satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第57話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいやる物語です。本編とは一切関係ございません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
剣技大会(準備編)が始まりました。準備の話はさっさと終わらせたいですね。
ラル「さっそくどう進めるかめちゃくちゃ悩んでるよね」
それな。視点変えてくとは言ったけど、どうしたものか……まあ、そのときそのときで対応します。頑張るぞ……


《L side》
しばらく、私は差し出される書類の処理や呼ばれて生徒会室を出る等を繰り返していた。一段落ついた頃、控えめなノック音が聞こえてきた後、見慣れない二年生が入ってきた。知らないってことは大会実行委員の子だろう。
「失礼します! 今年の優勝賞品が決まりましたので、ご報告に」
入ってきた後輩君はぺこりと頭を下げ、私に一枚の紙を手渡した。私の傍にいたツバサちゃんがその紙を覗きこもうとしていたので、見やすいように手元の位置を下げた。
「決まったんだ。今年はどうなったの?」
ティールが作業の手を止め、後輩君を見て首を傾げた。
ちなみに、賞品について、生徒会はノータッチであり、実行委員と教師陣の会議の下に決められる。流石に会長なら、ちらっとでも関わりあるでしょ、と思うかもしれないが、私はどんな風に決められているのかも知らない。興味ないから、なんでもいいというか、なんというか。自分がゲットする気もないので意識しないと言いますか。
「実行委員の話し合いから出た案を元に先生方、また先方との相談した結果、『レイディアント学園食堂の一年間無料食べ放題』になりました。その証として、ブローチが贈呈されます」
「食べ放題? あの食堂にあるメニュー全部?」
後輩君が来たときは完全に無視していたフォース君が賞品の内容に驚いたのか、呆れ半分、疑い半分といった表情を浮かべている。
「はい。全品です」
「マジか。太っ腹なことしてんな。つか、よく許したな」
「うちの学食美味しいから、誰が貰っても嬉しいものだよね。貰って困るものってあるし。ぼくは学食派じゃないから、いらないと言えばいらないけど」
「矛盾してっぞ」
「……? あ、確かに。でも、貰ったらまあ、使う……よね?」
「あー?……いや。毎日食堂まで行くのが面倒だからなぁ」
「君はそうだろうね」
どうでもいいことを話す男子二人は今回、参加意思がないのは聞いている。フォース君がしないのはいいとして、毎年参加していたティールがしないのは驚いた。理由を聞けば、「三年だし」と一言。意味が全く分からない。
ここで、黙ったままのツバサちゃんが気になり、横をちらっと見ると若干の焦りの色が見える。
「? ツバサちゃん?」
「タ、タダ券……!? あ、あの、これって決定事項ですか? もう、変更なしなんでしょうか」
「そう、ですね。もう大会まで時間がないので、今から変更ってのはないと思います。……何か気になることでもありましたか?」
「あ、えっと……いえ! 何でもありません。すみません、変なこと聞いて」
見るからに何か心配しているけれど、後輩君の言う通り、今から別のものは用意は難しい。不測の事態にならない限りは変更ないだろう。私が在籍中に急遽、変更いたしますなんてなかったし。
「上位入賞者は?」
「上位四位までの方々に贈呈予定です。セラ理事長の講習会参加券ですね。こちらは双方の同意の元、譲渡が可能になっています」
講習会、ね。……セラフィーヌ理事長と話す機会はほぼないし、貴重な体験ではある。時折、話す機会はあるが、その度に流石、学園を取り仕切る人だなと毎回思う。それくらい、多方面に造詣が深い人だ。
「今回、参加者多いかもな」
「だね。ちょーっと面倒かもにゃあ~?」
「えと、そうなんですか? まだ、参加者は確定してませんよね」
何らかの心配事から、多少は回復したらしいツバサちゃんが不思議そうに尋ねる。剣技大会の雰囲気を知らないツバサちゃんが、私とフォース君の反応を変に思うのは仕方がないかもしれない。
「してないな。今週中までに参加表明書出してもらうから。が、お前の母親が出てくるとなると……って考えるとね」
「ふえ? お母さん?」
「ラルみたいに重役で学校の細部まで関わるなら話す機会がない訳じゃないが、一般生徒からすると、式典以外で姿は見ないだろ。役職持ちのおれらも全くだし。な?」
「ね。生徒達、皆、理事長の凄さは知ってるし、熱心な子は話してみたいって思うよ。魔法だけじゃなくて、冒険に関する知識もあるって聞くから。それに加えて学食のタダ券だろ? 絶対、多いよ~」
賞品の効果は絶大であり、そうでなくとも将来を考え、上級生の参加者もいる。考えたくはないけれど、どういう風に進めていくのかも気になるが、人が多い=トラブルも増える、と言う図式が成り立つ。ありとあらゆる可能性を考えなければ。
「それが一番めんっどくさい……確定してから考えるかな。えと、他に何か報告は?」
「あ、えっと、そうですね。……指定された場所にポスター掲示を完了したということと、参加者名簿は後日、完成させてお渡しします。詳細については委員長に伺っていただければと」
「ほ~い。ご苦労様。……委員長て、あー……マル君?」
「はい!」
去年、同じクラスだった男の子で、赤味の薄い黄色い髪色をし、少し気弱な雰囲気の子だ。しかし、真面目で仕事が丁寧な印象。上に立つイメージはなかったけれど、マル君の性格だと、人望か断り切れなかったと見た。
「分かった。ありがとう。また何かあれば報告よろしくね~」
「承知しました。これで失礼します!」
礼儀正しく、頭を下げ、生徒会室を後にする。
後輩君の話から考えるに、今回になかなかの力を入れているということだ。大会実行委員が頑張ったのか、教師陣に何か考えがあるのか。憶測は憶測に過ぎないが、平和に終わればなんでもいい。……何か、面倒に巻き込まれのだけはごめんだ。
今日、できる仕事を再開させ、家路についたのはそれから一時間後である。

