satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第158話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
敵に拐われたラルを助けたティール。悪いやつにもお灸を据えました。やり過ぎ感もあるけど。
今回はあれだね。まとめです。まとめ!
ティール「こんなに仕事でバタバタしたのも久しぶりだよ」
ラル「私は楽しかったけどね」
ティール「どこが!?」
慎重なラルらしくない感じではあったけど……まあ、あれだよね。適度にふざけてなんとなくのスリリングを味わいたかったのかもですね。
ティール「は!?」


ばたんきゅーしてしまった男を引きずり回して一部屋ずつ確認するのは流石に面倒だったため、雷姫を使い二階の捜索を行った。
できるなら最初からやれよと思われそうだけれど、これはこれで疲れるのだ。できるなら、やりたくはなかったのだ。……結局、やっちゃったけど。
結果、この男以外に館にいる者はおらず、人影だとか、気配だとかはこいつの仕業ということになるのだろう。
よって、この地域の警察さんに男を引き渡し、この依頼は終了である。屋敷を出て、その警察と合流を待った。
「探検隊スカイサン! ゴ協力、感謝シマス! ゴ苦労様デス」
「いえいえ。報酬はいつものようにギルドにお願いしまーす」
ものの数分で到着した警察さんは機械のように片言で話し始めた。言葉だけではなく、動きすらもかくかくとしたものに見えてくる。これが彼のデフォルトなのだけれども。
機械的なマスクを着用し、素顔を見せてくれないジバさんとその部下のイコルさんだ。イコルさんは片言以前に無口で喋らないお方だ。
「ラルサン、ティールサンハ、ソノ……大丈夫デスカ?」
「大丈夫っす! ちょっといじめすぎちゃっただけなので」
ジバさんが心配するティールは、木の影に隠れ、耳を塞いだ状態で小さくなっていた。こんなの、誰が見ても心配するってやつだ。やれやれ。
最後の悪ふざけで『幽霊』という単語を言ってしまったのを根に持ったらしく、館を出たあと、あんな感じに小さくなってしまったのだ。何もいないと言っているのにね。
ジバさん達に後は任せ、私はティールの元へと駆け寄る。きゅっと目を閉じ、小さくなるその姿は幼子がやるならまだしも、男子高校生がやるものではないだろう。ティールは気にしないんだろうけども。
ティール、帰るよ~」
「……今度はほんとに、本当に帰る? 実はまだお化け屋敷探検だーとかで連れ回さない?」
「回さない回さない。ギルドに行って報告したらお家に帰りますよ」
じとーっと見つめた後、ゆっくりと立ち上がった。彼の視線には疑いの色が混じっているが、このまま動かないままなのもよくないと思ったのだろう。
にしても、疑り深いなぁ。

ティールの疑念をよそに、私はフェアリーギルドへと帰ってきた。ここまで帰ってくると、ティールの機嫌もいつも通り。会話もすんなりとできるようになった。
しばらくは幽霊関連はなしだな。うん。
「うぅ……さっきまでは気にしてなかったけど、シャワー浴びたい。微妙に湿ってるよ~」
落下の衝撃をスイちゃんで作った簡易プールで相殺した際に、全身ずぶ濡れになってしまったらしい。ちなみに、ティールが持っていた電子機器類は過剰なまでに防水加工してあるので、壊れる心配はないけれど。これはティールに限らず、探検隊の持ち物は基本、何があっても壊れないように設計されているのだ。
「私が依頼完了の手続きしておくから、シャワー借りたら? ついでに服とかも」
「ん。そうするよ。ごめんね」
いいって。行ってこい。
手早く受付で事情を話し、了承を得た相棒は足早にギルドの奥へと消えていく。シャワー浴びるだけなら、そこまで時間はかからないだろう。私としてはゆっくりしてもらっても問題はないのだけれど、ティールの性格的にぱっと済ませてしまいそうだ。
「やっほーい。依頼終わらせてきたよ。確認よろしくね、リン」
「はーい! 先程、ティールさんがシャワーへと行きましたけれど……何かありました?」
ティールは濡れているのに、私は全くだからか気になったらしい。とはいえ、一から話すのは面倒だ。特筆すべき出来事もないし、私はにっこりと笑う。
「うんにゃ。なんもないよ~」
「そうですか? まあ、こうして怪我なく帰還してますもんね。では、少々お待ちくださいな♪」
討伐対象の魔物からドロップしたものを全てリンに引き渡すと、彼女は手慣れた手つきで端末を使ってチェックしていく。
「ふむふむ……問題なさそうですね! いつも思いますが、よくこの量を一日で片付けちゃいますね? 討伐二件、救助一件、調査一件ですか」
そうだろうか。移動は全てバッジで行うし、討伐一件と救助は同じ場所だ。トータルでもそこまでの時間はかけていないつもりだけれど。確かに帰ってくる時間は日も沈みかけギリギリだけども。
「明日もお休みだからね。最悪、終わらなくても野宿すればいいじゃない? もう少し受けるか迷ったけど、やめて正解だった。明日は休みになったわけだし」
「ふふ。そうですね。ラルさんもティールさんも学生なのですから、お休みは大切にしなくっちゃ!」
「だよね。明日は惰眠貪るかなぁ~?」
昼までだらだら寝て、昼過ぎくらいから活動したい。……習慣的に無理な気もするけど。
リンも私と似たような考えが浮かんだのか、小さく笑みをこぼすと少しいたずらっ子みたいに無邪気に囁く。
「あら? 惰眠謳歌するのはティールさんでは」
「誰が何だって~?」
黒と白のスポーティーなジャージ姿で現れたティールは、濡れた髪をタオルで拭きながら、不満げに頬を膨らませる。どうやら、私達の会話が耳に入っていたらしい。
「リン、ぼくだって起きるときは起きるからね!」
「あらあら♪ ごめんなさい♪」
「大丈夫だよ、リン。間違ってないから。どうせ昼まで起きないのはティールだもんね」
「……そ、そんなことないし」
あれぇ? 目が泳いでるよぉ?
「おお、ラルにティールじゃないか♪ ちょうどいいところに」
「げ、音符ぅ……」
「ノウツ! あのお屋敷調査! ぼくらに回さないでよ。酷い目に遭ったんだからー!」
ギルドの二階から降りてきたのは、学校で見るフォーマルな音符ではなく、探検家使用の所謂、私服姿の音符だった。そんな教頭改め、ノウツは不思議そうに首を傾げる。
「ふぅむ? ワタシはてっきりフォースが行くものだと思っていたんだけどね?」
「断られたわ! 勉強だとかなんとかで」
「ほう? あいつもまじめな一面があるじゃぁないか♪」
……ステラちゃんとリーフちゃんの勉強なんだけれど、言わなくてもいいか。勘違いさせとけ。
「……あ、ちょうどいいところにって? 何かぼくらに話でもあるの?」
「あぁ。そうだった♪ 親方様が二人をお呼びだよ。急ぎではないらしいが、せっかく来たんだから、今から顔出しておきなさい」
うげぇ……なんで仕事から帰ってきた今なのよ。帰りたい……
「別に明日でも明後日でもいいぞ? ただし、明後日の場合、校内放送で呼び出すけどな♪」
やめろ!! そんなん地獄じゃないか!!
「行こっか、ラル。放課後にでも呼び出されたら、ツバサとの触れあい時間も減るだろ?」
「……あい」
くそう。ツバサちゃんを人質に取るとは……鬼。悪魔……音符のアホ……
「うーんと……そこまでは言ってないと思うな、流石のノウツでも」
「おい。二人とも、ワタシをなんだと思っているんだい……?」
私達のやり取りを黙って聞いていたリンは楽しそうに笑っていたが、ノウツに見られるとさっと営業スマイルに戻る。プロの所業である。

