satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第77話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で色んなことに巻き込まれる話です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、魔術科でもないのにポーション作りしているラルさんや、地獄絵図な救護室を助けるためにツバサちゃんが新たな魔法を作ってきました。今回はそんな魔法の披露からです。……この一方その頃で三話目になるとは思ってなかった。


《L side》
ツバサちゃんが作ってきたという魔法を発動するため、救護班員全員でその準備に取り掛かる。その指示をするのは先生であるリアさん……ではなく、魔法をかけるツバサちゃん本人だ。
「まず、今できているポーションを円形に並べてもらってもいいですか? そして、氷漬けの人達はその外側に円になるようにぐるっと……」
という、十二歳とは思えないしっかりとした指示の下、年上の高校生達は真面目にツバサちゃんの言う通り動いている。私が手伝う必要はなさそうなので、部屋の隅に放置していた上着とカバンを回収し、そのまま端でじっとしていた。
「ラルさん、大丈夫ですか?」
「……へぁ? あ、あぁ……大丈夫です?」
何をどう捉えたのか分からないが、アルフォースさんが話しかけてきた。
「なんか、ずっと難しい顔しているので。ラルさんが魔法式に疎いのはツバサから聞いています。今、ツバサがしているのもあんまり分からない……ですよね?」
「……そうですね。何なのか予測はできても、可能性の一つとしか考えられない。理解できないです。どうしても」
まあ、魔法式に限りませんけどね。魔法全般苦手なんで。
……とは言わず。にこっと笑って誤魔化した。
「そういえば、以前はツルギの件でご迷惑をおかけしてすみません」
今から行われる魔法の話をしても、つまらないと思ったのだろうか。気を使って、完全に関係ない話を振ってくれた。そもそも私とアルフォースさんの共通点なんて、双子の話くらいだ。
「迷惑なんて。学園内のトラブルを解決するのは生徒会の仕事で、ツルギ君のだってその一環です。それに、ツルギ君のあれなんて可愛い方ですよ」
生徒会室に殴り込みとか、生徒同士のいざこざとか、それに比べれば、ツルギ君の落書きなんて笑って許せるレベルだ。いやまあ、周囲の迷惑を考えてしまうと笑えないけど。トラブルなんて周りに迷惑をかけない方があり得ないのだから、そこはまあ、目を瞑っていただこう。
「今でもたまに、ツルギ君の話はツバサちゃんから聞きますけれど、その後は大丈夫ですか?」
私が聞くのはツバサちゃんから、休日にあれした、これしたの中に「ツルギと~」みたいな感じだ。兄妹仲良しなのは伝わってくるが、ツルギ君があれ以来、私をどう思っているのはまでは分からなかった。ツバサちゃんが意図的に伝えてないのか、ツルギ君が表に出していないかの二択だが、ツルギ君の性格を考えるに、恐らく、後者だろう。
「以前よりはラルさんに嫉妬していない様子ですね。けど、完全に対象外……というわけでもないようで、今度また、ラルさんにご迷惑かけてしまうかもしれません」
「いいですよ。私一人に来るなら、問題ありません。……ツルギ君は妹のツバサちゃんが大好きなんですね」
「はい。本当に仲がよくって」
二人の話をしているアルフォースさんはとても優しそうに笑う。子供の成長を嬉しく思う……そんな感じか。よく、分からないけど。私がしーくんに向ける思いと似たようなものだろうか。
「これで準備できたわね♪ それじゃあ、ツバサちゃん以外は部屋の隅に移動しましょう。……ツバサちゃん、お願いね?」
私とアルフォースさんが話している間に準備が終わったらしい。救護班の人達が部屋の端へと移動をする。
部屋は極力物がどかされ、広く開けた床に大きな魔法陣が描かれていた。そして、ツバサちゃんを中心にポーションが内側、凍結状態の生徒達外側の円を作り出している。要するに、ポーションと生徒で二重の円を作っているわけだ。
「魔法陣……もう書いてあるんだ」
「あれは魔力消費を抑えるために、ツバサが予め書いたんだよ。マジックスペルって道具……ツバサが持っていた羽ペンだね」
あ、あれか。
魔法発動にも段階が存在する。まずは魔法式を組み立て、それに倣って魔法陣を作り出し、魔法が発動する。この魔法陣を作るのにも魔力消費は伴うのだ。今回の場合、術者のツバサちゃんの魔力を極力抑えたものをってお題だったから、代用の利くものはそれに置き換えているんだろう。
