satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第69話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわやわやする物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、Aブロック、Bブロックと予選の半分が終わった……終わったけど、ここからちょっと予選は休憩タイム? ですね。
できちゃった氷山の解体をします。消しましたで終わらせろって? それじゃあつまらんだろ!!??
ラル「首絞めてる~」
アラシ「言ってやるなって」
いけるいける!! 私ならできるー!!
ラル「詰まらないことを祈るばかりですね」
アラシ「本心丸見えだぞ、ラル会長」


《L side》
部屋に設置されている小さなモニターに映し出されるのは、一人の少女によって作り出された氷山。そんな状況でも、司会進行のお仕事を全うするリュウ君には感心する。流石に一年生のキャス君はびっくりしすぎて話せないらしく、トーナメントへ進む二人を紹介したのはリュウ君だった。あるいは、ここの場面はリュウ君の担当なのかもしれない。台本を知らない私からすると、どっちとも取れるので、推測するしかない。
『Bブロックからトーナメント進出権を得たのは、冒険科三年、アリア・ディーネと魔術科一年、アラシ・フェルドだ!! 続けてCブロック……と、いきたいが、流石にこのままじゃあ試合続行は難しいな? 係りの人がどうにかするから、観客の皆は、その場で待機しててくれよな~♪ にしても、凄かったな、相棒!』
『ひゃ! は、はいぃ……そう、ですねっ!』
『まだまだ大会始まったばっかりなのに、胸を熱くさせる展開だらけだぜ~!! 相棒もこれくらいで驚いてちゃ、まだまだだぜ?』
とまあ、何気ないトークで場を繋ぐリュウ君。これもいつまで持つのやら……いや、こいつなら永遠と持たせられる気もするけど、観客のボルテージは下がってしまう。さっさと対応した方がよさそうだ。
「あらあら。アリアちゃん、随分と張り切ってるわね~?」
「……リアさん」
備品整理をしているのか、私の背後で救急箱を抱えて頬笑む女性……養護教諭のリア先生だ。いつものようにクリーム色の髪を三つ編みにまとめ、優しく落ち着いた笑みを浮かべていた。
リアさんは、この学園の養護教諭であり、私とティールにとっては、探検隊のいろはを教えてくれた一人。また、ここの卒業生でもあるため、─代はかすりもしなかったが─私達の先輩でもある。そんな少しややこしい関係性を持つリアさんを「先生」と呼ぶのはかなりの違和感がある。「リアさん」と呼んできた時間の方が長いため、私は基本的にはさん付けだ。ティールは徹底してるけども。
閑話休題
私が今いるのは、生徒会が使っていた控え室……ではなく、救護室だ。あの広い控え室にたった一人なのも寂しくて、─ぶっちゃけ、寂しいとかではなく、控え室で永遠とノートパソコンを見ながら指示出しに飽きただけ─適当に歩き回っていたのだ。まあ、言ってしまえば、仕事放棄である。とは言え、私に繋がるインカムは装備しているし、時折かかってくる連絡には対応しているから、完全職務放棄ではない。半分くらいだ。半分。
「あれ、どうなってるんですかね」
「うぅん。一言で表すなら、有り余る魔力を放出した、かしら?」
「だよなぁ……力の爆発って感じだったもん」
リアさんは救急箱を机の上に起き、私の隣に座った。ある程度、Aブロックに出ていた生徒達の手当ては落ち着いたのだ。ちなみに、一人の控え室から逃げてきた私をリアさんが呼び、入ってみれば手当ての手伝いをさせられた。私は寛大なので……いや、この人にはかなりの恩があるので、それくらいのお手伝いは喜んでします。……はい。
「あの氷の処理、誰がするんだか。普通に考えれば、実行委員なんですけどね」
「誰というか……そもそも、準備と休憩時間を合わせて十分間よね? そんな短時間でどうにかできるのかしら」
「解体だけなら人員を割けばまあ……でも、会場の準備込みの十分はちょっと……時間押すかなぁ」
「ちょっと?」
「……かなり、かもですね。見積もりは出しません。悲しくなる」
会場の整備は生徒会ではなく、実行委員の仕事だ。が、実行委員全員をかき集めたとして、どうにかなるはずもない。
「ラルさん、どうかしたんですか?」
「ひゃあ! おっきい氷!」
手当てを終わらせてきたツバサちゃんとリリちゃんがこちらに近付いてきて、モニターを見る。そこに映るのは変わらず、氷の世界のまま。
「一面、氷ですね! え、何があったんですか!? 師匠?」
「アリアちゃんがやっちゃったみたいなのよね」
「あ、あーちゃん……」
ツバサちゃんとリアさんはどうやら師弟関係らしく、ツバサちゃんはリアさんを時折、師匠と呼んでいる。リアさんはリアさんで、ツバサちゃんを妹のように思っているらしい。
「会長様、これは……どうするのですか?」
「ははっ……不測の事態でも迅速に対応せよとは言ったけどねぇ……これは想定外過ぎるでしょ」
「ここは会長さんの出番かしら?」
リアさんが少し、面白がるように笑う。私の仕事嫌いを知っているからこその反応だろう。
「くっ……行きたくないけど、行ってきます……現場を見て、策を練ってどうにか……いや、これ、めんどくっさいなぁ。思った以上に」
「あらあら。本音が漏れてるわよ、生徒会長さん」
わざとです!!
私が立ち上がるのと同時に、後ろの救護室の扉が開く気配がした。振り返ると、男性にしてはかなり長い赤い髪を後ろで一つにまとめ、シンプルなYシャツを着た牙狼族が立っていた。
「それなら、ツバサも連れてってやってくれないか? 生徒会長」
「あら。あなたがここに来るなんて珍しいわね。あなたの担当はここじゃなかったと思うんだけれど、イグニース先生?」
イグニース・フェルド先生。名前から察してくれるかもしれないが、アラシ君のお兄さんで、冒険科の非常勤講師の一人。そして、この人は名の通った冒険家という一面を持つ。以前はリアさんとコンビを組んでいたのだが、今はソロで活躍中。そこら辺は結構ごちゃごちゃしているので、今は省略しよう。
まあ、リアさんとコンビを組んでいた時代に親交を深めていた私とティールなので、関係性としてはリアさんと全く同じである。ここの先生で、探検隊の先輩で、学園の卒業生。以上。
「ははっ♪ ここでお前に会いに来た~なんて言える状況ならよかったんだけどな~♪」
「ちょ!? もう! イグったら!」