「やあ! お仕事お疲れ様~♪ 待ってたよ」
ノウツに言われるがまま、親方の部屋を訪れると、いつもと変わらずにセカイイチで遊ぶ親方がいた。高級食材であるはずのセカイイチを軽々とお手玉のようにいくつも操る姿にヒヤッとする。しかし、これは日常。なので、私とティールはいつも通りを装う。
「ノウツから聞いてきました。私達に話でも?」
「うんうん♪ この前話した夏休みの特別依頼の話だよ~♪ ほら、ボクの知り合いが二人に依頼したいかもみたいなやつね~」
あぁ、あの曖昧で謎の日程押さえ込みのやつ……ついに依頼者が明らかになるとか。
「ううん。ならな~い♪」
「なんなんだよ!! そこまでして弄びたいか!? あぁ!?」
「こらこらこら……忘れがちかもだけど、プリンさんはギルドのトップだよ? ぼくらのお師匠様だから。そんな口の聞き方しないの」
むー……だってぇ……
「依頼者はわかんないけど、日にちは分かるよ!」
「「なんでそっちが先なの!?」」
流石のティールも私と声を揃えて抗議した。
しかし、これに反応はせずに親方はニコニコ笑顔で話を続けた。
「あのね、学校が終業式するじゃない? そこから三日後だね~♪ で、二週間お仕事してもらいたいって話だよ」
夏休み三日目から二週間……結構長いな。
「してもらいたいって話はあるんですよね。依頼者を明かしてもよくないです? あと、仕事内容! ギリギリに知らされてもこっちにも準備が……」
「依頼者は内緒の方向を望んでるんだよ~♪ あと、仕事内容はボクも知らない! でもでも、近いうちに代理人からラル達に直接連絡あるってさ。そこでわかるよー! ぜーんぶね!」
あっけらかんとした親方の態度に呆れを覚えるのと同時に、これ以上の交渉は無意味だと悟る。なぜなら、親方だから。
むむぅ……今回の仕事は秘密主義が好きな人なのかな。それとも、本当に怪しいお仕事なのではなかろうか。親方からのご命令だから断れないけれど、受けてしまってよかったのだろうか。今更後悔しても遅いが。
「ラル、まだわかんないことが多いけど……この仕事をするにあたって、やらなきゃいけないことが一つできたね」
「? 何かあったっけ?」
いつになく真剣な表情で見つめてくるティール。今の話の中で、何かに気がついたのだろうか?
「今回の期末テスト。赤点は取れないよ。補習なんて受けたら仕事行けないもん」
「……へ?」
「あはは♪ そうだね! 赤点げんきーん!」
「魔術関連の勉強、きっちり見てあげる。……いつも以上に厳しくやるからね?」
「オ、オテヤワラカニ、オネガイシマス……」
氷のように冷たくて鋭い笑みに私は引きつった笑いしか出てこなかった。
これから……というよりは、帰ってからのティール先生による熱いご指導がしばらく続くのだが……
これはまた、別の話である。



~あとがき~
とりあえず、終わり。

次回、スカイとイグニース&リアの出会いの話です。過去編です。
あ、ちゃんと現代だよ☆

言いたいことはないっすね。でも、これだけ。
ノウツだって、マウントは取れる。以上!

ではでは!