satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第143話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で頑張る話です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ぶんぶん振り回された雷姫を救出したラルでしたが、今度は自分が標的になりました。まだリランのターンです。
というか、ずっとリランのターンやわ。


《Te side》
雷姫さんの“身体強化”を巧みに使い、ラルはリランからの突進を上手くかわしている。こちらには配慮しつつも、中庭の色んなところに飛び回っているみたいだ。雷姫さんの力を見せるのはこれが初めて出はないと思うけれど、こんな近くで見せるのは初めてかもしれない。
「ほ、ほえ~? どうなってるんですか~」
「神器には特殊な能力が備わっているんだ。武器の形を変えたり、回復力を底上げしたりする神器もあるんだって。なんかもう、やりたい放題でさ。……その中でも雷姫さんは雷の力を操る。電気だね」
使用者の体内に微弱な電流を流し込み、筋力を底上げしているのだ。たから、通常ではあり得ないほどの力を発揮している。普通の技や魔法のバフ効果でも似たような効果は得られるものの、あそこまで超人的な動きは無理だと思う。
「今やってるのは……跳躍力を上げてるのかな? もちろん、筋肉を無理矢理動かしているのと変わらないから、長時間の使用はご法度なんだけれど。……ラルの場合、雷姫さんとの波長がよく合うから、流したり止めたりを繰り返して負担を最小限に抑えているんだよね」
タイミングが少しでもずれてしまうと意味のないこのやり方をラルは短期間でマスターしていた。いやはや、戦闘のこととなると、天才的というか……何と言いますか。
「他にもあんのか? 雷姫を使った超人芸」
ここまでの説明で納得をしてくれたらしく、アラシが別の質問を投げ掛けてきた。それにぼくは一回だけ頷く。
「色々と。けど、ラルが頻繁に使うのは“身体強化”と自分の雷属性の技補正くらいかな」
ラルが得意な属性が雷で、雷姫さんも同じ。ならば、二人の力を合わせてしまえばいいじゃないという、とんでも掛け算を平気でやる。その力を使って、“雷龍”を陣なしで発動させてみたり、簡単な技の威力を倍増させてみたり。
「毎回思いますけど、無茶苦茶ですよね~……? 雷姫さんを使うすーくんやラルさんもだけど、雷姫さんの力の凄さを感じますよ」
「フォースさんも使うの?」
「んとね、私は一回しか見たことないよ。……ティールさんはどうですか?」
「片手で足りるくらいの回数かな」
二人の気まぐれが合わさらない限りはあり得ないようで、基本的にはいがみ合うのがデフォルトだ。「うっせババァ」「黙れ小僧」という生粋の仲の悪さを生徒会室でも、プライベートでも、仕事中でも繰り広げるくらい。水と油なのだ。犬猿の仲とも言う。
それでも、フォースは制御者。力を操るという分野においてはエキスパートだ。加えて、ラル以上の共鳴率で雷姫さんの力を最大限にまで引き出してしまう。そして、基本、不老不死という力のお陰で、代償という代償もない。まさしく、最強の使い手と言えるだろう。
……本人達にその気があるなら、だけども。
「もお、やだぁ! ティール、助けてー!」
と、悲痛な叫びを露にしつつ、ぼくの目の前にぽっと現れる。リランから逃れるために“身体強化”で逃げていたはずだけれど、息一つ乱していないのは、流石だ。この辺はまだ許容範囲。
ってか、君がこっちに来たらリランもこっちに突進してくるんじゃあ……? ほら、こっち見てるよ?
「手短にすませる。ティール、私がここを離れて五カウントでいいか。そこからアシストよろ」
と、それだけ話すと、ラルは雷姫さんをパチッと小さく放電させ、また遠くの地面へと降り立つ。
五カウント……ねぇ?
「ラルのやつ、なんか秘策でもあんのか~?」
「ここまでよくリランから逃げてるけどな……」
ラルの不思議な行動にレオンやアラシは首を傾げるばかり。ツバサも似たようなものだし、三人よりも付き合いのあるステラやリーフすらも分かっていないように見える。
「どうするんだよ~……まあ、いいや。ラル! スイもセツもいないから、期待しないでよ!?」
