satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第88話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんきに過ごす物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、まさかの二話構成になったけど……よくよく考えたら、前半は説明とか挟んだし、バトル自体は一話完結だよね。←!?
とまあ、なんやかんやありましたが、アラシVSイツキ戦はイツキの勝利で終わりました。今回はレオンVSアリア戦……なのですが、ラル視点でお送りします。察して!
ラル「まさかのしゅん……」
アラシ「俺が言うのもあれだけど、やめろ」


《L side》
お昼休憩のときにリアさんからお願いされたのもあり、私は生徒会に割り振られた控え室……ではなくて、救護室にいた。場所が変わっても、やる仕事は大して変わらない。部屋の隅でパソコン広げて、現状把握と指示出しが主である。午前中と変化なしだ。
「ラルさん! 第一試合、終わったみたいですよ」
「え? あー……あー」
ツバサちゃんに言われて、モニターを見るとキーくんが地面に落ちた刀を拾って、鞘に納めているところだった。
「いっちゃーん! おー!!」
「アラシ、あんまり使い慣れてない大剣だったけど……イツキさん、すっごく速かったです」
「いっちゃんはやればできる子なんだよ!」
「はい! すごかったです!」
リリちゃんはキーくんの何なんだろう。
私のテンションがいまいちなのは、リアさんに救護室待機をお願いされたから……ではなく、イグさんからゲストのピンチヒッターを頼まれたからである。それがずっと引っ掛かっていた。ピンチヒッター自体が嫌だとかではなく、生徒会の仕事の再編成が、である。
ティールに全体統括を任せるのはいいとして、フォース君とティールがやっていた各現場は誰にやらせるよ……」
ティールに全て投げても構わないと言えば、構わない。できる素質はあるんだけれど、王子様スイッチ入って、色々と面倒臭そうなんだよな……
「はぁ~……」
「ラルさん? 元気出してください! 私、ラルさんのバトル、楽しみにしてますから!」
「あぁ……うん。ありがとう……頑張るね……」
ツバサちゃんの励ましはとっても嬉しいものなのに、心は沈んでいくなんて……
「会長様、そこまで嫌ならキッパリとお断りすればよかったのでは? いつもの会長様ならそうしていたと思うのですが……」
「知人くらいなら、無理矢理にでもあれこれ並べて蹴られるけど、イグさんは知らない仲じゃないし……私の苦手を知っているから、無理」
「イグ兄、おしゃべりが上手ですもんね~♪」
それもあるんだろうな。やれやれ、良くも悪くもいい性格をしていらっしゃる。普段は誰にでも接しやすく、好青年な雰囲気なのに、あんな場面で攻めてくるときは容赦がない。精神的にも物理的にも攻撃をしてくるものだから、侮れないお方である。味方にすれば、大変頼もしいんだけれど。
「敵に回ると嫌な人だよ」
「先生なのに、敵って……」
リリちゃんの言いたいことは分かる。けど、あえてこの言い方をするぞ、私は。
「あ、ティールさんはいつこっちに? お仕事の引き継ぎあるんですよね?」
「ん? あぁ……多分、一回戦の後半始まる前には来るんじゃない? こっちはこっちで引き継ぎしないとだから」
誰に何をやらせるかはともかく、全体統括はしてもらわないと困る。早めにこちらに来て欲しいものだけれど。
「すんません。タオルありますか~……って、ほぼ知った顔しかいない」
そんなこんなで、下らない話をしていると、救護室の扉が開けられた。やってきたのは、第一試合に出ていたアラシ君だった。魔術科の制服を着ているものの、びっしょりと濡れてしまっている。先程の試合で、場外へと飛ばされていたから、そのせいで水路に落ちたのだろう。
「わわっ! アラシ、びちょびちょ!! 待ってて、すぐにタオル持ってくるね!」
「あ、別にそこまで焦らなくても……って、聞いてねぇや」
タオルが置いてあるところまでダッシュするツバサちゃんを少しの呆れ顔で見送るアラシ君。短髪ながらも、滴る水滴が邪魔なのか、手で髪を掻き上げるような仕草をしていた。かっこいい仕草ではあったけれど、それよりも先に浮かんだフレーズを口にする。
「なんか、捨てられた子犬って感じだね」
「誰が子犬だ! 狼だから!!」
「つまり、ワイルドな子犬ですね!」
「え、ちょ、リリアーナ先輩まで!?」
「えへへ。ごめんね、アラシ君。でも、会長様のお言葉は絶対だから!」
「え、えぇ……?」
私の絶対的な味方がいるのって頼もしいな。ティールなら、注意していたところだろう。
「お待たせ! これ、タオルね。あと、こっちは着替え! 隣が更衣室になってるから、そこで着替えてきて」
「おう。サンキューな、ツバサ」
タオルとなぜか着替えのジャージを持ってきたツバサちゃんは、アラシ君にてきぱきと備品を手渡した。それらを受け取った彼は、言われるがままに部屋を出ていく。
「タオルはいいとして、ジャージなんてあったんだ?」
「はい! リア先生が水路に落ちた人のために着替えをご用意してくれたのですよ~♪」
あ、リアさんか。流石っす。
「師匠がたっくさん用意したので、まだまだありますよ♪」
えーっと、もう後半戦だから、そこまではいらないかもなぁ……?
とりあえず、滑らないようにと床の水滴を拭き取るようにリリちゃんにお願いし、私は再び椅子に座る。そこで、毎度お馴染みの声が聞こえてきた。
