satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第76話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で好き勝手する話です。本編とは一切関係ありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバックです!
前回はアリアちゃんの二次被害を受けてしまっている救護室を見てもらいました。今、Bブロックの子達を対応しているけれど、これ、並行してCブロックの子達(眠り状態)も手当てしてんだろうな~とか考えたら、めっさ忙しいやん。まあ、放置でも起きるんだろうけど。ベッド放置?
まあ、いいや。出てこないんで。きっと、ベッド放置か、簡易的な処置として別室で雑魚寝だろ←


《L side》
薬草をすり潰すための乳鉢。成分抽出のための専用器具。魔素が溶け込んだ水。数々の薬草やら木の実等々……これら全て、組み合わせ次第で様々なポーション……つまり、回復系アイテムへと変化させることが可能だ。しかし、どこかの配分を間違えたり、入れるもの一つ違うと効果もがらりと変わってくる。そのため、ポーション作りはレシピを見ながら逐一確認を取りつつ、制作するのが基本だ。手慣れている人や、これが専門という人はテキパキと作れるだろうが、学生でそんな人は稀であろう。なんせ、一日中ポーション作りの授業をする……なんてあるわけがなく、主に魔術科のたくさんある授業の一つでしかない。冒険科も選択式で学ぶことは可能ではあるが、『作る』という知識は探検に必ず必要ではないため、人気のある授業とは言えない。
とまあ、何が言いたいかって、レシピがあるからと言って一人で黙々と作れる人はこの場にはほぼいないし、材料がたくさんあるからと言って、すぐさま「はい! 全員分出来上がり!」ともならない。要は、圧倒的に時間と人が足りない。それは理解しているのだけれど……
「…………なんで私が作ってるん!?」
魔術科でも、ヒーラーでもない私が!? なんで!!
作業に邪魔だったという理由で髪をポニーテールにまとめ、制服の上着も私物であるカバンと共に隅っこへと放置中だ。白いワンピースの下に七分丈のインナー姿という、校内ではほぼしない服装スタイルの私は、なぜかポーション作りのお手伝いをしている。
「ラルさん、すみません。まさかここまで人手が足りないなんて僕も思いませんで」
私の隣では薬草をすり潰しながら、申し訳なさそうにするアルフォースさんがいた。困り顔ではあるが、にこっと笑う。
「いや~……ラルさんがポーション作りの心得があって助かりましたよ」
「ものづくりが趣味なので」
と、これも嘘ではないが、一番は経費削減が大きな理由である。買うよりも自分で作った方が安く済む。なんなら、薬草はダンジョン内で回収可能で、実質、材料費は魔素が溶け込んだエール水のみ。こりゃ、手を出さない理由がない、というやつだ。そこまでお金に困っているチームじゃないけども。
なぜできるかという質問に関しては、そこのリア先生の賜物だとでも言っておこう。過去に色々あったんだよ。うん。
そんなことを考えつつ、エール水を適量取り分けた瓶を並べる。エール水の配分を確認しながら、事前にすり潰しておいた薬草を瓶の中に入れた。そして、マドラーでぐるぐるっとかき混ぜていく。
すでに出来上がっているポーションをまとめていたリリちゃんが、誇らしげに口を開いた。
「会長様がいれば、百人力です!」
なんて言う彼女は、私をポーション製作チームに引き込んだ張本人だ。
彼女からの要請前は、凍結状態以外の人達を救護班の子と一緒に診ていた。Bブロックの子達ばかりを診ているわけにもいかないからだ。他の要因でここを訪れる人もいるし、なんなら、救護室以外の仕事で通信も入る。手当てと指示出しを並行して行う私を、誰か褒めて欲しいくらいである。
ある程度混ぜた薬草+エール水をろ過し、別の容器へと移す。不純物を取り除いた水色の液体をぺろりと舐めてみれば、薬草特有の苦い味が口に広がる。まあ、魔素が溶け込んだ水なんて味的にはほぼ水だ。それに凍結解除効果を持つ、アシン草とヒス草の二種類突っ込んだだけで、あ~ら不思議! 美味しく飲める飲料水の完成!……となるわけがない。魔法じゃあるまいし。
「リアさん、これ、全身氷の人達って……」
ポーションを直接かけないと解除できないわ。頭さえ出ていれば、飲めば解決なんだけれどねぇ」
あー……まあ、そうか。飲む口がないもんな。
効果だけを求めるなら、これだけでも問題はない。しっかりとエール水に薬草の効果は抽出されているから、ポーションとしての役割は果たしてくれる。しかし、私はそこに置いてあった木の実数種類を適当に手繰り寄せて、小さなナイフを使って手際よくカットし、その木の実を絞って果汁だけを取り分けた。そしてその果汁を先程作ったポーションへと混ぜる。
「会長様?」
「こうした方が飲みやすいんだよね~? ま、今回は飲むだけじゃないみたいだから、する必要はないかもだけど」
木の実の果汁を加えたのは、苦味で飲みにくいポーションの味を変えるためだ。その他にも混ぜる理由はあるのだけれど……この際、どうでもいいか。
「被害者の半分は全身凍結だから、氷にかける分、多くのポーションを使って氷を溶かさなきゃいけないんだけどね。……とりあえず、今、作っているポーションで終わりにしちゃって大丈夫よ♪」
