satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第165話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で大騒ぎしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、病室にてラルとティールがお互い高め合う誓いを立てました。それが今の強さに繋がるわけだが……そんなの今までのシーンにないんだよな~(汗)
……気を取り直して、今回からはスカイとシリウスの出会い編、後半となります。出会い編改め、再会編ですね。
視点は戻って、ラルです。


簡単な依頼をこなして終わり……という何でもないお仕事になるかと思いきや、まさかまさかのハプニングに見舞われ、病院にお世話になることになろうとは。こんな展開、誰が予測できただろうか。私はしてませんでした。
「……やだなぁ。行きたくない」
「もうっ! 怖いことは早く終わらせるよ! ぼくはもう電話越しにこってり絞られたんだからー! ラルが逃げるからさ!」
「それはもう散々謝ったよ……?」
病院での退院手続きを迎えに来てくれたムーンが終わらせ─事情が事情なので、経費はギルド持ちである─、その足で一度帰宅。荷物を置き、服も私服に戻して、今はギルドへと向かっている最中である。
ちなみに、病院まで迎えに来たムーンは、初め、私達の無事を喜んでくれたのだけれど、こほんと咳払い一つした後、がらりと雰囲気が変わった。
「僕より先に死んだら許しません」
である。なんか、年寄りみたいな入りからの一言二言の説教を受けた。終始、笑顔ではあったけれど、目は全く笑ってなかったのは言うまでもない。
「ついたよ。ラル」
「う、ん。……ついちゃったね」
「覚悟はいいですか」
「……よくはないけど、仕方ない。行こう」
私達は顔を見合せると、意を決して扉を開いた。
ギルド内はいつも通りの賑やかさで、色んな人が掲示板を見たり、依頼の受注を行ったりしている。なんでもない日常風景だ。
「ラルー!!」
「え、あ、ひま……っちぃっ!?」
横からひまっちが飛び付いてきて、受け止めきれずにそのまま倒れてしまう。怪我は完治したし、問題はないけれど……かなり強く抱き締めてきてて、痛いです。
「わーーー!! もう! 連絡くらいしなさいな! ティールから状況は聞いていましたけれど! 心配したんだからっ!」
一方的に捲し立て、涙でぐしゃぐしゃになるひまっち。女の子としては大変素晴らしい力でぎゅうぎゅうと私を抱き締めてくる。
「ひ、ま……」
あの、息、できない……し、死ぬ……!
「ヒマワリ? ラルが死んじゃうよ……?」
ティールもですわよー!!」
「え、わわっ!?」
今度は止めに入ったティールに抱きつき、わんわん泣き始める。ティールはよろけはしたものの、私みたいに押し倒されはしなかった。流石、男の子。
普段は強気で頼りになるお姉さんだけれど、ここまで心配かけてたのか。なんだか申し訳な……
「ラルー!!」
「今度はだ……れぇぇぇえ!?」
ギルドメンバーほぼ全員が押し掛けるように飛び出してきて、ここはバーゲンセールですかと聞きたくなるくらいの勢いだ。ひまっちの奇襲のせいで床に座ったままの私なんて、簡単に踏み潰されそうだったので、慌てて立ち上がり、その場から逃げる。
「くぅらぁぁぁ!! なぜワシらから逃げるのだ!! 止まれえぇぇ!!」
「お、追いかけてくるからぁぁ!! あと、怖いからだよ! お前らが!! 全員涙拭けよ!? 何で泣くの!?」
「心配したんでゲスー! ラールー!」
「うん! それはごめんね!?」
ギルド内なんて広いっちゃ広いけれど、おいかけっこに適した場所ではないし、ギルドメンバー以外にもお客さんはいるわけで。つまり何が言いたいかって、私は簡単に隅っこに追い詰められるわけで。
追い詰められた私は、いっぺんに話し始めるメンバー達に適当に相槌を打つしかなかった。
事情を知らない人からすると、かなり恥ずかしい場面を見られている気が……いや、考えるな。この騒ぎもフェアリーギルドっぽいとスルーしてくれているかもしれない。うん。大丈夫。
「何をしている、お前達!!」
ギルドの二階に通じる階段の上から親方の(自称)右腕的存在のノウツが、入口付近で大騒ぎするメンバーを怒鳴りつける。
こんなところでノウツのお説教なんて聞きたくないんですけど……流石にスルーしてくれるレベルじゃないもん。絶対。
ちらりと私とティール、それぞれを見ると、くいっと顎で来るように示す。
「ラルとティール、親方様がお待ちだ。……関係のないお前達は仕事に戻りな」
ずいぶん、冷めてらっしゃる……?
「いやぁ……人様の手前、冷静なとこを見せたいだけだな。ワシは意味ないと思うんだがな~?」
きょとんとしていた私に、ドームが耳打ちしてくれる。普段からうるさいと言われる彼にしては、かなーり声を潜めて教えてくれた。だが、地獄耳なノウツには意味なかったようで、─かなり距離があったのに─じっとドームを睨んでいた。
「なんであの距離で聞こえてるんだ?……まあ、いい。じゃ、また後でな」
「うん。……説教はごめんだけどね」
なんて言ってみるものの、ドームは豪快に笑うだけで、頷いてはくれなかった。
一人一人、説教コースかなぁ……これ。

