satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第93話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で楽しく暮らす物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
なかなか終わらない裏側の話。救護室のあれこれをお見せしています~♪ ぶっちゃけ、しばらくはこんなもんですけどね!
ってことで、変わらず、ラル視点の救護室風景をお見せしていきますね~♪


《L side》
「ごめんなさい、ツバサちゃん。本当は私が治すべきだったんだけれど、薬草を切らしていて」
私とリリちゃんでくーちゃんを愛でている間、ミユルちゃん達は別の話をしているらしい。
「ううんっ! 大丈夫だよ、みーちゃん。これが私のお仕事だもん。気にしないで」
「でも、ツバサ。今回で色々と魔法使ってるんだろ。魔力は大丈夫か?」
アラシ君の言う通り、この大会中にツバサちゃんは大活躍だ。ツバサちゃんの騎士様としては、そこら辺の心配は尽きないのだろう。
「大丈夫だよ、アラシ。確かに魔法は使ってるけど……氷山のパフォーマンスで消費した魔力はポーションで回復したし、そのあとの魔法だってちゃんと考えてるもん♪」
「そーそー! 心配しすぎるのも毒だぞ~♪」
どこから聞いていたのか分からないが、扉を開けながらレオン君が帰ってきた。一年生のジャージ姿で、ニッと笑った。
「それにツバサの魔力の多さは俺らが一番知ってるだろ? 何かあればツバサは言ってくれるって♪ な?」
心配するアラシ君を落ち着かせるようにレオン君が背中をぽんっと叩く。それに続くように、ミユルちゃんも口を開いた。
「そうね。アラシくんは魔力風邪も心配しているんでしょうけれど、今のツバサちゃんを見るに、そんな心配はいらないと思うわよ? 何かあってもここにはリア先生や会長さんもいるもの」
……そこに私が入る訳を知りたいなぁ?
なんて、友人だけの和やかな雰囲気の中にずけずけと入れるはずもなく、私の疑問は自身の胸の中に消えていく。
周りの友人の説得染みた話を聞き、アラシくんは腑に落ちないにしても、無理矢理納得することにしたらしい。アラシ君は、笑顔を浮かべるツバサちゃんの頭を優しく撫でる。
「……何かあれば、ちゃんと言えよ」
「うんっ♪」
……優しく、友人思いだことで。
本当にツバサちゃんは恵まれている。羨ましいくらいだ。
「それ比べて私の相棒は」
「優しいだろ?」
「……優しくなぁい」
そんな意地悪な笑顔を浮かべるティールは優しくないよぅ……
「大丈夫ですっ! 会長様! 私が優しくよしよししますよー!」
「会長を撫でるの?……恐れ多いことするね」
「あっはは! ラル先輩には俺らがついてますよー!」
頼もしい後輩達だねぇ……優しくない相棒より全然いい……
「なんなの、ラルは。優しくされたければ普段の行いを見直したらどう?」
か、返す言葉もねぇ……!
「?」
私達の言葉を理解しているかは分からないが、くーちゃんが小首を傾げ、ちろりと控えめに私の頬をなめる。
「くーちゃん! 慰めてるの!? 可愛いっ!」
「♪」
嬉しそうに尻尾を振るくーちゃんが可愛すぎる! うちに欲しい!
「会長は人でも動物でも本当に何にでも好かれますね……」
「んふふ~♪ 今度、ノワールとかモフモフさせてねぇ♪ 久し振りにブラッシングしてあげるっ」
「分かりました。お時間のあるときに生徒会室へ出向きます」
よっろしくっ!
怪我人の訪れるはずの救護室がわいわいと騒がしい空間となっているのもつかの間、モニターから流れる音声と映像に目をやると、丁度、第四試合が終了したところのようだった。
「すっかり忘れてた。シエル君とセジュ君って子の試合だよね? セジュ君とは面識ないなぁ」
私の言葉に、アラシ君達も思い出したかのようにモニターへと目を向けた。
「ぼくらと同じ三年だけど、学科が違うからね。面識なくても仕方ないさ。シエルにとっては、学年的に上級生だけど」
「大丈夫ですよ、副会長さん。シルだもの」
小さく笑うミユルちゃんの言葉の先を代弁するようにリュウ君のアナウンスが入る。
『準決勝に駒を進めたのは……シエル・シルフゥゥ!!』
「余程の相手でない限り、負けませんわ♪」
絶対の信頼があるなぁ……このあと戦う相手だと言うのに。いや、だからこそ、なのかもしれない。
それはともかくとして、この試合をもって、準決勝のカードが揃った。第一試合の勝者である、キーくん。第二試合を勝ち進んだアリアちゃん。第三試合はミユルちゃん。そして、今、勝利を納めたシエル君。この中から、二人……か。
準決勝は今まで通り、十分後に行われる。キーくんも移動しなければならないが、会場内だ。焦る必要はないだろう。
「悪いんだけど、ツバサ……」
「うん。分かってる。……リリアーナさん、ラルさん、ティールさん。申し訳ないんですが、少しここを離れてもいいですか?」
リリちゃんが黙って私の方を見る。リアさんのいない今、一応の責任者が私になってしまっているからだ。別にリリちゃんが答えてくれてもいいのだけれど、彼女は答えるつもりがなさそうなので、私が答えよう。
「私は構わないよ。……で、想像はつくんだけれど、一応、聞こうかな。どうして?」
「あーちゃんのお迎えに行ってきます。第二試合から時間が経っているので……」
「外で食いもん探しに出てる可能性大だからな」
