satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第99話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどんぱちする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
なかなか始まらない決勝戦ですが、今回からばーっと入って、わーっと終わってくれる……はず。そんなだらだらとやるつもりはない……つもりはない、です……!
ラル「果たして、その言葉は守られるのか」
フォース「審議だ。しんぎー」
まだ始まってもないのに……!?


キャスの合図で場の空気が一気に張り積めたものへと変化をする。理由は単純。ラルの隣に立っているアリアから、膨大な魔力……広範囲魔法の前兆を感じたからだ。それは、ラルが予想していたものではあるが、『約束事』からは少し離れるものではあった。
ラルがアリアにお願いした約束は一つ。開始の合図後の攻撃は一定時間の間隔を空け、広範囲の魔法を連続して行わない。それだけだ。開始の合図ですぐさま攻撃するなと頼んだのは、単純にラルが距離を取る時間が欲しかったからで、何か作戦があったわけではない。が、テンションが上がってしまっているアリアは、この約束を忘れられたらしい。
「話聞いてたぁぁ!? あーくそ!!」

慌ててアリアの近くを離れるラルに対し、フォースとミユルはすでに十分な距離を取っている。少し離れたところで、フォースは若干、呆れ気味に呟く。
「早速来るかぁ」
「ふふっ♪ テンション上がってますね、アリアちゃん。タダ券が目前だからかしら」
「贈呈されるの、券じゃなくてピンバッジというかブローチですけどねぇ……?」
「ご飯を無料で食べられるなら、同じことですよ。……フォース先輩、打ち合わせ通りにお願いしますね?」
「本当にやるのか?……ま、了承した以上、尽力しますけど」
フォースはこの大会中、話には聞けど、試合自体は一切観戦していない。そのため、アリアがどのようなことをやらかしたのか、実力がどれ程なのかをこの目で見たわけではなかった。しかし、空気の流れや肌にピリピリくる気迫だけで、かなりの大技がくるのだと予測立ては容易である。
サポートメインと宣言するミユルに代わり、この一撃を防ぐのがフォースの仕事であり、ミユルの頼まれ事の一つだった。フォースがこの大会中、ミユルに何かを進言するつもりはなかった。このようにした方が勝てるとか、何がいいとか、言ったところで結果は目に見えているのだから。
「はぁ~……やだやだ。あれ、でかすぎないか?」
「アリアちゃん、やる気満々ねぇ」
フォースとミユルの眼前に現れたのは、巨大な津波。しかし、その津波は水ではなく氷であり、所謂、雪雪崩である。それに飲まれてしまえば、アリア以外の一発場外も夢ではなかった。
「おい、ちゃんと制御しろよ、リーダー」
いつの間にか近くまで逃げてきていたラルに問いかける。こちらもここまでのは予想外だったのか、かなり慌てた様子である。
「うっちゃい! 食べ物は恐ろしいんだよ! そういうことだよ! あーもー! どうにかして、フォースくーん!」
「おれ、お前の敵なんだよなぁ」
と、返すものの、ラルの目線はアリアが作り出した雪崩を見ているし、伸ばした手の先には雪花がいる。彼女は彼女で防ぐつもりらしい。
「ま、いーわ。……おれの後ろから出るなよ。助けられる保証がない」
「分かりました♪」
ミユルはにこっと笑い、フォースの後ろへと隠れる。それを確認し、フォースは右手を前へと掲げ、そっと文言を唱える。
「……我を護りし者よ。その力を守護へと変換し、姿を現せ。……来い、“鈴流”!」
「はぁい♪」
鈴流と呼ばれたその者はまばゆい光に包まれて現れる。明るい黄色の髪を揺らし、真っ白なドレスに身を包んでいて、妖精のような出で立ちだ。
体が少し透けている彼女は、扱い的には精霊と立場はそう変わらない。しかし、一番の相違点は彼女が魔力で作られた存在ではなく、フォースの持つ白いリボンに宿る思念体であるという点だ。簡単に言ってしまえば、幽霊のようなものである。
「行けるか?」
「もっちろん! お茶の子さいさい!」
「……それ、多分死語」
「にゃんですと!!」
かつて、フォースと鈴流は主従関係……つまり、“強き力”で結ばれた関係であった。本来であれば、役目を終えれば、一切の関係をなくしてしまうのが普通。しかし、鈴流がフォースを愛し、その愛をフォースが受け入れた。様々な苦楽がありながらも、二人の愛は潰えなかった。だからこそ、今の二人の関係性になったといえよう。
「防御!」
「りょーかいだ! いっくよー!」
フォースの隣にふわりと並び、迫る雪雪崩と対峙する。過去に“強き力”を所有していた鈴流にとって、強大な力を操るのは専売特許である。……それは、フォースにもいえるのだが。
