satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第109話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらとする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、長かった剣技大会が終わりました!! うおぉぉー!!!
今回は休日回です。だらだらっとしますよー!
特にこれ!! という話はありませんが、ゆるっとご覧くださいな。


剣技大会後、初の休日。晴れた日の午後。そんな日はのんびりお家で過ごし……なんて、そんな休日だったらどんなによかったことだろう。
私は今、フェアリーギルドの二階。関係者専用エリアにある会議室にいた。ギルドメンバーと立ち入りを許可された人が入れる場所だ。
この場には数人のギルドメンバーが集まっていた。全員がこの場にいるわけでもなく、仕事があるとかで堂々と休んだ……いえ、やむなく休まざるを得ないメンバーが多数。まあ、これに全員が集まる必要性はないから、何かと理由をつけて欠席するのが利口かもしれない。
議題は『先日行われた剣技大会でスカウトする人材がいるか否か』である。
ギルドメンバーから卒業したはずの私がこの場にいる理由が謎だと思うが、私自身も理解していない。
今日、ティールと仕事行くつもりだったんだけどな……結局、ティール一人で行かせてしまった。大丈夫だろうか。
「……で、どう思う。お前達」
私が相棒の心配をしている横でノウツが切り出した。この質問に対し、ひまっちが口を開く。
「大会といえば、ラル、珍しく頑張ってましたわね! 剣技大会で真面目に戦ったの、初めてじゃありませんこと?」
ノウツの話はガン無視なひまっちである。
ひまっちこと、ヒマワリはギルドの先輩であり、女性探検家の一人。オレンジがかった明るい黄色の髪をバレッタを使って、綺麗にハーフアップでまとめている。ちなみに、探検に行く際は、髪をお団子にしている。
ひまっちの言葉に私は軽く考える。
出るつもりがなかったのに、なぜかゲスト参加として出場した今年の決勝戦。過去二回、大会自体に出るには出たが、どれもこれも人様に話せるような成績は残していない。そうしたのは私自身でもあるけれど。
「そうだね。ちゃんと戦ったの、初めてかも」
過去はワンパンもいいところだったし。
私の回答にガタイのいい一人の男がため息をつく。
こちらも私の先輩で、名前はドーム。ひまっちと同じく探検家の一人。薄い紫色の短髪に鍛えられた筋肉を見せつけるが如くのタンクトップ姿。彼がギルド内にいるときの仕事は警備員兼、号令係もとい、起床号令(目覚まし時計)係である。
「過去の対戦相手に謝れ、お前さんは」
「うるっせ。一年は途中で会長に捕まって、したくもない仕事させられて! 二年は自分が仕事に追われて試合どころじゃなくなったの! 被害者なの! 基本的にな!?」
「ラルって、他人を振り回す傾向がありますけれど、それ以上に他人に振り回されてますわね……」
「因果応報なのかもしれないな」
この場にいる最後の先輩、ダグ。坊主頭のお父さんで探検家のはずだが、私は彼が仕事に行く姿を見たことはない。基本、ギルドに常駐組として、依頼書の更新や整理を行っている。
「因果応報って、私が損してない? 他人に振り回されてる率が高いんでしょ?」
「そうですわね」
「ガハハ! それくらいがちょうどいいわい!!」
マジかよ。
私を含め、誰も彼もノウツの話は忘れて雑談タイムである。
「お前達ぃぃぃぃ!!! 真面目に話す気があるのか!? これは! 我がギルドの未来に! 関わる話し合いだぞ!?」
私達のいい加減な態度に耐え切れなくなったノウツが机をバンバン叩きながら、軌道修正を図った。無理矢理ではあったが、とりあえず意識が本来の議題に戻る。
私達はお互いの顔を見合わせ、数秒だけ考える。今回の剣技大会において、勧誘したいと思った生徒がいたかどうか。
その答えはすぐに出た。
「そうは言いますが、ノウツ。この会議で誰かを勧誘しようって結論になった記憶がありませんよ。不毛ですわ、この会議」
私も高校に上がり、これに無理矢理参加させられているが、「よし!! ○○を勧誘してみようか!」と、まとまった試しがない。いつもいつも、あーでもない、こーでもないと無駄に時間を費やし、出る結論が「呼ばなくていいんじゃね?」である。これを不毛と呼ばずに何と呼ぶ。
