satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第118話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃちゃしてる話です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
お昼食べようってところで、誰かいるぞ……? 誰だ!? というところで終わりました!
別に変な話ではないんで、楽しんでってね!!
ラル「どういう繋ぎ……?」


私の言葉にティールは少しだけ真剣な顔をして、タンクをじっと見つめる。が、誰なのか分かるはずもなく、立ち上がって肩をすくめる。
「誰かって誰さ。誰も入れないはずだし、ラルが鍵を開けるところをぼくら見てるんだよ。……まさか、侵入者だって言うの?」
「それはねぇだろ。とあるお兄様の事件で、セキュリティがこれでもかって厳重になってんだ。誰かが入るなんてあり得ない。……そうだろ、ラル?」
まあ、そうだろう。私達と校長、理事長まで巻き込んで警備体制を一新させたのだ。それを短期間で破られては意味がない。生徒会の名折れである。
「確認した方が早いか。ティール、行ってきてよ」
「うえぇ!? ぼく!? なんで!」
だって……ねぇ?
頼りになるフォース君は、上履きを脱ぐのが面倒なのか足を地面の方に向けて座ったままだ。立ち上がる気もないのだろう。
それを無言で見て、再び給水タンクのある方を見た。正確には、それに上るための梯子を見る。
「大丈夫だって。ティールは強いから」
「やだよ! ぼくがお化けとか苦手なの知ってて言ってる!? 見てきて何もいなかったら怖いじゃん! ぼく、見える人じゃないんだよ!? 君らと違って!!」
お化け怖いとか女子か。
こんな真っ昼間からお化け騒動などあり得ないとは思うが、それはこちらの固定概念でしかない。昼間から、健気に働くお化け様もいらっしゃるかもしれないのは、確かに否定できない。
そして、ティールに霊感がないのも事実。実際、霊体の鈴流さんも見えないのだ。見えないのが当たり前かもしれないけれど。
「しっかたないなぁ……じゃあ、私が─」
ティールお前、女子に行かせるの? 梯子だぞ? マジで?」
私達を見上げていたフォース君が、にやりと笑いながら割り込んできた。自分は行く気ないくせに、この問答に何の意図があるのだろうか。
フォース君の言葉にティールは、観察するように私の頭の先から爪先までじっと見てきた。そして、何かに気づいたのか、少しの焦りを見せる。
「……あぁっ!? くそ。そういうことか! フォースは本当に狡いよね!」
それを言い残すと、足早に給水タンクへと駆け寄って行ってしまった。全く意味がわからない私は首を傾げるしかなくて。
……なんなんだろう?
「お前、女だって自覚したら? ワンピース着てんだから、分かるだろ」
「……は? んー……?」
フォース君に言われ、だぼついているカーディガンの袖から手を出し、ワンピースの裾をちょんっとつまみ上げる。後ろを見たり、くるりと回ってみたり。しかし、変なところは特にない。
「……どゆこと?」
「真面目モードだとほんと自分は二の次なのな? 察しろよ。下手したら見えるだろ? いやまあ、タイツ履いてるけども」
「…………!? 変態っ!」
ここまで言われてようやく気がついた。そんなこと考えてたんか、この馬鹿フォースめ!!
ほぼ勢いに任せて足技をかますものの、そこは実践経験ナンバーワンのフォース君。ひらりとかわし、またもやにやりと笑う。
「だぁから、スカート履いてんの忘れんなっての。おれにそんな趣味はねぇよ~♪」
「くそ! ムカつく!」
いつか絶対に斬ってやる!!
「わあっ!?」
雷姫を呼び出す手前まできていたところに、ティールの驚いたような声が聞こえてきて、我に返る。ついフォース君とのしょうもないやり取りに気を取られていたが、ティールをタンクへと向かわせていたのを忘れていた。
私も給水タンクへ近寄り、梯子に足をかけたままのティールに呼び掛ける。
ティール! 大丈夫?」
「あ、う、うん……大丈夫。……ねえ、なんでこんなところにいるの? 話聞かせてくれる?」
ふむ? ティールが話しているということは、お化け様ではないのか。それは一安心……と言っていいのだろうか。
「……あぁ? この気配って」
ようやくやる気になった─というか、立ち上がる理由ができたから、ついでに近寄ってきただけだと思うけど─フォース君が首を傾げながら、気配を辿る。どうやら、この気配に心当たりがあるらしい。つまり、うちの生徒……?
「……って、そんな嫌そうな顔しないでくれるかな!? こっちは問答無用に生徒会権限を使って、君を処分したって問題ないんだからな」
……なんとなく拒否されているみたいですな。
しかし、すぐにティールが梯子から飛び降りてきたから、上にいる人物は渋々了承したらしい。
そして、ティールに続くように飛び降りてきたのは、私達が知る人物だった。
青い髪をポニーテールにまとめ、ジャージを羽織り、何やら食している人魚族の女子生徒。
アリア・ディーネちゃんである。
「な、なんでアリアちゃんが……?」
私の後ろでは、フォース君のため息混じりの「やっぱりか」という呟きが聞こえてきた。
「えぇっと……とりあえず、あっちでお話いい?」
