satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第142話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でばたばたしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
雷姫、振り回されました。
ラル「色んな意味でぶんぶんされてました」
雷姫「いつか首を落としてやる」
ラル「駄目だよ。ツバサちゃんの武器の弁償できないし、貴重なドラゴンを殺したら私、社会的に破滅だもん~」
雷姫「ぐぬぬ……」
さてさて、淡々と進めておりますが、もうすぐ150話が目の前……だと。
ラル「まだ夏にも差し掛かってないですが」
それな……


適当にぶんぶん振り回すリランになす術もない私達はやきもきしながらその様子を眺めていた。
まあ、慌ててるのはツバサちゃんやステラちゃんだけで、他の人達は案外冷静というか、呆れていたり、どうにもできないから手も出さなかったりと色々だが。
持ち主である私は笑いが止まらないしね。だってあんなに慌てる雷姫、初めてだもん。おかしくて仕方がない。
『マスター!!』
「ご、ごめ……許して~!! 一旦落ち着こう! な、雷姫!」
『落ち着けるかぁぁあ!!』
分かるよ。当事者だもんな。
「うわぁ……ラル、酷い」
ティール、あれがスイちゃんやセツちゃんならどうよ。普段、振り回してくる子達が反対に振り回される光景を目の前にするのよ? 想像して?」
「え…………うん。ごめん。笑う」
「お前ら自分の武器は大切にしろよな!?」
「リラ~ン! 雷姫さんをラルさんに返しなさーい!」
「わふっ!」
ツバサちゃんの言葉にイヤイヤするように激しく首を振る。私には鳴き声にしか聞こえないけれど、雷姫にはちゃんとした言葉に聞こえたようだ。
『我は貴様と遊ぶつもりはない!!』
と、一喝し、雷姫が強く雷を帯びる。そして、一気に放出し、辺りは閃光と轟音に包まれた。
「雷姫!」
「リラン!」
光が落ち着き、私とツバサちゃんはお互いの相棒を呼ぶ。
土煙の中から現れたのは、雷姫の電撃を受けたにも関わらず、無傷の─流石にぽかんとはしているが─リランと、そんなドラゴンに未だ咥えられたままの刀の雷姫の姿がある。
「……わふ♪ あんあんっ♪」
『はあぁ!? 楽しい? もっとだと!? ふざけるのも大概にしろ、駄犬!』
「わう?」
『阿呆。貴様のことだ』
「雷姫の電撃を受けて無事なのね。とりあえずはよかった……けど、結構、あっけらかんとしてないですか、リランさん?」
「で、ですね~……」
とりあえずは無事なリランにほっとした様子のツバサちゃん。しかし、疑問は残る。
「えーっと、ドラゴンさんは神器の力も防いじゃうんですかね……?」
「んなことはないと思うけど……流石に。……ティール、過去のドラゴンで雷姫の電撃を無傷で耐えたやつっているの?」
レオン君の質問にティールはふるふると首を振る。
「いや。まあ、ドラゴンの装甲は固いから、通りにくさはあるけど、全く効かないなんてあり得ない……はず」
よくよく見てみると、額の石が白から黄色へと変色している。……ん? 変色?
「黄色って雷属性の色だよね……ってことは」
「リランの魔力石が……雷姫さんの電撃を吸収、しちゃった……んでしょうか?」
それはありですか。チートじゃないですかね。君達、どこまでチート街道を駆け抜けるおつもりで……?
「流石に無限ってことはないだろうな。魔力石にも限度はあるし……うん、多分。それでもとんだチートドラゴンだな、リランのやつ」
本当だよ!! アラシ君の言う通りだよ!?
武力行使でどうにもならないなら……雷姫、実体化しろ!」
『! その手があった!!』
え、忘れてたの!?
雷姫を出現させたときみたいに全身に電流を帯びると、バチンッと弾けた。そして、刀姿ではなく、私そっくりな人型の雷姫が現れる。赤を基調とした花魁のような着物姿でふわりと体を浮かせた。地面につきそうなくらい長く伸びる金色の髪を揺らし、不満げにリランを見下ろしていた。
