satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第84話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でふわふわーっと過ごしている物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、怪我でゲストを辞退してしまったヒナギクの代わりにラルとフォースがイグさんご指名にて務めることになりました。本人達にやる気は存在するのか……(笑)
今回で昼休憩は終わるんじゃないかな。多分ね!
久しぶりにアラシ君視点です。理由? ラルのお休み回だよ!!


《A side》
本人達の意思とは裏腹に、この後行われるトーナメント戦に参加することになったらしい、ラルとフォース。二人のテンションについては……まあ、予想通りだ。かっこよく宣言していたラルも通常モードになってしまったらしく、控え室に戻る道すがら、大きなため息を何度も漏らしていた。
「あの暴君兄ちゃんめ……覚えてろよ。今日に限って、これでもかって利用してるし……便利屋じゃないんですけどぉ?」
なんて、実の弟のいる前で言ってしまう始末。しかし、兄貴の性格は俺が嫌ってくらいに知っている。そのため、ラルに対して同情の思いしか出てこない。頑張れとしか言えないが、実際に頑張れなんて言ったら、ラルが逆上しかねないので黙っていよう。
もう一人のピンチヒッターであるフォースは、いつも通りに見えるが、本心ではどう思っているのだろうか。
「んお? あ、あれは……」
レオンの素っ頓狂な声と同時に勢いよく突っ込んでくる人影。その人影は一直線にフォースへと突進するつもりのようだ。フォースも人影は見えていたんだろうが、避けはせず、突っ込んできた人物を受け止める。
「いって……何?」
「なぁんで冷静なのー!! すーくんの馬鹿っ!」
「え……理不尽」
「あ、ステラちゃんだ!! どうしたの? フォースさんに突進して」
タックルしてきたのは、ツバサの最近の友達の一人であるステラだ。そんなステラに遅れること数十秒。こちらもツバサの友達、リーフだ。
「いきなり走らないでよ~! しかも、フォースにタックルしちゃって」
「大丈夫だよ。ほぼ無反応だったもん」
「いや、そういうことじゃ……まあ、いいや。皆さん、こんにちは。驚かせてごめんなさい」
俺達に軽く会釈をし、ツバサの方へと駆け寄り、軽く抱き合った。
「遅くなっちゃったけど、氷の解体ショー、すっごくきれいだったよ! あと、氷のお花もありがとね~!」
「えへへ……ありがと、リーフちゃん!」
微笑ましい光景の一方で、ステラはフォースにタックルをし続けるという荒々しい光景も展開されていた。それを見ていたレオンが嫌らしい表情を浮かべる。簡単に言えば、「面白いおもちゃ見っけ!」である。ついでにラルも似たような感じの笑みを見せていた。この二人、こういうときの性格の一致があるのが恐ろしい。特にラル。レオン以上に言葉巧みに攻めてくるからな。
「二人とも、フォースを探していたの?」
「あ、そうだった! ステラ! タックルはもういいから!」
ティールの一言にリーフはツバサから離れ、ステラとフォースの仲裁に入る。なんて、フォースは反撃もしていないから、ステラの一方的は攻撃だったのだが。リーフの言葉に渋々、フォースへの攻撃を止める。
「何。放置してた件で怒ってたの? 別に、トラブルの対処に行ってただけで、お前のことは忘れてないよ」
「合流できなかったことは怒ってない」
「は? 怒ってもないのに、おれはお前からの攻撃を受けてたのか」
「すーくんだからね」
「理由になってない辺りがこわ~い」
「あーもう! 話が進まない! すーくんは黙ってて!」
「理不尽のオンパレードすぎる」
俺もそう思ったが、ステラはフォース相手だと遠慮がなくなる性格なのは、なんとなく察していた。多分、最終的な決定権はフォースにないんだろうな。
「さっき、リーちゃんも言ったんですけど、ツバサちゃんから氷のお花もらったんです」
ステラがポシェットから取り出したのは手のひらサイズに精巧に作られた氷の花だ。陽の光を浴びて、きらきらと輝いている。元々はアリアが適当に魔力爆発をさせてできた巨大氷だったのに、こんなガラス細工のようなものができるんだから、世の中、ものは使いようだ。
「せっかくきれいなのに、溶けちゃうのがもったいなくて……すーくんなら、どうにかできるよね? 永久保存できるような入れ物! 創れるでしょ?」
「あ? 創る? 無理に決まってるだろ」
「なぁんでぇ?」
「面倒くさいってのが一番だけど、それ以前におれの目が届かん」
「……はぇ?」
不満げなステラに対し、呆れた様子のフォース。ステラと目線の高さを合わせ、一つ一つ確認するように話していく。
「というか……一時的な保存なら未だしも、長期間をお望みだろ、お前」
「うん」
「はぁん? ってことは、お前らが死ぬまでおれはすぅに付き従えと。あり得ないんですけど。そもそも、おれの力をなんだと思っておいでですか、お嬢様。便利機能じゃないの。お分かり?」
「お分かりじゃない」
「分かれよ。創造するにもある程度の消費は伴うし、制限もあるってことだよ。……大体、おれがこうやって実体化している時点で、それなり食ってるからね!?」
「じゃあ、すーくんが昔みたいにいなくなれば解決?」
「馬鹿か。未解決だよ」
……予測でしかないが、フォースとステラの能力の話、だろうか。その辺の話を詳しく知らないから、何も分からないのだが。それは、レオンもツバサも同じらしく、不思議そうに二人を見ていた。しかし、自然と何か知っているだろうラルとティールへと視線が動く。ティールはティールで、俺達から逃れるように、ラルを見つめている。説明は任せた、みたいな。
