satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第110話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのほほんとする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ギルドメンバーの一部を紹介しました。必要かどうかは分からない。まあ、休日回なので、好き勝手します←?


ギルドが運営するカフェへと行き、二人して好きなドリンクを頼む。ひまっちはミックスジュースで私はアイスティーだ。ついでにと言わんばかりに小さなカップケーキを一つずつ受け取り、席につく。
「はー! ノウツってば、ここぞってときに決められない人だから、あれから夕食までは悩むでしょうね~? その間に手をつけられたらおしまいなのに」
「キーくんの話? あそこではあぁ言ったけど、多分、今はどこも入る気ないよ。キーくんは」
高校生でギルドに入門している人は少なからず存在しているが、学校という教育機関に通っている以上は『学生』である。ある程度の制約は存在するのだ。キーくんの性格上、やるからには思い切りやりたいだろうし、あれはいいけど、これは駄目なんて環境が続くと爆発しかねない。
「卒業後なら来るかもね」
「あら。それなら、卒業後を楽しみにしていようかしら♪」
ほ、保証はしないけど。
「剣技大会もそうですけど、最近、どうですの? 学校は」
「ひまっちは私のお母さんか! 最近ってふっつーよ。……あーでも、イグさんの弟君とお知り合いになったり、理事長の娘様と仲良くしたりと色々あったよ」
「ラルの人間関係がどんどん広がっていきますわね。怖いくらいに広くありません?」
ひまっちの質問にアイスティーを飲みながら考える。……そうでもないと思うのは私だけ、なのだろうか。
「まあ、いいですわ。……ラル」
「んー?」
ひまっちの瞳の奥がキラリと光る。これはあれの話をする合図みたいなものだ。
「ラルももういいお年頃ですわ。……何かありませんの? 恋の一つや二つ!」
恋を二つも三つもやってはいかんだろ。
「そっち方面はなんもないよ。残念ながらね」
「まあ!? ティールと丸四年も一緒に住んでいて、なんにもないのですか!?」
何かあったら事案だろうが。
「何かあってほしかったの?」
「もちろん! 一国の王子様に恋する乙女……しかし、これには身分の差という大きな壁が存在していますの。いけないと思いつつも、二人は愛を深めていくのですわ……キャー!! 青春ですわ! 愛ですわ!!」
うえ。ひまっちの病気が始まったよ……
どこかロマンチックな展開を夢見るひまっちは、こういう、ごくありふれたおとぎ話にときめくのだ。王子様と町娘が結ばれる……みたいなやつ。きっと、いつか白馬の王子様が迎えに来ると信じて疑わない質なのだ。