「でも、リア先生、作っていただいた数じゃ、とても足りないですよ?」
リリちゃんの疑問にリアさんは答えず、微笑みを返すのみだ。現場監督教員のリアさんがそう言うのだから、何か考えがあるのだろう。ツバサちゃんに何か頼んでいたし、それと関係があるのかもしれない。しかしまあ、終わりにしていいらしいので、すり潰していない薬草やエール水の片付けでもしてもらおうかな。
頭にはてなのリリちゃんに指示して、使わなかった材料達を片付けもらい、私とアルフォースさんとで、すり潰した薬草をポーションにしてしまう。ポーションに関しては多くて困ることはないはずだ。
きっと、これからも必要になる。うん。多分。
ある程度、作り終えた頃。ツバサちゃんが救護室へと戻ってきた。私服からエプロンドレス型のナース服に着替えたまではいいが、彼女の手には、一枚の紙とシンプルな羽ペンが握られていた。
「お待たせしました! 師匠♪ “範囲型特定状態異常回復魔法”の魔法式と魔法陣が完成しましたよ」
「ありがとう、ツバサちゃん♪ 思っていたよりも断然早いわ♪」
聞き慣れない魔法名が聞こえてきた気がする。なんだって? 名前と状況から察するに、この惨劇……大量凍結状態被害者のための魔法……なんだろう。
この場にフォース君やティールがいれば、説明してくれるんだろうけども、生憎、二人とも傍にいない。……いや、教える以前に勉強しろよと怒られるな。
理解していないのは私だけらしく、アルフォースさんも、リリちゃんすらもどこか納得したようだ。
「なるほどね~♪ だから、ツバサは準備にし行ったんだね。それは分かったけど、その服は?」
「! これはね、ラルさんにもらったのっ♪」
と、言いながら自慢げにくるっと回る。そんなツバサちゃんの頭をアルフォースさんは、そっと撫でた。
「そっか。とっても似合ってるよ♪」
「えへへ……ありがと、お父さん!」
父親と子供のあるべき姿って感じだな。はー……うちの相棒にもあんな時期……は、なさそうですね。こんなの考えてるのバレたら、別の意味で怒られる……しまっとこ。
「ともかく……解決するためのものだとして、なんでそれをツバサちゃんが?」
「ラルちゃん、もしかして知らなかった?」
私の呟きが聞こえたらしいリアさんが少し驚いた色を含ませた表情を浮かべる。馬鹿にするでも、皮肉でもなんでもなく、単純に知らないから驚いた……そんな感じだ。
「ケアル家が魔力の質や扱いに長けた一族だっていうのは知ってる?」
「……え、えぇ、まあ。さっきイグさんが言ってましたし」
「それの延長線上として、魔法のエキスパートでもあるの。魔法に必要な魔法式や魔法陣……魔法そのものの分野において、右に出るものはいないってくらいにね」
魔力については大して詳しくないが、言いたいことは分かる。魔法という分野の中にも色々あるけど、ケアル家は全体的に優秀な家系であると。もちろん、個人的に得意分野はあるだろうが、共通点として、魔法分野が秀でている……そういうことだろう。
「その中でもツバサちゃんが得意なのは、新たな魔法の創造……って言えば、伝わるかしら? 元々ある魔法を応用して、別の魔法にしたり、反対に簡略化させたりって感じね」
創造、か。……フォース君みたいだな。
「そんなツバサちゃんに私がお願いしたのは、術者の魔力消費を抑え、ポーションを媒体とした特定状態異常を回復させる魔法式と魔法陣の作成♪」
うぅ……頭が痛くなってきた。つまり、あれか。術者……この場合はツバサちゃんの魔力を限りなく消費しないための新たな回復魔法……? て、認識でいいんだろうか。いや、しかし、そんなことが短時間でできるものなのか。
ケアル親子に目を向けると、ほわほわした空気を漂わせる二人。さも、当たり前かのような反応で。
「ツバサは新しく魔法式考えるの、好きだもんね」
「うんっ! 楽しかったよ~♪」
何でもないように答えるツバサちゃん。その笑顔は偽りも気遣いもない、無垢なものだった。
……えーっと……こんな可愛らしくて、性格もよくて、その上魔法にすこぶる適性を示す少女、か。すみません。世の中、不平等過ぎない?
「生きるの……しんどくなってきた」
「えっ? ラルちゃん!? どうしてそうなったの?」
「いや、ちょっと前から荒んでましたよ……すぐ戻るで大丈夫ですけど」
「そ、それって大丈夫って言うのかしら……?」
「大丈夫。ダイジョーブ……今更ですって」
適当な返事しか返さない私に、真意が見えてこなかったのだろう。リアさんは心配そうな表情を浮かべるものの、これ以上は踏み込んでこなかった。
ふむう……これぞ、世に聞くチートキャラ……なんだろうか?



~あとがき~
ラルの自問自答というか、精神的な不安定さは今更です。

次回、ツバサちゃんの更なる凄さをご覧にいれましょう!!
なんかめっちゃ目立ってるな!! 流石、主人公(その1)!! 

ツバサちゃんが天才の才女様なのは今更ですが、その内容がより詳しく見えてきた、と言えばいいでしょうか? ラルも言ってましたが、ツバサちゃんはチートちゃんですよ。
私のキャラでチートさんはフォースですが、相方キャラのチートさんはツバサちゃんってなるんでしょうかね。あ、メインでって話ね。
メイン抜かすとチートレベルの強さなんて大量にいるんでね。うん。ここで出てくるかはまた別の話だけども!

ではでは。