鈴流は力の限り、電気を発生させ、強大な雷へと変化させると、それを思い切り雪崩にぶつける。雷と氷がぶつかり、互いの威力を相殺した代わりに白い煙が辺りを包み込んだ。視界が悪くなったが、アリア本人にはダメージはないだろう。そして、こちらもダメージはない。第一波を防ぐという目的は概ね達成したと言えよう。
「前方から攻撃来るよ! 武器攻撃!」
「はいよ。……恐らく、ラルだな」
鈴流の忠告にフォースは手元に鎖を作り出す。武器となれば、雷姫か雪花だが、そのどちらできても防ぐ自信はある。が、ミユルから告げられた内容に一瞬にして考えを改めなければならなくなった。
「フォース先輩、後ろからも来ます」
「あぁ!? 誰だよ。面倒くせぇなぁ!」
この質問に答えたのはミユルではなく、鈴流だった。前方から目を離さず、口を開く。
「ラルちゃん!」
「……前は?」
「ラルちゃん」
「なるほど。……どっちかは“ドール”だなっ!」
前から雪花で斬りかかってきたラルの攻撃を鎖で防ぎ、そこから遅れて後ろから、雷姫を持つラルの攻撃を鈴流が同じように鎖で弾く。二人のラルに挟まれる形になるというなんとも奇妙な光景である。魔法で幻術を使い、見た目を変えることは可能だが、ラルは魔法使用者ではない。簡単に姿を変えたり、幻を出したりという芸当はできないはずなのだ。
「会長さんが……二人?」
“ドール”を初めて見たらしいミユルの戸惑った呟きが耳に入るも、フォースにそれを説明する余裕はなかった。
フォースは制御者とは別の力の一つである霊視能力を使うものの、二人の発する魂のオーラは同じものである。本来、オーラが全く同じになるのはあり得ない。例え、自身をコピーした“ドール”だとしても、“ドール”には自我を植え付ける行程が必要不可欠。そのため、自我を与えられた時点で個性が生まれ、色に現れるはずなのだ。それなのに、同じに見える。その理由はすぐに思い付いた。
「くそ。……雷姫、邪魔すんな」
『ふふん♪ 今は敵だからのぉ~♪』
後ろの刀から返事がくる。その声はとても楽しそうで、彼の神経を逆撫でするようなものであった。
所有者の魂に巣食う妖刀ならば、気配も心の声もオーラも隠せてしまうだろう。普段から、何もしていなくともラルの心だけは聞き取りにくい。普段からそれなのに、雷姫がしっかりと隠そうとしてしまえば、これである。
「使ってくると思ってたけど、反則だよ!? その“目”は!」
「うるせぇ。どっちだ、お前」
「どっちも何も、私は私! セツちゃん!」
『あいっさー!』
雪花を装備したラルがフォースに突進する。仮にフォースが相手ではなく、ティールだったのなら、簡単に判別できたのかもしれない。ティール相手にこの作戦に出たかはまた別の話だが。
どうでもいい話題を頭から追い出し、意識を少し集中させた。次は制御者の能力……というよりは、スキルである『力』の流れを感知、それを辿るものの、アリアからの攻撃は感じられない。少しの間は、ラルだけに集中できそうであった。
鎖から剣に作り変え、雪花の斬撃を受け止めた。そして、様子を伺うようにちらりと後ろを振り返る。
「鈴流、後輩の援護に徹しろ」
「分かった!」
「フォース先輩」
「問題ない。目の前に集中しとけ」
短い返答にミユルは小さく頷き、雷姫を持つラルをフォースから引き離すために走り出し、その後ろに鈴流が続く。それを横目で見つつも、彼女はもう一人の自分に向かってウインクする。
「フォース君の相手は任せたよ~♪ 二人は任せてねっ♪」
それだけを言い残すと、彼女の高い敏捷性を駆使して二人を追いかけていく。つばぜり合いをしているラルは特に反応はなかった。冷静にフォースを見据えている。
ひやりと冷たい空気がフォースの頬を撫でるも、体は、頭はフル回転していた。周りの冷たい空気が体の熱を冷ましていくが、テンションまでは冷めることはない。
「どうせ目的は時間稼ぎだろ。攻撃の要はディーネにある。お前、元々、パワータイプじゃねぇもんなぁ!」
力任せに剣を弾き、ラルを退ける。単純な力比べなら、ドールだろうがラル本人だろうが負ける気はさらさらないのだ。
バックステップでフォースと距離を取り、ラルはニヤリと笑う。それを見る限り、本物はこちらのような気もするが、断定はできなかった。
「やっぱり、フォース君は敵に回すと怖いにゃあ? 我が隊一の実力者さんだもんねぇ? よく特攻隊長してくれるし」
「好きで特攻仕掛けてねぇわ」
「あっはは! いいね。久々に楽しくなってきたよ! 大会に出るの、心底嫌だったけど、君と本気になれるなら悪くないわ」
雪花を構えるラルに対し、フォースは自分で作り出した剣を一度消し、素手のままで構える。
「本気? お前がこんなところで? 嘘つくな。その気なんてないくせに」
「あっは! 確かに……でもまあ、そこはお互い様でしょ」
不敵な笑みを浮かべ、ラルは再びフォースへ斬りかかる。その連続斬りを完全に見切り、冷静に対処していく。彼女の真意を読み取るため、しばし、目の前のラルに集中することにした。



