satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第228話

~前回までのあらすじ~
トレジャータウンにて、何やら不穏(?)な噂が漂っていますが、何事もなく済むのでしょうか……?
フォース「逆に聞くけど、済ませる気はある?」
……(目線逸らしーの)
イブ「作者さん……」
チコ「なんかこの三人でのお話ってあんまりないから、ちょっと楽しみだけどね」
チコちゃん……! いい子!!
フォース「誤魔化されんなよ、チコ。作者のノリに合わせると、とんでもないことにしか巻き込まれないぞ」
イブ「そうだよ。気を許したら最後、ぱくっと食べられちゃうよ!」
チコ「え!?」
あ、あの……私って一体……?


ギルド近くにある十字路に集合した私達とすーくんは、ここまでの情報を整理することにした。とは言っても、大したものはないんだけれどね。
「なんか、色んな噂があるみたいなんだけど、すーくんは親方さんから何か聞いた?」
ギルドから出てきたすーくんは淡い空色のマフラーを緩く巻いて、白のリボンで目隠し状態。前みたいに目の色を変えればいいのにって思うんだけれど、それはそれで疲れる、らしい。目隠ししても動きに衰えはなく、戦力としては申し分ないから、どっちでもいいけど。私的にすーくんの目が見えないのは、いつも以上に表情が読めなくて、何を考えているのかが分からなくて困る。
そんなすーくんは、私からの質問に一言だけ返した。
「うんにゃ」
「……ほんとにぃ?」
「ほんとに。ま、おれ的には興味ないからどうでもいいけどな。お前らの聞いたって言う悪魔とか幽霊とか、いてもいなくても、関係ないし?」
ふぎゃー!! 言うな! 何で言うかな!?
にやりと面白そうに笑うすーくんは確信犯だ。面白がって発言してる。そりゃ、私と繋がっているから、手に入れた情報なんて筒抜けだ。仮にそんな関係でなくとも、心を読めてしまうため、どっちにしろ筒抜けですけど。
ぐぬぬ!! もうっ!
「とりあえず、入口近くまではバッジで移動しよう。ラル達、行ったことあるっぽいんだよな」
マフラーに着けておいたのだろう、探検隊バッジを取り出した。すーくんの持つそれは、スカイの探検隊バッジだ。今までに行ったことがあるところは転送装置を使って、一瞬で移動できる。ピカさん達以外にも、ソルさん達の情報もまとめてあるようで、それだけで行ける場所はかなりある。もちろん、ダンジョン内には飛べないし、ある程度の座標軸を把握していないと上手く機能しないようで、使うにはコツと慣れが必要らしい。また、チームメンバー以外には使えないようになっている。それがどんな仕組みなのかは私には理解できなさそうなので、質問していない。
そして、チームの人が承認すれば任意の人を飛ばすことはできるらしいので、私とチコちゃんも恩恵を受けられるというわけ。
「歩いてもいいけど、そこそこ距離あるしな。使えるもんは使おうぜ」
「ピカさん達に感謝して、それで行こっか。フォース、お願いっ!」
「あいよ~……んじゃまあ、行きますかね」
手慣れた動作ですーくんはバッジを操作すると、一瞬で私達は光に包まれた。その光に思わず、目を閉じる。
少し経ってから、恐る恐る、まぶたを開くと、山の入口へと移動していた。岩山ではなく、森。木々に囲まれた山林地帯だ。青々とした木々に囲まれ、夏とはいえ、そこそこ涼しい。木陰の下でお昼寝はさぞかし気持ちいいんだろうなと思うくらい、空気も澄んでいて、心地よい。
地名の名前からそうだろうとは思っていたけれど、岩山登りだったらどうしようと思っていた節はある。いや本当に、森でよかった……のかな。
すーくんはバッジをマフラーの内側へと着け直しながら、敵がいないか周りの気配を探っているらしい。探りつつ、少しの感心が含まれた声で一言。
「これ、ラルが組んだらしいんだけど、意味分かんねぇわ。探検隊連盟かなんかに売れば相当な金になるよな。一生食ってけるくらいの大金になると思うんだけど」
