satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第73話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどんちゃん騒ぎしている物語です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ミユルちゃんが参加していたCブロックが終わりました。そして、今度はDブロックー!! と、行きたいところですが、また箸休め話入ります。時間は遡って、Cブロック始まる前になりますね! どぞどぞ!!


《L side》
障害物がなくなり、ようやく予選Cブロックが開始できるようになった。そのため、Cブロック参加者を呼び掛けるアナウンスが響き、私達が待機している通路にもぞろぞろと生徒達が横切っていく。やる気十分な生徒達の邪魔にならないように移動しながら、私はティールに連絡を取った。
「何もなかった?」
『うん。観客に何か被害は出てないよ。ちょっとした花の取り合いは発生してたけど……大したことじゃない』
花? あぁ、ツバサちゃんと理事長が作り出していた、氷の造形か。
『全体的にラルが好きそうな感じだったんだけど、君、通路から出てきてないでしょ? 残念だったね』
ティールの言う通りで、通路からツバサちゃん達が行っていた解体ショーを見ていた。そこからでは近いと言えば近いのだが、残念ながら、全てが綺麗に見えたかと問われれば、NOである。これは仕方ないのだが、角度的な問題である。まあ、全く見えなかった訳ではないのだけれど、外で警備しているティールとは雲泥の差ではある。気分的な問題で。
「うっ……結構悔やんでるんだから、そんなこと言わないでよね」
『……ラルの場合、ツバサに似合う衣装を準備すればよかったとかなんとか思ってるんだろ?』
「あぁ~……それもあるけど、全体をしっかり見れなかったことにも悔やんでるよ? さ、三割?」
『残りは可愛い衣装が~……っていう考えか』
うるさいなぁ……そりゃあ、魅せるためなら必要でしょうよ! 可愛い衣装!!
まあ、自分が着るってなると話は変わってきますれけどね。これはあくまで、天使のように可愛いツバサちゃんがやったからこそ出てくる感想。仮に私がやるってなるなら、制服のままでいいんだよ。そういうことなんだよ。
「んんっ! これから警備体制を通常に戻す」
邪心を相棒に読まれたことを誤魔化すため、─全くの無意味であるが─私は、至極真面目な声を発した。それを茶化すような相棒ではないものの、小さな笑い声が聞こえた後、肯定が返ってきた。
『了解。今の隊を解体して、本来の持ち場につくように指示を出しておく』
「任せる。何かあれば連絡よろしくね」
『ラジャー』
どうでもいい会話が多かったが、言いたい内容はしっかり伝えたので、問題ない。
通信を終えると、隣に控えているイグさんに話しかけた。ツバサちゃんが来るまでの暇潰しだ。
「それにしても、さっきのは凄いの一言ですね。近かったからかもしれませんけど、かなりの圧と言うか、威力を感じました」
「セラおばさんはもちろんだけど、『神の祝福』を受ける前のツバサも凄かったな。まあ、ツバサの家系は、魔力の質も扱いも秀でているからな♪ 魔法に疎いラルでもそれくらいは分かるだろ?」
「その言い方は私を馬鹿にしてるでしょ……」
ツバサちゃんの家系が優秀なのは、ツバサちゃんを見ていれば予測可能だ。彼女が白であるから、ではない。十二歳にして、高等部へ入学できる程の力を持っているという点である。また、兄のツルギ君も高度な幻術魔法を使えることからも、血筋なのだろうと推測は可能。まあ、双子が優秀なだけとも考えられなくはないが、それはないと言える。根拠としては、二人の母親、セラ理事長だ。理事長もあまり表舞台には出てこないものの、噂程度には耳にする。理事長の魔法、それに関する知識の高さが物語っている。以上のことから、ケアルの血が魔力の高さ、扱いに長けた人々を代々産み出しているのだろう、と考えを巡らせるのは容易である。
