satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第157話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわーわーしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
百面相ばりに感情がころっころしまくるティールでした。敵の掌でころっころされてましたね。
ティール「ふふふ~」
ラル「あ、怒ってるぞぉ」
今回からはまたラル視点に戻ります。


ティールを突き飛ばして、無理矢理、敵の妨害の範囲外に追いやったあと、視界暗転のデバフをかけられてしまった。まあ、視界を奪われた程度で焦る必要はないのだけれど、ここはどこの室内で、どこに何があるのか頭に入っていない。下手に動くのは危険だと思い、されるがままを選んだ。少しでも敵意を感じ、攻撃する気配を感じ取ったら雷姫を振り回そうかと思っていたのだが、そこまでの度胸はないらしく、適当なソファ的な何かに寝かされているらしかった。らしいって表現を使ったのは、私は実際を知らないから。けど、雷姫がそう言うのだから、そうなのだろう。
今、私の頭に響くのは、雷姫の怒号だった。私に向けられたものではなく、そこにいるであろう敵に対して向けられたものらしい。
『おい、この男、マスターを嫌らしい目で見ておるぞ。斬り殺してやろうか!?』
やめてあげてください。命を取るほどの悪人ではないっしょ……?
不本意に捕まってしまったが、よくよく考えれば怪しい人物がいるのならば、こうした方が手っ取り早かった。短縮できたと捉えておこう。……周りの人に怒られそうな手法ではあるけれど。
「こ、ここんなところに人が忍び込んでくるなんて……まだ、子供じゃないか……?」
視界が奪われているだけで、声も出せるし、意識もあるのだけれど、ここは特に反応を見せる必要はないだろう。黙ってよ。
『そのような目でマスターを観察するなぁぁ!! マスターは我のものだ! もしくはパートナーのものぞ!?』
それはねぇわぁ~……
男は私でも聞き取れない─というか、ティールの声が絶えず聞こえているから、聞き分けられない─声でぼそぼそっと何かを呟いたかと思ったら、私の髪を触ったような気がした。
『だあぁぁー!!?? マスター! 我を実体化させよ! この男、一瞬で切り刻んでやる!!』
あぁ、触ったのは間違ってないのね。まあ、確かにゾッとはするけれど。
何をどう思ったのか不明だが、男が異様に近づいてくる気配があったため、私は我慢できず適当にパンチした。ちなみに当たった感触はない。
「人が黙っていれば、このあとは何するつもりだったのかしら。……痴漢の容疑で逮捕だ。たいほー」
「きっ、気絶させたはず……! もう目が覚めたのか……!?」
確かに、気絶はさせられたけれど。
「うるっさい目覚まし時計のお陰で目が覚めちゃったよ。とはいえ、あなたのデバフが解けている訳じゃないから、ここから逆転は難しいかもにゃあ?」
……あくまで、私一人だと、だけどね。
ずっと繋げていた通信機から、情けないティールの声がずっと聞こえていた。けれど今はいつもの……いや、いつも以上に冷静なティールになっていた。というか。
「怒ってるよなぁ、相棒」
『だろうな』
ぐぬ。
「何も見えていないお前と、俺とではハンデがある! もう一度、眠ってもらうぞ!?」
「その眠ってもらうは二度と目覚めない的なやつかなぁ……? そうなるのは、もしかしたらあなたかもしれないけれどね?」
「な、何を……」
男の言葉は後に続かなかった。
この部屋に乱入者が現れたからだ。
「彼女から離れろ」
いつもよりも低い声で私と男の間にでも入ってきたのだろうか。側にあった男の気配が消え、代わりにティールの気配を近くに感じた。
この隙に、私はレッグポーチから手探りで回復薬を取り出して中身を飲み干す。デバフ解除の回復薬は即効性で、すぐに効き目が出てきた。真っ暗だった視界が少しずつ元に戻り、薄暗い部屋を映し出す。
