satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第147話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回からまた新しいお話が始まってます!
リランとノワールの話です。前回言い忘れたけど、ノワールはお初キャラでした。名前だけなら大会で出てたんだけどね。お姿はここが初めてですね!
よろしくな! 今後、出番があるのか知らないがな!


リラン自体は何度か生徒会室で見かけていた。リランとの初対面は、この子が会長にお腹を見せてブラッシングされているところで、多少なりとも驚きはしたけれど。
「ユーリさんはいても、ノワールはいないことが多かったですもんね~……仲良くなれるといいんですけれど」
「うーん……どうでしょ。ノワール次第かな」
今のところ、吠えたり前足で押さえ込んだり、凪ぎ払ったり等々、乱暴にしていないから大丈夫かな? 分からないけど。
「真っ白! にぃ、リランもふもふだよ~♪」
「ちょ、お前、勝手に」
「あ、大丈夫ですよ、ユーリさん。アイちゃん、リランはここ撫でると喜ぶんだ~♪」
元々、人懐っこいリランは初対面のアイにわしゃわしゃされてても、全く気にしていないみたいだった。むしろ、構われて嬉しそうですらある。
「そいや、三人で散歩か? それとも、どっか行くんか~?」
「あ、えーっと……まあ、色々と……」
イツキの質問にアラシさんは戸惑いつつ、ちらりとリラン達の様子を窺う。リラン達はこちらを気にする様子はなさそうだ。それを確認したアラシさんは、声を潜めつつ、教えてくれる。
「……トイブロ大学の近くに研究所あるじゃないっすか。ちょっとその辺まで行く用事があって」
研究所ってあの魔術研究所、ですかね?
「そうなんすよ。あと、『研究所』ってフレーズをここでは、あんまり言わないでくれると助かります」
「? おう! よく分かんないけど、分かった! んでも、そこって確か……」
だよな……多分。
そこは僕の父が働いている研究所だ。そこにツバサさん達がどんな用なのだろう?
ツバサさんは魔術に精通するケアルの血筋。それ関連だろうか。優秀な人って色々とやってそうだもん。その辺、僕には分からないが。
アラシさんとレオンさんと話していると、後ろから何かに引っ張られる感覚がした。アイかノワールだろうと思いつつ振り返ると、いつの間にか大型犬くらいの大きさに戻ったノワールがいた。
「? どうした、ノワール?」
「がぁう。がう」
……? ノワールの言葉に僕はリランを見る。そして、再びノワールに視線を戻した。
「僕には犬にしか見えないけど?」
「……わふ」
「うるっさいなぁ。……仮にお前の言う通りだとしても、僕に見破る力なんてないよ」
「ユーリ先輩? ノワールがなんて……?」
「えっと、リランは本当に犬なのかと聞いてきたんです」
「「「…………えっ!?」」」
「すみません。ノワールが変なこと……? 皆さん?」
三人で声を揃えて驚いたあと、僕にくるりと背を向けてひそひそ話を始める。聞こうと思えば聞こえるんだろうけれど、きっと聞かれたくない話なのだろう。ここは知らないふりをしておこう。
一方のイツキはツバサさん達の様子を気にするでもなく、アイに遊ばれるリランを見て、ノワールを見る。
「せんせーと同じ犬っしょ!」
あ、それは禁句……
「がぁうっ!」
イツキの犬扱いが気に入らなかったのか、ノワールは容赦なく飛びかかる。それを危なげなく避けるも、ノワールは果敢にイツキに飛びかかっていく。
「ぎゃー! ごめんって! せんせ、狼だよなー! 分かってるってばー!」
「うがぁぁうっ!」
「ひぃ! そんなに怒らんでもー! というか、あれだぞ、アイちゃんと遊んでるときの先生は犬の中の犬……」
「ばうっ!」
なんで自分から地雷を踏みに行くのだろう。本当に馬鹿だな。
ノワールとのおいかけっこを見ていると、なぜかそこにリランとアイも参戦してくる。一人と一匹が楽しそうに見えたのかもしれない。結果、イツキを一人と二匹が追いかけるという展開に発展した。
「あ、あの、ユーリさん! このあとお時間ありますか?」
秘密の会議を終えたツバサさんから、突然の質問が飛んでくる。その理由を聞く前に、彼女は更に続ける。
「もし、よろしければ私達と一緒に研究所へ行きませんか? そこで見たものは他言無用でお願いしたいんですけれど……その代わりと言ってしまうのは変かもしれませんが、ノワールの疑問を解決できるんです」
ノワールの?
仮にここで断ったとして、やることと言えば、イツキの勉強を見るくらいだ。それならば、ついてった方が有意義かもしれない。
それに、もしかしたら、父さんにも会えるかもしれない。せっかくだし、様子を見に行ってみよう。
「分かりました。お付き合いいたします。……ノワール! 戻れ!」
一方的なおいかけっこをしていたノワールを呼び戻す。不服そうではあるが、一応、素直に戻ってくる。ついでに、アイとリラン、イツキもその後ろを歩いてきていた。
「もー、せんせー、容赦なーい」
「ノワもリランも速いね!」
「あんっ!」
アイに褒められ、嬉しそうにしている。もう仲良しになったみたいだ。