何が言いたいかって、イグさんにそんなことを言われるのはとても心外だの一言。しかし、私が魔法関連の知識に乏しいのは、自身がよく分かっているので、これ以上は何も言わない。……つもりだったのだが、呆れ半分のため息が聞こえてきた。
「お前、戦場では技だろうと魔法だろうと、それに見合うだけの的確な動きをするくせに、知識になるとてんで駄目だよな?」
それは相手の動きを観察していればある程度の予測ができるからだ。相手の見た目、身に付けている装備、口にする言葉、目の動き、呼吸、気配等々……ありとあらゆる情報をかき集め、どのような動きに出るのかを見ているに過ぎない。それに加えて、これはもう野性的な勘というか、培ってきた経験を合わせて、最善の策を練り上げ、実行。あるいは、チーム全体に指示を出す。……という、戦い方をしているので、正直なところ、魔法式を覚える必要はない。それを覚えるくらいなら技の一つでも修得する方が有意義である。
それに、魔法関連はティールに任せておけばいいのだ。うん。この一言に尽きるな。
「私の記憶領域にも限度があります。私が使えない魔法式やら魔法知識やらに、その領域を侵されるわけにはいかないんですよ。避ければ、どんな大魔法を使えたところで失敗です」
「そこら辺、脳筋の考えだぞ~?」
「どうせ私は脳筋プレイ厨ですよーっだ」
「いじけんなって~? ラルの冷静で高い分析力は武器なんだから、そこに魔法知識も組み込めばもっと幅広がるって話で……っと、ツバサが帰ってきたな。この話は一旦やめやめ♪」
イグさんのプチ授業はここで一旦区切られ、こちらに駆け寄ってきたツバサちゃんを見る。武器は魔法か何かで収納したのか、手元にはなく一人で戻ってきた。どうやら、理事長とは別行動らしい。
「お帰り、ツバサちゃん。そして、お疲れ様。とっても綺麗だったよ~」
「わっ! 本当ですか? ありがとうございます、ラルさん!」
「あれ? ツバサ、おばさんは?」
「お母さん、このあと、大切なお客様をおもてなししなきゃなんだって。だから、私とは反対側の出口に行っちゃった。……でもね、お母さんもさっきのショー、褒めてくれたんだよ!」
とっても嬉しそうに報告するツバサちゃんを見て、イグさんは自分のことのように嬉しそうに笑う。そして、ツバサちゃんの頭を優しく撫でた。
「そっか♪ そっか♪ よかったな、ツバサ~」
「えへへ……うんっ!」
「ほい。消費した魔力をこれで回復しとけ」
「ありがと! イグ兄」
イグさんが渡したのは、少し前にリアさんのところで拝借した魔力回復ポーションだ。私には魔力なんてないから、一度も飲んだことはないのだけれど、どのような味がするのやら。
……しかしまあ、私との対応の差がヤバイ。はー……差別だ差別だ~……なんて、私が生意気なのが悪いんだけどね? 分かってる分かってる。というか、イグさんに優しくされた暁には、何かあるんじゃないかと勘繰りますのでね。─ぶっちゃけ、イグさんは基本的に優しい人だけれど─人を疑わなければやっていけない……それが私の悲しい性……いや、本当に悲しいな。ま、あれこれ騙されてきた人生なので、仕方ないですけど。主に親方が悪い。
「おい、ラル~? 救護室まで戻るぞ?」
いつの間にか微笑ましい二人のやり取りは終わっていて、一人で勝手にブルーになっていた私に呼び掛けた。私の思考は表に全く出ていなかったらしく、いつも通り平然としている。
「りょーかいです、先生」
「お、おう? なんだなんだ。いきなり……?」
「気紛れですよ。知ってるでしょう?」
「それは知ってるけどな~? ラルの言動はどこに意図があるのかさっぱりなときあるから、聞いてるこちとら油断ならない」
意図なんてないですよ。……きっとね?
