satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第129話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお休み謳歌してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、三年生による合宿! やって参りました! 今回からは休日回! 相方の考えてくれたやつです! やったね!!!
主役は大会から色んな意味で目立っているアリアちゃん。視点はラルです。


とある日の休日。私としーくんはギルドに行ってきた。理由は以前、ティールが成り行きで倒した魔物の群れの討伐成功報酬を受け取るため。ギルドに行く暇もなく、どこかなあなあになってしまっていたが、ようやく受け取りに来たという訳である。
まあ、報酬自体、届いたのが二、三日前、というのもあるが。
しーくんを連れてきた理由は特にない。家に誰もいないからという何でもない理由があったりはする。ここ最近、二人で出掛けることもなかったからか、ご機嫌なしーくんは周りにお花が飛んでいるんじゃないかってくらいに楽しそうにしていた。
天使、しーくんが楽しそうにしているのは何よりである。彼的にはティールもいて欲しかったかもしれないが、ティールはフォース君と仕事へ行ってしまったから、今日一日は帰ってこないのだ。
「ラル! きょうのおゆうはん、なぁに?」
ギルドからの帰り道の途中。屈託のない笑顔を向けて、無邪気に問いかけてきた。
……うん。あのね、しーくん、まだお昼前だよ~?
「だってね、きになったんだもん!」
そっか! それなら仕方ない!
「何でもいいけど、しーくんの食べたいものにしよっか。何がいいかな~?」
「ほあ! んとねー……じゃあ、ハンバーグ! ラルといっしょに、こねこねしたい!」
「そっか。んじゃあ、ハンバーグの材料買って帰るかなぁ……あー、昼……どっかで食べる? 家に帰っても何にもないし」
「たべてかえるの?」
「そだねぇ……あ。ともには内緒ね! こういうの、バレるとうるさいから、二人だけの秘密っ」
私が人差し指を立て、しーっとジェスチャーすると、しーくんも真似して頷く。
ほんと、一つ一つの動作が可愛くて仕方がない。もうね、しーくん、今日も可愛いよ!
しーくんと手を繋ぎ、どこかで食べるところないかなと探しつつ街中を歩いていると、中華屋のショーウィンドウ前に立つ、少女が目に入った。その少女にどことなく見覚えがある気がして、じっと観察をする。
青い髪をポニーテールでまとめ、シンプルなロングカーディガンと短めなデニムパンツ、そしてトレードマークである白のマフラーというファッション姿の少女である。中華屋の前で一点をじぃっと見つめているらしかった。
「……あれ、アリアちゃん?」
「? ラルのおともだちさん?」
「うんっとね……あ、こっち向いた」
私の呟きに気づいたのか、はたまた始末屋さんらしく、気配で察知したのか。くるっとこちらを振り向いたかと思うと、勢いよくこちらへと歩み寄ったかと思うと、がしっと肩を掴まれた。
「……ラルっ!! いいところに!」
「は、はい!? な、なんでしょう!」
元気一杯だな……これ、あれか。食べ物絡みか?
目を爛々と輝かせ、鼻息を荒くするアリアちゃん。そんな彼女だが、まだ周りを見る余裕はあるようで、私の影に隠れていたしーくんに気づいたらしい。目線がしーくんへと向き、不思議そうに見つめていた。
「……子供?」
すっといつものクールなアリアちゃんに戻った。なんかこう……温度差で風邪を引きそうです……精神的に。
「……? だぁれ?」
こちらはこちらで不思議そうにアリアちゃんを見ていたが、しーくんの方は少し警戒の色も見える。そりゃそうか。しーくんからすれば、いきなり現れた見知らぬお姉さんに私、掴まれてますもんね……
「えーっとねぇ……このお姉ちゃんはアリアちゃん。ママとパパのクラスメイトでお友達なの。変な人じゃないから大丈夫だよ」
しーくんを安心させるために私達を名前呼びではなく、『ママ』『パパ』呼びで説明してあげる。すると、納得したのかしーくんはパッと明るい笑顔に戻る。それを確認した私は、アリアちゃんに視線を戻し、いつも通りに話した。
「この子はしーくん……名前は雫ね」
「しずく……前にティールが話してた……気がする……?」
ティールがどこで話したのか謎ではあるが、聞き覚えはあるらしい。とはいえ、はっきりと思い出せないのか、しきりに首を傾げていた。
「しーくんのことは……話すとややこしいんだけど。チームの仲間というか、私とティールの子供というか……まあ、うん。そんな感じ」
「……二人の、子供? 確かに、ティールに……似て、る? 気もしなくはない……けど」
アリアちゃんは私から少し離れ、しーくんと目線を合わせる。記憶の中のティールとしーくんを見比べるかのようにじっと見つめていた。
確かにしーくんもティールも似たような髪色で、髪型も似ているためか、実の親子だと勘違いされることは多い。まあ、ティールの方が色は薄いし、毛先もぴょこぴょこしているのだけれど。
「いや、確かに似てるけど、血は繋がってないし、私は産んでないから。そもそも、私とティールは付き合ってもないからね?」
「……?」
こてんと首を傾げるアリアちゃん。どこか納得していない様子だ。
「ん~……話すと長いんだよなぁ」
事情が事情なだけに、あまり言い触らしたくはないのだが……アリアちゃんは勝手に話すような子ではないだろう。
「誰にも言わないって約束してくれるなら話すよ」
「……分かった」