ツバサさん達が向かっていたトイブロ大学は公園から出て、徒歩十五分ほどの距離にある。トイブロ大学はこの辺では有名な私立大学で、多くの学部学科があり、ここで専門的知識を学べるのだ。そして、そこから徒歩十分圏内に魔術研究所は建てられている。この距離だからか、トイブロ大学と研究所の共同研究も盛んに行われていた。
……そんな研究所の入り口に僕らは来ていた。
大きな建物を守るように塀と門、そして警備員。いつ来てみても、厳重な警備だ。
「パパがお仕事するとこだ。にぃ、今からパパに会いに行くの?」
「ん~……もしかしたら会えるかもね」
「俺も久しぶりに会いたいな~? と、それはいいとして。アラシ達は何してんのー? 綱引き?」
僕らの後ろで二人と一匹の攻防戦が繰り広げられていた。一匹は研究所からどうにかして離れようとし、二人はどうにかして研究所へ近付こうとしていた。子供とはいえ、男子二人の力をものともしないリランは何者なのだろう。ノワールが言うには、犬ではないらしいけれど。
ちなみに、ツバサさんは研究所へ入るための手続きに行ってしまい、この場にはいない。
「み、見ての通りっす……! こら、リラーン! 嫌がってんじゃねぇよ!」
「ぐうぅぅっ!!」
嫌々しながら、低い唸り声を上げ、ずるずると研究所から後退していく。後退するということは、アラシさんが引っ張られていくということで。
「レオン! 踏ん張ってくれよっ!」
「やってるっつーの! んでも、重すぎるんだって! テコでも動く気ねぇぞー!?」
レオンさんが押し負けているということになるわけだ。
「と、とりあえず手伝う!」
「イツキ先輩……あ、ありがとうございます!」
後輩二人を手助けすべく、アラシさん側にイツキが加わるものの、リランの力には押し負けてしまっている。男子三人でも無理なのか。
「ユーリ! お前も手伝えー!」
え、あぁ……うん。
イツキに言われるがまま、同じようにリードを引っ張る側へと加勢する。ここでようやくリランの後退を引き留められた。だからって、こっち側に引っ張られるわけではない。あくまで、釣り合いがとれるようになっただけのようだ。
「こ、このまんまでいーから、聞いちゃうけどー! なんでこんなことになってんのー!」
「じ、実は、前にリランを連れてきたときに、嫌いになるような出来事みたいなのがあってですね……だあぁぁ! リラン! いい加減にしてくれ!」
「あうーーーん!!」
アラシさんの叫びにもリランは嫌々と首を振る。何をしたら、こんなに嫌があるようになるんだ。
「な、なるほど……んでも、なんでリランをここに?」
「んと、それはっすねぇ~……っあ! ツバサ! ようやく戻ってきたー!」
「ごめん! 遅くなっちゃった! こら、リラーン! わがままダメー!」
レオンさんの言葉に、僕とイツキはどうにかして後ろを振り返る。すると、こちらに駆け寄るツバサさんの姿と、少し遅れて白衣姿の男性が追いかけてきているのが見えた。
その男性は僕やアイ、アラシさんと同じ牙狼族で、無造作に伸びる髪の色は紺色。
「あれれ? アイちゃんだ~♪ ユリくんやイツキ君まで。何ヵ月ぶり? やっほ~♪」
ひらひらと手を振る僕とアイの父、レイフィードはのんびり近づいてきたと思ったら、ノワールと待機していたアイの頭を撫で始める。
「パパー!」
「父さん……! 僕らにそんな余裕ないの分かるでしょ! あと! 最後に会ったの一、二ヶ月前くらいだから!」
「おじさんじゃん! おじさんも手伝えー!」
父さんに対しての反応はそれぞれあるが、僕とイツキに関しては、こっちをどうにかしてほしい気持ちでいっぱいだった。
だが、ツバサさんがこてんと首を傾げた。
「ほえ? レイさん、ユーリさん達とお知り合いですか?」
……あ、まだこののんびりな会話続くの?
「ありゃ。言わなかった? 俺にもアラシ君達やツバサちゃんくらいの子供がいるって話~」
「んと、そう言われると、聞いた気もしますね~」
「そお? んで、その子供がゆりく……ユーリとアリシャってわけでして~」
「ほえー! そうなんですね♪」
「ツバサ! 世間話はあとにして、リランをどうにかしてくれ!」
アラシさんの言葉でようやく二人はリランをどうにかこうにか動かすために、レオンさん側へと加勢する。そして、ずっと下がらせていたアイも僕ら側に加勢するも、事態は好転しなかった。
いや、どんだけ行きたくないんだ。リランは。



~あとがき~
私事ですが、この話、一回データが消えるという事件が発生し、途中で心折れました。保存ボタン。ちゃんと押そう……な?

次回、嫌がるリランをどう攻略(?)するのか!

また新しいキャラがしれっと出てきましたね。
ユーリ、アリシャの父、レイフィードこと、レイです。研究馬鹿で家にはあまり帰ってきません。んでも、家族仲は普通です。
お父さんって感じのしない人ではありますが、見た目も若いイメージ。実年齢より若く見られがち的なね。そんな方です。

ではでは!