わざとらしく陰りを見せつつ笑うと、予想通り、イグさんはじとっと疑うように見つめてきた。
「うわぁ~……怪しい」
「ふふ。心外です」
「……あの、ラルさん! 救護室のときから思ってたんですけど、イグ兄と仲良しなんですね?」
ずっと疑問に感じていたのか、少し食い気味であった。『イグ兄』と呼ぶのだ。幼い頃から慕っているのだろう。
「そいや、明確にラル達の名前は出したことなかったな~……それに、アラシにも話してないや」
てっきり、過去に話しているものだと思っていた。ちなみに、私はイグさん達の口からツバサちゃんやアラシ君達の名前は聞いたことはない。ここに入学してから知った仲だ。
「私とティールはね、イグさんとリアさんとは約四年くらいの付き合いがあるの。主に探検について色々と教えてもらっていたことがあって、今もまあ、縁あって、たまに仕事もらったり押し付けたり……?」
「そりゃ、お互い様だな♪」
二カッと爽やかな笑顔をいただき、これからもよろしく的な空気を感じ取った。それこそ、お互い様である。
「ふえ~! じゃあ、どんな風にイグ兄と師匠に」
「ツバサ」
ツバサちゃんの言葉に被さるように聞こえてきたのは男性の声だ。優しく、落ち着いた印象のある声。私達が呼び掛けられた方を振り返ると、何やら箱を抱えた男性が立っていた。見た目はイグさんよりも年上だろう。ユーリ君と同じ黒髪に、狐族特有の大きく、ふんわりした耳をぴんと立てている。そして、何より、ツバサちゃんと同じ、黒と青のオッドアイ
一瞬、侵入者かと身構えるものの、私の中にいる雷姫は何もアクションを起こしてこなかった。それに、隣のイグさんも警戒する様子もないし、何よりツバサちゃんの名前を呼んだ。
つまり、敵ではない……のだろう。
そんな私の予想を裏付けてくれたのは、呼び掛けられたツバサちゃん本人だった。嬉しそうに尻尾と耳をぱたぱたさせ、呼ばれた方へと走り出す。
「あっ! お父さ~ん!!」
「おー! アルフォースおじさん!」
「イグニースくん、久しぶり。元気にしていましたか?」
「うすうっす♪」
どうやら、ツバサちゃんだけじゃなく、イグさんとも面識がおありのようで。……まあ、順当に考えれば、アルフォースと呼ばれたこの男性は、ツバサちゃんのお父さんなんだろう。
アルフォースさんとやらは、抱えていた箱を地面に下ろして、しゃがんだ状態でツバサちゃんの頭を撫でている。撫でられたツバサちゃんは、とっても嬉しそうに尻尾を揺らしていた。
「ツバサ、お疲れ様。さっきのショー、とっても素敵だったよ」
「! ほんと!?」
「もちろん。即興とはいえ、よく頑張ったね♪」
微笑ましい場面に水を指すような行動は慎みたいのだけれど、あまりにも疎外感が強すぎる。それに耐えきれなかった私は、イグさんの裾を軽く引っ張る。
「……イグさん」
「あーそっか。ごめんごめん♪」
私が気まずそうにしていたのが表に出ていたのだろう。申し訳なさそうにイグさんが耳打ちしてくれた。
「あの人はツバサの親父さんで……『明けの明星』っていうギルドの親方、ルーメンさんって人の補佐もしてるんだ」
「……明けの、明星……?」
うぅん……『明けの明星』のルーメン? どこかで聞いたことのある名前だけど、どこで聞いたのか、どんなギルドなのか思い出せない。恐らく、有名なところではあるのだろうけれど、パッと出てこない辺り、私は行ったことがないところ……なんだろう。ティールなら知っているだろうか?
