satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第92話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で好き勝手する物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、凍結状態だったレオン君が救われたところで終わりました。
レオン「アラシの優しさが身に沁みましたー!!」
アラシ「根に持ってんな、こいつ」
ま、普段からアラシ君にちょっかいを出していたつけが回ってきたんでしょうね。致し方なし。
レオン「悲しい」
今回も変わらず、救護室でのお話です~!


《L side》
レオン君が部屋を出ていくのと同時にモニターからは選手紹介が入る。これから一回戦最後となる試合が始まるようだ。
『一回戦ラスト! 第四試合を飾るのは……普段は温厚だが、逆鱗に触れたときや、やる気があるときは容赦なし! 彼と戦う場合は体の関節に気を付けろ! 体術の伝道師! シィィエル・シルフゥゥ!!』
というリュウ君の紹介に戸惑い気味なシエル君が映し出される。それを見つつ、ティールがぽつりと呟いた。
「今年で終わりなんだよね。リュウのこれ」
「そうだねぇ……この選手紹介が代々に受け継がれても面白いけれど、リュウ君みたいなアドリブ効かせた口上は見納め……聞き納めか」
「だね。……まあ、リュウの後輩がどかーんと進化でもすれば話は変わるんじゃない?」
キャス君かぁ……どうなんだろう。リュウ君は才能を感じているご様子だけれど。
「また参加したときに恥ずかしい紹介がなければなんでもいいよ……」
ナイト様紹介が未だに忘れられないらしいアラシ君が難しい顔をしていた。よくよく考えれば、あの会場には一般人もいるわけで、そこで大々的にお知らせされちゃったわけで。
うん。恥ずかしいな。
「ラルやティールは餌食になってないわけ?」
「餌食って……ぼくは言われたことあるけれど、ラルやフォースは回避してるよ。大会には参加しても、本戦にはいないからね」
「ラルさん、前回は負けちゃったんですか?」
「いんや。途中棄権」
多人数戦で蹴散らすのが目的の予選はともかく、一対一の少人数制の見せ物感が好きじゃない。それに、去年はどれくらいの人を一撃でやれるのか……みたいな挑戦というか、実験を兼ねて参加した。要するに、予選にしか興味がなかったのだ。
「強力な雷属性の技を一つ繰り出して、ラルの出てたブロックは終わり。で、すぐに本部に出向いて、あれこれ理由つけて棄権したってのが去年の話」
「ラル……お前……」
呆れ顔のアラシ君が見つめてくるけれど、無視する。何を言われても私は私だ。やりたいようにやるのが、私なのだ。
「だから、ぼくは少し楽しみだけどね。ラルがこの大会でどう立ち回るのか」
「む……どうもしないよ。いつも通りだよ」
「ぼくもフォースもいないからさ」
「うっ……いつも、通りだよ……っ!」
このあとの決勝がどうなろうと、私のやることは変わらない。ま、相手によって策は変わるだろうけれど。
「テンション上げまくってるリュウの選手紹介……ゲスト紹介も興味深いよね」
珍しく面白がるような笑顔を浮かべるティール。ここぞとばかりにいじってきている。日頃のお返しのつもりなのか。
「あると思うのですよ。会長様とフォース先輩を観客の皆様にご紹介しないとです♪」
「今からでもやめさせよう……悪趣味な選手紹介……普通が一番ってことで」
「おまっ……ずっるいな! 自分のときだけ!」
リュウのあれが普通だろう?」
ぐっ……確かに……あれがあいつの通常運転だ……!
なんて下らない話をしていると、救護室の扉が開けられる。入室してきたのは、一回戦第三試合に出ていたミユルちゃんとユーリ君。そして、キーくんだった。しかし、ユーリ君は力なくキーくんにおぶられた状態だけれど。
「ゆっちゃん!」
「ユーリさん! あ、そっか。みーちゃんの……」
リリちゃんが慌ててキーくんのところへ駆け寄り、ツバサちゃんのところへはミユルちゃんが近寄ってきた。その表情は少し浮かない様子だった。
「ツバサちゃん、ごめんなさい。手を貸してもらってもいいかしら? 一応、ナーレで進行は遅らせてたんだけど、ここに来る途中で効果が切れちゃったみたいなの」
試合で仕方なくとはいえ、罪悪感は感じているみたいだ。試合なんて、何されても自己責任ではある。ミユルちゃんが何かを思う必要はない……なんてのは、残酷か。試合が終われば、相手を気にかける優しさがあるのだから。
「ま、パリラはなぁ……滅多にならないけど、危険な部類ではあるよね。ぼくはなったことないな」
状態異常を引き起こす要因はいくつかある。魔力石を使用した術の場合。技や魔法を使用したデバフ攻撃。そして、自然界に存在する生き物や植物の効果。一口に状態異常と言っても、深刻さでいえば、術が一番弱く、技や魔法ときて、その他が強い。……自然のものに抗うのは難しいということだ。もちろん、そのための対策は星の数ほど存在するだが。
「イツキ先輩がユーリ先輩をおぶってるのはなんでっすか? こういうの、係りの人がいるんじゃ」
「親友の一大事は俺の一大事だからな!」
心配で駆けつけたってところかな。重度の麻痺状態中のユーリ君が口を開くことはないけれど、不服そうな気配はする。これ、治ったら真っ先にキーくんにパンチでも飛ぶのではなかろうか。
