satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第91話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんべんだらりと過ごす物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、一回戦、第三試合まで終わりました。一回戦っていうか、準々決勝(?)ですね。一回戦って言ってるけども。まあ、いいや。
その、一回戦ラストなんですが……ラル視点です。シエル君とセジュのバトルはない←!?
ラル「扱いざっつ」
仕方ない。セジュって名前あるけれども、モブ様なんだもん。
ラル「ぶっちゃけるなぁ」


《L side》
ユーリ君とミユルちゃんのバトルが終わる少し前。現場の生徒達への状況説明やら、諸々を終えたティールが救護室へと顔を出した。腰には変わらず愛剣が装備してある。
「今回は逃げ回ってないんだね、ラル?」
「毎回、私が逃げているみたいな表現をやめていただきたいね。私だって真面目なの」
「……ごめん。ちょっとよく分からないなぁ」
分かれ。その耳は飾りか!?
ティールさん! お疲れ様ですっ♪」
「まだ終わってないんだけれどね。でも、ありがとう。ツバサ」
ツバサちゃんに向かって柔らかな笑顔を浮かべ─私にはそんなの一切なかったのだが─、部屋に入ってくる。そして、ずいっとトートバッグを私に差し出した。
「これ、預かりもの」
「えっと。何だろ……はっ!? もうこれ以上の仕事は嫌だよ!?」
「その考えはある意味間違ってないね。うちの運び屋が持ってきてた」
……あぁ、着替えか。
先程、メンバーの一人であるクラウに連絡したら、「そういうことなら持っていきますよ~♪」と快諾してくれたのだ。思ったより早かった。
「連絡くれれば、こっちに入れたのに」
「そんなことしたら、居座るだろ」
そんなことないと思いますけど……多分。きっと……恐らく……くっ……断言ができない!
いや! 知らない人がいる手前、クラウは立場を弁える。というか、仕事があるだろう。すぐに帰っていたよ。
「どうだかね……?」
「信用ないなぁ。まあ、いいや」
ちらりと中身を確認したが、普段使っているもので問題なさそうだ。今はまだ必要ないため、元々持っていた鞄近くに置いておこう。
ティールを出迎えていたツバサちゃんが私の近くに寄ってきて、小さく首を傾げる。
「ラルさん、それを着るんですか?」
「ん? うん。生徒として出る訳じゃないからねぇ……ツバサちゃんがパフォーマンスしたときに私服に着替えたのと同じ理由だよぉ」
片割れがどうするのか知らないけれど、あいつの場合、最悪、無からでも作り出すだろう。私は知らん。
私とツバサちゃんが話しているところで、アラシ君とティールはまた別の話をしているらしい。
ティールがこのあと、ラルの仕事をやるのか」
「まあね。本当はぼくよりもラルの方が頼りになるんだけれど、流石に試合しながら、見えない外の指示までは無理だから。で、どうするの? ぼくらの代わり」
私の代わりをするのは、ティール。しかし、ティールのポジションとフォース君のポジションが空いたままなのだ。ここまで来ると、ティールのポジションは空いていても問題はないけれど……念のためという言葉がある。そして、私はそれなりに慎重派なのだ。
「あー……それなんだけどね、リリちゃんに片方投げちゃおうかなぁと」
「ほわっ!? 私ですか?」
突然の指名に第三試合の結果をモニターで見ていたリリちゃんは、ぴゃっと飛び上がる。こういう場面で、リリちゃんが救護室を離れるなんてあまりなかった事態だからだ。それ以外の仕事をさせられるなんて思ってもいないのだろう。
「ユーリ君とミユルちゃん次第だったんだけど、ミユルちゃんの勝利で終わったみたいだから、ティールのとこにユーリ君。フォース君のところにリリちゃんって感じ。そのために、編成も組み直した」
一応、フォース君の管轄は三年生の生徒会メンバーを多めに配置している。じゃあ、三年にやらせろよって感じではあるのだが、二年生にも経験を積ませておきたいのだ。三年生なんて、あと半年位すれば、ほぼ生徒会を抜けてしまうんだし。
「大丈夫大丈夫。大したことしないから」
「は、はうぅ……会長様がそう仰るなら」
少し困り顔なリリちゃんだけれど、芯はしっかりしている。きちんと仕事をこなしてくれるはずだ。キーくんとユーリ君の友達だからね。
「失礼します! 氷漬けになった彼を運んできました。治療をお願いします」
会場内警備係の生徒に荷車で運ばれてきたのは、ガタガタ震えるレオン君だった。そういえば、第二試合時にアリアちゃんが凍らせていたな。
「わぁ……なんか凄いね」
感想が適当なティールだが、きっとそれしか出てこないのだろう。氷山になったり、ツバサちゃんの手で花になったり。かと思えば、人を氷漬けにしたり。アリアちゃんの実力……もとい、食欲は恐ろしい。
「大丈夫か? レオン」
見るからに大丈夫じゃない相手にそれはないだろうという質問を投げ掛ける、アラシ君。そして、彼は分かってて言っているんだろう。
「だ、だいじょーぶじゃ、ねぇ」
そりゃそうだ。絶対に寒いし、辛い。
「はわわ~……ツバサちゃん、ポーションお願い!」
「はーい!」