~あとがき~
フォース視点の第三者視点だから、雷姫の声もセツの声も筒抜け(描写しました)です。

次回、ラル&ドールVSフォース&ミユル!
どっちがラル本人なのかは次で分かる。そこまで引っ張れない(笑)

こちらでは初登場です。鈴流。空海を知っている方にはお久しぶりかもしれません。こっちでも残念ながら生きてませんねー……
あっちじゃ、可哀想なことをしているので、こちらでは和気あいあいとフォースの傍で暮らしてもらってます。幽体だけど。雑な説明しかしてないけど。空海じゃバトルなんてしなかった鈴流がバトルしてますけど!!
追々と説明する暇も機会もないと思うので、ここでさらっと言います。

空海同様、赤の力を持った鈴流とそれを守護するフォース。なんやかんやあって、恋人してました。
お別れシーンも大体、空海と変わらない。満足に任務全うできず、死に別れしてる。

神様の配慮で、鈴流の形見であるリボンに鈴流自身の思念、魂を乗せる。これをフォースは知らずにずっと所持。

時は流れて現在。ステラ達の付き添いと「行け」という命令に従い、学校へ入学。そこで出会ったラルやティールの協力(という名のお節介)により、なんやかんやで鈴流と再会。

こんなんです。で、なんやかんやあって、今です。え、なんやかんやが知りたい? ま、また今度な……(絶対やらない)

今回、フォースが目立って少し影が薄かったミユルちゃんも次回以降から頑張るし、見せ場はある。……大丈夫!!

ではでは!