転送機能の話なのは一目瞭然だ。確かに、私のバッジにも転送機能はあるけれど、仲間がいった場所を共有して、他の人も行けるようにする機能みたいなものは備わっていない。そもそも、ハイテクな機能、リーダー以外の持つバッジに存在しない。
確かに、この共有機能は便利だから、これが他の探検隊達にも適応されれば、移動で時間を取られるなんてのはなくなる。もしかすれば、他の探検隊が行ったところを私達も行ける、なんてことも可能かもしれない。それはピカさんも分かっているはずだけれど、公開するつもりはないと思う。それが何でなのかは、私には分からないけれど。少なくとも、ピカさんはこの機能を作って、お金儲けしようとは思っていないのは絶対だと思う。思うんだけど……すーくんという人は。
「ゆ、夢のないことを……大金て」
「夢だけじゃ生きてけないんだぞ、若者よ」
「おじいちゃんみたいなこと言わないでよ。すーくん、見た目は若いんだから!」
「……見た目はって言ってくる辺り、心にグサッと来るよね。間違ってねぇけど」
ふふん♪ 私だってやられっぱなしじゃないんだよ!? 成長してるからね!
「あ、その主張はアホっぽい。いつものすぅだわ」
にゃ、にゃんだと……!?
私が固まっている間、チコちゃんは山道の入口だろうところへ駆け寄って、先の方を覗いていた。そして、私達を振り返り、小さく首を傾げる。
「フォース、この先に目的地あるの?」
「おう。一応、頂上に向けての看板とかあるんだけど、当てにならんらしい。ま、おれ達は、中間地点にある集落を目指すから、看板は見ないけど」
「ふうん。……なんか、色んな話聞いたけど、変な感じはないもしないよね。もっと恐ろしい雰囲気なのかって思ってたけど、自然もきれいだし、空気も澄んでるもん」
草タイプで自然が大好きなチコちゃんだからこそ、何か感じるものがあるんだろう。私には分からないが、言いたいことはなんとなく分かる。確かに嫌な空気は感じない。そこはすーくんも同感らしく、小さく頷いた。
「そうだな。敵意のある奴は感じない。……けど、少しだけ……」
すーくんはそこで言葉を止めると、ぐるっと辺りを見渡す。見えてないとは思うけれど、それで周りの空気を感じ取っているんだろう。
「……いや、なんでもない。これも関係のない話だ。さっさと行こうか」
き、気になるけど……多分、言うつもりがないものは言わないだろうから、聞いても仕方がない。今は親方さんからのお仕事を済ませよう。
「行こっか、チコちゃん。すーくん」
「おー!」
「へーい」
……なんて、言ってみたけれど、道は知らないからすーくん先頭でお願いしまーす!
てへっと愛らしくお願いをしてみたけれど、返答は呆れ混じりのため息と無言だった。すたすたと黙って先頭を歩くすーくんの背中を見て、心で一応、謝っておく。
調子乗ってごめんね……?



~あとがき~
これの月一更新を忘れていた……
そして、いつもよりちょい短め? そんな中でもフォースとイブのやり取りは好きです。

次回、ついに『シキやま』へと足を踏み入れる三人。噂の真相は分かるのか……?
いや、別に噂の追求は頼まれてないけどね!?

探検隊バッジについて、どっかで説明した方がいいのかなーと思うんですけど、ゆーて、あれですよ。ピカが色んな機能を付与しているだけで、特別なものではありません。本来は、ダンジョン内で機能するものばかりなのを、外でも使えるようにしているのがピカ自作のシステムみたいなもんですね。
それに通信機能とか便利そうなのを付け足したりもしてますね。また、複数を所有しているのは、ピカの趣味の範囲です。夏祭り編で、通信機能に特化した探検隊バッジを使うシーンがありましたが、あれもピカ自作ですね。仲間に探知されない通信機ってやつです。
いつか、まとめた方が……いやでも、必要ないか?
物語に絡むことないもんなぁ……

ではでは!