satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第179話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でびっくりどっきりしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、衝撃的事実を目の当たりにしたティール……とその他の皆様。
今回もその話からやっていくぞ。
アラシ「その他まとめされた」
ラル「雑にしてんじゃねぇぞー!」
ここでのメインはティールなんだ! 我慢しなさい!!
ラル「ティールずるいー!!」
ティール「えっ」
アラシ「それは流石に理不尽」


《L side》
ルーメンさんの告白に、ティールは動きが止まる。理解できていない証拠である。
懇意。つまり、とっても仲良く親交のある関係性ということだ。ルーメンさんは元王様と、現王様と仲良しってことなんだろう。言葉の理解はできても、飲み込めるかはまた別の話である。
「その様子だと、誰からも聞かされておらんのかえ? ワシはてっきり、セイラさんから聞かされておるもんだと」
「は、母から? いえ、全くですけど」
「そうだったのかぁ……何やら驚かすようですまんな~♪」
すまんって思ってないな、この人。
まだ冷静さを保っていられるのか、ティールは落ち着いた声でルーメンさんに問いかけた。
「ルーメンさんが父と縁があるのはイグさん……先輩からお聞きしました。が、祖父の件は初耳です」
「うむ。……アズは玉座を退いてからなかなか会えんが、ライト……ブライトとは定期的に二人で飲みに行くぞ? 大体、月一ペースかの~」
……王様と月一で飲めるってなんなん? それくらい、ルーメンさんが偉大ってこと……? いや、違うよね。王様だよ? 絶対に忙しいじゃん。実の息子のティールですら、半年に一回連絡あるかないかなのに。
「は、はあぁぁぁ!? あの父と!? サシで飲むの!? 嘘だろ!」
あ、冷静さが決壊した。
ちなみに、この衝撃的事実にびっくりしているのはティールだけではない。案外、冷静なのはしーくんとアルフォースさん。しーくんは事の重大さを理解していないせいで、真剣に話を聞くつもりもなさそうだ。そして、アルフォースさんは……彼がぽかんとしていたのは、スイちゃんとセツちゃんの声が聞こえなくて、話が見えてこなかったせいなのだろう。今は流れを掴んだのか、柔らかな笑みを浮かべていた。
「ラルー! ぼくにも分かるように言語化して……どういうこと?」
「いや、知るわけない! でもまあ!? ティールのお祖父さんとお父さんがルーメンさんとなっかよし~♪ ってことじゃない?」
「意味分かんないー!!」
いや、これ以上砕けねぇよ!?
「あ、あとで、電話してみよっかな……?」
そこまでっすか。珍しい。
「? ラルとティール、どしたのー?」
「あ~……混乱してるんじゃないか? とはいえ、あそこまでなのは俺も初めて見るけど」
「ボクもはじめてー!」
「そっかぁ……じゃあ、めっちゃ驚いてんだなー」
軽いな、ちくしょう!!
当事者でもなく、完全な傍観者ポジションなアラシ君は、しーくんの疑問に何となくで答えているらしい。しーくんの相手をしてくれてるのは大変ありがたいが。
「……ね、じいじ?」
「うん? なんだい、ツバサ?」
「そのアズってアズじいじだよね? じゃあ、アズじいじが言ってたお孫さんってティールさんなの?」
「あぁ、そうじゃよ♪」
「ほえ~♪ そうだったんですね~♪」
アズじいじ……話の流れからすれば、ティールのお祖父さんのアルドアーズさん、なのだろう。ルーメンさんだけでなく、ツバサちゃんともお知り合いなのか?
「ツ、ツバサ? お祖父様……アルドアーズ様と会ったこと、あるの?」
「はい♪ たまにアズじいじが、じいじを訪ねてギルドへ来てたことがあって。そこに私……あと、ツルギといて、仲良くなりました!」
「お祖父様~……何してんのぉ?」
両手で顔を覆い、その場にしゃがみこんでしまった。一気に色んな関係の糸が見えてきて、混乱しているのだろう。ティールは意外と不測の事態に弱いのだ。
ルーメンさんがふと何かを思い付いたのか、椅子から立ち上がる。棚から二冊のアルバムを取り出し、一冊をローテーブル─ここで商談とかするのだろう─に置き、もう一冊をティールに手渡した。
ティール、これを開いてみぃ」
「……アルバム、ですか?」
ルーメンさんは無言で頷くと、再び椅子の方へと戻っていく。受け取ったアルバムをティールが恐る恐る開いてみると、なんてことはない。普通のアルバムである。
ただ、中に納められている写真は古いのものだと物語るものばかりだけれど。
「!……うわっ!?」
「え、何……?」
ぱらぱらと適当に捲っていたティールが、とあるページでその手を止めた。そこには若い男性二人が写っている。色褪せてしまっているから分かりにくいけれど、一人はルーメンさん……だろうか。