しばらくの間、ひまっちの王子様談義を黙って聞き、シンプルなプレーンのカップケーキを黙々と食べていた。小さなカップケーキはすぐに食べ終わり、私は仕方なくアイスティーをちびちび飲んでいた。
「……聞いてますの!?」
私のアイスティーが残り四分の一程になったとき、ひまっちの疑うような声が響いてきた。彼女の言う通り、大して聞いてはなかったけれど、それを素直に言うほど、私は馬鹿ではない。
「聞いてるよぉ……言っとくけど、そんな講義されたって意味ないからね? 私とティールはそんな関係じゃないもん」
「本当ですの?」
疑うようなひまっちに、私は少しだけ考える素振りを見せる。はてさて、どう答えようか。
「友達以上恋人未満なの、私達は。それを嘘だとか言われても、嘘じゃない証明はできない。だから、ぶっちゃけどう思ってくれててもいいけど」
私のさっぱりとした答えに、ひまっちはぐっと言葉を詰まらせる。
「で、でも、ティールを思う不届きものはいるかもしれませんよ? ほら、よくあるじゃない。校舎裏に呼び出して~……ってやつ!」
ティールに? 今はあんまり。一国の王子ってのがバレてからそういうのはぐっと減った」
中学の頃、ずっとひた隠しにしてきた『王子様』というステータスが、高校入学してからあっさりバレて─外部入学者やティール自身の公務が若干増えてしまったのが原因─からは、周りの女子の判断は敷居が高いと認定された。その認定のお陰で、下手に告白する女子達はいなくなった。
「んでも、未だにラブレターは貰うみたいよ。どうしようって毎度困ってるから」
「捨てなさいな! フォースは!?」
「フォース君は一回読んで即破棄。呼び出しにもほぼ応じない。待ち伏せされて、ようやく告白受けるけど、即お断り」
「潔いですわ……逆に女の子に同情してしまうくらいには」
まあ、フォース君には可愛い彼女……もとい、奥さま(霊体)がいるからね。事情を知る私からすると、仮に迷うのも男としてどうなのって感じだもん。フォース君みたいな態度の方が鈴流さんも安心するというものだ。
「ラルはないんですの?」
「ラブレター? 告白?」
「両方」
「どっちもあるっちゃあるけど、ラブレターの方が……まあ、頻度高い……かな。今、私の脇をイケメン二人が固めてるからさ。早々ないよ、告白なんて度胸のある行為をする人は」
「ラルって高校入ってからティールかフォースのどちらかは同じクラスにいるんでしたっけ? そりゃあ」
「一年はフォース君、二年はティールとだね。……あ、今はないけど、ある女子達から恨み妬みのこもった愛のメッセージももらった経験はあるね」
「ふぁ!?」
ひまっちの反応に言ってなかったのか、と気づく。言わなきゃよかったかなと思いつつも、言ってしまったものは取り消せない。仕方がないので、最後まで話すとしよう。
「高校入って少し経ってからね。あ、大丈夫だよ。すぐ特定して、彼女らとはかたぁい誓約交わしたから。私個人に攻撃ならともかく、他にも被害いきそうだし? 悪い芽は摘んでおくに越したことないからにゃあ~♪」
「ラル、今、すっごく悪い笑顔してますわよ」
うん。知ってる。
一度、落ち着くためにひまっちはミックスジュースを一口だけ飲んだ。そして、何かに気づいたのか、はっと顔を上げる。
「……私、ラルとティールがくっつけばという話をしていたのに、なぜモテモテな貴方達の話になっているんですの……?」
「さあ。成り行き?」
「羨ましいですわ! 私もほしいわ。彼氏!」
「ドームと付き合えば」
「はあ!? ご冗談を! あんなガサツな適当男のどこがいいの。あり得ませんわ!」
喧嘩するほどなんとやら……なんて、言うとさらにヒートアップしそうだから黙っていよう。
「このギルドにはいい男がいないんですよ」
「じゃあ、うちのティール君あげるよ」
「いりませんわ……私となんて不釣り合いですもの。というか、ティールにはラルがいますもの」
違うっつてんだろ。
速攻でフラれたティールの他には誰かいただろうか。いやまあ、男性はいるにはいるが、きっとひまっちのお眼鏡に叶うお方はいないのだろう。
「イグニースさんみたいな好青年がいいですわ……それか、フォースみたいなクール男子……」
「どっちも相手がいる例を挙げて……好青年ねぇ……ディグとか。クール男子は……クルがいるじゃん。その辺だよ」
ディグはダグの息子くんでギルドメンバー。クルこと、レックルはギルドの道具管理を請け負うメンバーの一人。要は身内だ。
「ディグとは年離れすぎてますし、レックルは何考えてるのか分からないから無理!」
我儘だな。いやまあ、確かに、ディグは冗談だったけれども。
「……あら? あそこにいるの、ティールじゃない?」
ひまっちに言われ、後ろを振り向くとギルドの総合受け付けにティールの姿がある。地味なカーキー色のポンチョをすっぽりと被った、探検隊スタイルその一である。
というか、朝に出掛けたティールが帰って来れるくらい、ここにいたってことになるのか。



~あとがき~
多分、これで半分? いかないくらいかな? 展開的な意味では。

次回、休日回続く。

モテモテな三人。
その中でも二人のイケメンを従える(?)ラルはラルなりの苦労があったみたいですね。彼女からすれば、苦労でも何でもないかもしれませんが。
ちなみに。即特定した理由は彼女の『じくうのさけび』によるものです。ずるいね!←

ではでは!