satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第186話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわたわたしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ルーメンおじいちゃんのところで話が終わり、最後の最後にティールと二人で話がしたいと持ちかけられ、ティールは保留にしたところで終わってます。
今回はお部屋にGoですね。
ティール「ぼくが言うのもあれなんだけどさ……温度差が凄くない?」
凄いな。真面目で暗めの雰囲気からがらっと変わるんだもの。ひえってなるよ。こっちも。


《L side》
部屋を出ると、ティールが扉近くの壁際でうずくまっていた。そんな彼をどうにかして励まそうと、しーくんが必死にティールの頭を撫でている。私が部屋から出てきたのを見て、しーくんは不安そうにこちらを見上げる。
「ラル。ティール、げんきなくなっちゃった。……ティール、ボクがわがままいったから、おこったのかな……?」
「そうじゃないよ。しーくんは悪くないからね。……ティール、ゆっくりでいい。今すぐに飲み込む必要はないんだから。私が傍にいるよ、ね?」
「……うん。そう、だよね。ありがと、ラル。……雫も、ありがとね。大丈夫だから」
ティールは小さく笑い、ゆっくりと立ち上がる。そして、何も言わずに先頭を歩く。きっと、今の顔を見られたくないからだ。
「……ママ」
「だぁいじょぶ。しーくんはなんにも心配いらないよ。あとでママがパパとお話ししてみるからね」
「わかった。ラルにおまかせすれば、だいじょぶになるよね」
「うん。まっかせろ!」
そうなれるかは、ティールの心次第だけれど、私は信じてるから。だから、今はいつも通りに振る舞おう。それをティールが望むなら。
「お。……隣の部屋はここだね? きっと、ツバサちゃん達がいるよ」
私の言葉にティールは無言でドアノブを掴み、扉を開いた。……そして、飛び込んできたのは……
「てぃー! おかえりー!」
「るーも! しーも! おっかえり!」
そう叫びながら、天真爛漫に笑うスイちゃんとセツちゃんだった。空気も読まず、ティールの顔面に飛び込み、ティールをむぎゅむぎゅしている。
「あ、おかえりなさい! ラルさん、しーくん♪ あ、あと、大丈夫ですか? ティールさん……?」
扉の影から顔を覗かせたのはツバサちゃんだ。心配の声をかけられた相棒は無言で妖精二人を引き離し、にこっと笑いかける。
「……うん。大丈夫だよ。ごめんね? このてるてる坊主達が迷惑かけたでしょ」
「あ、いえ。私は楽しく遊んだので! でも、アラシが」
うん? アラシ君?
ツバサちゃんが見ている視線の先を辿ると、床にぐでっと倒れ、リランにのしかかり攻撃されているアラシ君がいた。
「何してるの、アラシ君? 遊んでるの? 元気だねぇ」
「こ、この状態を見て、よく言えるな?」
まあ、リランに遊べ遊べアピールされたんだろう。ついでに、スイちゃんとセツちゃんにも。その結果、バッテバテになったと推測しようかしら。今回はレオン君もいなくて、一人だしね。
ぐったりのアラシ君を見て、ティールは片手に一人ずつ確保している妖精に微笑みかけた。もちろん、目は笑っていない。
「スイ、セツ。知ってる? 無能なてるてる坊主は、頭と体をバラバラにしちゃうんだって。……お前らはどっちなんだろうねぇ」
「きゃー! てぃーがおこってるー!」
「おつかれなの、あらちゃがよわいだけなのにー!」
セツちゃんに弱いと言われ、アラシ君が
「うっせぇぇー!」
と叫ぶ。が、床に寝っ転がって現在進行形でリランにやられているために、説得力はあまりなかった。
「あんあんっ!」
「ぐえ! ば、上で暴れんな、リラーーン!」
こちとら、真面目な話をしていたんですけどねぇ。遊んでいたのですか。楽しそうですなぁ。
「この体力お化けドラゴンと妖精二人に絡まれてみろよ……こっちが死ぬぞ」
元気の化身みたいなもんだからな。
さて、ここからすることは一つ。部屋の確認だ。先程、アルフォースさんから部屋番号を教えてもらったのだし、今行っても大丈夫だろう。
ティールの怒りに触れ、きゃーきゃー騒ぐスイちゃんとセツちゃん、リランののしかかりから脱出できないアラシ君は今は放置だ。
「ねえ、ツバサちゃん。私達が泊まる場所、分かる? できたら、案内してほしいなって」
「はい! このエクラ城内にある後宮だったエリアですよね? 分かりますよ♪ 案内します」