「お祖父様」
え?
「これ、お祖父様だよ。なんで……?」
「そっちの方にはセイラさんとライトが写っておるぞ?」
「はいぃ!?」
ティールが慌てて、アルドアーズさんとルーメンさんが写っていた方のアルバムを閉じた。そして、ローテーブルに置かれたアルバムを手に取ると、同じように捲っていく。
「……!」
ティールが手を止めたページには、ギルドメンバーでの集合写真があった。これはきちんと色も分かるし、私にも誰なのか分かる。
中央に写っている黒っぽい紺色の髪の男性がブライトさん、ティールと同じような明るい水色の髪の女性がセイラさん……ティールの両親だ。
二人とも私達よりも少し上……イグさんとかその辺の年齢、かな。
「……父上と母上、だ」
「アズとは若い頃に共に旅をしとった時期があって、ライトは昔、ここで修行に来てたんじゃよ。どちらも、家の仕来たりに従って、な。……セイラさんは旅人じゃったからの~♪ 時折、ワシのギルドへ足を運んでおったんじゃ。うちにおったときは、よくライトと一緒に仕事やら遊びにも行っておったかな?」
む、昔からの仲だったんだ、ブライトさんとセイラさん。
「? ルーメンさん、セイラさんの隣の女の子って……」
目元を真っ赤にさせながらも、満面の笑みでピースするうさぎ族でピンク髪の女の子。この人、どこかで見た気が……
私の質問にルーメンさんはニッコリと笑って答える。
「セラじゃな」
「……セラフィーヌ理事長?」
「そうじゃよ。セラはセイラさんを慕っておってな~」
マジか。ティールの周り、がっつりケアル家に固められてますな……?
ティールが無言でゆっくりとページを捲っていく。
ブライトさんとギルドの人達と撮った写真や、ブライトさんとセイラさんのツーショット、セイラさんとセラ理事長(幼少期)の写真……一枚じゃなくて、何枚もティールの両親の写真がそこにはあった。
ルーメンさんの言っていることは本当なのだ。昔から、ティールのお祖父さんや両親と付き合いがあった。そこに嘘は一つもない。
『あずとじっちゃのたび、たのしかったのら』
『よく、あずがばーんってとばされてたの。おもしろかった~』
「ふぉふぉふぉ♪ そんなこともあったの~♪」
一国の主だったお方の若い頃に一体何が。
「あ~……ルー爺の関係図って滅茶苦茶広いなーって思ってたけど、改めて聞くとやばいな。一国の王様と仲良しって……ツバサはそれ、知ってたのか?」
「ううん。アズじいじのお孫さんがティールさんって初めて知った!」
「……うん。そういうことではないな」
「ほえ?」
アラシ君とツバサちゃん、スイちゃんとセツちゃんはルーメンさんと楽しげに話している中、私は無言になってしまったティールを見る。
「……ティール?」
「え? あ、うん……ごめん。大丈夫だよ」
口ではそう言うものの、表情は浮かないものだった。何をどう考えているのかは分からないけれど、彼の戸惑いは感じた。
ティールとブライトさんとの仲はあまりよろしくない。昔に何かあったとは聞いたけれど、詳しくは知らない。だから、両親の昔の話もしてこなかったのだろうし、家の仕来たりでブライトさんがどこに行ったのかも聞かなかったのだろう。自分がやるから参考にさせてくれ、とは言わなかったのだと思う。
だから、ここで一度に知ってしまって、処理しきれていない。どう飲み込めばいいのか分からない。きっと、そんな感情が彼の中に渦巻いてしまっている。
……他にも何かありそうだけれど、私にはこれ以上の予測はできなかった。
「────」
ティールは俯きつつ消えそうな声で何かを呟き、何かを耐えるようにぎゅっと目を瞑る。堪らず、私が声をかけようとしたとき、すっと顔を上げ、いつものティールに戻っていた。
「ルーメンさん、アルバム見せてくれてありがとうございます。あなたがぼくの両親と祖父と懇意であるのは理解できました」
「ふむ。そうかそうか♪」
ティールが二冊のアルバムを返しながら、ふわりと柔らかな笑みを浮かべた。
……大丈夫、だろうか。
無理しているのは一目瞭然なのだ。本当なら、ここから一旦連れ出してしまいたいけれど、ティールは従わないだろう。大丈夫と言われてしまったのだ。それは、「ぼくは平気だ」と言われてしまったも同然で。
……どうしてあげられるのだろう。私は。リーダーとして、パートナーとして……親友として。



~あとがき~
いろんな事実がティールに襲いかかるぅ~!

次回、お仕事の話を……する前に事件です。

ティールとブライトの話はどっかで軽くしか話してないんですよね。どこだっけ。サバイバルの夜会話(男子)かな?
まあ、それの話をもう少し詳しく、どこかで入れますんでね。お待ちくださいな。

プロットではもっとわいわいしてる感じだったんだけど、ティールの描写とかラルの考察とか入れたら一気に暗い感じになってしまった。おっかしいなぁ?
次回はそんなことないと思いますので、安心してくださいね!

ではでは!