ふと伏せていた顔を上げると、アルフォースさんと目があった。目があったのはたまたまだろう。しかし、どこか見透かされている感覚に陥る。なぜ、そう感じたかは分からないが、思わず目を逸らし、右手で胸を押さえる。手のひらから自分自身の鼓動が伝わり、また、心に巣食う雷姫も感じ取った。
……こいつがいる限り、見透かされるなんて、あり得ない。大丈夫。……ん? そもそも、雷姫が大人しい時点で、何もないことは分かりきった事実。何を慌てているだろう。私は。
軽く深呼吸をし、再びアルフォースさんと目を合わせた。挙動不審な私に、不思議そうにしているものの、目を合わせたことに気がつくと、にこりと笑ってくれた。
「妻の学園……高等部の生徒会長さん、ですよね? 初めまして。ツバサの父のアルフォース・ケアルと申します。いつも娘からあなたのお話は伺っています。大変お世話になっているようで……」
年下相手にもご丁寧な口調で、アルフォースさんは優しそうな笑顔を浮かべていた。そこまで畏まるとは思わなくて、私も慌てて頭を下げた。
「こ、こちらこそ、ツバ……いえ、娘さんにはお世話になっています。……申し遅れましたが、冒険科所属、三年のラル・フェラディーネです」
フォース君も落ち着いた雰囲気だけれど、この人はまた別の雰囲気を漂わせている。なんだろう。これがお父さんの貫禄……? 違うか。
「ところでおじさん。なんでこんなところに? いくらおばさんの夫でも、ここは関係者以外立ち入り禁止っすよ?」
アルフォースさんがこの場にいる理由が気になったらしい、イグさんが質問を投げかけた。そんなイグさんに向かってアルフォースさんはにこりと笑う。
「実はお義父さん……親方から、これを救護室まで持って行ってくれって頼まれて」
そう言うと、アルフォースさんは、地面に置きっぱなしだった箱の中身を見せてくれる。中には青色の液体が入った小瓶数十本と何かの薬草だった。
それを見たツバサちゃんはこてんと首を傾げながら、小瓶を指さした。
「お父さん、これなあに?」
「う~ん……お父さんも詳しくは知らないんだけど……状態異常回復系ポーションと薬草かな? Bブロックが終わった辺りで急に持って行けって言われたんだ」
アルフォースさんの言う通り、青色の液体は状態回復用のポーションで、薬草も魔素が溶け込んだ水といくつかを組み合わせると、あら不思議、回復用ポーションの出来上がりとなる、材料の一つだ。もちろん、それ単体でも効果はあるが、基本的にはポーションにした方が、薬草の節約になる。薬草一枚で一人を回復させるのか、薬草一枚でポーションを量産するのかの違いだ。まあ、ポーション作成は専用の器具がなければ作れないため、緊急なら薬草のまま利用すればいいというわけだ。
……とまあ、そんな道具達をなぜ、それらをルーメンさんがアルフォースさんに持たせたのかは、なんとなく分かる。
Bブロックで無事だったのは二人。残りは凍結やら体温低下による運動制限のデバブやらのオンパレードのはず。こちらが前もって準備していた道具だけで到底足りるはずもない。あるいは、トーナメントに進んだアリアちゃんの更なる攻撃を危惧してってのも考えられるが……まあ、どちらにせよ、アリアちゃんのためのもの。またの名を犠牲者の救済といったところか。
「……多分、アリアちゃん関連かなって。あの巨大氷山を見て、お義父さんが必要になるだろうと予測したんだと思う」
私と似たような考えをアルフォースさんも感じ取っていたらしい。Bブロック終了後となれば、そのような考えが浮かぶのも容易いというものだ。
「じゃあ、一緒に救護室へ向かいますか? 私達も行き先は同じなので」
「そうかい? それじゃあ、お言葉に甘えて、同行させてもらおうかな?」
すぐそこではあるんだけれど、一時的にパーティーを増やし、私達とアルフォースさんは救護室へ向かった。



~あとがき~
長いのは切るところがなかったからです。

次回、Dブロック開始!
残り、出てきてない子達はだーれだ!!←

色々言いたいことはあるけど、長かったので、これだけ!
機会があれば、ラル&ティールとイグ&リアの出会いの話を書きたいなーと思っています。話自体は練り上げてあるのですが、如何せん、滅茶苦茶長そうなので、出すかは微妙なところですね。出したいけど。
これだけ!! 言いたかった!!((

ではでは!