satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

気ままな神さま達の日常記録 vol.1

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっております。
じゃあ、誰やねんって突っ込みたくなったことでしょう! あれ? そんなことない??
そんなことなくとも、タイトルを見れくだされば分かるかと思います。レイ学世界においての神様に焦点を当てました! 現状、本編に一人(ウィル)しか出ていないのにだ!!(笑)
でも、大丈夫。今回の登場人物の紹介を入れてますので!


☆サクッと人物紹介☆
アルフ:転生の神様。穏やかな性格でにこにこしながら、みんなを見守る優しいお方。最近ハマってることは、男の娘姿でのファッションショー。

ファウス:力の神様。ずぼらな性格で部下である制御者達(特にフォース)からの信用度は低い。一応ウィルの育ての親。

フォース:制御者の一人で、最高位の色を制御する。現在、ステラの制御者として下界で暮らしているが、天界へと戻ってくることもしばしば。

これくらい知っていれば大丈夫かと。私のキャラ達はあれですよ。空海を知ってれば分かる!←
それでは、神様の世界を覗いてみましょう!!


★転生の神様と紅の制御者★
ここは天界。様々な神様達が暮らす世界。
基本的に人目に触れることはない神々ではあるが故に、知られてはないけれど、人々のためにいろんな仕事をしている。
「……んっしょ。んしょ」
真っ白で長い髪を引きずりつつ、少年の体には酷なほどの大量の本を抱え、廊下を歩いていた。
ふらふらと頼りない足取りで歩く彼─転生の神、アルフ様。危ないなぁと思いつつ、声をかけようとした瞬間、バランスを崩した本が数冊ばさばさと盛大に落ちてしまった。
「あ、あぁ~……」
しょんぼりした声を発した後、どうにかこうにか拾おうとする神様だけど、その手は全く届いていない。申し訳ないけれど、無理だと思う。
「拾いますよ。アルフ様」
「ん? あ、フォースくん! ありがとー! この姿だと腕が短くて届かないんだよ~」
おれよりも小さなその体では当然だろう。
落ちている本を拾い、ついでにアルフ様の抱えている本を適当にかっさらう。
「半分持ちます」
「わぁい♪ フォースくんは優しいね」
中性的な顔つきのせいか、少女にも少年にも見えるこの神様は、屈託のない笑顔をおれに向けてから前を歩く。ついてこい、ということなのだろう。それに黙って従った。
「それにしても、まだ下にいるはずの君がいるってことは、何か用事だったんじゃない? 今更だけど、僕に構ってていいの?」
「あー……まあ、どうせ大したことじゃないんで」
マスターの切羽詰まった声に、とりあえずこちらに来たという経緯はある。しかし、どうせあれが終わらないとか、これがないとか、どうでもいい呼び出しなのだ。その証拠に、他の仲間達からは、のんびりした挨拶が返ってきた。
「そっか。それじゃあ、部屋までよろしくね」
「仰せのままに」
「……ふふ。君の敬語は聞きなれなくて、なんだかむず痒いねぇ♪」
……それを言われたおれはどうすればいいんだろう?
「ファウスさんやウィルくんには、砕けてるじゃない? それを見慣れてるから」
「……毎度毎度、お見苦しい姿を見せてしまい申し訳ないです」
今まであったあれこれを思い出して、つい謝罪する。アルフ様はこういうの全く気にしないお方ではあるけれど。
案の定、いいんだよ、と満面の笑みで返された。
「アルフ様」
「なんだい?」
「本来のお姿であれば、おれの手助けなど不要ではないですかね。今更ですが」
この少年の姿は仮の姿。本来はこんなチビッ子ではなかったはずなのだ。……ま、ぶっちゃけ、おれも本来の姿を見たのは遠い昔ではあるし、この人の全ては知らない。何より、興味もない。
おれの言葉に少しだけ考えると、パッと笑う。
「この姿で数千年いるわけだから、もうこっちに慣れちゃった。だから、これを運ぶためだけに姿は変えたくないよ~♪」
面倒くさいのか。
「そ! 面倒くさいの~♪」
……ちらりと見える違和感の色。姿を戻さないのは、きっと面倒くさいだけじゃないんだろう。うちのマスターじゃあるまいし。
だからといって、言及する意味はない。
おれはただ、そうですか、と一言返した。
「あ、ついたついた! ちょーっと待っててね!」
アルフ様は片手を宙に掲げ、魔法陣をささっと描く。これ、半分おれが持ってなかったら、床に一度置いていたのだろうか。
