satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第100話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でバトっちゃう物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回から本格的にバトルを始めましたが……ついに今回で百話です。なんか、きり悪いね。どうせなら、今回からどんぱちすればよかった……
ミユル「ふふっ♪ 心配しなくてもしばらくどんぱちしっぱなしですよ?」
確かにな……


試合開始前に設けられた僅かな打ち合わせ時間にて、互いの得意なことや苦手なことから、どのような立ち回りをするのか。ミユルはその辺の話をしようと思ったとき、先輩のフォースの第一声は……
「お前、勝つ気ないだろ」
という、ミユルの本心を見透かしたような一言を発したのだった。そして、温度を感じさせない口調で続ける。
「んでも、一発でやられるのはこちらとしても、不利益だし、リーダーが望まん。それに、お前も心外だろ。策があるなら任せる」
「それは……ある程度、試合をする策ですか?」
「そう聞こえなかった?」
一線引いているような冷たい対応である。普段からこんなものなのかもしれないと思いつつ、ミユルは気にした様子もなく、にこりと笑う。
「ありますよ。先輩の言う通り、簡単に終わってしまってはお客様にも悪いですし、つまりませんから。……ですが、アリアちゃんは初手で広範囲魔法を使いますよ。会長さんや先輩は耐えられますか?」
「ラルを馬鹿にするな。耐えるよ。が、まあ、耐えなかったとしても、ルール上、十中八九問題はないと予想してるけど。……おれも問題ない」
「ルール……?」
詳しいルール説明はマルから何もなかった。ゲストとのタッグ戦であるとしか聞かされていない。試合開始前にアナウンスはあるだろうが。
不思議そうにしているミユルに、フォースは肩をすくめる。
「単なる予想。読み間違えたら、おれが別の手段を考えるさ……話をラルに戻すと、あいつが広範囲魔法とやらの策しないなんてあり得ないから、心配はいらない」
「分かりました。それでは、先輩にはアリアちゃんの第一波を防いでもらって、そのあとの第二波も任せます。その間に、会長さんとお話しする時間をくれませんか?」
今度はフォースが不思議そうにミユルを見下ろす。が、あまり興味はないようで、すぐに目線は逸れる。
「いいよ。その間、ディーネの相手はおれがしよう。……他の指示があればどうぞ」
「そうですね。……私、戦うのはあまり得意じゃないんです。後ろでサポートしているのが基本スタイルなんですよね」
「だから? 守れって?」
「二人でいるときはなるべくお願いしたいです」
「……了解。でも、何があるか分からない。ラルがどんな手で来るかもさっぱりだしな。んー……やりたくはないんだけど、保険かけとこう」
フォースはパーカーのポケットから白いリボンを取り出すと、何を思ったのか軽くキスをした。少し驚いたミユルをよそに、フォースはそっと口を開く。
「いるだろう、出てこい。力は分け与えるから」
「ふぁ~……ん。はぁい♪ なんだか可視化状態は久しぶりだね!」
小さく欠伸を漏らしつつ現れた少女に、ミユルは戸惑いを隠せなかった。フォースから魔力を感じないのに、精霊を呼び出したからだ。フォースを後ろから抱き締めるように腕を回し、にこにこと笑う少女を見ながら、ミユルは首を傾げる。
「この方は……?」
「鈴流。元人間で今はおれの守護者みたいな……ん? 恋人……か?」
「恋人にはてなはいらないかなっ! 初めまして、妖精さん。私は鈴流。あのね、フォースは難しいところもあるけれど、いい子なの! 嫌いにならないであげてね!」
緩やかにウェーブしている黄色の髪をふわりと揺らし、ミユルに満面の笑みを見せる。勝手に話し始める鈴流だが、フォースは意に介さず、話を進める。
「ある程度はこいつに守らせる。いいよな」
「無視!? けど、分かった。妖精さんを守るんだね」
「そう。そんくらいはできるだろ。あと、妖精さんじゃなくて、ミユル・ノフェカだから」
「はーい! 頑張るっ!」
「鈴流はそれなりに戦えるから、適当に指示出してくれていい。言うこと聞けよ」
「分かってるよ。雷姫さんじゃないから、素直に聞くもん! 女の子同士、仲良くできますー!」
ぷくっと頬を膨らませ、フォースから離れると、ミユルの傍へと寄り添う。
「じゃ、出番あるまで出てくんなよ」
「うんっ♪ それじゃあ、まったねー! 妖精さ……ミユルちゃんっ!」
「はい。よろしくお願いします、鈴流さん」
思いがけない対面をしつつも、ミユルは一応、笑顔は絶やさなかった。そして、これからのプランについて、フォースにレクチャーし、─きちんと聞いていたかは定かではないが─本番を迎えたのだった。

