satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第141話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でほのぼのっとしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
エデンのなんちゃって戦闘があったり、ステラとリーフがファッションショーに巻き込まれたりがありました。まだまだわちゃわちゃしていきますよ。
というか、ここに来てわちゃわちゃ以外をしていない気がする。


メアリーさん達との裁縫談義に花を咲かせていた─この間に二人はさっさと着替えていたし、アラシ君は復活したし、リランも大人しくお昼寝タイムしていた─のだが、カルタムさんから「いい加減仕事に戻りなさい」という笑顔(鬼の形相)のご指示があり、私達は話を切り上げた。
まあ、あんなにたくさんのメイドさん達がここで話をしていれば、他の業務は手薄になっているか、放置していることになる。正しいのはカルタムさんだ。職務放棄するなということなのだ。悲しいけれど、私がティールによく言われるやつだ。
「全く……仕事の邪魔しちゃ駄目だろ?」
「えー? でも、楽しかったし、メアリーさん達も楽しそうにしてくれたもん。休憩なのよ」
「そういう問題じゃないと思うよ、ぼくは」
うーん。合間のお休みって大事だと思わない?
「思うけど、限度ってものが……」
「なあなあ、ラル! 雷姫見してくれ!」
ティールとの会話に割り込むようにレオン君から申し出がある。思ってもなかった提案に私は首を傾げる。
「神器って見る機会ないだろ? だから、一度よく見ておきたかったんだよな! 前々から思ってたんだけど、タイミングなくってさ」
「なるほどねぇ……理由は分かったよ。私はいいけれど……雷姫はどう?」
再び、私の中に引っ込んでいた雷姫に問いかける。今は皆に聞かれても問題はないため、声に出して交渉していく。
『断る』
……だよなぁ。お前はそういうやつだ。
「いいじゃん。触るって言ってないんだから」
『そこではない』
「え、じゃあどこ?」
『根底の問題じゃ! 見られるのは好きではない』
「いつだったか、イグさんにガン見されてなかった……?」
『あの狼男に反発すれば、マスターの不利益になりかねんから、仕方なくじゃ』
そんな理由かい。優しいなぁ……?
『とにかく。どこの誰とも知らん童どもに見られる筋合いはない! マスターも見せびらすような真似はしないと言った』
いや、私の後輩だ。知った仲ではあるが……確かに、いつだったか見世物にはしたくないとも言った。しかしそれはあくまで大勢の前での話。こんな少人数、しかも知っている相手に見せるのだ。あまり抵抗感はないのが本音なわけで。
私は気づかれないように周りの様子を窺う。レオン君は期待の目を向け、アラシ君やツバサちゃんはレオン君ほどではないにしろ、気にしている様子ではある。対して、雷姫をよく知るティール達はどうなるのか黙って見守るらしい。
「しっかたないなぁ。じゃあ、三でどう?」
『……む?』
私は右手で三本の指を立てる。それだけで少し、雷姫の心が揺れたのが伝わった。それと同時に、なぜか私の足元で寝ていたリランがピクンと体を揺らす。何かいい夢でも見ているのかもしれない。
「それをどう捉えるかは雷姫に任せるよ。どう?」
『むう……マスター』
なぁに?
『約束だからな、マスター?』
OK。約束だ。
私は椅子から立ち上がり、ちょっとだけ皆から離れる。そして、片手だけを前に掲げた。
「来い、雷姫!」
赤い電流に包まれながら姿を表した愛刀を鞘から抜くと、その刀身には電流が帯電していた。それを振り払うため、一回だけ横に払うように振るう。すると、電気が居場所をなくしたように空中で分解されていった。
「雷姫、他の人達に触らせる気はないんだよね」
『ない。少しでも触れてみろ。一瞬にして消し炭にしてやる』
うへぇ。機嫌わるぅい……
私はテーブルの空いているスペースに雷姫を置いた。鞘には納めず、抜いたままの状態で。
「うおー!! これが神器で雷の刀。『雷姫』……妖刀雷姫かぁ~♪」
「あんまり近づかないでね。間違って触れると殺すって言ってるから」
興奮し、かなりの至近距離で眺めているレオン君に注意を促した。聞こえているかは定かではない。
雷姫を観察しては、どこから取り出したメモ帳に何かを書き留めていく。考古学研究部の血が騒ぐのだろう。まあ、変なことにはならないだろうから、とめはしないが。
「物騒だな……そんなことあり得るのか?」
