を撫でた。まだ少し、元気のないツバサちゃんにどうしたものかと思案する。
「剣技大会は来年もあるんだから、焦らなくていいよ。今回は笑顔で、頑張ってる人を助けてあげよう? ツバサちゃんにしかできないことをやってあげてね」
「……そうですよね。はいっ! 私にできることを頑張りますね!」
うんうん。天使にはキラキラ笑顔が一番だよね。今日も可愛いわ。



~あとがき~
ここからどれだけかかるんでしょうかね。

次回、剣技大会前の準備編の続きです。
ここら辺はさらっと終わらせたいよね。さらっと。

今回の進め方について少し。
本文前に《〇 side》とあれば、そのキャラの一人称視点で進めていきます。今回で言うと、ラル視点です。で、何もなかった場合は三人称視点です。中心人物はいますが、一人称視点ではないので、キャラの心情や心で思っていること、考えていること等は出てこないかもしれません。いや、出すけど。多分。キャラクター口調で地の文は書きません。
今まで、《〇 side》明記がなければ、一人の視点で突き通すという決まりでやって来ましたが、剣技大会に関しては、このように進めて参りますので、ご理解の程、よろしくお願いします。

さて!! 新キャラさんのお名前が出てきましたね! もう少し後の予定でしたが、別の新キャラさんとか後から後から出てくるので、早めに出しておこうと、名前だけの登場です。
リアさんですね! リアさんは友人宅のキャラですが、本編の空と海にもゲスト出演しているので、分かる人には分かりますね……あのリアさんです。
説明を挟みましたが、リアさんはレイ学出身で、ラル達とは時期が被っていないものの、学園の先輩ですね。あまり接点のないラルとリアさんがどう仲良くなったのかは不明ですが、仲がいい方です。どれくらいかっていうと、ラルがリアさんを茶化しちゃうくらいには仲がいい。←は

ではでは!