そして、今。
雷姫を装備したラルの素早い剣術に舌を巻きつつも、鈴流の手助けも借りてどうにか避けている状況だった。フォースの方まで気が回らないのである。
「ここまでの力があるなんて……!」
「まだまだだよー! ラルちゃんは全力じゃないもんっ! うりゃっ!」
「妨害がウザいですねぇ……でも、電撃は無意味です。雷姫、吸収!」
目眩まし程度の電撃を鈴流は放つものの、ラルにとってはその程度にすらならないらしい。バチンと弾ける電撃を瞬く間に刀が食べてしまう。
ミユルはラルの戦いを見たことはない。以前の剣技大会でシエルを負かしたのは知っているが、そのときの彼女に武器はなかった。そもそも、あの試合自体、一瞬で終わっているから、参考にもならないが。
ラルが強いだろうというのは予想できる。学生の身でありながら、探検隊を率いて、それなりに名を通しているからだ。こうして、ゲストに呼ばれるくらいである。実力が申し分ないのも簡単に想像できた。が、ここまで好戦的に攻められるとは思ってなかったのだ。
「ほらほらほらー! もう、邪魔しないでください、鈴流さんっ!」
「するよ! フォースの指示だもんねっ!」
鈴流が手を横に振ると、いくつものナイフが出現する。それを指一本触れることなく、ラルめがけて飛ばしていく。しかし、ラルは雷姫を巧みに操り、全て落としていく。
「あっは! 手応えないですね~?」
ぐぬぬ……本当は戦闘要員じゃないんだよ! ラルちゃん、強すぎっ!」
「元“赤の継承者”がそれを言いますか?」
「油断大敵ですよ、会長さん! お願い、植物さんっ!」
鈴流がラルを引き付けている間に、ミユルは魔法で植物を急激に成長させていた。そして、ラルの足元で発芽させる。しゅるりと伸びる蔦に絡め取られ、ラルは体の自由を奪われてしまった。
「おやおや……全くもう。二対一って狡いです。委員会に訴えまーす」
奪われたにも関わらず、ラルは余裕であった。軽口を叩けるくらいには。警戒を解かずに、ミユルはラルに話しかけた。
「……余裕ですね?」
「そりゃあ、方程式はできてますから。勝つのはアリアちゃん、でしょ?」
「むー? そこにラルちゃんはいないのかな」
「いなくても問題はないですよ。これの勝利条件は、アリアちゃんかミユルちゃんの決着がつけばいいんですから」
ラルの言っているのは正しい。ルール上、先に落ちてしまったとしても、何ら問題はない。しかし、それと今の状況を余裕でいられるのは、また別問題である。
鞭を構え、ミユルは恐る恐る尋ねる。
「……あなた、会長さんじゃ、ない?」
それに対する彼女の解答は……
「あはっ……さあ。どうでしょう? 当ててみてよ、ミユルちゃん。例えば、この蔦を使って、私を気絶させてみる? 好きにどうぞ」
不敵に笑い、挑発するのみであった。

一方のラルとそれに対峙するフォースは。
「……てめぇ、ほんもんか?」
「さぁてね? ま、どっちでも同じだよ」
雪花を剣に、冷気に、氷にと器用に変化させて、フォースを翻弄していた。その一つ一つは大したことはないのだが、複雑に組み合わせ、時に不意をつく辺りが、ドールではないと思う要因でもあった。
しかし、雷姫を操るのがドールなのも疑問である。雷姫は神器と呼ばれる武器であるのと同時に、妖刀としても恐れられてきた曰く付きの刀。主以外の者が簡単に操れるとは思えなかった。
「ややこしいなぁ」
「正体を躍起になって明かそうとするからじゃない? ほらっ!」
剣の姿をした雪花の斬撃を紙一重でかわしながら、思考を巡らせる。
未だ、アリアからのアクションはない。視界がまだ晴れないのが原因なのか、別の何かがあるからなのか、それをフォースが知る権利はない。どちらにせよ、このまま適当にいなしていても、アリアの第二波にやられるだけ……
と、考えて、フォースは冷や汗を感じ、体温がすっと下がる感覚がした。否。元から、ここの気温は低い。雪花の能力だけ、ではない。
「時間稼ぎだろうとは思ったけど……お前……いや、お前らは囮か?」
「……ほらね。私が本物だろうと、偽物だろうと、結果は同じだった。違う?」
アリアの氷魔法もだった。
慌ててアリアの方を見ると、開始直後以上の力の流れを感じた。それに伴い、周りの気温すらも支配していく。嵐のような攻撃がピタリと止み、ラルがにこりと悪魔が如く笑う。
「私の目的は時間稼ぎ。と、君らの分断だ。ほらほら、間に合うかい? 今回、君の姫君はステラちゃんでもリーフちゃんでも、ましてや私でもない。……ミユル・ノフェカだろう?」
「……ラル、やってくれるじゃねぇの」
フォースは目の前のラルが本物であると確信した。司令塔は雪花を持つ、ラルであると。
彼女に遊ばれたと思うのにも、大して時間はかからなかった。
「んふふ……分かってたでしょ? ここいらで負けてくれても構わないよ。早ければ早い程、面倒にならなくていいじゃない? さあ、戻っておいで、ドール! 雷姫!」
雪花を鞘にしまい、本来の相棒の名を呼ぶ。その先をフォースは見届けなかった。ラルに狂わされたものの、フォースの目的は、やることは決まっていたからだ。
離れたところで戦っているはずの、ミユルの元へ駆け出した。



~あとがき~
百話なのに話が進まね。
そして、今年最後のレイ学でした。きりいいね。話数的な話で。

次回、まだまだ続くよ。決勝戦

バトル描写嫌すぎて、フォース&ミユルの打ち合わせ風景を書きました。まあ、ミユルちゃんが鈴流を見ても驚かなかった理由はここです。先に見て、顔合わせをしていたから、です。
あと、フォースなら、ミユルちゃんの本心というか、気持ちを読み取ってるよなぁと思い、あんな感じに書いたけど、ぶっきらぼうな嫌なやつになりましたね。まあ、間違ってないか。
あと、これは私の偏見ですが、ミユルちゃんが時折残酷な少女に見えて仕方がない。やってることがあれなのか、口調があれなのか……もっとふわっとした女の子……のはずなのですが。

さてさて。ラルがどちらか分かりましたね。ぬるっと。予想と言うか、皆様の希望は当たりましたかな?

ではでは。