satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第96話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわーわーしてる話です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ぬるっと準決勝一試合終わりました。ぬるっと。いやぁ……あっけないですね!
ラル「賭けは私の勝ちだね!」
レオン「ちぇ~」
ティール「今更だけど、後輩に集る先輩ってどうなの?」
ラル「これは勝負の世界! 先輩も後輩も関係なぁぁい!」
ティール「うわぁ……」
アラシ「大人げない気もするけど、それに乗ったレオンもレオンだ。自業自得」
ティール「手厳しいね、アラシは」


《A side》
話をしていた間に休憩時間、準備時間が終わったらしく、再びモニターから選手紹介が聞こえてくる。先程と変わっていなければ、リュウ先輩ではなく、キャスのおどおどした紹介が始まるはずだ。
『つ、続いて準決勝、だ、第二試合! こちらは従姉弟同士での対決になりましゅ! まずは、トーナメント戦では鮮やかにゃ、技を決めてくれました! 体術の達人! 今回も鮮やかな技を見しぇてくれるのでしょうか!?』
……と、予想通りの紹介で、ここまでキャスが喋った。すると、割り込む形でリュウ先輩の声が響く。
『シィィエル・シルフゥゥゥゥゥ!!』
『…………つ、続いてこちりぁはどうでしょう! 片や体術でこちらは植物の達人! ミ─』
『ミユゥゥゥゥル・ノフェカァァァァァ!!』
こちらも、最後までキャスが紹介できなかった。結局、美味しいところは先輩の総取りである。これにはキャスも納得がいかなかったのか、不満げな声が流れた。
『せんぱぁぁい! せめて名前までは言わせてくださいよぉぉぉぉ!!』
『すまんな☆』
……これ、会場にいる全員に聞こえちゃってるんだけど、その辺はどうなんだろう?
「あの二人、実力的にはどっこいどっこいな気がするんだけれど、実際はどうなのかなぁ? パワー系のシエル君が勝つと思う? 知的なミユルちゃん?」
ラルの疑問に俺達は黙ってしまう。ラル的には何でもない単純な疑問だったんだろうが。
「みーちゃ……え、シエル? どう、なんだろ。アラシはどう思う?」
「シエル……か? 接近戦を考えるとさ。いやぁ、でもアリア相手にシエル来るかぁ?」
「ミユルの方が対応力はあるだろ。俺はミユルかなぁ……いざってときに何とかしそうな……?」
幼馴染み三人による憶測が飛び交う中、いまいち理解していない先輩二人は首を傾げる。そりゃ、そうか。
単純な力比べなら、そちら方面が得意なシエルに軍配が上がることが多い。が、今回の目的はそこではない。二人が大会に参加したのは、セラおばさんの講演会のチケット欲しさ。つまり、優勝しなくてもいいのだ。
「副賞目当ての二人がわざわざ真剣勝負して勝ち上がるかって言われると、微妙なんだよな。多分、分からないように手を抜くと思う」
「にしし。相談したりとかな~」
「なるほど。どっちがアリア相手にするのか、したとして、どう終わらせればいいのかって話をするんだ?」
「そゆこと! ティール、分かってる~♪」
ミユルの武器は知識とそれを上手く使う技術、シエルは竜族特有の身体強化による己の力が武器だ。性格や実力なんかは似ている二人だが、得意分野は全く違う。だからこそ、この試合の行く末は俺達にも見当がつかない。
憶測が飛び交う中、準決勝の開始を告げる鐘が鳴る。
画面に映るシエルに武器の類は見受けられない。対するミユルの手にはお得意の鞭……ではなく、数本の投げナイフだった。二人、各々のスタイルを掲げ、同時に動き出す。ミユルは構えたナイフを投げるも、腕を竜化させたシエルに弾かれた。が、これは一種の目くらましだったらしく、ミユルは別のナイフを構え直し、シエルとの距離をつめて接近戦へと持ち込んでいく。
「おりょ? ミユルちゃん、鞭じゃないんだ~」
「あ、多分、逆鱗対策だと思いますよ?」
竜族の首の根本辺りに逆鱗と呼ばれる箇所があり、そこに触れてしまうと、暴走状態へと変化してしまうのだ。そうなってしまうと、誰も手が付けられなくなってしまう。しかし、長年の付き合いがあり、いとこ同士の二人だ。そんな事態になんてならないだろう。
「なぁんか、二人とも楽しそうだよな~」
レオンの指摘に俺はもう一度モニター越しに二人を見る。
鬼気迫る接近戦にも関わらず、ちらちら映る二人の口元には笑みが零れていた。楽しくて仕方がないとでも言うように。その理由はすぐに思い当たった。
「そういえば、二人が戦うのは久々なんじゃないか?」
「ん~……あ、確かに。前に戦ったのって高校入る前の模擬戦以来じゃね?」
「そっか! じゃあ、楽しくなっちゃうのも仕方ないね♪」
