satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第162話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で戦闘してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
まさかまさかの高ランクモンスターのベヒーモスさん登場。この頃のラルとティールでは倒せませんが、ラルが捨て身の囮に!! さあ! どうする!? というところでした。
ところで、ベヒーモスって打ってますけど、ヘビーモスって間違えそうになります。私だけですかね?
あ、直接的な表現はありませんが、注意すべきっぽい感じになってます。
ラル「ふわふわか。私がぼっこぼこになるんだから、軽い暴力表現的なのあるって言えよ」


スイちゃんを両手で握って中段で構え、力強く地面を蹴る。助走の勢いを利用し、突き技の“スラッシュ”を敵の前足を掠めるように狙いを定めて繰り出した。そうしないと、あの分厚い肉壁に阻まれて、足が止められてしまうからだ。とはいえ、これが通るなんて思っていない。
「通らなくてもいい。……次!」
ベヒーモスの後ろに回り込んだ私は、ぐるっと体を回転させて、その遠心力に任せた回転斬りをした。そして、体を反転させ、斜めに、上に、下にと連続で叩き込んでいく。
「グオォォ……」
「流石に連続で攻撃すれば、少しは痛いでしょ……あんまり手応えはないけど。腕力のなさがぁ」
『るー! がばっと! ごくっんこくるよー』
「何それ。補食されるの、私」
連続斬りのお陰か、ぐらりと巨体を揺らせるものの、致命傷にはいたってない。そして、スイちゃんの忠告通り、口が大きく開けられた。
「噛みつきか……? ひゃあぁっ!!」
攻撃の溜めがなかったから、噛みつきだと勝手に断定し、大きく後ろへと後退する。同時に、がちんっと金属同士を合わせたような音が辺りに響いた。
『ぱっくんちょー!?』
「そ、そんな可愛いものなんかじゃ……補食なんてされたら、死亡だよ。即死だよ」
ん。……というか、だ。
「あいつ、あれか。私らを餌だと思ってる? お、美味しくないですけど……?」
『おなか、すきすきなのら? あのおっきーの』
かもしれない。
ベヒーモスは離れた私に向かって、再び大きく口を開ける。今度は遠距離からの魔法攻撃……ブレスが飛んでくるのだろう。
「これは直線距離。……まだ避けやすいわ」
ゴゥッと光の光線が放たれた瞬間、私は横に大きく飛び退く。光線は咄嗟に構えたスイちゃんも掠めて、岩壁へと直撃した。後ろで岩の崩れる音を聞きながら、そっとスイちゃんを撫でる。
「ご、ごめん、スイちゃん。大丈夫……?」
『らいじょーぶ。あんなのでこわれちゃう、すいちゃじゃないのだ~♪』
なら、よかった。
多分、やっと見つけた餌にありつけず、イライラしているベヒーモスは、その苛立ちを表すように無茶苦茶に頭を振る。そして、そのまま、突進してきた。
「わわ。どう避けろと……!」
どちらに飛べば、その頭に当たらなくてすむのか判断できなかった。せめてもと、スイちゃんで防御したところで、下からの突き上げに直撃し、宙へと投げ飛ばされた。一応の防御したものの、かなりの衝撃が私を襲う。肺から全ての空気が抜けるような感覚に、躊躇わず全て吐き出した。
「かはっ……!」
「グオォォ!!」
『ばーんてくるよ!! あしで、ばーん!』
いや……流石に、無理だわ。
ベヒーモスの鉤爪を防ぐ暇もなく、直撃を許してしまう。なす術なく、横に凪ぎ払われ、壁に激突して地面に倒れる。今度は空気だけじゃなく、込み上げてきた鉄の味に激しく咳き込んだ。
『るー! るー!!』
……しんどいなぁ。これ、どっか折れただろ。あちこち痛くて、どこが折れるのかわかんないけど。
「グアァァァ!!」
あーあ。元気だなぁ、あいつ。やっと飯だーって思ってんのかね。そりゃよかったね……ご飯は大事だよなぁ。人も、魔物も。
『るー! あきらめちゃだめー! てぃーとのやくそく! あるよ!!』
遠くの方でスイちゃんの声が聞こえてくる。あの衝撃で手放してしまったらしく、私の近くにはないらしい。
「けほ……あった、けど……これ、死んじゃう展開でしょ……?」
走馬灯すら流れないくらい、短い間しか知らない私が、この絶望的状況から助かる方法なんて思い付くはずもない。
指一つ動かせない今の私に、ベヒーモスの攻撃を避けることも、受けることもできるはずもない。
ここから分かることは一つだ。絶対的な死である。まあ、生きとし生きる者は死があると言う。私の終わりは、こういうものだったってだけで。
迫り来るベヒーモスを睨む元気もない私はそっと目を閉じる。あわよくば、来世でもう少しましな人生になることを祈るよ。
「てやあぁぁぁっ!!」
「……!?」
聞き覚えのある雄叫びに思わず、目を開ける。
そこには、セツちゃんと私が放してしまったスイちゃんを構える相棒がいた。ベヒーモスティールに押し返されたのか、後方へと追いやられていた。
「な、んで」
「なんで!? こっちが聞きたいよ! こっち来る気全くないじゃん! それに、君だけ残して撤退なんてやっぱりできない」
……馬鹿。
回復薬を使ったからといって、怪我が完璧に治るわけではない。その証拠に、ベヒーモスの攻撃で痛めた左足は今も引きずったままだ。そんな状態では満足に剣を振るえないはずなのに。
「ここでラルを見捨てたら、ぼくは自分を許せない。たった半年だけの仲だとしても、ラルはぼくのパートナーで一番の親友だから! やるだけやって死ぬなら後悔はないよ」
『しらゆき、よんじゃう!?』
『よーんじゃおー!』
「却下。大剣の重さに耐えられる気がしない」
重心を右足に変え、なるべく、左足に負担かけないような構え方をする。
今のティールに走り込んで突っ込むとか、素早く翻弄するだとかはできっこない。一撃一撃が単調で、分かりやすいものになってしまった。それでも、ティールは諦めるつもりはないみたいだ。
「グオォォ!!」
『てぃー、とっちんらよー!』
「問題ない。弾くぞ!」
踏ん張りがきかないはずなのに、受けきるつもりらしい。スイちゃんもセツちゃんも、やる気満々だ。理由ははっきりしている。動けない私が後ろにいるからだ。……そんなことをしてないで、逃げればいいのに。私なんて、構わずに。
目を閉じるつもりなんてないのに、私の意思に逆らってゆっくりと視界が閉じていく。
ここが私の限界だと告げるかのように。
「……えっ?」
ティールの驚く声が聞こえてきたが、何も見えないせいで、その理由は分からなかった。



~あとがき~
きりがいいので、短いですがここで終わり。

次回、ティールが驚いた理由と、二人の運命は。
ラルちゃんがぼろっぼろですが、これは過去編です。何が言いたいかって、ちゃんと生きてるよ!

今のラルなら、空中に突き上げられても、慌てることなんてないんでしょうね。むしろ、自分から口に突っ込んで、雷姫を通し、電撃ぼかーん! くらいはしてしまいそうです。
時間が経つというのは恐ろしいね……特にラルの成長が怖い←

ではでは。