satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第98話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどたばたしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
勝戦でのルール開示がちろっとだけありましたね。今回はもう少し詳しくお話しできるかと思います! 始まるよ!!
ラル「大丈夫なんだろうか」
フォース「それな」
……それな!!


裏のあれこれなど知らない観客達のボルテージは最高潮。なぜなら、待ちに待った決勝戦の開始時刻を迎えたのだ。そして、長い間、秘密にされていたゲストのヴェールが解かれ、ようやく正体が明かされる。
それに拍車をかけるかのように、放送部の実況にも今まで以上に熱が籠る。
『さぁ!! ついに始めるぜ決勝戦! もう観客の皆も今か今かと待っているだろうから、早速、決勝まで勝ち進んだ選手に登場してもらうぜ!』
『ま、まずは、魔術科二年! 得意の状態異常魔法で相手を錯乱できるか!? ミユル・ノフェカ先輩です!』
決勝まできてようやく慣れ始めたのか、すらすらと台本通りにアナウンスをしていくキャス。それでも、隣の先輩のように盛り上がる紹介にはほど遠かった。
『そしてそして! 決勝でもお得意の氷魔法で相手を氷漬けにできるか!? 冒険科三年! アァァリア・ディィィィネェェェ!!』
この合図で、アリアとミユルが観客の前に姿を見せる。流石に三回目で変な紹介も挟まれず、一般人が普通だと感じる紹介へと変わる。
「テンションは今まで以上って感じね~」
単純に思ったことを口にするミユルの横で、アリアの目はギラつき始めた。あと一勝というところまできたからか、或いは元から存在しないのか、自制心という言葉はないようだ。