しーくんとアリアちゃんにはすぐ側にあったベンチで待ってもらい、私はこれまた近くにある自販機で飲み物を適当に購入。そして、それを二人に手渡した。しーくんにはオレンジジュース、アリアちゃんは好みが分からなかったため、無難にお茶を差し出した。
「しーくん、アリアちゃんとお話しするからちょっと待っててね?」
「うん。わかった! ジュースのんでまってる!」
素直に頷いたしーくんの頭をそっと撫でると、アリアちゃんと目線を合わせた。
「私は……正確には私とティールだね。ここから結構離れた深海ダンジョン調査に行ったことがあったの。そのダンジョンの奥地でしーくん、雫を見つけた。そのときのしーくんは、産まれたばっかりの赤ちゃんみたいな姿だったけれど」
高校一年の夏休み、風の噂で新たなダンジョンが発見されたという話を聞き、私とティールは興味本位だけで計画を立て、奥地到達を目標に挑んだのだ。依頼があったからとか、誰かに頼まれたわけでもなく、ただそれだけである。長期休みだし、行ってみようくらいの気持ちだったのだ。
そして、そのダンジョンの奥地で見つけたのがしーくん。寝台の上にぽつんと置かれた揺りかごに寝かされ、誰がどう見ても無防備だと感じる状態だった。その場で、神の貢ぎ物とか、捨て子とか様々な考えが浮かび、放置することも考えなくはなかった。しかし、二人であれこれ話し合って、出した結論は『連れ帰る』であった。初心者探検家、探検隊が来るようなところではなかったし、大体、見つかって間もないダンジョンだ。どんな危険があるか分からなかった。保護という形で連れ帰るのが最善だろうと。
「連れ帰ったときはお世話になってるギルドの皆に色々言われたんだ。どうなるか分からないから元の場所に戻す方がいいとか、問答無用で施設に入れるべきとか言われたんだけど、なんだろう。手放す気にはならなくて……何か分かるまでは、私達が面倒を見るって宣言したわけ。でもね、しーくんが普通じゃないって気づいた」
「……普通じゃ、ない?」
「連れ帰った翌日にハイハイし始めたの。その次の日には不安定だけど歩きもしたし……最終的には一週間もしないうちに今とあまり変わらない姿になっていた。とにかく、成長速度が普通じゃなかったのよ。だからまあ……知り合いのお兄さんに相談して、出た結論は私達とは違う種族だろうって」
知り合いのお兄さんってのは、生命の神様と呼ばれるウィルさんと力の神に仕えるフォース君なんだけど……流石にこれは言えない。言えるわけない。
そんなお兄さん達曰く、ウィルさんと似たようなもんだろうと言われた。神様という立場上、詳しいことは何も言えないけれど、と付け加えた上で大雑把に教えてくれたのだ。
「つまり、人じゃない何かなんだろうなって。だから、私達よりも早く成長したんじゃないかと。今は一年に一つ年を取るみたいに成長してるみたいだけれどね」
ウィルさんやフォース君にはそこそこ隠された状態で説明されたけれど、ある程度推察はしている。
ウィルさんの生い立ちなんかも冗談混じりに聞いたこともあるから、神様も色んな理由で消え、生まれるのは承知している。だから、しーくんは何らかの理由で生まれた神様の子なんだろう、と。どんな神様なのかは分からないけれど、しーくんが操るのは水系統の技や魔法に似た何かだ。そのため、水を司る神様なのかな、とは思ってはいる。
ぶっちゃけ、調べてもしーくんが何者なのかははっきりしなかった。候補は色々あれど、「これ!」と特定するには、情報が足りないのだ。それなら、普通の子として接するだけである。しーくんが何者であろうと、私達の大切な仲間で、子供なのは変わらないから。
まあ、一時期はこちらの環境としーくんの体が合わなくて、大変な目にも遭わせてしまったけれど……今ではそんな心配もなく、風邪一つ引かない強い子に変貌した。何があったのかはいまいち分からない。
「とまあ……色々言ったけど、要するにしーくんは私とティールの子供で、天使ってことだね! それだけで十分だよ」



~あとがき~
アリアちゃんが目立つはずが、雫の生い立ちで終わってしまった。

次回、中華屋さんへ突撃やで。
食べられ……たらいいなぁくらいで。期待はダメ! 絶対!!

雫の話は原作と変わりません。
ゲームのあれです。まあ、あれこれ設定はレイ学仕様になってますが。この世界では、アリアちゃんと何やら関係があるらしいです。詳しい話があるのかは相方次第だ!←

ではでは!