satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第151話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界ではしゃぐ物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
広場に到着し、遊ぶ気満々なリランと嫌々付き合わされるノワール
なんかもう、ノワールのやる気のなさすごいね!
元々は戦闘用精霊なんで、腑抜け感がすごい。初登場予定も戦闘シーンだったわけで……いつか、書けるといいな。そんなところ。
今のところ、予定はまっっったくない!
視点はどうしようと悩んだあげく、ノワールです。やつならリランの言葉も聞けるしいいかなと。振り回されるノワールをお楽しみください。


Noir side》
レイが扉を開けた瞬間、弾丸のように走り去っていったチビ助を追いかけるように、アイと白いのが走っていく。ユリ達と会う前、俺と散々遊んだ後だと言うのに、アイは元気だ。底無しか。いや、昔からか。知ってた。
ノワール、頼んだ」
ユリの言葉に俺は嫌々……本当に、嫌々、後を追いかけた。走るなんて面倒だ。する必要はない。
辺りをぐるりと見渡せば、一見、自然に囲まれた外みたいなところだが、匂いも、空気も外の気配は感じさせない。ここはまだ、中なのだ。
やれやれ。研究者と言うのは、無駄なことが好きな生き物らしい。何が楽しいんだ。こんなところに籠ってばかりで。理解に苦しむね。
アイの匂いを辿り、丘の上に到着する。チビ助は適当に走り回っているのか、白いのの傍にはいない。ここは室内だ。勝手に消えることはないだろう。
「わー! たくさんあるね、ツバサちゃん!」
「そうなんだ~! どれ使っても大丈夫だよ」
「そうなの? ノワは何がいー?」
どれでもいいだろう。全て同じだ。
俺はぶるりと体を震わせ、体の大きさを変化させた。ユリに言われたわけではないが、大きくいる必要性がなくなった。だから、勝手に変えさせてもらう。いつもの、『おーがたけん』と呼ばれるくらいの大きさになる。
俺はふわりと欠伸を漏らすと、体を伏せて、目を閉じた。この二人がおもちゃを選び終わるには、時間がかかるだろう。俺は俺でのんびりやらせてもらうよ。
「楽しかった!」
この辺を走り回って満足したらしいチビ助が帰ってきた。ご機嫌に尻尾なんか揺らしてやがる。
やめろよ。俺は寝るんだから。
「あっ!」
何かを見つけたのか、気づいたのか。突然声を出したかと思えば、アイ達が漁る箱の近くで何かを咥えて、その何かを俺の目の前に落としてきた。そして、天真爛漫な笑顔で
「遊ぼ!」
と、この俺を誘ってきた。
ちらりと下を見ると、それは短くも太い紐だった。ユリの家に……というか、アイが俺やふわのためにと買ってきた紐とよく似ている。
あれは確か、引っ張ったり、噛んだりするやつだ。何つったか。引っ張り紐? みたいな、そんなんだ。正直、ふわと俺じゃあ、勝負にもなんないけど。
「それ……俺に言ってんの?」
「うんっ」
そりゃあそうか。目の前には俺しかいない。アイや白いのと遊びたきゃ、そっちに話しかけるか。
「やだっつったら?」
「ふえ……遊んでくれないの?」
今にも泣き出しそうなくらい、寂しそうな声で問いかけてきた。そんなんで泣くなよ。アホらしい。
「……チッ」
紐の片っ方を咥えて、もう片方を咥えるようにチビ助に促した。それだけで、ころっと表情を変え、嬉しそうに紐を咥えた。
「ひっひゃるよー!」
好きにしろ。俺は動かん。
チビ助は見た目の割に力強く引っ張ってきて、少し力を緩めてしまうと、簡単に持っていかれるかもしれない。研究所の入口でも、ユリ達を困らせていたし、その力は紛い物でもなんでもない。こいつの力なんだ。
……ユリがさっき、ドラゴンとか白竜とかなんとか言っていたな。それなりに驚いていたし、きっと、強い種族なんだろう。だからってこの程度の力に俺は負けないけど。
戦闘特化型精霊なめんな。
ぐいっと引っ張ってやると、チビ助がよろよろっと俺の方へと引き寄せられる。ドラゴンとやらにも力負けはしていないようだ。