「はー……飲むタイミングなさすぎ~……っと」
ぐるりと見渡すと、腰が抜けたのか座り込んでいる男に、ティールが剣の切っ先を向けているところだった。何らかの手段で敵を飛ばしたんだろう。男が濡れている様子もなければ、冷気で凍っている様子もない。恐らく、スイちゃんかセツちゃんの剣の腹の部分をぶつけたか。
ティールはポーチから粉の入った小瓶を取り出すと、何の躊躇いもなく全て男に振りかける。
あれって……確か。
『マスターが作ったやつか』
だねぇ……怒ってますね。かなり。
「お前が全てやったのか。幻術も、彼女を連れ去ったのも、全部。お前が?」
感情を感じさせない声はどう聞こえたのだろう。男は予想以上にガクガクと震え出し、ティールからどうにか逃れようともがき始める。しかし、ティールが目の前に立っていること、喉元に剣を向けられて逃げ道がないことが相まって、無意味な行動となってしまっていた。
「……どうでもいいか。住居不法侵入は確実だ。ついでにここ最近の騒ぎについて、警察にでも弁解して。……でもね、ぼくのパートナーに手を出されて黙ってなんかいられない」
向けられていた剣が真上に掲げられ、すとんと振り落とされる。もちろん、狙いは外されていて、男の股の間に振り落としていた。しかし、男は当たってもいない片腕を押さえ、痛みで喚き始めた。
それだけで、男の今の状況を察した。
「完全に幻覚見せられてんな」
『効き目抜群じゃな、あの魔法の粉』
誤解を招きそうだけれど、あれは惑わしのタネを粉末状にしただけで、合法である。しかし、あの小瓶だけで二、三回分くらいはあるはずなので、必要以上の量を使用はしているのだけれど。それくらい、ムカついたんだろう。
『……パートナーが成敗してくれたな。我は戻るぞ。ふふん♪ すっきりした♪』
そりゃよかった。
「……ふぅ」
男がありもしない怪我のショックで気絶したところで、ティールはスイちゃんとセツちゃんを納める。そして、先程までの冷静さは無きものにされたのか、あわあわしながら私のところへと駆け寄ってきた。
「ラルー! 大丈夫!? 何かされてない?」
「一応、何もされてないけどさぁ……お前、耳元で叫ぶなと言ったよなぁぁ!?」
「ご、ごめんなさいぃぃ!!!」
ちょうどいい位置にティールの脛があるから、そこを重点的に蹴ってやる。正直なところ、この通信機の声で敵に何かされるんじゃないかとヒヤヒヤしたのだ。実際は、相手に聞こえてなかったみたいだけれど。そこは、敵の性格にも助けられた形となったのかもしれない。
「い、いたっ……ごめんってばー! でも、あんなところに一人なんてラルもひどいよ!?」
「男だろーが! 泣くんじゃないわよ」
「泣いてはない!」
どうだか。声は震えてましたけれど。
結果的にこちらの損害はない。が、もう少し上手く立ち回るべきだったな。いや、これはこれで楽しかったけれど。久しぶりにティールのあれこれが見れたし。
ティールの足を蹴るのをやめると、私はすくっと立ち上がる。
「とにかく、色々あったけど……助かったよ。ありがとうね」
「助けるのは当たり前だろ。ぼく達はパートナー同士なんだから。……ところで、こいつ以外に人はいないんだよね?」
「どうだろう。今度こそ、幽霊が……」
「やぁぁだぁぁぁ!! ラルのバカ! 何でそういうこと言うかな! 言うのかな!?」
真面目でかっこいいティールも好きだけど、あわあわしたり、笑ったり、怒ったり……表情がころころ変わるティールが好きだな。
だって、そっちの方が面白いじゃない?



~あとがき~
ごちゃっとしてるけど、ティールが静かに(?)怒ってるシーンが書きたかっただけです。

次回、まとめなり~!
今回の締めに入ります。すぐ終わると思います。

言いたいことないっすな……
なんだろ。ラルはティールにも思われ、雷姫にも思われ、幸せなやつですね。
雷姫のは過剰な気もしますが(笑)

ではでは。