ツバサちゃんの言葉の後に、呆れ顔のアラシ君が続く。レオン君もミユルちゃんも困り顔で頷いている。
恒例なのだろうか。こういうの。
「次の準決勝、アリアちゃんからだもの。今回に限って、遅れるようなことはないと思うんだけれど、一応ね」
「ま、目星はついてるからさ。さっさと見つけて帰ってくるわ♪」
「なんか、大変だね? 心中お察しってやつだよ。何かあれば連絡ちょーだい。……あ、いや、フォース君に連絡して。あいつなら即解決すると保証しよう」
「ありがとうございます、ラルさん! いってきますね♪」
フォース君の出番がないことを祈ってまーす……何かしたら、私に見返り求めてくるもん……やだ。
ツバサちゃん達が出ていったあと、残された私達はなんとなく、お互いを見合っていた。
沈黙を破ったのは案の定と言うべきか、キーくんだった。
「アリア先輩ってそんなに凄いの? いやまあ、予選とか、さっきの試合……レオンを瞬殺してたけどさ。いまいち、よく分かんない」
「いっちゃん、瞬殺だよぉ」
「僕は戦いたくない。勝てっこないし……レオンさんを瞬殺した魔法を避けたとして、攻撃に入れるかは微妙なところ。僕なら……幻術を何重か掛ければワンチャン……あるかないか? いや、ないに七、八割くらいだな」
「あー……そんな感じかぁ。うーん。どしよ……ラルせんぱーい!」
私かよ!! そうだな……
「……体感していないから分からないけれど、防ぎきるのは不可能じゃない。あの氷も予選で分かる通り、破壊不可能ではないからね。いくつか手はあると思う。でもさ、あれだよ。食べ物の恨みは恐ろしいじゃない? 食欲は人を豹変させる……つまりだ。覚悟して死になさい、キーくん」
「死ぬこと前提!? ティール先輩は!?」
「ぼ、ぼく!? ご、ごめん……ぼくならセツの能力である程度防げるから……」
そりゃそうだ。私とティールのコンビであれに挑むなら、セツちゃんである程度操れるはずだ。それが破られたとしても、雷姫で斬り伏せてみせる。単騎戦だとしても、やることは同じ。私なら雷姫で、ティールならセツちゃんで対応するだろう。しかし、これはあくまで私達の場合だ。キーくんの場合だと、的確なアドバイスは難しい。
「ぐぅ……防いで見せます! あの一撃は! 防いだら褒めてくださいよ!?」
高らかに宣言するキーくんに、リリちゃんはパッと笑顔を見せた。
「なでなでしたげるよ、いっちゃん!」
「僕も撫でてあげる」
「リリィはともかく、ユーリのそれは、悪意が込められてる気がするから却下」
「我儘かよ……じゃあ、あれだ。今度、手合わせする。純粋に。剣術で」
「マジか! セコい手なし!?」
「うん。魔法も体術も使いませ~ん」
「やったぜ! 約束なっ!」
……普段、どんなやられ方しているんだろう?
そして、期待の目をこちらにも向けるキーくん。おっと。私らもか。
「ん~……何して欲しいのよ。私も撫でようか?」
「嫌です! ラル先輩達には、仕事風景見せてほしいっすよ! 探検隊の!」
「えー? 何でもいいの? 私ら大したことしてないよ?」
「いいっすよ。一回でいいから見てみたいんですよね、先輩達の仕事姿ってやつ」
それなら、これから見せてあげられると思うんだけれど……ま、いいか。
「いいよ。時間のあるときに簡単な依頼に同行させてあげる。……防げたらの話だけどね? いいよね、ティール」
「ぼくは構わないよ。リーダーがいいって判断したのならね」
はい。交渉成立。
この場にいる全員との約束を取り付けたキーくんのやる気はMAXのようだ。いきいきとした表情で、ぐっと拳を握る。
「そんじゃ、頑張ってきます! 勝ちは諦めませんけど、目標は攻撃を一つ防ぐこと!」
ひっくいなぁ……ま、でも、それくらいの方が達成できるかもね。それくらいアリアちゃんの気迫は恐ろしいだろうから。
準決勝が始まる前にキーくんは移動するらしく、一足早く、救護室を出ていく。そろそろ、こちらも動いた方がよさそうだ。
「ユーリ君、仕事できそう?」
「問題ありません。ツバサさんの狐……くーちゃんと離れなければ大丈夫なので。それで、僕はどうすれば?」
ベッドの上で座ったままだったユーリ君は、そのベッドから降り、くーちゃんを肩に乗せる。普段、黒い狼を乗せるその定位置に、白がいるのがなんだか不思議であるけれど、逆にしっくりときた。何か乗っているのがちょうどいいのかもしれない。
「ユーリ君にはティールの代わりに会場内の警備を任せる。リリちゃんはフォース君の代わりを」
「了解です、会長」
「わ、分かりました! 私も移動しますね!」
「よっしゃ! よろしくね!」
「……では、行って参ります」
手渡した通信機をしっかりと装備し、生徒会の腕章もつけたユーリ君は、軽く一礼をして部屋を出ていく。
「会長様が任せてくれたお仕事! 頑張ってきますね!」
と、言い残し、部屋を出ていった。不安そうではあったものの、リリちゃんなら大丈夫だ。
「色々とあったけど、終わりが見えてきたね」
「最後に大仕事が残ってるけどねぇ……ある意味、この準決勝は見逃せないよ。私的には、ね」
「……そうだね。決勝のルールがあるからな」
さてさて、長かった大会も残す試合はあと三つ。どうなることやら、だ。



~あとがき~
はー!!!! 終わった!!!
あとは準決勝に決勝じゃい!! 決勝長そうだなぁ!←

次回、ちょっとした休憩回。
まだ休憩? と思うでしょう? まだ休むよ←

特に言いたいことはないです。
茶番って楽しいね。以上。

ではでは。