昨日、大会実行委員が張ったであろうポスターがところどころで目に付いた。登校してきた生徒達が立ち止まり、それはやがて小さな人だかりとなっていく。生徒が目にしているのは、剣技大会の開催日時や参加受付等々の詳細事項。それと上位入賞者に贈られる賞品についてである。
一つは一位に贈られる学食1年間無料券。もう一つは上位四位までの生徒にセラフィーヌ理事長の講演会参加権利が与えられるという内容である。これらを見て、様々な思いを抱えているのが目に見える。
あるものは興味深そうにポスターを熟読していた。またあるものは賞品ではなく、試合というもの自体に興味を持つものもいれば、難しい表情を浮かべ、考えを巡らせる生徒もいる。
色々な思惑が交差し、活気づく中、一点を見つめたまま動かない生徒が一人。
見つめる先には賞品が書かれた一文。その中でも『学食無料券』の部分をじっと見ている。学園の学食を頭に思い浮かべたのか、口からは涎が垂れていた。異様な光景に周りの生徒達は若干、引いているが、それを気にも留めずその生徒は目を爛々と輝かせた。さながら、獲物を見つけた狩人が如く。
涎を垂らす生徒……鮮やかな青の髪をポニーテールにまとめた女子生徒の周りには誰もいない。彼女の雰囲気を察知し、遠巻きに避けているためだ。だからだろう。彼女の呟いた言葉を聞いた者はいなかった。
「学食……無料。……タダ、券……!」



~あとがき~
無理矢理、一話に収めました。
ポスター張り出されたところとか、あの量を一話は無理でしたので……書き方も三人称視点です。すまんな……!

次回、剣技大会当日まで時間を飛ばします。
よっしゃよっしゃ!

特に言うことはないです……まだ始まってもないので、付け足すこともないのです。
……あ、じゃあ、これ話しときましょう! ティールが参加しない理由は三年だからって奴。とまあ、彼の進路とか話してこなかったのであれですが、探検隊続けるにしろ、国に帰るにしろ、どちらにせよ、誰かにアピールする必要がないのが理由です。後は、ラルもフォースも出ないのを知っているから、自分を試す必要もないか、と思っています。他は単純に、去年はほぼ生徒会の仕事を満足に出来ていないので、今年はって思っているのです。きっと、後輩に参加したいって子が思ったよりいたので、身を引いたんでしょう。そういうことです。その意味合いを全部込めて、「三年だから」でした。半分も込められてないけどな(笑)

ではでは。