あぁ、言い忘れた。イグニース先生こと、イグさんとリアさんは、この学園に通う生徒なら知らない人がいないレベルの、ラブラブカップルとして学園に名を馳せている。新入生は知らないかもしれないけれど、やがて知る運命。とりあえず、今ここにいる実行委員の一年生は知ったはずだ。
「駄目ですよ、リアさん。ここは『実は私も会いたかったの、イグ♪』くらい言えないと」
「きゃあぁっ!? ラ、ラルちゃん!?」
「で、なんでツバサちゃんを? というか、リアさんの言う通り、イグさんの担当は現場監督。つまり、会場でしょう?」
あわあわしているリアさんには触れずに、私は話を進める。できることならもう少し可愛らしい反応を見せてくれるリアさんと戯れたいのだけれど、如何せん時間がない。残念である。
「ったく、校内では先生をつけろって毎回言ってるだろ~? まあ、いいけどな」
じゃあ、私はこれからもイグさんと呼んでいくもんね~……というか、このやり取り、飽きる程してきたんだけれどね。
イグさんがアラシ君のお兄さんなら、アラシ君と幼馴染みのツバサちゃんが、イグさんを知らないはずもなく。イグさんを見上げると、年上相手にも関わらず、友人と接するときの砕けた口調で話し始めた。
「そうだよ、イグ兄。私の担当は救護だよ?」
「全く。ツバサもここじゃ先生をつけろよ~?」
「えへへ。ごめんなさい」
「でも、気にしないんでしょ? イグせんせー?」
「ははっ♪ まあな。んでも、体裁は必要だからな。……ラルに言ったって無駄なのは痛い程に理解してるけど」
にひひ。ご理解、感謝いたします~♪
魔術科所属のリリちゃんは、イグさんを見かける機会はほぼないだろう。私達のやり取りを黙って見ていた。リアさんの彼氏さんなのは知っているとは思うが、実際に対面するのは初めてかもしれない。
「あ、あの、イグニース先生? ツバサちゃんを連れていくって話はよろしいのです……?」
「ん? あぁ! そうだった。実はセラおば……っと、理事長から伝言を預かったんだよ」
「お母さん?」
「あの映像からも分かるとは思うんだが、現場の生徒だけじゃどうにもならないって判断でな。セラ理事長自ら解体に着手するってさ」
理事長が出てこなきゃいけないレベルの氷山を生み出すアリアちゃんとは……一体何者なんだ。
「それにツバサも手伝ってほしいって話らしい。ただ、単純に解体作業を見せるのもつまらないから、ショーみたいに観客も楽しませる方向性になった。ってことだから、ツバサ、武器を忘れずに持ってこいって理事長からのお達しだ♪」
「はーいっ! それじゃあ、準備してくるから、イグにぃ……イグ先生、ちょっと待ってて?」
そう言って、ツバサちゃんはぱたぱたと部屋を出ていく。武器を取り出すのに出ていく必要があるのかはよく分からないけれど、他にも何か準備したいのかもしれない。
「……で、ラルには周囲の警備強化をお願いしたい。中に人が入らないようにしてほしいんだってさ。なんか、派手にやるらしくって♪」
笑顔でなんでもないように、しかし、内容はとんでもないことを言ってきた。
「あっはは~♪ ただでさえ、色んなところに人員を割いているのに、警備を手厚くしろと? かっつかつなんですよ、こちらも」
「そりゃ分かるけど、理事長直々のご命令だ」
「……はあ。一分、時間ください。警備体勢の再編成しますので」
表面上は至って冷静に返すものの、内心は荒れに荒れまくっていた。持ち出していたシンプルな肩掛け鞄からノートパソコンと今回の人員名簿を取り出して、部屋の隅っこへ移動。移動した理由はリアさんがとんでもなく機械音痴だから。側にいるだけで壊す恐れのあるお人なのだ。
あーあーあー!! 班の組み直しかよ!! 今から!? 上等よ。やってやろうじゃない。私を誰だと思ってるのよ……!
やらなければならないのは、各担当から数人を抜き出し、会場周辺の警備をさせること。それを臨機応変に行えるのは、普段からこういった事態に慣れている生徒会役員のみ。そこに焦点を絞り、担当区域と照らし合わせて……ついでに、人数の少なくなった班を統合させ、指揮を執らせて……会場周辺に術を展開させる必要もあるか? 観客に何かあるのも否定できない。……となると……
「こちら、本部。応答して」
『聞こえてます』
『はぁい……聞こえてまーす』
私はインカムを通じて、馴染み深い二人を呼び出した。この二人なら詳しい説明がなくても思い通りに動いてくれるからだ。
ティール、現場の教師から説明は」
『聞いてる』
「フォースは?」
『大方は。会場外の全体指揮は任してくれていい』
「了解。フォースには会場外にも目を配り、私の代わりを一時的に任せる。ティール、魔法使える人達を集めて、観客に被害が出ないような結界を張ってくれる?」
二人に細かい指示を出しつつ、パソコンには現在の生徒会役員や実行委員の位置を表示させていた。画面では再編成を行い、口ではこれからのことを話していく。
『んと、今いる人達だけで?』
「そうね。それでできるなら。無理そうなら、できる人をそちらに寄越す。私も今からそちらに向かうけど、私はフィールドに繋がる通路付近にいるから、会場内周辺の警備は引き続き任せるよ」
『了解。まあ、今こっちにいる人達だけでも、結界を生成するのは問題ないと思うよ。最悪、不完全で何かあっても、氷ならぼくがどうにかしてみせる』
あぁ……確かに。
「……よしっ! 再編終了! 私から全体に連絡かけて、移動するように指示をするから、細かいことは二人からよろしく」
『了解だよ、会長』
『はいよ』
これでとりあえずはいいだろう。あとは現場行って対応すれば……うん。大丈夫。
ノートパソコンを閉じ、名簿と一緒に鞄へ突っ込む。再びイグさんの方を振り返ると、妙に感心しているというか、納得したような表情で微笑んでいた。それはリアさんも同じ。
「? なんですか、二人して」
「いやぁ? こういうときのラルは頼もしいなって思ってただけだぜ?」
「うふふ♪ そうね」
うーむ。……褒められている気がしないのは私だけだろうか。なんて、考えている暇はないか。さっさと全体連絡を回して配置につかせよう。
インカムの範囲を広げ、全体に聞こえるように設定をする。繋がっていることを確認すると、私は一気に指示を出した。
「各班に告ぐ! 現在、大会会場にて巨大な氷山が出現している。それの解体作業に伴い、会場付近、及び内部の警備強化命令が出た。今から名と配属先を言い渡す。該当者は直ちに持ち場につけ! 詳しい内容は指定時刻にティール及びフォースから説明がある。呼ばれなかった者は引き続き、担当している持ち場にて仕事を全うするように。……これから、名前と配属先を告げる。名を呼ばれた者は直ちに行動せよ!」
……や、ほんと、これ、軍隊だよね。私が悪いのかな?