こくんと無言で頷くアリアちゃんを、少し離れたところに寂しく設置されたレジャーシートへと案内した。
私達は上履きを脱いで、円になるように座り─と言っても、フォース君は脱ぐ気もなく私達に背中を向けているが─、ようやく昼食タイムである。
「あ、あの、アリアちゃん? なんでここに? 立ち入り禁止エリアですけど……?」
私の隣で相変わらず、もぐもぐしているアリアちゃんに遠慮がちに聞く。無視覚悟ではあったのだけれど、そんな心配は無用だったらしい。アリアちゃんは食べていた何かをごっくんと飲み込むと口を開く。
「ん……学食食べたあと、よく来るよ。……誰もいないから、静かだし。……鍵は持ってないから……窓から出て、壁伝いに登る」
「あっぶなぁ!? アリア!? 駄目だよ、そんなことしちゃあ!」
真面目なティールに、アリアちゃんはちらりと反応を見せるものの、特に返答はしなかった。何言ってんだ、みたいな感じである。
……というかだ。
「アリアちゃん。話する前に確認いい? 私とこいつはこの前戦ったから分かる?」
私の言葉にアリアちゃんはちらっとフォース君の背中を見て、こくんと頷く。
「ん。分かる。……ラルとフォースでしょ?」
「その節はどーも、ディーネさん」
「じゃあ……こっちは知ってる? 大丈夫だよね??」
次に私はぎょっとしている自分の相棒を指差した。再び、こくんと頷くアリアちゃん。
「……ん。生徒会の人、有名人だから。……ティール、だよね?」
「よかった。なら、いい」
「ええ!? そこから!?」
いやぁ……その、反応薄くって……心配で。それに、そこまで関係築いてなかったもので。
けどまあ、侵入者やお化け様じゃなくてよかった。
「ア、アリア? もっかい言うけど、壁伝いにここまで登っちゃ駄目だよ?」
こほんと咳払い一つしたティールが、アリアちゃんに言い聞かせるように話しかける。が、それは彼女にあまり響いていないらしく。
「……でも、ここに行きたい」
「立ち入り禁止だってば!!」
あ、これ、しばらく続くな。
私は買ってしばらく経ってしまったお弁当の蓋を開ける。一緒に入れて貰ったスプーンの封を開け、一口だけ掬う。少し冷めてしまっているけれど、ホワイトソースとチーズのコンビネーションが抜群で、ホワイトソースに負けずに、ほんのり風味の残るきのこもアクセントとなっている。流石、クレアおば様。とても美味である。
「……何。購買の弁当なの?」
どこから取り出したのか、紙パックのジュースを飲んでいたフォース君がきのこのドリアを見下ろす。
「アホ狐が弁当のおかずを食らい尽くした」
「……そりゃ、災難で」
ほんとだよ。
あれこれ言い聞かすティールだけれど、アリアちゃんの耳には届いていないらしく、気にする様子もない。そんな彼女は、学食で食べてきたと言っていたにも関わらず、袋から一つのパンを取り出した。鮮やかな狐色に焼いた一般的な菓子パン……だろうか。いやでも、どこかで見た気が。
それを見たティールはぴたりと動きを止める。ただアリアちゃんの持つパンに視線が注がれていた。
「ア、アリア……それ、そのパン……それえぇ!!??」
ティールの絶叫の中、アリアちゃんはパンをぱくっと咥え、美味しそうに頬張る。
「……ティール、怖いよ? 情緒不安定なの?」
「ラルに言われたくない!! っていうか、アリアのパンを見たら不安定にもなるだろ! あれ! それ見て! 分からない!?」
いやぁ、分からねぇっす。見たことある気はするけど。ぽんっと出てこない。
「……これ?」
「そうっ!!!」
一口食べたパンをずいっと差し出すアリアちゃん。そこからはりんごの甘い匂いがほんのり漂ってきた。りんごのジャムパンだったらしい。ん……りんごの……?
「あ……幻のジャムパン?」
週一の数量限定(五個限定)のパンか。
学食にも行って、それも買ってるんだな。まあ、順番的にはジャムパン買って、学食来て、ここにいるんだろうけれど。本人は何とも思っていなさそうだが、アリアちゃんのお昼、忙しすぎない?
「? そんなことは、ないよ。……僕、いつも五個買ってる……毎週の楽しみ……♪」
……いつも、ご購入されているらしかった。
「……あ? 五個? 元々、五個しかないんじゃなかったか?」
そういえば、そうか。しかし、アリアちゃん以外にも買っている人達はいる……つまり、間違っているのはこちらの認識。
「つまり、アリアちゃんが毎回五個買っているから、いつの間にか本来の十個じゃなくて、半分の五個しかないって情報が流れてるんじゃないかな……?」
「なるほどねぇ……とんでもねぇな、お前」
「?」
分かっているのか、いないのか。きょとんとしているアリアちゃん。まあ、この生徒数だ。五個も十個も大差ないけれど。毎週、チャレンジしているティールですら、ほぼ手にできないパンを毎回ゲットしているなんて、欲望と言うものはある意味、偉大である。



~あとがき~
今更ながらに、今週の投稿間隔、変なことになっとることに気づいた。謎の三日連続投稿……あっれぇ?? まあ、レイ学更新は週三っす。つまり、今週はこれで終わりっす。

次回、四人の昼食は続きます。

ラルとティール、フォース三人の茶番、久しぶり過ぎひん? 前回も一応はあったけど。
いやはや、楽しかったです。やっぱり、あの三人はいいですな。(自画自賛
自キャラだから、好き勝手できるしな。
アラシ君達一年組も好きだし、生徒会幼馴染み組の三人も好きなんですよ。これからも書いていきたいですね!

ではでは!