「全く……これだから躾のなっとらん犬は嫌いなのじゃ」
「わー! 雷姫さん、ラルさんみたいです~!!」
「さっきも言った通り、雷姫は所有者の心に住んでるからね。人型になるときは主の姿を模して現れるの。今の主は私だから、私に似るんだって」
とはいえ、私よりも見た目も大人びている。しかも、妖艶な雰囲気を纏う彼女を見ていると、気恥ずかしさが込み上げてきて、未だに慣れない。
刀から人へと変貌した雷姫にリランも驚いたように見上げていたが、すぐに切り替えたのか楽しそうに鳴いた。そして、ぴょんぴょん飛び始め、雷姫にじゃれようと飛び付いた。そんなリランをさっと避け、冷やかな目を向ける。
「遊ばぬと申したはずだが?」
「あん! あうーん!」
「知らん。我は楽しくはない。飛び付くな!」
宙を舞う雷姫とそれを追いかけるリランのおいかけっこが始まってしまう。実体化させても遊んでもらえると思われてしまったのか。もう、こちらに呼び戻すしかないのではないだろうか。
「雷姫~……戻っといで~」
「む。もうよいのか、マスター?」
律儀だな。いいよ。もう雷姫をじっくり見せられそうにもないもの。またの機会にお願いするよ。
「ふむ。ならば、我は退散しよう。……じゃあな、駄犬よ」
「わふっ!? あんあんっ!」
「ふん。貴様の名など、死んでも呼んでやらん」
ちろりと舌を出し、リランを完全拒否したところで雷姫は姿を消した。そして、刀の状態で私の手元に収まる。
『全く。酷い目に遭った』
「ご、ごめんなさい、雷姫さん。リランが好き勝手しちゃって……」
申し訳なさそうにツバサちゃんがぺこりと頭を下げる。そんなツバサちゃんに雷姫はぐっと言葉を詰まらせ、小さくぶっきらぼうに答えた。
『……まあ、今まだ何も知らぬ幼子の竜よ。仕方あるまい』
あはは。素直じゃないな。
「雷姫は怒ってないって。だから、ツバサちゃんは気にしなくていいよ」
「! ありがとうございます、雷姫さんっ♪」
私は鞘も出現させ、ぱちんっと雷姫を納めた。そして、その雷姫自身も消そうとしたとき。リランの視線がこちらへと注がれる。
「お~あれは……ラル、逃げた方がいいんじゃないか~?」
『……マスター、逃げよ。来るぞ』
レオン君からのありがたいアドバイスと、雷姫の忠告に戸惑いを隠せない。今度は私なのか?
「あうーーん!」
ダッシュでこちらに駆け寄ってくるリラン。遊んでと叫びながらこちらに来ているように思えた。いや、そんな感情しかないのだろう。
『我がマスターに馴れ馴れしいぞ!! 貴様も竜の端くれならば、古来より威厳のある出で立ちを学ばんか!!』
「誰に学ぶのよ、その威厳!! つか、言ってる場合か!? あーもう! 雷姫、“身体強化”!」
『承知』
「ラル! これ!」
ティールは私の席に置いてあった鞄から素早くベルトを取り出し、こちらに投げて寄越した。それを腰に巻き付け雷姫を帯刀した。
「さんくっ! 加速するよ、雷姫!」
『いつでもよいぞ』
パチッと雷姫が火花を散らした瞬間、私は軽く時点を蹴る。それだけで瞬間移動したように皆から、リランから大きく離れた。しかし、それだけでリランが諦めるはずもなく、方向をこちらへと変えてくる。
「……んと、いつ終わるのかな」
『あの子竜の気が別に向けば……あるいは満足すればよいのでは?』
あんなに雷姫をがんがん振り回してもなお、納得しなかったお茶目なリランちゃんを満足させるだと? 無理なんじゃない?
『健闘を祈るぞ、マスター』
「他人行儀!? 最後まで付き合え、雷姫!」
こんなはずじゃなかったのにー!!



~あとがき~
弄られていた雷姫を笑った罰かな?

次回、まだまだやらかしますリランさん。

雷姫はリランの言葉を理解し、きちんと会話していますね。雷姫はリランに限らず、精霊とかの言葉を理解する力? があります。なので、ユーリの精霊(ふわやノワール)やツバサちゃんの精霊(クーちゃん)の言葉も分かる。通訳するような場面があるかは謎ですけどね!
まあ、似たようなスイセツにもできそうですね。けど、通訳者にはならなそうです。

ではでは!