satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第87話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどたばたしている物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
一回戦(第一試合)が開始する手前でした。終わりまでいくと思ってたんですけどね! おっかしいなぁ。
アラシ「ずっと言ってる」
イツキ「だねぇ」
メインの決勝はともかく、他の試合は、一話完結だと思ってたからね。私。だからなんか……おかしいなぁって?
アラシ「適当に茶番入れるからだろ」
イツキ「視点を三者すれば終わってかもね!」
アラシ「そうっすね」
やめろー!! どっちもそう思ってたんだからー!!
アラシ「思ってたのかよ」


《A side》
『よぉし! そろそろ準備完了だな!? それでは、試合を開始するぜ!!』
カメラワークとやらの調整も終わったらしく、こここら試合開始となるようだ。俺は背中にある大剣の柄を握り、体勢を整える。イツキ先輩も腰にある剣の柄へと手を伸ばす。
……ん? あれって、本当に剣、か?
俺の疑問とスピーカーからのゴングの鐘は同時だった。そして、イツキ先輩の動き出しも、同時で。
少し離れたところにいたはずなのに、今は俺の目の前にまで迫っていた。
いや、これは……速すぎる!?
俺は柄から手を離し、後ろに大きく飛び退いた。辛うじて、先輩の斬撃から逃れる。
「いきなりっすね……! 先輩!」
「ははっ♪ 先手必勝ってね。大剣は威力高いから、さっさとケリつけたいじゃん?」
予選の武器と変わらないと勝手に判断していたが、それは間違いだったらしい。片手剣の二刀流から刀の二刀流に変わっている。背中の竹刀袋は変化ないけれど。下手すると、三本目が出てくるのかもしれない。
そして、油断していた訳じゃないが、先輩の抜刀が見えなかった。今はもう鞘に納められ、かなり手慣れている。
「予選じゃ、剣じゃありませんでした?」
「じいちゃんからの指令なんで……ねっ!」
再び、一気に間合いを詰め、同じような抜刀術を使ってくるつもりなんだろう。高速の居合いは一振りで行っているはずだ。それなら、まだ防ぎようはある。
俺は大剣を抜き、一瞬の間を置いて横に振るう。刀よりも大剣の方が攻撃範囲が広いため、これを避けるには後ろへと下がるしかない。
「あっぶなっ!」
俺の予想通り、イツキ先輩は攻撃を中断し、俺から離れている。刀は抜かれていない。ここで俺が一気に詰めれば、いける!
俺が先輩へ向かって走り出した瞬間、足元に何か引っ掛かる感覚がした。しまったと思ったときには、すでに遅く、俺は急停止をさせられていた。
「“草結び”」
「技か……! でも、俺の得意属性、知らない訳じゃないでしょう……先輩!」
俺の足に絡み付いている植物を炎で燃やし、疾走を再開。その勢いのまま、先輩に斬りかかる。それを二振りの刀で受け止められる。
「んもぉ! 植物ちゃん燃やすなんて最低だよー! 自然破壊だー!」
「どういう理屈っすか!?」
「魔法も狡いわぁ! 反対!!」
「いやいや、先に仕掛けたのは先輩だし……っ!」
つばぜり合い中にこんな会話をしている間も力は込めているが、一向に押し込められない。威力、重量は大剣の方が上なのに。
「全然足りない。……もっと本気で来いよ」
「……へっ!?」
「縛れ」
イツキ先輩の一言で後ろから植物のツルが俺に巻き付く。それのせいで、前に押し込む力が弱まり、先輩を逃がしてしまった。
「こんな試合、じいちゃんに殺されるんだけど。アラシ、大剣は扱いにくいんだろうけれど、だからって、お前の本気はそんなもんなんて、言わないよなぁ?」
なんか、雰囲気変わってるな……けど、先輩の言っているのは間違いない。手は抜いている。大剣使っている時点で、だ。それはイツキ先輩は知らないことだけど、どこか滲み出てたのかもしれない。
「……そりゃ、そうっすよ。炎は俺の得意分野っす。……先輩との属性相性は、さいっこうなんですからねっ!」
“草結び”を燃やしたときよりも激しく燃え盛る炎で巻き付いていたツルを全て燃やした。そして、俺は大剣の柄を強く握り締める。
「“ブースト”!!」
負けるつもりなのは変わらないけれど、ここで力を出しておかないと、先輩に申し訳ないもんな。……あと、先輩が本気出してくれてないのも分かるし、ちょっと本気にならないと怒られる!
“ブースト”で移動速度を上げ、その勢いを乗せた斬撃を先輩に食らわす。刀で受け止めてはいたけれど、威力を完全に殺せる訳がない。勢いに負けて、先輩は後方へと飛ばされた。このままだと、場外に出てしまうかもしれないリスクも知った上で、俺はこの選択を取った。
……イツキ先輩なら、場外で終わりにさせない。そうですよね?
「そうこなくっちゃなぁ! 顕現しろ、植物達!」
そう叫ぶイツキ先輩は、ブレスレットを淡く光らせ、大量の草木を出現させる。その草木に突っ込む形になったものの、それらがクッション代わりになったようで、自然の緑の中から顔を出した。
「あっはは! そう! そういうことだよ! いやぁ、いいね! この感じ。やっぱ好きだわ」
「……防ぐと思ってました。先輩なら」
「あ~……その信頼は喜んでいいやつ?」
「もちろん。まだ終わりにさせない……そうっすよね?」
「そりゃあね。後輩とこんなのできるの、そうそうないだろ? なら、楽しまないと♪」
ぱちんと指を鳴らして植物を消したイツキ先輩。そして、キラリと目の奥が光り、刀二振りによる連撃が繰り出される。集中して対峙している今なら、目で追えない速さではない。が、今の武器では対応しきれなかった。いつもの武器なら……双剣ならさばけていただろう。
分かっているのに、防げないってのも、結構もどかしい……!
「……っ!」
「ふっ!」
短い息遣いの後、更にスピードを上げてくる。
まだ、速くなるのか……!?
一つ一つの動作が大きくなってしまう大剣では、自分の急所を辛うじて守るのが精一杯だった。この空間ではそんな必要もないんだけど、全てを防御できるはずもない。少しずつ、押されてきていた。
きっと……この辺が頃合い、だな。
「“閃光”」
「!」
怒濤の連撃の最中、先輩は両手に持っていた刀を手放し、背中の竹刀袋から別の武器を取り出そうとしていた。……俺に見えたのはそれだけだ。
「わぶっ……!」
そこそこの位置から落とされたのもあり、大きな水飛沫を上げながら、水の中に落とされた。
恐らくではあるが、突きの攻撃を食らい、その威力を相殺できずに、そのまま飛ばされてしまった。相殺しようと動かなかったってのもあるが。
「ぷはっ!」
『Winner……イツキ・カグラァァァ!!!』
俺が顔を上げるのと先輩の勝利を告げるアナウンスは同時だった。とりあえず、目的は達成されたと言っていいだろう。……アリアの氷漬けから回避するという目的は。
にしても、最後、俺はどんな武器でやられたんだ……? 角度のせいか見えなかったんだけど。
「ごめーん! そこまで飛ばされるとは思わなかった! 大丈夫!?」
リングの上から、イツキ先輩が手を合わせて申し訳なさそうに謝っていた。このあと謝るのは俺なんだけれども……
「大丈夫っす! 先輩、準決勝進出おめでとうございます」
「ん……お、おぉ! ありがとう~♪」
一瞬、何か考えるような表情になるも、すぐにいつもの先輩に戻った。
先輩の腰には投げ捨てた刀が納められていて、手に持っているわけでもなさそうだった。俺を突き飛ばした武器はすでにしまったのだろうか。
……機会があれば、聞いてみるか。
何にせよ、俺の初となる剣技大会はこれにて幕引きというやつだ。締まらない最後ではあるが、イツキ先輩とはなかなかに楽しかった……かもしれない。