一応、参加者は真剣勝負を望んで挑んでいた思うのだが……ま、強者が第一ってことで。
「ラルちゃん」
「? なんですか、リアさん。今、いいところですよ?」
このあとのこともあってか、思いの外真剣にモニターで観戦していたラルにリアさんが肩を叩く。
「ラルちゃんもそろそろ準備した方がいいと思うわ。あの二人、いいところで決着つけると思うし……その後にラルちゃんとフォースくんにはやることがあるよね?」
「…………行かなきゃ、駄目?」
「ふふ♪ お姉ちゃんと約束したでしょ?」
ニコッと笑いかけるリアさんにラルは観念したようにゆっくりと立ち上がる。それに合わせて、座っていたティールも立ち上がる。
「フォースには連絡しておいた。投げ出すことはないと思うよ。こっちは任せて」
「うん……」
いまいち元気のないラルにティールは首を傾げる。この期に及んで、「やっぱり嫌です!」と言い出すのだろうか。結構、ギリギリまで嫌がっていたから、あり得ない話ではないが。
……なんて思っていたのもつかの間。
何を思ったのか、ラルはティールに抱き着いたのだ。さっきみたいな悪ふざけの雰囲気は全くなく、だ。そんなラルに呆れる様子もなく、ティールは優しく頭を撫でる。
「…………大丈夫。頑張っておいで」
「足りない」
「え~……そうだな。ラルはぼくの大切なパートナーで、自慢の親友。……じゃ、駄目?」
「もっと」
「欲張り。……ぼくは君の傍にちゃんといるから。…………で、どう?」
「妥協しよう」
「偉そうだな。……ま、嘘じゃないよ」
と、そこでお互いにぎゅっと強く抱きしめ、パッと離れる。ティールから離れた後のラルはいつも通りの自信に溢れる笑顔を見せていた。トートバッグとセツを手にし、ドアノブに手をかける。そこで俺達の方を振り返り、ウインクして見せた。
「うっしゃ! 見てろよ! 華麗なラルちゃんを見せてやんよ!」
「はいはい。頑張って~」
ラルが去った後、リアさんを除いた三人はティールの方を見る。俺達の反応は当然と言えよう。いきなり目の前であんなの見せられたら、問い詰めたくもなるだろ!
「な、なんだったんだ!?」
ティール! ラルとデキてんのか! そういうことか!?」
「私もぎゅっとしたかったです!」
あ~……一人だけ、なんか違う気もするが、スルーだ。
「彼女は自信過剰な性格じゃないってことだよ」
レオンのいじりにも反応を見せず、ティールはそれだけを答える。
意味が分からす、詳しく聞こうとするも、モニターが騒がしくなり、そちらに意識がいってしまう。丁度、準決勝第二試合の勝敗がついたところだったようだ。
そして、勝者として映ったのは、深緑の髪をなびかせた少女─ミユルだった。
『しょ、勝者! ミユル・ノフェカ先輩です! そして、十分間の休憩後、次はいよいよ決勝戦です!』
『そして! ここでいよいよ決勝戦で登場するゲストについての説明をしていくぜ!』
ぐっ……あの二人の行動も気になるが、今は決勝だ。ゲストが誰なのかは知っていても、ルールは全く知らないからな。
『ま、まず……休憩の間に決勝進出者のお二人には、くじを引いてもらいます!』
『そのくじには、ゲストの二人の名前が書いてある。決勝では引いたくじに書いている名前のゲストとタッグを組んで、決勝に挑んでもらうぜ!』
つまり、ラルかフォースと組んで、アリアとミユルは戦う、のか。だから、ラルは助っ人と呼称したということか。
『な、なお、観客の皆様には決勝戦開始にて、ゲストの紹介をさせてもらいますので、もう少しお待ちくださいね……?』
『でも、ノーヒントってのもつまんないから、こっそり情報を教えるぜ!』
『え……ちょ……先輩、そんなのは台本には全く─』
先輩のアドリブ病がここで発動し、キャスの言葉を遮って勝手に進めていく。答えを知る俺達にはあまり関係ないが。
『ヒ・ン・トは~~~……ファンクラブもできているあの有名な探検隊のメンバーだぜ! 誰なのかは色々と想像してくれよな!』
『ちょ! 先輩!? それ言っちゃいますか!?』
ほぼ答えにも聞こえるようなヒントを言ってしまう。まあ、何も知らない人からすれば、あれこれ想像できる……のかもしれない。
『ということでこれから休憩に入るぜ! みんな! トイレは今のうちに済ましておけよな! ということで! しばしのお別れだ!』
『ちょ! せんぱぁぁい!』
なんつーか、じ、自由だな……やっぱり。



~あとがき~
ようやく決勝だ。

次回、決勝戦! アリア、ミユルはどちらと組むことになるのか……?
うし。正念場です。

最後ら辺のラルのティールの行動に意味があるか聞かれてもあれです。困ります……(笑)
一応、ラルにはラルなりの事情がありますが、特に語らずにいこうかと思います。今回の解答になりそうな理由は前にちろっと言ってますし。答えはこれ! とはなってないので、分からないかもですが。

ではでは。