satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第223話

~前回のあらすじ~
たまにはこういう感じの話もいいっすね。私、好きだわ。楽だもん((
ピカ「そりゃ、バトルシーンを書いているよりは楽だろうねぇ」
うん! 前のお話のやつとかやりすぎなくらいにバトルしてたもんね。辛かったわ……なんかこう。あれだ。色々?
ピカ「色々辛いのはこっちの方なんだけど?」
仕方ないじゃん! 流れがそうだったんだもん!!
ピカ「それを私に言うか」
っということで、今回もポチャ視点のほのぼのした感じのをお送りします。ピカとポチャのおでかけ回、お楽しみに!
ピカ「なんだかな……納得がいかない」


さらりととんでもないことを言ったピカは、何でもないような顔をして、持っていたコーヒーに口をつける。きっとぼくの回答を待っているだけなんだろう。それは分かる。理解しているさ。けど、なんで今!?
いや、それはピカが言っていたっけ? 単に気になっただけだ、と。こういうときに嘘をつくとは思えないし、本音……なんだろうけども。
まあ、仮に嘘だとしても、今のぼくに見抜く力はないか。ピカの嘘が分かるときってのは限られてるし、今回の場合、当てはまらないし。はぁ……いつも指摘出来ればいいのに。
「ん、ポチャ? どした?」
「あ、いえ、なんでもないです……で、えっと……結婚制度だっけ? 特に決められた制約はないんだ」
ぼく達が住むこの陸の国は現在、四つの大陸と一つの島で成り立っている。各大陸には四天王と呼ばれる、その大陸のリーダーみたいな人が一人いて、政治……というか、統制を行っている。王様とかそういうものとはまた違うけれど、まあ、今は関係ないか。
そして、各大陸で決まり事、つまりは法律も違い、禁止されていること、制限されていること、許されていることなどが全く違う。よって、結婚についての決まり事もそれぞれ変わってくるわけで。
「これをすれば夫婦になるとか、決まったことはないな、ここは」
「マジかよ。なりましたって届け? みたいなのはいらないわけ?」
「うん。聞いたことない。……でも、定期的な住民調査はあるから、把握は出来るんじゃないかな。……それにさ、この国はまだ多数の集落があって、一概に新しいものを浸透させようとしても、かなりの時間がかかると思うんだ」
「あー……なるほどねぇ」
頭のいいピカは大体把握してきたみたいだ。こういうところは流石としか言いようがない。
一昔前のような、田舎って言葉も逃げ出すような小さな集落では、そこにしかない文化のようなものがある。それこそ、結婚に対する決まり事だって独自なものが根付いているなんて話は多い。そういった理由から明確なことをすれば認められるなんて話は聞くことはない。
「まあ、一つの方法としては、地域をまとめているところ……ぼくらの近くだとプクリンギルドか。そこで書類提出すれば、処理してくれるよ。さっき言った調査の一環として」
「ギルドっていうと、リンに出すの? それとも鳥?」
「リンでいいと思うけど……まあ、ペラップでも大丈夫だと思うよ。で、出した書類はまとめて中央の島に送られるんだ」
中央の島には人は住んでいないけれど、四天王達が集まって今後の方針やら何かあったときの対策やらを練る場所である。陸の国の様々なデータがその中央の島にあるといってもいい。つまり、自分の住む大陸と中央の島の二ヶ所にデータが保存されるわけだ。
「つまり、あれか。特に決められたことはないけど、最終的には調査で分かるってことね。そこで認められるって考えでいいのかな」
「いいと思うよ」
「ついでだし、ポチャの国とかチルの国は?」
「海と空は同じ制度だよ。国を統制している王宮に届けを出す。王の判断がなければ駄目だとかそういうことではないけどね」
市民はそれでいいんだけど、王族の場合はそうはいかない。チルの国であるかは知らないけど、ぼくのところでは婚約を交わす場合、ある試練を達成しなければならない。
ぼくがそう言うと、ピカは不思議な顔をして試練、と無意識に小さく呟いたみたいだ。どんなものか想像しながら言ったのかもしれないけど。
