satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第127話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でサバイバルしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回のあれは気の迷いですかね。シリアス書きたい病が発症したんだと思います。定期的にやってくる。よくないやつ!!
しばらくは大丈夫。うん!!
ってことで、合宿編もラストスパート! やっていきます!
視点は戻って、ラルちゃんです。


閉じていた目をゆるりと開け、体を起こす。半分寝惚けたまま、テントから出た。
昨日はなんだかんだアリアちゃんと、天使(ツバサ)可愛い談義でかなり盛り上がった。主にツバサちゃんがやらかしちゃった案件を聞いていただけなんだけども。そのついでに、ツルギ君の話や、アラシ君とレオン君の巻き込まれとかも教えてくれた。
小さい頃からアラシ君とレオン君は苦労なさってますねって感想だ。なんでだろうね? そういう星の下に生まれてしまったのだろうか……
今の二人を見ると、レオン君は上手く回避していそうだが、果たしてどうなんだろう。今度、聞いてみようかな。
とまあ、大変盛り上がったために、アリアちゃんは未だに夢の国へお出掛け中だ。単純に朝が弱いだけかもしれないけれど、時間になれば起きてくるだろう。それか、叩き起こすしかない。最悪、引きずって下山しよう。
「ふぁ……んー……自然の中での目覚めはやっぱ違う……な?」
軽く伸びをして、ばっちり目が覚めた私が見たのは、木の影でぐっすり眠っているフォース君の姿であった。なぜか膝の上に丸まっているため、正確な判断はしかねるが、何やら小動物もいる。獣避けの術をかけてあったにも関わらずだ。
その姿を見て、思わず雷姫を呼び出し、構えてしまうものの気配は完全に獣のそれ。モンスターの類いではないらしい。それを確認して、警戒を解いた。それでも、一応、雷姫は帯刀したままだ。
「……たまに、フォース君と探検で野営すると、あの光景見るんだよね。動物に囲まれるみたいな」
『今時の、ぎゃっぷもえ、というやつじゃ』
そ、そうなのかな……?
彼曰く、“マインド”を使って動物とも意思疏通をしてしまうらしく、それが原因で囲まれていても不思議ではない。が、普段のクールな彼からは想像はできない。むしろ、鬱陶しいって毛嫌いしそうなのに。
『昔から、動物に好かれる質なのさ。小僧は』
「ふぅん……つか、テントあるんだからテントで寝ろ」
行事で、ある程度の安全が保証されているこの場所で見張り番なんていらないだろう。そう思って、昨夜は打診もしなかった。……が、なぜ、こいつは外にいるんだ。爆睡か?
『マスターと人魚娘が子狐の話で盛り上がっている間、隣は面白そうな話をしとったようだ。そのせいだろうな』
「雷姫の言う、面白そうな話はろくでもない話って相場は決まってるんだよ」
『ふん。マスターの天使がどうのよりは、幾分かましじゃ』
「天使が可愛いってのは、世界共通だって昨日言ったでしょ。まあ、いいや。とりあえず、雷姫は帰って大丈夫みたい」
『む? 小僧の寝込みを襲ってもよいのだぞ?』
「私はどこぞの暗殺者かよ。しないから、戻って。……さてさて、雷姫が面白がる話……まさか、喧嘩でもしたのかな?」
穏和なティールと、面倒を嫌うフォース君が喧嘩なんて想像できないが。……まあ、起こしてみれば分かるか。
私は雷姫を消し、眠っているフォース君に近づくと、肩をとんとんっと優しく叩いてみる。しかし、ぴくりとも動いてくれない。いつでも周りの警戒を怠らないフォース君が無反応なんて、あり得ない。これ、狸寝入りの可能性もワンチャンあるぞ。
「死んでんの? あ、ベタに目覚めのキスでもすれば起きる? おーい?」
これにも無反応。……じゃあ、しっかたない。
私は彼の耳元でそっと呟いた。……ちょっとだけ声を作って。
「早く起きないと、いろぉんなイタズラしちゃうよ? 大好きなフォース♪」
「……っ!?」
私の言葉にビクッと体を揺らし、思った以上の反応を見せた。本当に寝起きなのか、思わず反応してしまったのかは謎だけれど。
「おお~♪ 鈴流さんの物真似は効果覿面だね! よきかなよきかな~♪」
「……お前さぁ、誰にでもそういうことしてんじゃねぇだろうな」
なんて言いながら、私をじろりと睨む。そんな彼に私はにこりと笑った。
「するわけない。お前だけだよ、安心してくれ」
「安心できないけどね。おれが寝惚けてお前を襲っても文句は言わせねぇかんな」
