satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第121話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でやりたい放題する物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ようやく合宿を迎えることができました。今回から本格的に始まりますよー! いえー!!
まあ、大変なバトルとか、シリアスな展開はどこにもないです。いつも通り。わちゃわちゃしたレイ学です。安心してね!!
ラル「気を抜くと、すーぐ変な方向に持ってくもんね」
まじそれ。
今回はティール視点です。理由はそっちの方が面白いからです。


《Te side》
校長先生の……というよりは、教頭先生がサバイバル合宿の開始を宣言し、生徒達は裏山の入口へと吸い込まれるように入っていく。
まあ、それはぼくらもおんなじで、ラルを先頭にどんどん奥へと進む。並び順はラル、ぼく、フォース、アリアの順。理由は特にない。たまたま、この順番で入ったから、なんとなくこの一列で進んでいるだけ。
「どこで寝ても危なくないけど、いいとこ見つけたるよ~♪」
「水辺が近いと楽だよな。その辺りを探せ」
「分かってますよーっと」
ぼくを挟んで、ラルとフォースが野営場所についての話を進める。
ここの森は学園の管理下にあるせいか、獣なんかは住んでいるものの、人を襲うなんてのはない。こちらから攻撃すれば反撃はあるけど、獣からの先制攻撃は滅多にない。まあ、絶対ないとは言えないから、対策は必要だ。
ふと、無口なアリアが後ろにいるのか心配になって後ろを振り向く。話さないから存在感も薄いけれど、はぐれたなんてなったら大変だ。アリアの実力なら、一人でも大丈夫だろうけれども。
……なんて、思っていたけれど、アリアはしっかりと後ろをついてきていた。どこで拾ったのか、みずみずしそうなきのみを食べながら。
えーっと、どこで採ったんだろう……?
手当たり次第に食べられるきのみや果物をもぎ取り、片っ端から食している……ように見えた。
こんな女の子の食欲を本当に制御できるんだろうか。ラルは秘策があるとか言っていたけれど、ぼくやフォースはそれを知らない。
ラルを信用していないわけじゃないけれど、大丈夫……なんだよね? ね、ラル……?

