satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第102話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわっちゃわちゃする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
それぞれの対戦相手が変わりました。
ラル「紹介が雑」
フォース「さらっとしてたけど、おれを投げたよな。描写さらっとしやがって」
いやぁ……いいかなぁって?
フォース「こいつ」


二人の中の計画にはあったものではあるが、実際に体験をすると、なかなかのインパクトがあった。
「ふっつーに突撃でもよかったよなぁぁ!?」
そう叫んではいたものの、アリア目掛けて投げ飛ばされたフォースは、体に打ち付けられる風をもろともせず、冷静に戦闘体制を整えていた。
「ロケット! フォース、ロケットみたい!」
「あぁ!? どこで覚えた」
「テレビ!」
「ソウデスカ……行くぞ、鈴流。声はおれだけにしぼっとけ。そんでもって、援護!」
『まっかせてー!』
今まで誰にでも聞こえるように話していた鈴流は、テレパシーに切り替える。聞こえるようにしていたのはミユルと意思疏通をさせるため。二手に分かれた今、誰かに聞かせる必要はない。
フォースは“チェーン”を作り出し、アリアに向けて飛ばす。これは単なる牽制。ダメージになる必要はない。あくまで、アリアが現在構築中の魔法を中断させるための予備動作でしかないのだ。
「……!」
フォースの攻撃に気付いたアリアは、フォースの考え通りに魔法を中断させ、水泡に包まれ出現した銃剣を取り出し、“チェーン”を弾いた。
無事に地面に着地したフォースはアリアを捉える。銃剣を構えるスナイパーの目は爛々と輝いていた。
「タダ券。もーすぐなのに……邪魔……するな……!」
『わあ。食べ物って怖いねー』
「おれ、死なずに帰れっかなぁ。にしても、銃剣かぁ……厄介だな」
銃剣には大まかに二種類ある。ベースが銃で銃口の先に鋭く細い剣がついている物。反対にベースが剣で柄付近に銃口が備えてある物だ。アリアの使う銃剣は後者のものらしい。
全体的なカラーリングは青系で、シルエットは狙撃銃に似ているが本来、銃身である部分が刀身となっており、銃口は刀で言う峰から生えたように備え付けてあった。引き金は柄の近くにあるため、あれを引けば簡単に弾を撃ち出すだろう。
「たぁ~だぁ~けぇ~ん~」
「うえ。こわ」
銃剣から放たれたエネルギー弾をひらりとかわすと、フォースは左手に拳銃、右手に剣を作り出した。アリアからの攻撃を体を捻ってかわしたり、銃で防いだりと巧みに使い分けて接近していく。
「ごはーーんっ!」
「おっと」
至近距離まで近づいてきたからか、アリアは引き金から指を離し、奇妙な掛け声と共に勢いよく剣を振り回す。フォースはそれを頭を下げてかわした。そして、しゃがんだままの体勢から拳銃による発砲を試みる。が、流石にこれは警戒されていたようで、アリアが大きく後方に飛び退く。
フォースの思惑通りに。
「そっち行ったぞ、女神様」
『一名様、ごあんなぁい! てやぁぁっ!』
アリアが飛び退いた方向には、電撃の準備を終えていた鈴流がふわりと浮いていた。腕を一振りし、激しく轟く雷撃を放った。
