satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第120話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのびのびする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
アリアちゃんとともに合宿やらないか!? ってなってるところです。はたして、どうなるのか。
ようやく半分ですが、ここからさらにどれだけかかるのか検討もつきません。私もネタぶっこみやめないしな! 長くなるぜ!!
ラル「誇らないでよ。まだまだやることあんたからな!?」
それな!! まだまだ序盤なレイ学! 今回で120話です! これからもよろしく!!


晴れやかな青空の下、私達は自然豊かな山へと続く入口前にいた。穏やかな森林浴に来た……わけもなく、学園指定のジャージを着て、過酷(?)なサバイバル合宿の幕開けの日である。
必須科目だから、やむ終えない理由で休むなんてことがない限り、冒険科三年全員がこの場にいるはずである。学園の裏山は広いけれど、獣や魔物の数は足りるのかと心配してしまう。……まあ、いらん心配か。
「絶好の合宿日和だねぇ~♪」
天候のチェックをし終え、後ろを振り向くと今回のチームメンバー達が控えていた。
「うわ。……まぶし……帰りたい……」
「ちょ、フォース! 座ってないで立ってよ。点呼始まるんだから~」
いつもにも増してやる気のないフォース君を、どうにかこうにか動かそうとするティール。そして、その二人からちょっとだけ離れた位置に立ち、もぐもぐと、どこで手にしたのか不明の果物を口にする少女。
「……おしい♪」
皆様ご存じ。大食い少女、アリアちゃんである。
つまり、メンバーは私、ティール、フォース君、アリアちゃんの四人。臨時パーティーを結成したわけだ。
「……ほーう? ラル達三人が組むのは予想してたが、ラルがアリアを選ぶとは思わなかったよ♪」
「あ、イグさん」
「先生な~?」
こんなときにスーツを着るはずもなく、こちらもジャージ姿のイグさん。何名かの教師が手分けして点呼を取りに来ているらしく、私達のところはイグさんが担当のようだ。名簿のようなものを見つつ、不思議そうに口を開く。
「これは興味本位で聞くけど、誘った理由は?」
「特別、理由なんてないですよ。たまたま、今回が四人一組で、あと一人が決まってなかった。どうしようか考えてたところに、アリアちゃんがいただけです」
私の理由を聞き、にやっと笑うイグさん。全く納得していないらしい。
「それは建前だろ。本音は?」
「ツバサちゃんから、狩りの名人だと聞いたので。楽になるかなぁと」
「素直でよろしい♪ ま、ラルのことだ。アリアの胃袋対策を怠るなんてあり得ないもんな。ツバサから聞いたんだろ?」
当たり前だ。まあ、今回の件があって、対策をツバサちゃんから聞き出したわけではないけれど。その対策どうのこうのよりも、誘うまでが長かった。
昼食中に話を振ったのがまずかったのか、何度も説明する羽目になるわ。相棒に手伝ってもらおうかと思ったのに、ジャムパン食べ始めたせいで使い物にならないわで、結局、お昼休み終わるギリギリまで話しまくった。
そこでようやく趣旨を理解した─満腹になったから、話を聞く気になったと思われる─アリアちゃんからの了承を得たのだ。それが三日前の話。
「その対策とやらをこっちは聞かされてないんだけどな」
「ん? そんな話した?」
「お前はパン食ってて、話聞いてなかっただけだろ。ポンコツ化しやがって」
「ご、ごめん……?」
りんごが絡むとお馬鹿になるからな。合宿の話よりも幻のジャムパンの方が気になっていたんだろう。
「ははっ♪ 大丈夫だって。いい加減に見えて慎重派のリーダーを信じろよ、お前らのチームメイトなんだからな~♪」
いい加減は余計だ。
ぽんぽんっと私の肩を優しく叩き、チェックが終わったイグさんは、また別のチームのところへと行ってしまった。
イグさんの背中を見送った後、私はあらかじめ用意していたある道具が入っている小さな鞄を取り出す。そして、それをアリアちゃんに差し出した。
「さて。アリアちゃんにこれ渡しとく。食材集め、アリアちゃんに任せたいって話はこの前したでしょ? 覚えてる?」
アリアちゃんはこくんと頷いてくれる。
「お、よかった。で、そのときに使ってくれたらなって思って」
渡されたアリアちゃんはもちろん、これはティールもフォース君も知らないものだ。
まず、このサバイバル合宿にはルールがある。決められた人数のパーティーを組み、ある一定期間、野外活動をする……みたいな。その合宿ルールの中に、事前に配られる夜営道具以外に私物を持ち込んでよいというものだ。もちろん、武器や魔具は例外だけれど。その私物は常識の範疇ならば、大きさも数も制限はなく、かなり自由度が高い。
自分お決まりのお泊まりグッズを持ち込むもよし。チームメンバーとの親睦を深めるためにパーティーゲームなんかでもよし。配られる道具以外に便利でハイスペックなキャンプ道具なんかでもよし、というわけだ。
そのルールに則り、私はこの道具を持ち込んだわけである。
「……! ラル……ありがとう……!」
中身をちらっと確認したアリアちゃんはすぐに使い道を理解してくれたようで、ぱっと顔を明るくさせ、私の手を握ってきた。これでもかと言うほどに激しく上下させたあと、大事そうに鞄を抱く。
「……なんだぁ?」
「ま、あれがツバサちゃんから教えてもらった『秘策』だよ。詳しいことは……始まってから分かる」
不思議そうにする男子二人に説明するのも面倒なので、後で分かるよという適当な返しをする。問い詰められる前に、遠くの方から集合の合図である笛の音が聞こえた。