山に入ってから一時間程、歩きっぱなしだっただろうか。ようやく、ラルのお眼鏡に叶う野営場所に辿り着いたようで、彼女が元気よく「とーちゃぁく!」と叫んだ。
そこはフォースの要望通り、近くに川があり、水には困らなそうな場所だ。ぼくらはテントを張れそうな場所に荷物を下ろす。そして、ぱちんっとラルが手を叩いた。
「早速だけど、役割分担しよう。準備組と食料調達組! 私とフォース君で諸々の準備してるから、ティールとアリアちゃんで食料調達よろしくっ!」
え……?
ずっときのみを食べているアリアを見る。アリアはぼくのことなんて見る気もないのか、目が合わない。
「あの、ラル? ぼくとアリアが?」
「うん。だってティール、料理できないじゃん」
ぐっ……や、まあ、そうなんですけどね……?
「メインディッシュの肉とかそっちに任せるよ。山菜とか果物とか、細々したのはこっちで何とかして、料理してるからさ。……ね?」
有無を言わせない圧を感じる笑顔を見せられ、ぼくは渋々頷いた。ラルの言う通り、そういう分担が正解なんだろうけれど。
ここに来て、ぼくと一言も話してくれないアリアとコンビって不安しかない。
「ラル。……焚き火用の枝、集めてくる……?」
「わあ! いいの? アリアちゃん」
「…………ん。いいよ」
「じゃあ、お願いします! アリアちゃんっ!」
……ぼく、置いていかれないだろうか?
「……まあ、頑張れ。ティール」
ぼくの心情を読んだのか、察したのか、フォースが慰めにもならないありふれた言葉をくれる。骨は拾ってやるみたいなテンションだ。
やめてくれ。縁起でもない!
ぱぱっと狩り用に鞄やいつもの武器を装備する。ここで嫌々してても、ラルが折れるわけもないし、フォースが代わってくれるわけでもない。ぼくとアリアとで調達に行くのが効率的なのは確かだから。
準備が終わると、にっこにこ笑顔で手を振るラルと、反対に淡々とテント設営をしようとしているフォースとは別れた。そして、ぼくとアリアは獣や魔物がいそうなエリアへと移動していく。
今度は二人並んで……はなかった。二、三歩後ろにぼくがいる。隣を歩く勇気はぼくになかった。
ただただ黙って山中を歩いていく。時折、足を止めては焚き火用の枝を拾い、粗方回収し終わると、再び獲物を探して歩いていく。……これの繰り返しだ。
「アリア、ここでも拾っていこっか」
「……ん」
テンション低めな返事が聞こえ、黙々と枝拾い。これでもかって拾っていくが、足りないよりはましって感じだ。なくなって取りに行くの面倒だし。
それにしても、だ。
アリアとの会話が本当にない。この前の屋上の件はまあ、話してくれた方だ。でも、あれはアリアが自主的に話したと言うよりは、こちらが促したから話しただけで、世間話はほぼなかった。
今日に限っては本当に会話をしていない。普段のアリアの受け答えも無言で頷くとか、首を振るとかそんなのばかりで。
いつも明るく話してくれるラルや、クールだけどそれなりに話すフォースが近くにいるせいで、この全く会話のない空気に耐えられない。しんどい。かなり、しんどいです……気まずいですっ!
『てぃー! もやもやーってしてうー!!』
『すいちゃとせっちゃがかいけつらー!』
ごめん。それは求めてない。
腰に帯剣しているスイとセツが能天気に話しかけてきた。アリアとの距離を確認して、ぼくは声を潜めつつ、こいつらの相手をすることにした。無視してもいいことがないからだ。
「お前ら、アリアといるときに話しかけられても答えられないんだから、黙ってて」
『えー? つらんなぁいー!』
……つまらない、な?
『だってだって、てぃー、おこまりかお! さみしーなら、せっちゃ、あいてするのら!』
「いらん。黙れ」
しんやつー!! てぃーのおばかー!』
しんやつ……? 辛辣か? 聞き取りにくいな。ちゃんと言葉の勉強、する?」
『むり! むかしからなので!』
『むつかしーことば、わからないから、やだ!』
辛辣とか使っている時点で、難しい言葉わかっていると思うんだけれども。
「…………ティール?」
「ぎゃあぁぁっ!?」
いきなり後ろから呼び掛けられ、完全に自分の世界に行っていたぼくは、情けないことに大声を上げてしまった。そんなぼくにアリアは気にする素振りもなく、じっとぼくの剣を見つめていた。
「な、何……? どうかした、の?」
「それ」
と、指差したのはやっぱりぼくの剣達で。
「? ぼくの、剣がどうかした?」
「この前…………ラルが使ってた……気がするけど。……それ、聖剣……? 海の国の」
『すいちゃだよ!』
『せっちゃだよ!!』
「おまっ……勝手に!」
ぼくが答える前に、スイとセツが元気よく挨拶をする。アリアに聞こえていなかったら、意味がないんたけれど。
「…………やっぱり」
やっぱり?
ぼくが不思議そうにしていたせいだろうか。アリアが屈みつつ、スイの柄をつんっと触りながら口を開く。
「僕の親戚に……海の国の出身の人がいるから」
「あ、いや、そうじゃなくて……聞こえてるの? こいつらの声」
「……ん」
『ほわぁぁ!!』
『なかま! なかまー!!』
仲間ではない。絶対に。
アリアに声が届くと知り、嬉しくなったのだろう。スイとセツがそれぞれ液体と冷気に姿を変え、アリアの周りを囲い始める。それをアリアはじっと興味深そうに見つめていた。
「スイ! セツ! やめろ、迷惑だからっ!」
「ん。……大丈夫。気にしないよ……?」
いや、そうは言うけど……!
『んあぁぁー!! せっちゃ、しってう! このけらぁい!!』
誰が家来だ!? 誤解を招く言い方をするな。恥ずかしいから!
「けらい?」
「ごめん。多分、気配って言いたいんだと思う。……セツ、お前がこの前吸収した氷の花、元々はアリアが作った氷だったの」
『なぁるほろ! つばちゃのこーりのはなは、あーちゃのこーりのはな!!』
「僕の……氷の、花?」
あ、覚えてないんだ。まあ、説明しても分からなそうだし、今はいいか……うん。
とりあえず、アリアの周りをぐるぐるするスイとセツを宥め、剣に戻す。戻したところで、スイとセツが大人しくなるわけではないけれど。
「……!」
クールな表情だったアリアが何かを感じ取ったのか、きらりと目が光る。
その目、どこかで見たような……?
『てぃー! けむくじゃらの、おにく!』
『おっきーの! おっきーけむくじゃらの、えものいるのー!!』
毛むくじゃらのおっきいの……?
裏山に生息しているのは、ワイルドボワが主ではある。が、スイとセツが大きいと呼称するなら、それはオウルベアの可能性が高い。オウルベアは頭はフクロウ、体は熊という中型モンスターだ。
『ほあー!! にげちゃう! てぃーたちのけらい、ばれたー!!』
『はーく! はーくしないと、るーにおこられりゅー!!』
……バレたの、お前らの声ってことはない?
ここでオウルベアを逃しても、他の獲物を捕らえればいいだけだ。深追いする必要はない。……ないんだけど。
「肉……!」
狩人のようにぎらつかせ、アリアは獲物を逃すつもりはないみたいだ。
ちらりとこちらを見たオウルベアはアリアの異様な雰囲気に飲まれたのか、ビクッと体を震わせた後、野生の本能だろう。強者から一目散に逃走した。
そんな強者は、オウルベアの後を追いかける。足場の悪い山中など無視し、木々を利用し、淡々と追い詰めていく。
「肉うぅぅぅ!!!」
いつの間にか大会でも使っていた銃剣を構え、オウルベアに銃口を向ける。目にも止まらぬ速打ちでオウルベアは呆気なく、ご臨終された。
この間、一分もかけていない。
「熊肉……鶏肉!」
うん……オウルベアは鶏肉ドロップしないから……鳥の頭だけども、ドロップはしないからね?



~あとがき~
ティール&アリアコンビ、珍しい組み合わせ。

次回、まだまだ獲物に突っ込むよアリアちゃん。
そんなアリアちゃんについていけるのか、ティールくん!(笑)

ティール視点だから「Te side」です。ティールの綴りは「Teal」ですね。色のティールからきてるので。間違ってない……はず!(笑)
なんで「e」までいれたのかってのは、まあ、ツバサちゃんも「T」だなって思って……?
今後、ツバサちゃん視点をやるかは分からないんですけどね!

変わらず、自分の相棒(剣)に厳しいティール。こういうティール、嫌いじゃない私がいます。

ではでは。