一人でひまっちの相手をしていたティールと一緒に、ギルドの二階へと上がる。ノウツはすでにどこかへ行ったのか、はたまた親方の部屋にいるのか分からないけれど、階段にも上がった先の廊下にもいなかった。
「私さ、開口一番、こらーって言われると思ってた。ノウツとかは特に」
「これ、何も言わない方が逆に怖いってやつだろ? 静かに怒られるの怖いよ」
私もだよ。まあ、怒鳴られるのも嫌いだけど。
親方の部屋の前で二人で深呼吸をする。何度か吸って吐いてを繰り返して、緊張と恐怖でいっぱいの心を落ち着かせる。
「ノックするね、いい? ティール」
「う、うん! いつでもいいよ……!」
……よし!
三回のノックをし、一呼吸置いた。そして、気持ちがぶれないうちに口を開く。
「探検隊スカイ所属、ラル。ただいま帰還しました!」
「同じく探検隊スカイ所属、ティール。帰還しました。入室してもよろしいですか?」
「どーぞー♪」
「あ……し、失礼、します……?」
ん~? 思ってたのとちがーう! こちらが気合い入れたわりに、いつも通りの親方の声が聞こえてきたんだけど……? あれ?
部屋から聞こえてきたのは呑気な返事だった。怒っているわけでも、感情を殺しているわけでもなくて。ただ、いつもの明るい声が聞こえてきた。
肩透かしを受けた気もするが、落ち着け。この先何があるかは分からないのだから。
部屋に入ると、デスクの上や床にいくつかの書類を無造作に散らし、セカイイチを美味しそうに頬張るプリン親方の姿がいの一番に飛び込んできた。
そして、その隣には静かに怒るノウツの姿もある。
「やあやあ! おかえり~♪ 今回はラル、大変だったねー? だいじょぶ~?」
「へ、あ、はい……」
「そかそか! ティールも。ラルみたいな大怪我はなかったみたいだけど、だいじょぶだった?」
「ぼくは、全く……問題ない、です」
「そっかー! うんうん! 元気が一番だからね! そんな二人を見られてよかった♪ お話はそれだけ~♪」
「え」
んと。え、いいの?
「親方様ぁぁぁ!!?? もう少し! この二人をお叱りください! 何ですか、よかったって! よかったって!!」
「えー? そういう空気、ボク、得意じゃないも~ん」
「親方様は場の空気を気になさるような方ではないではありませんか!?」
いや、それは失礼なんじゃないかな……?
なぜか叱るつもりのない親方の説得を早々に諦めたのか、ノウツがきっとこちらを睨んできた。
「親方様が仰らないのであれば、ワタシが代わりに言います! 覚悟しろ、お前達!!」
……まあ、うん。ある意味、予想通りな展開だ。



~あとがき~
ごちゃっとして、まとまりのない話になってしまった。すみません。さらっと流しといてくれ……

次回、親方とノウツとスカイの二人の話。
ノウツの長い説教はカットです。

特別言いたいことはないけど、ラルとティールはメンバーに愛されてるな。
ん?……これ、どっかで言った気がするな。どこでだっけ?(汗)

ではでは。