集合場所には全生徒(冒険科三年)が綺麗に並んでいた。いつも思うがかなりの人数である。二百はいる……だろうか?
「多すぎ~……三年だけでこれだもん」
「これで冒険科だけだからな。ここに魔術科がいると思うと、単純に倍になるんだよね……?」
そういうことになるな。こわ。
人混み苦手フォース君はもうすでに顔を青くさせて、ふらふらである。
「……無理。マジで、無理……人多い。外もしんどい。無理……」
「頑張ってよ。この集合さえ終われば自由……というか、チーム行動だから」
「……無理」
もうこの人は無理しか言わないんじゃなかろうか。全校集会なんかでもこれ以上であるし、本気で人混みが苦手なのだ。人の気配や心の声に敏感な彼ゆえの悩みである。
『あー……オホン! 静粛に!』
拡声器を使い、大声で喋るのは音符……いえ、ノウツ教頭。こいつの場合、拡声器なんて使わなくても、後ろまで声が届くのではないだろうかと思う。
『これより、冒険科三年によるサバイバル合宿を執り行う! まずは校長先生から一言頂くので、皆は黙って聞くようにっ!』
あー……今回はいるのか。
と、思ったのもつかの間。ふらふらーっと出てきたプリン校長は、こっくりこっくりしている。
……いてもいなくても、変わらんわ。あの人。
「……寝てんのか、あれ?」
「寝てるね。流石、おやか……じゃなくて、校長先生って言うのが正解なんだろうか」
そうなんじゃないでしょーかね?
ぐぅぐぅ、というありがたぁいお言葉を話したプリン校長。そして、音符は何事もなかったように校長を後ろに下げ、事細かにこれからのことを話していくのだった。
毎回思うのだけれど、バレてるからね? 全生徒に知れ渡っているからね? 隠そうと平静を装われても滑稽にしか映ってないからね?
「……? アリアちゃん?」
静かなアリアちゃんが気になって、一番後ろにいるはずのアリアちゃんを呼び掛ける。しかし、返答はない。代わりにあったのは、フォース君の呆れ混じりの返答だった。
「……ディーネさん、立ったまま就寝中っす」
……マジで?
結局、音符の話が終わるまでアリアちゃんは─ついでに校長も─一度も目を覚ますことはなく、サバイバル合宿の幕が上がったのだった。



~あとがき~
ちょっと強引だったかな。まあ、ええわ……

次回、ようやく始まります。サバイバル合宿!

今回は大した見せ場もなく、盛り上がりもないような回になってしまい、申し訳ない……きっと、次回は楽しくなる……きっと……!

ではでは!