『続いて第二試合! 予選ではまさかの無双!? 「屋台のブラックホール」と密かに呼ばれているのにも関わらず早くも優勝候補となっている……アリア・ディィィネェェェ!!』
『……』
リュウ君のアナウンスと共に映し出されたアリアちゃんは特に何かを話すでもなく、黙りだった。また、観客に手を振る等のアクションもない。いたって落ち着いている、教室で見るようなアリアちゃんだ。……少なくとも、見た目では。
「屋台のブラックホールかー……前々から屋台の早仕舞い騒動があったけれど……もしかして」
……まさか、ね。いやいや、信じません。きっと、大盛況だったんですよ。うんうん!!
「ふー……なあ、ちょっと聞きたいんだけど」
どうやら、着替え終わったらしいアラシ君が、タオルで髪を拭きながらこちらへと戻ってきた。なぜか、怪訝な表情を浮かべながら。
「あの先輩の選手紹介って台本通りなのか?」
「ん? 少なくとも、私の台本にはないよ。リュウ君、テンション上がるとあんな感じだから、誰にも止められない。ここは諦めて、ツバサちゃんのナイトとして、これからの学園生活を謳歌してね♪」
「なっ!? 茶化すな!!」
いいじゃない。あの紹介文、嫌いじゃないよ。白狐姫の騎手様……ってね。
「やめろ!! 思い出しただけで恥ずかしい!」
「しばらくは、あのネタでいじられるのを覚悟しておいた方がいいんじゃないかにゃ~?」
「うっせ!!!」
顔を赤くして反論してあるけれど、ある意味、まんざらでもないのかもしれない。ふむふむ。
青春だねぇ~♪ 私は恋の迷路に迷える子羊の味方だぞ!
「はあ!? な、何を……!!!」
「ラルさん! 次はレオンみたいですよ~♪」
ツバサちゃんの声に私とアラシ君はモニターに注目する。アリアちゃんを映していたカメラは、相手であるレオン君を捉えていた。
『続いて! そんなブラックホールに打ち勝てるのか!? こちらも一年にして予選突破! 考古学専門の教授を親に持ち、自身も考古学バカ! レオン・エクレェェェル!!』
『にゃは♪ 考古学バカは、俺にとって誉め言葉だぞ~♪ でも、アリアに勝てる自信がねぇ……』
笑ったり、落ち込んだり、レオン君の感情の起伏が激しい。大丈夫なんだろうか。
「ツバサちゃん、ツバサちゃん。そんなにディーネ先輩はお強いのです?」
「あーちゃんは強いですよ~♪ でも、今日のあーちゃんは食べ物が絡んでいるので、もっともっと強いです」
なんだそりゃ。
「普段のアリア相手なら、レオンもワンチャンあったんだろうけど……今のアリアには勝てねぇだろうな」
「得意属性が雷のレオン君でも?」
「俊敏な猫族のレオンでも無理」
ありゃりゃ。個性全部潰されてますがな……
『そんじゃあ、試合開始ぃぃぃぃ!!!』
カーン! というゴングの音が聞こえたと思うと、今まで大人しかったアリアちゃんの目が変わった。キラリと目を輝かせ、一気に好戦的な表情になる。
『“氷双龍”』
そう唱えた瞬間、淡い青色の魔法陣が出現するも、すぐに消滅し、二つの水柱が現れる。アリアちゃんの周りを螺旋を描きながら水柱は天へと登りながら、水を氷へと変化させていく。そして、二頭の氷の龍……言わば、氷龍を出現させたアリアちゃんは、ふっと笑った。
『……行って』
その合図を受けた龍達は一直線にレオン君へと突撃する。そんな龍の攻撃にレオン君は猫族特有である俊敏さを生かして大きく真上にジャンプし、一頭の龍の体当たりを間一髪で避ける。しかし、龍は二頭いるのだ。
『おわっ!?』
避けた先でもう一頭の氷龍に体当たりされてしまい、Bブロック予選の人達のように全身氷漬け─一応、頭は氷を免れてはいる─となってしまった。あの状態から復活手段があるなら、試合は続けられるが、レオン君の諦めたような表情からして、ここまでなのは明白だ。
「レオンは脱出手段ないから、これで終わりだな」
「うん。……でも、お昼にたくさん食べたからあーちゃん、予選よりは落ち着いてたね?」
……あれでか。
「ほえ~……全く手加減なんてなかったけど……ディーネ先輩はそういう人なの?」
「いやぁ……基本、容赦ないっす。それにも加減っつーか、段階みたいのはありますね」
「何も食べてなかったら、予選以上の被害があったかもです」
いやいやいや!? やめてくれ!? あれはあれで相当迷惑だったよ!!
慌てる私に、アラシ君はにやりと笑う。
「会場全体凍るとかあったかもな」
「やめて!? 洒落にならん!!」
「だ、大丈夫ですよ、ラルさん! 今回はお母さんの結界がありますから! 最悪、お客さんの一部が凍るとか……それくらいです!」
それも安心できないんですけどぉぉぉ!?
予選で分かってはいたが、思いがけない爆弾が投下された気分である。それを知ったからアリアちゃん辞退してくださいなんて、言えたものでないが。
第二試合はアリアちゃんの勝利で幕を閉じた。今後を考えて、できれば勝ち進んで欲しくはないのだけれど、この世の中、全く持って優しくないのを知っている。ついでに言えば、アリアちゃんが負けた先を想像したくもない。
だって、食欲のためにあそこまで本気になっているんだよ? 食べ物の恨みって怖いじゃない?



~あとがき~
書けば書くほど、本文が長くなっていく不思議。

次回、一回戦、第三試合! ミユルVSユーリ!
どうなることやら……

すんなりレオン君が負けてしまいましたが、予定通りです。私が「無理! もうバトルなんて書きたくないんだぁぁぁ!!!」と、土下座して展開を変えてもらったわけじゃないです。はい。
前回が普通にバトルしていたので、あれですが。レオン君には申し訳ないけどね!

ではでは!