「ういーっす!!」
軽い返事だなぁ……もう。どうなっても知らないからな?
ぼくは懐から懐中時計を取り出し、少しだけ意識を集中させる。いつもはスイやセツを通した攻撃が多いから、こっちの魔具を使うのは久し振りだ。
技の発動に問題なさそうなのを確認し、次に目をつけたのは噴水だ。厳密に言えば、噴水から吹き上げている水の方だけど。
大変心苦しいんだけれど、あれを利用させていただきます。ごめんなさい!
「よし。……“水遊び”!」
少しの水を自在に操るようなイメージをしながら、能力を発動させた。ふわりと水の玉を浮かせ、ぼくの目の前まで持ってくる。大きさは大体、一メートルくらいだろうか。
リランがラルに突っ込もうとする瞬間、ラルが真上へと大きくジャンプした。
「……! そういうこと」
彼女のやりたいことを察し、ぼくは一つの玉を素早く複数個に分け、ラルが空中の足場にできるように配置していく。とはいえ、ふよふよ浮かせたところで、実際はただの水だ。ラルが足をかけたとしても、支えにはならない。だから、次にしなくてはいけないのは、液体を固体にすること。一瞬でもいいから、ラルが着地できる物に変えるのだ。
「……セツが恋しくなるときが来るとは思わなかった!! えいっ!」
懐中時計を通じて冷気を作り出すと、タイミングに合わせて、一つ一つ足場を凍らせていく。液体ではなくなって、ぼくの支配からは外れてしまうけれど、落ちる前にラルが渡ってしまえば問題はない。バランス感覚もよくて、運動神経もいいラルのことだ。この辺りは簡単にやってしまうんだろう。
ぼくの作った足場と雷姫さんのアシストもあって、ラルはこの中庭で一番背の高い木のてっぺんへと逃げてしまった。リランはもちろん、その木の根もとへと走っていくものの、そこまで飛べないのか、じーっと上を見つめたまま動こうとはしなかった。
「ラルさん、すごーい! ティールさんも!」
「はー……つっかれる……」
ここ最近、能力連発してるなぁ……? まあ、度の越えた使い方はこの前倒れた以降、していないから大丈夫だけど。……正直、水を操るよりも冷気のタイミングを計るのに疲れた。
「魔法みたいだったな! あれって、ティールの能力?」
「そ。液体を操れる能力。……限度はあるけどね」
「色々と隠し芸持ってんなー……お、リラン、ラルを諦めたみたいだな!」
レオンの言葉にラルが逃げた木を見た。すると、木の根もとからリランが渋々離れていくところだった。そりゃあ、遊びたい相手が降りてこないのでは話にならないもんね。
……と、思っていたら。
「わふーーん!!」
「えっ」
なんか、ぼく目掛けて突進してませんか……?
「あー……今度はお前っぽいぞ。ティール?」
「にしし~♪ ファイトー!」
え、えっ……なんで?
「ん~……リランは鼻がいいからな! なんか感じたんだろ~♪」
「なんかって何!? うわっ!」
リランの突進を辛うじて避ける。ぼくはラルと違ってスピード型ではない。こんなに何度も迫られると避けられなくなってしまう。かといって、技を当てたところで何の意味もないのは、雷姫さんが証明してくれた。
……いや、本当に。スイとセツを持ってくるべきだったと後悔してる。スイとセツなら、リランと楽しく遊んでくれるだろうし、そうなれば、ぼくからの興味だってなくなっただろうに。
「助けてー!! スイ! セツー!」
マジで! 子供の頃以外にここまであいつらを求めたことはないよ! 今、心の底から求めまくってる!
「あんっ! あん!」
「ぼ、ぼく、なんも面白くないよ! なんでー!」
ラルみたいな脱出方法が思い浮かぶでもなく、逃げ切った相棒が助けてくれるはずもなく、ぼくはぼくで、リランとのおいかけっこをする羽目になった。
一応、捕まって舐められるなんてことはなかったけれど、結構ひやひやしたのは内緒の話。



~あとがき~
ドラゴンに振り回される現役探検隊の二人。

次回、おいかけっこを終えたリランがとある行動に……?
もうそろそろおわ……おわら……終わらないですね。もうちょいかかります。

ラルが雷姫の力を使ったり、ティールとのコンビ技やってみたり、ティールが愛剣の名前叫んだりと色々とやれて楽しかったです。
そして、おいかけっこをきちんとやりとげたのは、ティールだけでしたね。雷姫とラルは逃亡しましたんで(笑)

ではでは!