「……え、私? あ~……っと、あの二人の関係性を詳しく話すのは面倒だから、フォース君の能力だと思って聞いて?」
俺らの視線に気がついたラルが少しだけ困ったように笑う。
「フォース君はね、力を操る能力があって……自分の持つ力……ここではエネルギーって言うけど、それをある形に変化させるの。エネルギーの具現化って言えば分かるかな。例えば、今から百の武器出してって言われれば、フォース君はそれを実行できる。言ってしまえば、魔法や技と似てるかもね」
なるほど……?
魔法や技の元は魔素だ。……魔法は魔力だけど、基本、目には見えない力を別のものへと変換して攻撃、防御、補助の手段として用いる。フォースの持つ能力はそれに似た別の何かってことなんだろう。
「例外を除いて、能力の及ぶ対象は無機物限定。さっき言った武器とかがそう。あとは、関係ないところで言えば、服とかもいけるみたいだよ。でも、自分よりはるかに大きなもの……建物とか、そういうものは創れないみたいだけど」
便利なのかどうなのか分かりにくいけど……まあ、自分の思い描いた物が作れるのは融通が利いて、何かと活躍の場はありそうだ。
それを用いて、ツバサの作った花を取っておきたいって話になるのか。確かに、中に入れたものが劣化しない入れ物を……なんて考えて作れば、それが作れるんだろう。
「ほあぁ……フォースさん、すごいですー! なんでもできちゃいますね!」
純粋に感心したらしいツバサにフォースは首を振る。
「いや、なんでもは無理。有機物は創れんし、一生なんてのも無理。仮に創ったとして、それを保つにも一定の力は使い続けなきゃならん。おれが身に付けるなら未だしも、家に置きっぱだと考えると毎日がハードモードだよ……それを思い描きながら過ごせってことだろ? できる?」
……とてもじゃないが無理だな。
人は生活している限り、刺激ってもんがある。それは楽しいっていう感情だったり、突然訪れた出来事だったり……色々あると思う。それに気をとられず、頭の中で自分の創ったものを浮かべ続けるなんて、目の前のものが注意力散漫になってしまう。
「つーことで、諦めろ。大体な、そういうもんは有限だから綺麗だなーって思えるんだよ」
「むー……すーくんの意地悪!」
今の説明を聞いても、諦めきれないのかステラはかなりむくれている。こうして見ると、ステラは大分子供っぽいところもあるものだ。……フォース相手限定かもしれないが。
「意地悪つってもなぁ……そんなに言うなら、そこのオネーサンに頼めば? なんか考えでもあんじゃない?」
そこのオネーサン……って。
フォースの言葉に再び、ラルに視線が集まる。
「は、はあ!? 考えって……そ、そうだなぁ。……要するに、それを保つためのケースがあればいいんだよね? 冷蔵庫的な。そんな感じのを組み込んだ何かを作れば……いいんじゃあ」
「ラルさん、できますか!?」
はえ!? あ、そーね……ソーダナー……デキナクハ、ナイ、ト……オモウ、デス、マスネ」
かなり言葉がおかしくなってきているが、それは多分、本人なりに嫌な予感を察知しているからだろう。面倒に巻き込まれそうな予感がしているのに、逃げられないのも察知している。そんな感じだ。さっきの兄貴みたいな展開だな。
「た、例えば……魔力石を使ったケース、とか、かな? 魔力石を動かすには魔素が必要だけれど、それは空気中に漂っているわけで、枯渇は余程のことがない限り、あり得ない」
温度調節やらを魔法……じゃなくて、術に頼る?
「そ。まあ、それ用の魔法式みたいなのは必要だし、全く科学に頼らないなんてのも無理だけど、組み合わせればいけると思うよ。魔法でも代替可能だろうけど、何十年も効力のある魔法とか、どんだけ高度なんだって話よ。運用は無理」
大魔術師……それこそ、ツバサみたいな魔法の申し子ならわけなさそうだが、そんな人達がほいほい存在してたまるか。
「いくつも課題はあるけれど、理論上は実現可能。って……それを作る時間は私にはないからね!!」
慌てて否定するラルに、ティールは首を傾げる。
「あれ。この前、作ってなかった?」
「!? 黙れ、相棒!」
「ラールーさぁん??」
「あの、あれです! 見せられるものじゃないんですー!! やー! 来ないで! お助けー!」
ステラとリーフに詰め寄られ、たじたじである。ティールの奴は多分、確信犯だ。だって、めっちゃ笑顔だし。
あんな風に見ていると、ラルは何かと押しに弱いみたいだ。ツバサに何かせがまれたときも、さっきの兄貴の件も結局、ラルが折れていたような。
「先生のときと今の状況は違うけれどね。ラルは優しいから」
……?
ティールの言葉の真意はよく分からなかったが、ステラ達がんがんに詰め寄られ、ラルが折れるのも時間の問題であるのは明白だった。
「分かった!! じゃあ、協力してもらう! 私に魔法関連任せたら何年もかかるから手伝えよ!!」
ビシッと指差した方向にいたのは、ある意味当たり前だがフォースだった。フォースは爽やかな笑顔で一言。
「ははっ♪ 式の組み替えすればいいの? 明日には連絡入れてやるよ」
「こういうときだけ……!」
きっと、ラル的には時間稼ぎというか、取りかかるための期間を延ばしたかったのだろう。しかし、それを逆手に取られ、逆に仕事しろと言い渡された構図になってしまった。
フォースはフォースでそれを分かっていて、明日までに終わらせると言ったんだろう。これに関しては、フォースの方が上手だったらしい。



~あとがき~
ぶつ切り感凄いけど、長くなったので仕方なし……(ネタ切れとも言う)

次回、トーナメント戦開幕!!
いっくぞー!

ラルの発明はここでも健在。もの作りが好きだって話は別のところで言った気がします。

ではでは!