satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第144話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわーわーしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、雷姫に続き、ラルとティールがリランの餌食(?)となりかけました。なんとかしのぎきった二人。
ラル「怖かった……色んな意味で」
ティール「スイとセツのありがたみを知った……」
視点は戻って、ラルです。


ティールが狙われていたとき、自分の安全第一に考え、木の上から降りずに待機していた。ステラちゃんとリーフちゃんから「もう大丈夫です」という言葉を聞いて、ようやく木の上から飛び降りた。もちろん、着地の衝撃は雷姫を使って相殺する。
『……今日は厄日じゃな』
リランに悪気がないのは分かるが、正直なところ、体がついていかないので遠慮願いたい。
そんなリランは、雷姫、私と来てティールのとおいかけっこに満足したのか、ぱたぱたと尻尾と翼を揺らして上機嫌である。
私達とは違い、最後まで相手をしてあげた心優しい─というか、逃れる術がなかっただけだと思う─ティールは、ジャケットを脱ぎつつ、私に近寄ってきた。
「お疲れ様……その、色々と。ラル、大丈夫?」
「大丈夫。あれくらいの“身体強化”でへばるような作りはしてないよ。ティールこそ、大丈夫?」
「大丈夫だよ。……子供とはいえ、ドラゴンに迫られるのは危機感があるねぇ」
そりゃあ、人のおいかけっことドラゴンとのおいかけっこでは訳が違う。例えるなら、しーくんに追いかけられるか、親方に追いかけられるか……くらいの差はあると思う。ちなみに、リランは後者に分類される。
そもそも、人様のお家で全力で逃げるなんて思いもしませんでしたよ。
「ほんとだね……あとで謝らないと」
それな。途中からツバサちゃんのお家の中だという意識は消えていた。よくないんだけども。
雷姫を消してから二人で皆のところに戻ると、ツバサちゃんが申し訳なさそうにペコッと頭を下げた。
「ラルさん、ティールさん、ごめんなさい。リランがたくさん追いかけ回しちゃって……」
「いやいや! こちらこそ、全力で逃げ回ってごめんね? なんか壊れたりしてないかな?」
「それは大丈夫ですよ~♪」
大丈夫ならよかった。こんな豪邸の物を壊したらお金なんていくらあっても足りないよ……?
「ツバサちゃん、リランが~」
「ほえ?」
ステラちゃんの声で私達はリランに注目する。さっきまでは楽しそう尻尾を揺らしていたのだが、今はじっと地面を見つめたまま動こうとしない。額の石が白に戻ったり黄色になったりを繰り返している。
まさかとは思うが、今更ながら雷姫が何かしたのでは?
『我は何もしとらんぞ』
……そうだよね。何も感じなかったもんな。そりゃそうや。
リランは地面を見つめたまま、その場で踏ん張るような仕草をし始める。少なからず、唸り声も聞こえてくるから、フリでもなんでもなく、本当に力を込めて何かをしようとしているのだ。
「なんだ、リランのやつ……?」
「あれだな。この世に生きる以上、避けて通れないもんな……にしても、こんなとこで大は駄目だぞ、リラ~ン?」
「ちょ……レオン、時と場合を考えよう? それっぽいけど、もう少し包もうよ……?」
「えー……? じゃあ何て表現しよう~?」
そこは心底どうでもいいと思う。
どうでもいい会話をする男子をよそに、ツバサちゃんはほんの少しだけリランの様子を観察していた。そして、何かに気づいたのか慌ててカルタムさんの方を振り返る。
「カルタム! リランがまたあれを出すよ~!」
「! 皆様、リランから離れてくださいまし! 頭をぶつける恐れがございます!」
は、あ、頭!?
リランを昔から知るアラシ君やレオン君ですら今の状況がどうなっているのかは分からないみたいだ。カルタムさんに言われるがまま、リランから離れる。