「っ!」
「ごめんね。一人じゃなくってさ」
着地前の攻撃だったために、体を捻っても完全に避けるのは不可能である。また、大会開始してから、初めてアリアに一撃を与えたことにより、会場から大きな歓声が聞こえてきた。当人達は全く興味はないようだが。
水属性に有利である電撃ではあったが、アリアは案外平気そうに立ち上がる。側に落ちていた武器を手に取り、フォースを一瞥する。
「ま、あんなんでやられはしないよな」
「……タダ券」
「おれ、ふっつーの会話がしたいな~」
距離が離れたことにより、アリアはメインを剣から銃へ変更してきた。肩の位置で銃を構え、狙いを澄ます。それをぼーっと見ているフォースではない。フォースも同じように銃を構える。
「いいね。楽しくなってきたよ」
『なぁんか、ラルちゃんみたいだよ~』
近くに寄ってきた鈴流が呆れ気味に答える。それに対する返答は、不敵な笑みであった。
「……ま、最悪被弾しても大丈夫だろ? 死なないし」
『えー!? 意味分かんなーい!』
少しの間があり、西武の速打ちのような雰囲気を漂わせていたが、ふいに銃の乾いた音が響き渡る。
引き金を引いたのはアリアが先だった。メイン武器が銃であり、スナイパーが本業の彼女に狙えないものはないのだろう。が、ここは特殊な結界が貼ってあるために、致命傷なんて与えられるはずもない。また、彼女が使っている武器は本物の薬莢ではなく、魔力が元となるエネルギー弾だ。それでも直撃すれば、無事ではすまない。
フォースの頭を狙ったその銃撃は頬を掠めた程度に収まる。彼は完全に見切って避けたのだ。
「あんなん頭に受けたら気絶確定だわ!! あっぶな。こっわ」
「ご飯ドロボーめ……」
「ご飯泥棒? 泥棒する気ないんですけど」
「邪魔する。僕からご飯盗ってるのとおんなじ……それに、あんたが避けたのは……弾だけ」
少し冷静なアリアの言葉に、フォースは一歩反応が遅れた。足元に青く光る魔法陣が展開されると、渦潮が発生して、フォースを絡め取ったのだ。その渦に巻き込まれてしまい、容易には脱出など不可能である。
『フォース!』
「大丈夫。……殺しはしない」
「あーそう。優しいね、ディーネさん?」
「! どうして」
渦の中でフォースは水流に振り回されることもなく、その場に留まっていた。水の中なのに、フォースは淡々と話し始める。
「水に耐性のある継承者がいたんだよな。これ、チートだってリーダーには言われるんだけどさ。いやまあ、ダメージない訳じゃないし、しんどいんだけど。これでも……ねっ!」
内側から想定以上の力が加わり、渦潮が破裂するように弾け飛んだ。中から出てきたフォースの髪は黄色に変色し、肩にかかるほどに伸びていた。顔にかかる髪を無造作に掻き上げ、空色のマフラーをほどいていく。
見た目ががらりと変わったフォースを見つめるアリアに、彼は赤く光る目を細め、にやりと笑って見せた。
「水属性が苦手な力を加えた方が効率的だろ?」
『わあっ! フォース!』
制御者の能力の一つに、以前、付き従っていた継承者の力を呼び戻すというものがある。つまり、今の姿はフォースが以前に制御していた鈴流と過ごしていたときの見た目である。変化がないのは、身長と服くらいだろうか。
「撃ち抜く。……タダ券のために」
「おう。いいぞ。もう少しおれと遊んでくれ~?」