かもしれない。が、そうなる前に雷姫からの鉄槌が下るだろう。現に雷姫が私の中でうるさいくらいに抗議している。捲し立てていて、全部は分からないけれど、とりあえず「小僧殺す」は聞こえた。
「……寝起きでもいけるの?」
「おれをなめてんの?」
そういう問題!?
「男はみぃんな、獣ですよ~……気ぃつけろよ」
「えぇ……まあ、うん。わかった? で、その膝の上に乗ってるのは……」
「川の近くで見っけた狐。湯たんぽだから、ぽんた」
狐にぽんたて……適当なネーミングすぎ……というか、狐ですけど!?
フォース君が軽く背中を叩くと、狐のぽんたは─めっちゃややこしい─フォース君の膝の上から飛び降り、丸めていた体をぐっと伸ばし始めた。黄金の毛並みでどこにでもいるような狐だ。しかし、この子、どう手懐けたのか気になる。
「夜釣り暇だから付き合ってってお願いした。その代わりに、釣りの成果を分け与える約束でね」
「そんなんでいいのか、ぽんた……」
私の呟きにぽんたは一鳴きして答える。それを読み取ったフォース君の通訳は。
「飯が貰えればなんでもいいって」
という、見事に野性的な答えであった。
そのわりには、フォース君の湯たんぽしたり、献身的ではあるが。
「まだ飯貰ってないから、媚売っとくんだと」
ご飯をくれるはずの本人目の前に正直な狐だな……? 発言には気を付けろ? 人は残忍な生き物だぞ。
「お前がそれを言うか。……さぁって、朝飯の準備すっか」
「おいーっす。そいや、夜釣りって言った? なんで?」
「おれの暇潰し半分、ディーネの朝飯半分かな」
なるほど? しかし、昨日のお肉も保存食として加工したはずだけれど。それだけじゃ足りない?
「減ってたぞ。全部は食われてないけど」
「…………マジ?」
「あいつ、夜中食ったんじゃないの?」
いやいやいや? 夜は私と一緒に話をして、ほぼ同時に寝落ち同然に寝たはずだ。そのあとにこっそり起きて物色したのなら話は変わってくるが。
昨日の出来事を逆再生のように思い浮かべると、とある場面で一時停止させた。テントに入って最初にアリアちゃんは何やら食べていなかったか? 私はよく見ていなかったけれど、おつまみみたいな、何かを。それが、加工したお肉だとしたら。
「……テント入る前に物色されてるぅ~」
「心当りあんのかよ。まあ、いいわ。食ったもんは元に戻らんし。……で、釣りしてきた」
なるほど。それはありがたい。
フォース君が釣った成果は、バケツに溢れんばかりのお魚達である。もちろん、すでにフォース君の手で下処理は済ませあるようで、とっくに命の灯火は費えている。
「前から思っていたんだけれど」
「ん?」
「フォース君って動物の言葉が分かるんだよね? それなのに、狩りとか釣りとか……やるんだよね」
「この世界は弱肉強食だろ?」
まあ、はい。そうなんですけど……良心は痛まないのですか?
「良心なんてとっくの昔に捨てました」
嘘つけ。嘘を。
「今はコントロールして、聞きたくないときは切ってるからな。別に何とも思わないよ。コントロール完璧にする以前も特に考えたことはない。狩る瞬間の断末魔的なそれがうるさいから、なるべく楽にできるように技を極めたんで」
せ、せんせー!! 暗殺者がここにいます……! 二人目です……! お助け……!
暗殺者二号は私の叫びなんて無視し、下処理済みの魚を手早く三枚下ろしにして、網の上で焼いていく。多分、狐用のだろう。
「全部、捌く? 面倒くさいから串焼きとかでよくない?」
朝からワイルドな朝食やな……まあ、アリアちゃんは気にしなさそうだが。私は気にする。
「私達の分は捌いて、残りは串に刺して焼こう。狐……ぽんたの分が終わったら、串刺し作業手伝って」
「OK」
野生では味わえない焼き魚をぽんたは堪能すると思ったら、贅沢な狐さんだなと思う。
「昨日、面白い話してたんだって?」
「面白くはないけど」
「雷姫が面白いってさ」
「……面白くはないけどね。ちょっと突っ込んだ話したたけ。それだけだから、気にすんな」
そうやって話すフォース君はいつも通りに見える。少なくとも、喧嘩別れしたとか、そういうものではなさそうだ。
「ふうん? 二人の関係が壊れるとかじゃないなら、聞かないよ」
「そこまで弱々しい絆は紡いでねぇよ……おれらはお前の無茶苦茶を回避するため、結構仲良くしてるんだから」
どういうことだよ。おい。
しかしまあ、冗談が言えるくらいなら、そこまで深刻ではないらしいと取れる。フォース君は嘘が上手いから、何とも言えないところはあるけれど。その場合、ティールの様子を窺えば問題はない。
ティール、嘘下手っぴだもんね~



~あとがき~
終わらん。

次回、朝ごはん食べる!

フォースは動物に好かれるようです。
あのクールな顔で猫やら犬やらに囲まれていたら、それはそれでシュールですね。今回は狐さんでした。

ではでは!