「メアリー! 袋を!」
「は、はいっ!」
近くにいたメアリーさんに素早く指示を飛ばすカルタムさん。頭に気を付けろと言ったり、袋を持ってこさせたり、今から何が起こるのだろうか。はっきりしていることは、何かあるということだけだ。
「ツバサ、一体なんなんだ? こんなの、俺もレオンも見たことないぞ」
「え、えっとね……」
「アラシ様。それは私からご説明いたします」
戸惑い気味だったツバサちゃんの間に入るようにカルタムさんが話を引き継いだ。
「この現象はお嬢様が魔力風邪にかかってから起き始めました。リランがお嬢様の魔力とリンクしているのはご存知かと」
つまり、ツバサちゃんに変化が起きるようにリランにも変化が起きてる……?
「左様でございます。それが今のリランなのです」
「あの踏ん張ってるのが……? 変には見えないっすけど」
レオン君の言葉はごもっともだ。それだけなら、ある意味、日常茶飯事というか、普通なような気がする。
「先程、ラル様の刀の電撃を吸収したように、リランには属性攻撃を吸収する能力がございます。……その、私共も理解しがたいのですが、リランは魔力石のようなものを生み出すようになりまして。……恐らく、お嬢様の魔力風邪が続く期間のみだと思いますが」
「…………え?」
カルタムさんの言葉にツバサちゃん以外は困惑した。言うなれば、武器が石を生み出しているわけだ。リランはツバサちゃんの武器なのだから。いや、こうして動き回っているけれどもだ!
「うぅ~……わおぉぉぉんっ!!」
ずっと踏ん張りの我慢状態だったリランが天に向かって遠吠えを上げる。やっぱり、ドラゴンじゃなくて犬なんじゃね? みたいな仕草を呆然と見届けたあと、突然、辺りが眩い光に包まれる。目が開けていられず、思わず目を閉じた。
目は見えなかったがその間、小さくパラパラと何かが落ちるような音が聞こえてくる。雨なんて降っていなかったのに。現に、服や肌が濡れるような不快感もない。
『む。パートナーよ、頭上に気ぃつけい』
え、ティール……?
「いっったぁぁ!?」
「なっ! ティール!? 雷姫、忠告おっそい!」
『ちと数が多いからな。判断が遅れてしまった』
ティールの叫び声と光が収まるのはほぼ同時であった。視界が元に戻り、私は慌てて、頭を押さえてうずくまるティールの傍にしゃがみこんだ。
「大丈夫? 何があったの」
「う、うん……ごめん。びっくりしたのと、突然の痛みでなんか大袈裟に声が出ちゃった。……そこまで痛くはないんだけど……多分、それのせい」
ティールが示した方に転がっていたのは、握り拳よりも半分の大きさしかない青い石だった。手に取ってみると、予想以上に軽く、小さい子供が遊ぶようなボールくらいの軽さしかない。ボールプールのボールみたいな、そんな軽さだ。
これがカルタムさんの言う魔力石なのだろうか? しかし、私が知っている魔力石とは何かが違う。石から感じる力が違う気がした。
「見え方や聞こえ方に変なとこはないから、大丈夫。心配かけてごめ……ん?」
「? 何、急に黙って─」
「ほわー!? なんですか、これー! 石がたっくさん!?」
ステラちゃんの声に私は後ろを振り返る。そこには大小様々なカラフルな石が大量に散らばり、その中心で「どんなもんだ!」と自信満々なリランがいた。
「わふんっ!」
「あー……と、カルタムさん、まさかとは思うんすけど、さっきの話ってこういうこと?」
「……左様でございます」
「今回もたくさん作っちゃったね~? リラン~」
「え、作っちゃったね~……って、え? これ、毎回なのか!? やっべーな、リラン!」
「す、すごい……ドラゴンが、というか、リランがすごい……?」
突然の光景に三者三様な反応を見せる私達。
そんな私達は気にせず、リランはわんっと楽しそうに鳴いた。呑気な……!



~あとがき~
なんか適当になってない? 大丈夫か?

次回、お掃除。

ここ最近、ついてないティール。
まあ、なんとかなる。なんとかなる。

ではでは。