~あとがき~
終わってみたら、こちらも3000字越え。分割して正解ですね。

次回、レオンVSアリア!
これは一話で収められるだろ。

いつものアラシ君ではないにせよ、イツキはなかなか強かったみたいですね。まあ、双剣使いver.のアラシ君にはそれなりに立ち向かえても、結局はあしらわれるのでしょうが。本来はそれくらいの差はある……のかな? どちらにせよ、アラシ君が本気を出せばの話でしょう。アラシ君の親じゃないんでハッキリとしたことは言えませんが。
イツキの創造者として彼の話をすると、ラルに見込まれるくらいの強さはあると思ってくれれば。それはユーリも同じですね。二人の戦い方に差はありますが、純粋な力比べというか、総合力は同じくらいかなぁと。
武道一家の血を継ぐイツキのポテンシャルは、西洋武器より、東洋武器の方が発揮する。それだけのことです。剣より刀の方が彼には合っているのです。普段使いはしてませんけどね。「剣の方がなんかカッコいいよな!」みたいなお馬鹿丸出しな理由で、片手剣(片方に刃がついているのではなく、両面についているやつ)を使用しています。
まあ、武器に関しての才能はある方なので、どれ使ってもそれなりに使える子なんだけどね。この話はどこかでしましたね。

ではでは。