「ゆっちゃ~ん! 最近のゆっちゃん、運なさすぎだよー!」
「それな~」
うん。今はそこじゃないと思うよ、親友二人。
「イツキさん。とりあえず、そこのベッドに寝かせてもらえますか? 今、治療すればちゃんと治りますので!」
「OK! 大人しくしてろよ、ユーリ」
ツバサちゃんの指示でキーくんが手近なベッドへユーリ君を寝かせる。さっとユーリ君を見たツバサちゃんは、私達の方に振り向いた。
「症状的にポーション作っている時間もないので、魔法で治しちゃいますね♪」
にこっとこちらに笑いかけ、再びユーリ君へ視線を落とす。そっと両手を前に出して目を閉じる。
「おいで……“クラルナール”!」
ぽわっと白く暖かな光が一瞬だけ輝き、消えたと思ったら、ツバサちゃんの足元には小さな子狐が現れる。白い毛並みを持ち、額に黄色い宝石がついていた。
子狐はツバサちゃんの足元を何周かした後、ユーリ君の寝ているベッドへと飛び移った。お行儀よくお座りをし、こちらを向く。
「コン?」
何あの生物……可愛い……!
「生物って……精霊の一種でしょ。元々は魔素……」
「夢がないことを言うな、このお馬鹿!」
「なんでぼくが罵倒されるんだろう……?」
夢のない発言をするからだ。
「ユーリさん、気分はどうですか?」
ツバサちゃんは閉じていた目を開け、ユーリ君に話しかける。ここに来てから全く動く様子がなかったユーリ君だったが、自力で起き上がり、少し不思議そうにしていた。しかし、狐とツバサちゃんを見て、どこか納得したらしく、ふわりと笑う。
「問題ありません。ありがとうございます、ツバサさん」
「……いえ! これが私のお仕事ですからっ♪」
「コンッ!」
ツバサちゃんと合わせるように返事をする子狐。その子狐は甘えるようにユーリにすり寄る。そんな狐をユーリ君は抱き上げ、首を傾げる。
「見たところ、精霊魔法の一種でしょうか。状態異常の回復を手助けをしてくれるような……」
「はいっ♪ 今、この子がユーリさんの麻痺を肩代わりしてくれているんですよ。なので、一定の距離を離れてしまうと、ユーリさんに麻痺が戻ってしまいますが……大体、半径三メートルくらいなら大丈夫だと思います」
「へぇ……流石、光魔法を元にした精霊。凄いなぁ、お前」
「コンッ♪」
よく分からないけれど、あの可愛い狐のお陰でユーリ君の麻痺は大丈夫になったってことかな。
「私も覚えたいっ! 光魔法!」
狐に熱烈な視線を向けていたリリちゃんが食い気味に話を切り出した。それを聞いたユーリ君とキーくんは難色を見せるが、ツバサちゃんは無垢な笑顔を見せる。
「はいっ! 大会終わったら、一緒に練習しましょう! リリアーナさんっ♪」
「おー!」
「あ~……リリアに何かを教えるのは根気がいりますよ、ツバサさん」
「そーだよ、ツバサ。気をつけなー?」
「にゃにおー!! できるもん! 頑張るもんっ!」
……過去に何かあったんだろうな。長い付き合いのあるユーリ君とキーくんだから、知っているんだろうけれど、止められないってのも知っているのか、やめろとは言わなかった。
「あ、その子は優しくしてくれれば、誰が触っても大丈夫ですよ♪」
思い出したように“クラルナール”の説明に付け加えるツバサちゃんに、リリちゃんはすぐさま反応した。ぱっとユーリ君を見て、飛び付く勢いで近寄り─というか、完全にユーリ君に飛び付いているが─捲し立てた。
「わあ! ゆっちゃん! 触りたい!! だっこしたいー!!」
「わ、分かった! 分かったから、離れて!」
「はーやーくー!!」
ユーリ君の手からリリちゃんの手に渡り、早速、狐をモフモフし始めた。ふわっとした毛並みの狐の触り心地は大変よろしいだろうと推測ができる。その証拠に、リリちゃんの表情はふにゃんとしてきていた。
「えへへ~♪ 可愛い~♪ 私も精霊召喚魔法、覚えよーかなー♪」
「土属性に適正のある人が呼ぶ精霊は基本、ゴーレムらしいよ。リリア」
「やだー! 小動物がいいー!!」
……頑張れ、リリちゃん!
「そういえば……ツバサちゃん、あの狐に名前あるの? 狐ちゃんとは呼ばないよね?」
「あ、いえ。特に名前はないです」
「ふーん。……じゃ、私は勝手にくーちゃんって呼ぶね。“クラルナール”って魔法名みたいだし」
リリちゃんの抱く白狐ちゃん改め、くーちゃんの頭を撫でると、嬉しそうに目を細める。いつか、この子をブラッシングして手懐けてやろう。そうしよう。
「いいですね、会長様! 私もそう呼びます~♪ くーちゃん!」
「君達は勝手に名付けて……ツバサの魔法だろう?」
「いいですよ、ティールさん! くーちゃん、可愛いですし、ラルさんがつけてくれたんですもん♪」
主様の許可も得たし、正式にくーちゃんだねぇ♪
『くーちゃん』と呼んでみると、嬉しそうに一鳴きする。名前をつけられて嬉しいみたいだった。



~あとがき~
一つのおっきなイベントがいくつもあるな、この救護室……(震え)

次回、流石に! 一回戦終わらせます!! はい!
今回で終わらせる気満々だったんだけどねぇ……

無駄話を突っ込んだせいで終わりませんでした。申し訳ない……!
とまあ、少し前に言った精霊召喚魔法、ツバサちゃんver.でした。“クラルナール”という魔法で、名前はくーちゃん(ラル命名)です。いいのか、ラル命名で……(笑)

ではでは!