城だから、色んな役割のあるエリアがある。玉座の間とか、エントランスとか、そういうやつ。その中でも後宮と呼ばれていたところは、現在、宿泊施設として使われているらしい。観光客はもちろん、私達のような探検隊なんかも宿泊先として利用するとか。そして、城にあるという事実で察するだろうが、そこも明けの明星が経営するホテルである。
ちなみに、スプランドゥールの中でも一番高い宿泊施設だとか。とはいえ、お金持ちだけしか泊めません、という金額ではないとのことだが、実際のところ、私は知らない。知らなくてもいいことというのは、世の中には存在するからである。
ツバサちゃんの案内で、豪華ながらも落ち着いた雰囲気のあるホテルの中を歩いていく。
「んでも、お前ら三人同じ部屋を選ぶとはな。よかったのか?」
「人の目があるし、本当はよくはないけどさ。しーくんのうるうるには勝てないのだよ」
「……なるほどね。甘えに負けたってか?」
いーや? あれだよあれ。見知らぬ土地だから、一緒にいた方が落ち着くって話だよ!
「ははっ……ま、そういうことにしとく」
ここにレオン君いなくて、正解だよ。言われるもん。絶対。そして、過剰に反応するのはうちのパートナーだろうけど。
「あ、つきました! ここがラルさん達のお部屋ですね♪」
とある部屋の前でツバサちゃんは扉を指差し、にこりとこちらを振り向く。
「へぇ。ここか……って、ツバサ。鍵とかはどうなってるの?」
両肩にスイちゃんのセツちゃんの乗せたティールが首を傾げる。なんかもう、今日一日限りだけれど、様になっている気がした。
「ほえ? じいじから受け取ってませんか?」
ルーメンさんから受け取って、鍵になりそうなもの……このブレスレットくらいか。
ツバサちゃんにブレスレットを見せると、パッと顔を輝かせた。
「それです♪ そのブレスレットをこのドアノブの……この辺にかざしてみてください」
こうかな?
ツバサちゃんに言われるがまま、ブレスレットをドアノブ付近に近づけると、カチャンと鍵の外れる音が聞こえてきた。
「わー! あいたー!」
「ふふ。実はそのブレスレット、許可証であると同時に、この部屋の鍵にもなってるんです。なので、失くさないように注意してくださいね?」
失くしたら、部屋にも入れないどころか、ギルドの施設も利用できないもんな。貰ったときから失くさないようにとは思っていたけれど、これ、気軽につけてられないんですけど……ダンジョン攻略時は外しとこっかな……壊れるなんてちゃっちい作りしてないだろうけれど、用心はすべきだ。
「ここの宿泊施設、全てオートロック制ですから、鍵はきちんと持ち歩いてくださいね♪ 部屋に誰かいるならいいですけど」
「分かった。気を付けるよ。ここまでありがとね、ツバサちゃん」
「いえいえ! これくらいなんでもないです♪」
私達はこのあと、荷物の整理をするけれど、二人はどうするのかな?
「んと、私はツルギと一緒に夏祭りの準備をすることになってますね~」
「俺は騎士団の方に顔出せって言われてるから、そっち行くわ」
なるほど。じゃ、ここからは別行動だ。
「あ、夕飯は一緒に食べませんか? お昼で使った食堂の前に集合しましょう♪」
ツバサちゃんの提案に、この場にいる全員が頷いた。断る理由がないしね。
「OK。なら、六時くらいに集合ってことでいいかな? ツバサちゃん、準備頑張って。あ、アラシ君も~♪」
「はーい! 頑張りますっ♪ では、また後で!」
「……なんか俺のついで感凄かったけど? いや、いいけども」
気のせいだって。気のせい!
私達の部屋の前でツバサちゃんとアラシ君と別れ、私はロックを外していた部屋の扉を開く。
「……な、なんだこれ。え、なんだこの豪華な部屋」
「みて~! ひろいね!」
「いまのいえくらいあるね!」
「ねー!」
そ、そこまで広いかな。うち……?
「んー……多分、スイートくらいじゃないかな?」
くそ! 冷静だな、ティールめ!
ティール曰く、スイートルームレベルの客室らしい部屋は、城の中にあるからか、洋室タイプだ。かなり広く、そして豪華である。三人で寝ても問題ないくらい大きなベッドが二つ、簡単なキッチン、冷蔵庫完備。お高そうなソファや椅子がいくつもあって、テーブルもちろんあって……なんかもう、頭痛くなってきた……
「おふろもひろーい! ラルー!」
「んー? なっ! ホテルなのに、ユニットバスじゃない、だと……!?」
「え、指摘するのそこなの?」
二人で入っても余裕な浴室。これなら、ゆったりのんびり疲れも癒せるだろう……いや、こういうのって絶対高いよね? 一泊いくらなんだろ……
「大袈裟な……スイートだろ? ロイヤルじゃないし。けど、スプランドゥールは物価高めだから……十数万ってところかなぁ」
「一泊!? 一泊で約十万飛ぶの!? 食費! うちの約二ヶ月の食費くらいだぞ! それを何日も!? 無理無理!!」
「凄いよねぇ……それをぽいっと負担できるくらい、明けの明星はおっきなギルドなんだね。そりゃあ、人選は慎重にもなるってやつだよ」
それをさらっと受け入れられるお前もお前だ!! 金持ちー! 金持ち怖いー!!
浴室の扉を閉め、ベッドに倒れこむ。ふっかふかのマットレスにビビりつつも、自棄糞になってばたばたしておいた。
いや、何これ。むっちゃ気持ちいい……
「いやぁ、これくらいは予測はしてたよ……ツバサのお祖父さんだよ?」
「そ、そうだけどさぁ……はぁ。私、気が休まらないかもしれない」
「ぎゃ、逆に?」
逆に。まあ、慣れればこの暮らしも快適になって、家帰りたくないとか言い出すんだろうな。人とは恐ろしい生き物よ……
お遊びはここまでにして、予め運んでくれたらしい荷物の荷解きをしなければならない。ふかふかベッドとは一旦おさらばし、私達三人はそれぞれの荷物の整理を始めるのだった。



~あとがき~
スイートルームなんて泊まったことないわ。

次回、部屋でのんびりするスカイの三人と妖精(聖剣)二人の様子をご覧ください。
ちょっとの間、ツバサちゃん、アラシ君、リランの出番はありません。しばし待たれよ!

ティール、情緒不安定っすな。
悩みすぎてしんどくなったり、普通に振る舞ってみたり。かと思えば、スイセツに怒ったり。忙しい……普通なのは周りに心配かけないように、という気持ちの現れですが。
さて、そんな彼にラルは何て声をかけるのか。接するのかは……近いうちにな。

ではでは。