恐らく、解錠の魔法を発動させると、扉が煙のように消えていた。世の中には便利なものがあるものだ。
「さっ! 入って入って。中に運んじゃってね」
「はい」
促されるまま、入室する。部屋の内部は物こそ多いものの、整頓されている。どっかの馬鹿マスターとは大違いだ。そんな部屋のどこからか漂う薬の匂いに、おれは部屋をぐるりと見渡す。
……あの扉の先か?
なんの変哲もない扉の奥。つまり、別の部屋から匂ってくるらしい。アルフ様はなんか色々作ってるみたいだから、おかしな話ではないけれど。
「何か気になるものでもあったかい?」
「うえぇっ!? あ、いや、何でもないです!」
慌ててアルフ様の方を見ると、ニヤリとどこか面白がるように笑っていた。
「いいんだよ。僕は気にしないから♪ ここにはウィルくんやファウスさんくらいしか来ないからねぇ……だから、フォースくんが訪ねてくるなら、歓迎するよ?」
……はい?
「そこにある魔術の本、気になるんでしょ~♪ ちらちら見てるの分かってるよ!」
あーはい。そうっすね。そっちも見てました。……見てたけど、気にしてたのはそっちじゃねぇ。
おれがどう答えようか迷っていると、アルフ様は
「……まあ、半分冗談なんだけどねぇ♪」
と、けらけら笑った。
何がどう半分だったのかは分からない。
そんなことよりも、これ以上ここにいると何言われるか分かったもんじゃない。早々に退出しよう。元々、アルフ様に用事はないのだから。
「では、おれはこれで」
「うんっ! ほんとにありがとね? 今度、何かお礼させてね~」
「なっ! いや、いいです! このくらい……神に仕える我々にとっては当たり前ですので」
「細かいことは気にしない! ね?」
え、あ、えぇ……? 細かいか? これ?
釈然としないまま、おれは踵を返し、部屋を後にしようとした。
したってことは、できなかったわけで……
「あぁぁー!! フォースくん、待って!!」
突然、大声を出したアルフ様に、パーカーの裾を思い切り引っ張られたのだった。思いがけない相手からの不意打ちに情けないことに反応もできず、おれは尻餅をつく。
「な、何!? なんすか……?」
「伝言頼みたくて」
言葉使え! 言葉!! 何のための口だ!?
「あんた、神様なんだから、力の加減考えてくださいよ……! 見た目以上に強いんだから」
……あぁ、くそ。半分、素が出てる。気を付けないと。この方はマスターや兄貴じゃないんだから。
若干乱れた口調を咎めず、アルフ様は変わらない笑顔を浮かべた。
「あははっ! ごめんね? でさ、フォースくん。今からファウスさんのところ行く?」
「え? まあ、はい。……今回はマスターに呼ばれたので」
「なら、『この前あった会議にファウスさん、サボって来なかったから、その件でちょっと僕から話すことがあるから、あとでそっちに行くね~!』って、伝えてほしいんだ」
ふうん? まあ、そんくらいなら……あ?
「……大変申し訳ありませんが、もう一度よろしいですか?」
「ん? 後で行くね?」
「もうちょい前」
「……サボって来なかった?」
「誰が?」
「ファウスさん」
「……」
おれは黙って立ち上がる。その動作をアルフ様がじっと見ていた気もするが、お構いなしだ。
「伝言、しかと承りました。この私が一語一句違わずに伝えると誓いましょう」
「うん。フォースくん、その笑顔は怖いよ?」
「あははっ! 何のことでしょう?」
アルフ様の部屋をにこやかに退出し、おれは元々向かっていた方向へと歩き始める。
「……あんのアホ!! なぁにサボってんだ! 迷惑かけるなっていつも言ってんだろうがぁぁ!? おい、マスターこの野郎!!! どこだ!」
荒れに荒れるおれの後ろ姿を、アルフ様は影から様子を窺っていたらしく。
「……ふふ。あの様子だと、ちゃあんと伝えてくれそうだね。フォースくんだし、心配はいらないかな?」
……という呟きは当然、おれに届くことはなかった。



~あとがき~
一周年記念! 第一弾でした。

次回、神様達と制御者達と猫の話。
現時点で言えば、全員集合話になる、はず。

お察しの通り、アルフというのは、友人キャラですね。名前だけの登場のファウス、レイ学メインキャラのフォースは私のキャラです。
フォースはともかく、ファウスを覚えている方がいらっしゃるのか怪しい気もしますが……空海でも、フォースの上に立つ神様でした。ビクティニでしたね。覚えてるかな……?
空海とこちらでは雰囲気違うかもですが、レイ学マジックのせいです!

ではでは!