なぜこんなことをするようになったのかは、ぼくにも分からない。ある意味、成人の儀のようなものなのかもしれない。
「王族の中でも限られた人しか入れない場所があって、そこにある宝石を取りに行くんだ」
「宝石?」
「うん。で、それを持ち帰ってアクセサリーに加工したものを、相手にあげるんだって」
子供の頃は不思議なことをするものだと思った。そんなことに意味があるのか分からなくて、いつかそんなことを自分もするんだろうか、なんて考えたこともあったっけ。そんな日はまだまだ先のような気はするけれど。
「一種のダンジョンなのかなぁ……そこ。というか、ポチャもするんだ?」
「そうなるかな。結婚するってきちんと決まった後にやるみたいだけどね」
ピカのダンジョンではないかという考えは鋭いかもしれない。当たり前だけど、ぼくは一度も入ったことはないし、どうなっているのかは行ってみないと分からない。
「探検隊やっててよかったねぇ~♪ そういうのは慣れたもんだもんね~」
「確かに……試練になるか疑問になるね」
「あはっ♪ それなら、もっと難しいものを要求すべきだわ」
「でも、あれだよ? 謎解きとかはぼくじゃなくて、ピカの専門じゃない? ぼくに出来るわけないじゃないか」
「そお? そんなことないと思うけど……でも、そうか。ポチャはそんなことするんだねぇ」
ふむふむと何やら納得顔のピカ。彼女の中にあった疑問が解消されたのだろうか。それならよかったんだけど、まだ何か考えているようだし、新しい疑問でも出てきたのかな。
「んあ~……? でもさ、別の国同士の人達が結婚するときはどうなるの?」
「住む場所の法律に従えばいいんだよ。結局は、中央の島に送られるのは共通だからね」
「なぁんだ。あそこって陸のデータしかないのかと思ってたわ」
「そんなことないよ。もちろん、一ヶ所に置いておくのも危険だから、海の国にも空の国にも同じデータが置いてあるみたい」
「そういうセキュリティは一応あるんだ。ま、海と空の国には行く手段が限られてるし、ここよりは安全かもだけど」
ピカは粗方知りたいことを知れたようで、なるほどなるほどと繰り返し呟いた。しかし、まだ考え事は終わらないみたいで、ほとんど自問自答のように単語が漏れる。こういうときのピカは勝手に考え込むし、話しかけても反応はなくなるし、よってぼくの入る余地がなくなるわけで。
「……はするでしょ? いっそ両方やれば間違いないのか……二重になるけど、問題は……?」
何の話なんだろう……? 話しかけても、無視されるのがオチだから、黙っておくけどさ。
「うぅーん……いやはや、その前に、だ……」
てとてとと歩いているけど、真正面を向いていないし、端から見れば不注意過ぎる歩き方。全く、危ないなぁ……人もいないわけじゃないんだから、ぶつかっちゃうよ。
「ねえ! ポチャはどうする?」
「ひゃあ!? な、何が?」
お、女の子みたいな声が出てしまった……よく出たな。どこから出たんだろ……いや、ただ声が裏返っただけなんだけども。
そんな声が出たのも、パッと顔を上げ、至近距離まで近づいてきたピカのせい。元々隣を歩いて、そこそこ近かったのに、更に近づく必要なんてないよね……?
「だからさ、王族のポチャが陸とか空の国とかの一般市民ちゃんと結婚するとき! どうするの?」
「えっ」


~あとがき~
ほのぼのしていると(筆が)進む進む。
ま、スマホで書いているのでフリック入力が止まらない、ですかね!

次回、ピカの質問にポチャは……?
まだまだ続く!

この話、やりたかったんです。結婚云々の話。
前回辺りでも確か言ってますね。これがやりたかっただけだと。ま、のんびりお付き合いくださいな。

この場面のピカ、別にとぼけてポチャにこんな質問している訳ではないです。単純な疑問としてポチャにぶつけているだけですね。かといって、恋愛的な戦略があって持ち出している訳ではないです。ほんと、ピカちゃんは恋愛に関しては純粋なんで、悪知恵なんて働かないから! それだけは言わしてね……ほんと……

ではでは!