まだ会場入りしていないラルとフォースは、盛り上がる会場から、気分的には一歩後ろに下がった状態でリング入口付近でじっとしていた。
ラルは下ろしていた髪をサイドテールでまとめ、空色のスカーフをリボンのように結んでいた。そして、ロンググローブをはめて、右手にはティールの愛剣の雪花が握られている。
一方のフォースは至ってシンプルで、淡い空色のマフラーに紺色のロングコート姿だ。これ以上の装飾は何もなく、武器の装備もなかった。強いて言うなら、季節感は全くない。
「テンション爆上げだね~」
「くそうるせぇ」
フィールドから近いとはいえ、一応は少し離れた廊下にたっているというのに、リュウの声はクリアにそして、盛大に聞こえてきていた。
『さ~て! それでは皆さんお待ちかね! 昼休憩から、のばしにのばしたゲストの紹介と行こうかぁぁぁぁ!!』
『ちょ! 先輩!? 急に大声出さないでくださいよ!?』
キャスの注意が入るが、普段からスピーカー越しに聞いているラル達には違いが全く分からない。
「……え? それは今更なのでは?」
リュウと一緒に居すぎて、通常の大声に慣れてるんじゃねぇの? メーター吹っ切れてんだろ、あの一年」
「いや、通常の大声ってなんだよ。でかいことに変わりはないじゃん」
通常の大声とはという、心底どうでもいい議論が繰り広げられる中、会場では話が進んでいく。
『みんなは知っているだろうか。あの有名な探検隊を……』
リュウの説明が始まると共に、なぜか、会場がしんと静まり返る。それに当事者である二人は互いの顔を見合わさずにはいられなかった。「そこまでハードルあげなくてもいいのでは」と。
『いや、知っているはず……知らないはずがない! 学園でファンクラブもできているあの有名探検隊を……! 騒動を解決した数は星の数にも上るが、受けた感謝はそれ以上! チーム『スカイ』から! リーダーとそのメンバーの登場だぁぁぁ!!』
本日一と思われる歓声が聞こえる中、それに混じって黄色い声援も聞こえてくる。主に女子の声だろう。本来なら、ここで二人は会場入りしなくてはならないのだが、どちらもその場に留まったまま。フォースは若干、引きつった笑顔を浮かべている。
「え……何? 今の甲高い歓声……?」
「何って……君のファンクラブのメンバーの声でしょ。当たり前じゃないですか」
「何それ怖い……完全に大人のお姉さまの声も聞こえてたよ? おれ、そんな年上知らない」
「大丈夫だ。この世の中で、お前よりも年上な女性は神様くらいだから! みぃんな可愛い少女だから。ほら、行くよ」
今にも逃げ出しそうなフォースの手を掴み、ぐいぐいと引っ張っていく。本気で抵抗されると、ラルではどうしようもないのだが、一応は行かねばならないという意思があるのだろう。ずるずると引きずられる形ではあるものの、ようやく観客の前に姿を見せられた。
ラル達が使用した入口は今まで生徒達が出入りしてきたところとは別だった。ミユル達のところを左右とするなら、ラル達は正面と言えるだろう。
「やだやだやだ……公衆の面前に出たくない。めっちゃ帰りたい。や、無理……!」
「うるっせ! チームのためだと思え!」
ぐいっと引っ張り、無理矢理中央へと進ませる。姿を見せたことで、リュウによるお得意の紹介文が読まれ始めた。
スペシャルゲストは、我が学園の生徒会メンバーでもあり! ファンクラブもあるという噂もあるチーム『スカイ』のリーダー! 雷の女王! ラァァァル・フィラディィィィィィネェェェェェ!』
「はぁ!? ちょい待て。い、いか……? 『雷の女王』? とか初めて聞く異名なんですけど!?」
探検隊として活動する中、悲しいかな二つ名というものはつけられてしまうらしく、ラルも例外ではなかった。よく呼ばれるのは『雷獣』。その次に『空の策士』である。が、間違ってもリュウが呼称した『雷の女王』とは呼ばれた経験はないし、聞いた記憶もない。
ラルの突っ込みはリュウには届かなかった─聞こえていたとしても、答える気はない─のだろう。続けて、フォースへと標的を変える。
『そして! その『スカイ』メンバーであり、生徒会屈指のイケメン! 学園生活では授業を気ままに受け、普段からサボり癖はあるが、その頭は秀才! クールな態度で女子たちのハートを掴み取るクール王子! フォォォォォス・ブロォォォウ!』
「あ? 王子? 何言ってんだ、あの小僧」
「抑えろ。褒め言葉だよ、紅眼の悪魔さん」
「褒められてねぇわ」
フォースもラル達と共に探検隊活動をする最中、同様に二つ名は存在していた。少なくとも、王子などと可愛いものではなく、『紅眼の悪魔』やら『赤目』等と呼称されている。本人は大して気にしてはないのだが。
二人の名前が開示され、観客からは割れんばかりの歓声が届いていた。やはり、フォースに向ける歓声はちょっとした熱い視線も混じっているように思える。観客の声に応えるため、軽く手を振るラルとは違い、ガン無視のフォースだが、またそこがいいのだろう。ところどころで、「格好いい」だの「イケメン」だのと聞こえてくる。
「モッテモテ~♪」
「いらねぇ」
『ふぃ~……ちょっと熱くなりすぎたぜ☆ ということで相棒! 俺がクールダウンしている間に説明よろしく!』
『ふぁ!? は、はい!! 決勝へと駒を進めたお二人には、スカイとそれぞれタッグを組んで、タッグ戦をしてもらいます! 細かなルールは今までのトーナメント戦と変更はありません!』
つまり、時間制限つきの試合であり、使用できる道具は武器と魔道具のみという大まかなルールに変更はないということだ。
『ただ、タッグ戦とはいえ、勝敗を決めるのはミユル先輩とアリア先輩なので、この二人のどちらかが倒れた方の負け、となります。仮にゲストのお二人が先に戦闘不能あるいは、場外へとなってしまい、失格扱いになっても、試合は続行されます』
「ふうん? 私らがやられる分には試合に影響しないってことだね」
「お? 速攻でやられても怒られない……?」
「あっはは! 任せて。私が怒るから」
『な、なお、タッグ決めについては、先程の休憩時間中に大会実行委員長立ち合いの元、決めてもらっています! そして、その結果が……こちらになります!』
キャスの合図で会場内にある巨大モニターには、アリア&ラルVSミユル&フォースの表示が出る。それだけで、再び歓声が上がった。
ラル達も名前が表示されたことで、お互いのパートナーの側へと近づく。ラルはアリアに、フォースはミユルに。
「フォース先輩、打ち合わせ通りに」
「へいへい」
「アリアちゃん、約束守ってね」
「優勝……もうすぐ、タダ券……優勝♪」
「うぅ……聞いてるのかな」
ラルは呆れつつも、手に持っていた雪花を腰のベルトに帯剣する。しっかり装着できたことを確認し、フォースとミユルを見る。どちらも落ち着いていて、余裕の貫禄といったところだ。
『それでは、試合……開始ですっ!!』



~あとがき~
え、なかなか始まらないね……?

次回、アリア&ラルVSミユル&フォース!
今回で入れると思っていた私がいました。

どうやって試合運びをしようか悩んでます。大丈夫なんだろうか、私。
というか、私のメインキャラがここで本格的にバトルするのはお初ですね。ずっと相方のキャラかレイ学オリジナルキャラだけだったからな……
前にフォースが戦闘してる(53話)けど、あんなんお遊び程度ですわ。ほぼ描写ないもの!←

ではでは。