本来の戦いの場で、悠長にペンを使って魔法陣なんて書いている暇はないけれど、サポートや回復なんかは、時間に迫られていない限りはこうした手も使えるということか。そういえば、フォース君も似たような羽ペンを持っていた気がする。今更だが。
「はふー……これでどうにかなってほしいです~」
「ツバサちゃんの魔法は完璧だもの。大丈夫よ♪」
リリちゃんとリアさんが私達の方へ近寄ってきた。これで、部屋に展開された魔法陣の近くにはツバサちゃんと凍ってしまった生徒達しかいない。
ツバサちゃんは周りに人がいないことを確認すると、魔法陣の中央で膝立ちになり、祈るように両手を組んで目を閉じる。すると、ツバサちゃんの周りから淡い光が漏れだし、それに合わせてポーションが減っていく。ポーションの減りと共に、生徒達の氷も少しずつ溶けていった。
「……綺麗」
昔に見た、ある泉の光景が脳裏を掠める。そこは月明かりと、そこに住む妖精達が放つ光が水面に映し出されていて、夢の中にいるような不思議な感覚を味わったのを覚えている。それは何年か前の話だけれど、今、私の目の前の光景もそれと似たようなものを感じた。
「はいっ! とっても幻想的です♪」
「これは光魔法の一種だね。回復魔法も似たような光が出るけど、回復魔法じゃ、こんなに光は漏れ出ないから」
「ほへっ!? これが光魔法? 初めて見ました」
「あまり使い手がいませんからね。光魔法は」
「私も使ったことないのですよ~……今度、ツバサちゃんに教わろうかなぁ……?」
アルフォースさんの言う通り、光魔法は使い手が少ない。高度な魔法で、適正者も色で言えば、白に当たるからだ。白でなくとも光魔法は使えるらしいけれど、初歩的なものでも相当な鍛練が必要になるだろう。
ツバサちゃんの魔法が終わるのに数分かかったものの、全員の氷を溶かし終える。彼女はパッと立ち上がり、こちらを振り返る。
「ほぇ~……うん。終わりました! でも、皆さん氷漬けでしたので、体を暖めた方がいいと思います」
「そうだね。えっと……会長様、毛布ってどこにありましたっけ?」
「え?……いくつかに保管してるけど……ここから一番近い倉庫に予備の毛布あるはず。……そうだね。男子で人数分取りに行って、残った人達で飲み物とか用意してあげたらいいんじゃないかな」
「了解ですっ!」
リリちゃんは、ピシッと敬礼ポーズをしたあとに、生徒のまとめ役として、救護班の子達に指示を出し始めた。リリちゃんと入れ違いになるようにツバサちゃんがアルフォースさんの元へ駆け寄る。
「ツバサ、よく頑張ったね。偉い♪ 偉い♪」
「えへへ~♪」
「さっき、リリちゃんが光魔法使ってみたいって言ってたよ」
「そうなんですか? それじゃあ、後で初歩的な光魔法のお話ししてみますっ」
……光魔法自体が高度なんじゃなかった? まあ、いいや。魔法の難易度とかよく知らないし。
『トーナメント進出を決めたのは、魔術科二年のシエル・シルフ先輩と……同じく、魔術科二年のユーリ・ケイン先輩……ですっ!』
ずっとつけっぱなしにしてあったモニターから、Dブロック終了の合図である、勝ち残った二人の名前が聞こえてきた。どうやら、私の知る後輩達が残ったらしい。
『これで午後から始まるトーナメントに進む八名が決定! 一時間の昼休憩後に開始するトーナメントでの対戦決めはシャッフルで決定されるぜ!』
『トーナメント出場者は、お昼休憩終了前には……ええっと、シャッフル開始前に会場までお戻りくだしゃいっ!』
キャス君、ここら辺で慣れてくるかと思っていたけれど、未だに噛んでるなぁ。大丈夫かな。
『さぁ~らぁ~にぃ~? トーナメント戦では、とあるゲストが出場するらしいぜ? とまあ、詳しいことはまた後で! それでは、一時間後に! See you again! よぉし! 昼飯だー!』
『せ、先輩! スイッチ切ってから喋ってくださいよー!!』
……欲の塊か。あいつは。
しかし、ゲスト……? 誰だっけ。貰った書類に書いてあった気もするが、全く覚えていない。しかし、人選は理事長や上の人達がしているはずだし、変な人がやるなんてことはないだろう。気にする必要はないか。



~あとがき~
とりあえず……Dブロックの一方その頃が終わったので、ここで一区切りです。

次回、昼休みだー! ご飯だー!
久し振りなキャラもいるかもですね。

いつもよりは短い気がします。まあ、通常運転。……他に特筆したいこともないでふ((

ではでは!!