リリちゃんの指示でツバサちゃんがポーション関係のものが置かれているテーブルまでパタパタと駆け寄っていく。Bブロック時にポーションを大量に作ったとはいえ、それらはツバサちゃんの魔法の媒体として使いきってしまった。だからといって、ポーションの材料もなくなった……訳ではないので、作ろうと思えば作れる。
「それにしても、レオンを運ぶの遅かったね」
「まあ、人一人が凍って身動きとれねぇし。……係の人に同情するわ」
そこは、やられたレオン君ではないのね。
本来であれば、突っ込むところなんだろうけれど、そんな元気は今のレオン君にはないようで、アラシ君の意地悪発言にも睨むだけで反応はない。いや、睨んでいる時点で反応はあるのか。
「ゆっちゃん負けちゃいました~……ぐぬぬ。尻尾、引っ張りの刑ですっ!」
「……予選前に先輩達に言ってたあれっすか」
ぷくっと頬を膨らませるリリちゃん。ユーリ君の負けが悔しいみたいだけれど、なぜ尻尾を引っ張るのかは謎である。どこかの場面でリリちゃん達の会話でも聞いていたのか、アラシ君は理由を知ってるみたいだが、それを聞き出す程の興味はないので、そのままスルーさせてもらおう。
「ユーリ君、尻尾の毛を抜かれるのか~」
「いやいや、リリアーナは抜くとか一言も言ってなかったからね?」
「ま、あれでも全力ではなかったっぽいけどねぇ……それに、ユーリ君の真価は単騎戦じゃなくて、裏方だから! 勘弁してあげて、リリちゃん」
「いくら会長様の頼みでも、これは譲れないのですっ! のっち出していれば……でも、おじ様のご命令で駄目だったんだっけ? のっちも違反対象なのでしょうか?」
いや、知らないけど……?
リリちゃんの言う、おじ様は、キーくんのお祖父ちゃんで、のっちはユーリ君が従わせているノワールという上位精霊だ。精霊とかそこら辺の話は、今のところあまり関係がないので省略するとして。
「できたー! アラシ!」
状態異常回復用のポーションを作り終えたツバサちゃんは、レオン君に飲ませるのではなく、一度、アラシ君に手渡した。それを素直に受け取ったアラシ君は、レオン君の口にポーションを突っ込んだ。
無言で。無理矢理。重要だから、もう一度言うが、無言である。それに動じないはずもなく、ポーションを嫌そうに見ていたレオン君が驚いたように目を見開いた。
「んぐぅっ!?」
「アラシ君の容赦ない一撃なのです~っ!」
「レオン、アシン草の苦味が嫌いなんです。昔から、全部飲むのにも時間かけちゃうくらいで……早く治したかったら、ああするのが一番なんですよ」
まあ、苦手なものは誰にでもあるけれども、アラシ君も予告なしに無慈悲である。
「そのままよりポーションの方がましだけど、独特な苦味は残るよね……ラルも苦戦してるもんね?」
ティールは、私があれこれオリジナルポーションを作るのを知っている。そのため、どう頑張っても消えない苦味消しに挑戦しまくる私を知っているのだ。
「どれを混ぜてもねぇ……後味がねぇ」
世に出回っているレシピよりは消えているとは思うけれど、全くしないとは言い切れない。なんとも難しい話である。やり過ぎると、ポーション自体の効果が変わるから、無闇に手を出せないってのもあるが。
「それはともかく。友人にも容赦なく嫌なことをやってのけるアラシ君、いいぞ~♪」
「はあ!? な、何の話だ……?」
アラシ君の強行手段によって、氷から解放されたレオン君は、ポーションの苦味に咳き込みつつも、元気を取り戻したらしい。すぐに立ち上がり、アラシ君に反発し始める。
「身動き取れない俺に、あんな仕打ちねぇだろ! もう少し優しくしてくれたっていいだろー!」
「アリアの魔法を正面から受けた報いだろ」
この一言に論破されたレオン君は、矛先をツバサちゃんに変更した。
「……ツバサもツバサだ。よりにもよって、アラシに渡さなくっても」
「あう。ご、ごめんね? でも、レオン、すっごく寒そうにしてたから、早くていいかなって」
ツバサちゃんの優しさにレオン君、何も言えなくなったらしい。言葉に詰り、がくっと肩を落とした。
「自業自得。立ち回り次第で直撃は回避できただろ? そうすれば、ポーションも回避できたんだよ」
「……くっそ! アラシの癖に正論言いやがって! アラシの癖に!!」
「あ!? なんだよ! アラシの癖にって!」
「風邪引かないうちにお洋服、着替えた方がいいよ? アラシ君みたいに落ちた訳じゃないけれど、氷漬けで濡れちゃったでしょ? はいっ♪」
男子二人の会話に割り込んだリリちゃんは、レオン君にジャージを押し付けて、着替えるように促した。リリちゃんは間違ったことは言っていない。無垢な先輩の笑顔に毒気を削がれた後輩二人は、口喧嘩をやめる。レオン君は言われた通りに着替えを持って、部屋を一時退出した。
「リリちゃん、強いねぇ」
「? そうなのです? えへへ~♪」
形は違えど、キーくんとユーリ君に挟まれているから、喧嘩を止めるのはお手のもの……なのかもしれない。



~あとがき~
終わりませんでした。

次回、続けて救護室風景です。
救護室送りになったあの子が出てくる話。

レオン君に容赦ないアラシ君。嫌いじゃありませんが、アラシ君って時々、酷くない??
どこでとは言わないですが、そこでそう動いちゃうんだ~!! うわ~! って思うのは、私がアラシ君に夢を見すぎているのか……期待しているのか……?
ま、私もそんな行動知らずに取らせている可能性はあるので、なんとも言えません。ユーリとかがらっと変わるし、フォースも物事に無関心過ぎて、読者に「は??」って思わせっているかもしれませんしね。いやはや、創作って難しいね?
……何の話だ。これ。

ではでは。