フォースがアリアと攻防を繰り広げる中、ラルとミユルは硬直状態であった。ミユルの『取引』という言葉にラルが考えを張り巡らせているためであった。雷姫を縛るこの鞭も刀の電撃をもってすれば、簡単に焼き切れる。それをしなかったのは、目の前の少女の真意を探りたいからだ。
「お手伝いしてくれませんか?」
「……はあ?」
「アリアちゃんに万が一、勝ってしまって彼女の怒りを買いたくありませんから。……なので、会長さんにはお芝居に付き合ってほしいんです。私達が上手く負けるための」
八百長に付き合えと」
「今のアリアちゃんに私が勝てるとは思えませんが、備えておけば安心なので」
ミユルが冗談で言っているわけでも、油断を誘うために言っているわけでもないのは、雰囲気で伝わってきた。本気でラルに助力を乞いたいと言っているのだ。
ラルは短く息を吐くと、雷姫の電撃を放ち、ミユルの鞭を焼き切って拘束から逃れる。そして、軽く地面を蹴り、ミユルへ急接近した。ラルが振り上げた雷姫を、ミユルは鞭ではなく、シエル戦の際に使用していたナイフを取り出して受け止めた。わざと力を緩めつつもミユルに迫り、話を続ける。
「……運営に関わる私によくそれを言えたな」
「お話は最後まで聞いてくださいな。私は取引って言ったんですよ? 会長さん。……うちの部活のセカイイチ、どうなりました?」
「んんっ!?」
最後の言葉でラルは淡々と仕事をこなす彼女から、無理矢理、普段の彼女へと引き戻された。
この学園には園芸部があり、その園芸部では密かにセカイイチの栽培が行われている。それは一部の生徒のみで作られているのだが、それをどこで嗅ぎ付けたのかプリンが時折、拝借しているらしかった。それにラルが気付いたのは、ツバサ達との共に園芸部へと訪れたときだ。このときにミユルに相談を受けていたのだが、ラルは─正確には、ラルとティールの二人は─この時点でプリン以外にはあり得ないとほぼ確信していた。その場では上手く誤魔化し、後々、どうにか対策しようと思案していたのである。
思案していた矢先にこれだ。ミユルは変わらない笑顔を……ラルからすれば、悪魔にも見える笑みを浮かべている。
「会長さんがお忙しいのも理解しています。しかし、こちらも急速に対処したいのです……知っているのでしょう? セカイイチ泥棒の正体はプリン校長だって」
「……マジかよ」
ミユルがどのように突き止めたのか定かではないが、真実にたどり着いてしまったらしい。
「取引内容はこうです。……この試合で私達に協力してくれたら、プリン校長のことを黙っていたことは咎めません。あ、でも、お話は伺わせてもらいますが。それくらいはいいですよね、会長さん」
こちらに利があまりないと感じてしまうのは、ラルが助っ人という枠だからだろう。つまり、こちらのチームとしてのメリットは、アリアの勝利。そして、個人的なメリットは、セカイイチの件の黙認について罰すこともなく、詳しくは問わない。まあ、プリンがなぜ、セカイイチを盗るのか等は聞かれるだろうが、その辺は必要な情報であろう。
生徒会長としては、この取引に応じるべきではない。実力的にアリアが上だとしても、正々堂々と勝負するのがマナーである。しかし、探検隊……否。元ギルドメンバーとしては、これに応じる他ない。ギルドマスターの弱味を握られるのは大変よろしくないのだ。これがノウツなら、慌てながらミユルとの交渉に応じてしまうのだろう。
『るー、おことわりしたら、どーなるのー?』
『何されるか分からんの。この娘、そこそこ怒っておる』
その感情は正当である。愛情込めて作った作物を誰とも知らず相手に盗られ続け、その犯人を知りながらも黙っていたのは理由があるにせよ、こちらである。
プリン本人はバレたとしても、何とも思わなそうである。何か言われ、咎められたとしても、あっけらかんとしているのが容易に想像できる。が、プリンはそうでも、関係者からすれば笑って済ませられる話ではない。
様々な葛藤の末、ラルは大きく溜め息をつき、大きく飛び退いた。ラルが距離を取った
『るー?』
「……いいよ。取引成立だ」
「ありがとうございます、会長さんっ♪」
嬉しそうに笑うミユルに、雷姫は呆れたように息をつく。
『ほぼ私情だろうに』
『てぃーにはないしょする!!』
「内緒。……うん。よろしく」
思わず、雪花の言葉に返答してしまうが、これはミユルには聞かれていないらしい。
「それで? 何をすればいいの?」
「ほんの少しでいいので、アリアちゃんの手綱、会長さんに握ってもらいたいんです」
「…………えっ」



~あとがき~
もう少しで……もう少しで終わる……はずだ。

次回、ミユルの作戦に乗ると決めたラル。そんなラルを味方につけたミユルの策とは……?

ここでセカイイチ問題が引っ張り出されるなんて思わなかったでしょう。私もです。単なるネタ的な奴だと思ってました。裏でどうにかしてるもんだと思ってたよ!!(笑)

ではでは!