「雷姫さんは神器の中でも扱いが難しいんだ。雷姫さんが触らせないって言ったのなら、そうなんだよ。ぼくも事故だけど、過去に洗礼受けたし」
そういえばそうだったかな。
彼との模擬試合中、私から武器を奪おうとしてうっかり触ってしまったのだ。本当は触って奪うつもりはなかったらしいが……まあ、あれは凡ミスだろう。
「じゃあ、ラルがさっき言った数字は? それも神器に関係すんの?」
「うんにゃ。数字はまあ、なんだろ。三日、雷姫の相手をするくらいのイメージでいいかな」
実際は、三日間、雷姫に精神力とか体力等……雷姫の力の源になる何かを分けるとか、そういう取引なのだけれど。これを詳しく話すとティールはいい顔しないし、黙っておこう。ぶっちゃけ、物理的な貢ぎ物でもいいわけだしね。
「でも、きれいな刀ですね~♪」
「褒められてるよ、雷姫」
『う、嬉しくない!』
あ、照れてる。
「ありがとうだって、ツバサちゃん」
『マスター!?』
「えへへ~♪……そういえばラルさん、神器ってとっても強い武器なんですよね?」
ツバサちゃんの疑問に私は素直に頷いた。
「ま、雷姫やフォース君によると、物によるらしいけれどね。ピンキリってやつ。でも、その辺の武器よりは強いってさ」
雷姫は神器の中でも古くから残る武器らしく、その時間だけ使用者の命をもらってきたという。そうでなくても、雷姫に受け入れてもらえなかった魂もたくさんあるのだ。それだけ、雷姫には力が蓄えられている。
「雷姫は人の心に住み、その魂を喰らって成長してきたから、そういう神器との契約は命のやり取りが伴うってことだよ。その覚悟がない限り、私はお勧めしませーん」
「ほいほい神器が見つかってほしくはないけれどね。大変だったんだよ? 雷姫さんのとき!」
私も大変でしたよ。……その辺の話は長くなりそうだから省略するけれど。
「へぇ……けどま、探検隊もしてない俺達には縁のない話だな?」
「それが一番だよ。扱えたときの恩恵は凄いけど、それとこれからの将来を天秤にかけるのはね」
そもそも、こんな平和な世の中でこんなリスキーな武器に頼らなくとも生きていける。
雷姫は時折、自身は戦乱の遺物であると語る。だからまあ、そういう時代で重宝されてきたのだろう。本来ならゆっくり休ませるのがいいのだが、雷姫はそれを望まない。それはきっと……
「雷姫は根っからの戦闘狂だよねぇ~?」
『ふん! 過去の小僧ほどではないわ』
過去のフォース君を知らないんだよなぁ……?
なんて話をつらつらとしていると、忽然と雷姫が私達の前から姿を消した。誰かが触れたわけでも、私が戻したわけでも……ましてや、雷姫自身が戻ったわけでもないのにだ。
「ラルさん、雷姫さんは……?」
ステラちゃんの問いかけに私は首を捻るばかりだ。まじまじと見張ってはないが、長い時間、目を離してもいない。誰かに盗られるにしても雷姫が反発しないのもおかしな話だ。
『マ、マスター! 我を助けろ!』
突然、雷姫の声が心に響いた。
へあ? た、助け……?
『こっちじゃ! この無礼者をどうにかせい! ええい! 小賢しい犬っころめ!』
……犬? まさか。
雷姫に導かれるままに探してみると、噴水の影でリランが楽しそうに雷姫を振り回していた。
先程まで寝ていたと思っていたのだが、いつの間にか雷姫を咥えて遊んでいる。刀の雷姫をやたらめったらに振り回すもんだから、近寄るに近寄れない。
ツバサちゃんが慌てて叫んだ。
「リ、リラン!! それ、ラルさんのだよー!」
「わんっ! く~ん♪」
全く聞く耳を持たない。いやぁ……こんな雷姫は初めてだ。
こちらが何もできないでいる間も雷姫の抗議は続いていた。雷姫はリランの言葉を理解しているらしく、リランも雷姫の声が聞こえているようだ。
『しつこいぞ。そのような真似をするのは躾のなっておらん犬という証拠で……』
「わふっ!」
『ぎゃあぁぁ!? 振り回すなと言うておろうが! 否定したところで、竜の威厳など感じぬわ! いい加減にしろ、駄犬が!』
「あうー!」
『駄犬の意味も分からぬか!! マスター! 助けろと言うたじゃろ、早う助けい! 何笑っておる!?』
わ、笑ってないです。全く……ワラッテ、ナイデス……!




~あとがき~
おもちゃにされる雷姫も珍しい。

次回、リラン大暴走の巻き。

雷姫の話で終わりましたね。原作だと雷姫以外の神器もポイポイ出てますが、こちらはどうでしょうね……? 今のところ予定はないですが。
マリーやトリスが出てきたら大変じゃ……色んな意味で。ピンキーは平和に暮らしてそうだな。ピンキーに優しい世界であれ!

ではでは!