ひまっちの直球な意見に、ドームも頷く。
「そうだそうだ! 勧誘せんでいいって言い出すのはいっつもお前だしな!」
「うぐっ!?」
「それに、今年は親方様が不在のまま大会は実行されただろう。仮に見極めるとして、誰が決めるのだ? ノウツ、お前か?」
「ぬ……」
無理だろう。ノウツは来賓の方々のお世話で右往左往していた。人材探しなどやる暇なかったはずだ。
三人からの総ツッコミにぐうの音も出ないノウツが、ちらりとこちらを見る。それと同時に嫌な予感がした。
「ど、どうなんだい。ラル。今年の生徒は……?」
はい、出ましたー! 去年も見た同じ展開!!
「毎回毎回、私に聞かないでくれる? こうやって出したところで没にするだろ! あれ、結構空しいからな!?」
「ギルドの繁栄のためだ! 意見を聞くことの何が悪い!?」
「繁栄!? 十分すぎるくらいに繁栄しているだろうがぁぁ!! まだするの!? 大儲けしているくせに!?」
フェアリーギルドの収入源は、ギルドメンバーが達成、或いは私のように卒業した探検家、探検隊が達成した依頼報酬の一部が主ではある。が、所属していない探検家、探検隊からは依頼紹介料を少々いただいているし、併設されているカフェの収入もまるっとギルドのもの。ギルド内に完備されている施設も、お金を払えば誰でも利用可能で、ここからの収入もある。さらに、ノウツや親方は教師の給料だってある。
これ以上、何を望むのよ。この音符は……!
「人材育成も立派な優先業務だろうが!!」
「根底にあるのは金儲けでしょ! ノウツから育成されたなんて思ってませんし!? 金の亡者め!」
「そんなわけがあるか!! ええい! いいからさっさと言え!!」
くっそ~……まあ、いい。私が言えることは一つだけなのだから。
「今回は参加人数が多すぎる。私も参加者全員把握していないし。それに、予選ルールも個々の実力が見にくい構造だったからね。会場にいたなら別だけど、生憎、私は裏にいたんで」
会場内の警備をして、上からリングを見下ろしていたティールならもしかしたら見れたかもしれないが、手元に全参加者リストを持っているわけでもあるまい。彼もまた、把握していないだろう。
「それなら、予選通過者は?」
ようやく真面目な話をする気になったらしいドームからの質問が飛んできた。しかし、彼の質問に対しても言えることは一つだけ。
「見込みなし。……実力がないって話じゃない。単純に探検隊に興味のある子がいないってだけ。方向性の違いってやつですねぇ」
私の知る中でも、シエル君はすでにギルドに加入しているらしいし、ユーリ君も進学希望だとか。他メンバーのことは知らないけれど、アラシ君やレオン君も興味があるようには見えない。これはミユルちゃんやアリアちゃん、セジュ君にも言えることで。
「……あぁ、でも、キーくんならワンチャン」
「キーくん?」
ノウツ以外の三人が首を傾げる。誰それ、みたいな反応である。今更だがこの三人、試合を真面目に観てないな。
「イツキ・カグラっていう二年。生徒会役員の一人で探検家志望の男の子」
「イツキ・カグラ……あいつかぁ」
「にひひ。キーくんも問題児だからにゃあ~? んま、通過者の中で唯一の探検家志望の人材よ。まだ二年だけど、実力は私が保証してあげる」
キーくんがどんな人柄なのかはノウツもよく分かっているだろう。なんせ、生徒会役員で、しかも、私が仲良くしている後輩の一人だ。知らないはずがない。
「私から言えるのはそれだけ~! 以上! 解散っ!」
頭を抱えて動かなくなったノウツは放置し、私達四人はさっさと部屋を出る。
恐らく、今年も「誰も呼ばなくていいんじゃね?」という答えに落ち着くことだろう。そうでなくても、私が困るような事態にはならないため、どうでもいいんたけれど。
仕事があるというドームとダグとは別れ、私とひまっちは休憩がてら、─といっても、二人ともこのあとに仕事という仕事はないけれど─ギルドに併設されているカフェへと行くことにした。



~あとがき~
休日回くらいは短く済ませたいなと思いつつも、無理だと悟る私でした。

次回、まだ続きます休日回。

誰が誰なのか分かりますかね。まあ、分からなくても大丈夫。それはそれとして見てくれれば大丈夫なので!

ではでは!