このまま、引っ張ってやってもいい。きっと、俺が勝つ。だが、そんなことをして泣かれるのも面倒だ。
ぐぬぬっ!」
今まで以上の力を込めて、チビ助が引っ張ってきた。負けるもんかという気持ちだけで力を込めているらしい。
じゃ、お望み通り、負けてやろう。
俺は咥えていた紐をぱっと手離した。すると、なんとやらの法則に則って、チビ助がごろごろと転がっていった。初めは何が起こったのか分からなかったらしいが、俺が離したことを理解すると、チビ助は嬉しそうにジャンプした。
「わー! かったー!」
はいはい。そーですね。よかったですね。
「お待たせ! これで遊ぼうね~♪」
「主様!」
白いのの言葉に俺は後ろを振り返る。アイが持っているのは小さなおもちゃ。白いのはなんか変な機械を持っていた。
「リラン、ノワ。このネズミさんを追いかけるんだよ?」
獲物にさん付けはいらんぞ、アイ。
『らじこん』と呼ばれるおもちゃで、あのちっこい獲物を操作するんだろう。似たようなのをイツキも持っていた。あのときは、こんなちっこいやつじゃなかった気がするけど。
白いのが操作すると、獲物は……ネズミはかなりの速度で地面を走っていく。それにチビ助が反応し、楽しそうに追いかけ回し始めた。
……何が楽しいんだろう。捕まえても食べられないのにな。
「ノワもいけー!」
え、マジでか。チビ助が楽しそうならいいんじゃないのか。俺までやる必要がどこにある。
そんな意味を込めてアイを見つめるものの、こいつに俺の言葉は届かない。行ってこいみたいな目をしてやがる。いや、俺を見ろ。やる気ないんだって!
ノワール! ぜんぜん、つかまんない!!」
「知るか、ボケ!!」
捕まえたらそこで終わりなんだ。捕まえずに永遠と追いかけてろ。ガキめ。
ネズミは小さい。だから、小回りがよく利く。とはいえ、操っているのは人間だ。本能で逃げ惑う動物ではないから、限度はある。
「室内とはいえ、外を模した場所。立地でいやぁ、俺達のホームだろうが。翻弄されてんじゃねぇよ、チビ助」
「まてまてー!!」
聞けよ、俺の話を。
……えぇい! じれったい!!
俺は立ち上がると、獲物を追いかける。当然だが、白いのは俺達に捕まらないように操作をする。だが、ここはフラットな地面じゃねぇ。凹凸もあるし、足をとらせてしまえばこっちのもんだ。
「ユリなら、罠でも張って糸で絡めとるんだがな……まあ、いい。チビ助、一緒に追いかけるぞ」
「! わかった! 追いかけるね!」
何も考えずに追いかけるだけのチビ助に、この獲物をどう捕まえさせるか。……簡単だ。ネズミの逃げ道をなくせばいい。
俺はチビ助に合わせて並走する。ネズミは俺達の前を走っていた。素直な操縦者なのか、フェイントを入れることもなく、急な切り返しもない。これなら、簡単に捕まりそうだ。
「そこか。……いくぞ! しっかり捕まえろよな」
「うんっ!」
俺はさらにスピードを上げ、ネズミよりも前に出る。股抜きされないように注意しつつ、ネズミの前に立ち塞がった。俺が前に出てきて、驚いたのか操縦も一瞬もたつく。そのせいで、ネズミの走りにもぐらつきが出て、スピードも落ちる。
「単調だぜ、白いの。ほら、絶好のチャンスだ」
「とりゃー!!」
と、活きのいい掛け声と共に、ネズミに向かって突っ込む。突っ込むのはいいが、獲物を捉えるべき眼は閉じきっていた。
……いや、目は閉じんな!? 見えんだろ!
「……ありゃりゃ?」
「わざとか、チビ助。ここまでお膳立てしてやったのに、わざとなのか」
豪快にスライディングを決めたチビ助。こいつが目を開けたときには、ネズミはしゃーっと十分な距離を取り、ピタリと動きを止めた。
要するに、さっさと逃げられちまったわけだ。
「えへへ。ごめんなさ~い。でも、楽しかったね」
「そうかい……そりゃ、結構なことで」
アイの相手も疲れるが、こいつの相手の方が何十倍も疲れるぞ。体力ではなく、精神的にだ。



~あとがき~
ノワールのお父さん感すごくない?

次回、まだまだ遊びます。リランさん。

ノワールやリランの見ている景色がお伝えてきたら幸いです。まあ、リランの風景とノワールの風景はまた違うとは思うんですけどね(笑)

ではでは!