~あとがき~
変に茶番を挟んだせいで長い?
いや! そんなことはない! 通常です! 通常!

次回、氷山解体ショー準備かな。
多分、ショーまでは……いかないっすね……(白目)

はぁぁぁぁ!!! 出したかったお二方をようやく! ようやく出せましたよ!! やったね!
リアさんとイグさんです。
私、イグさん大好きなんですね! 相方のオリキャラの中で一番と言ってもいいくらいに! 好きです。お兄ちゃんが好きなのかもしれない……
まあ、フォースみたいなクールキャラも大好きなんですけどね?(笑)
ってことで、リアさんとイグさんですが、ここでは書き表せないくらい設定がもりもりです。大丈夫でしたかね? ラル視点なので書きましたが、大丈夫だったかな。
二人はレイ学の教師で、OBOGで、ラルとティールにとっては、探検隊とはなんぞや! を教えてくれた先生でもあります。もちろん、二人だけがラルとティールに教えたわけではありませんが、何かと面倒を見てくれていた過去があります。
イグさんとリアさんは過去に色々あったキャラなのですが……(コンビ組んでたのに、解散してるところとか。その辺のごちゃごちゃっとした理由とか)それを今後出していくのか、語る日が来るのかは謎ですね。裏設定のまま、表に出ない可能性も大いにありますし、いつか過去編として書く日が来るかもしれません。それはそれで私はやる気満々ですけどね←
……とまあ、過去現在とお世話になっている相手にラルは適当な態度で接してますが……この、失礼な奴め……!!(笑)

ではでは!