satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第194話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどぎまぎしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、わいわいしてました。(適当)
今回はあれっすね。ティール君頑張るの回で。
ティール「適当!?」
ラル「うける」


《Te side》
写真を撮ったあともわいわい騒ぐスイとセツだった─その間にぼくはさっと入浴をすませておいた─が、突然、ふにゃふにゃっとベッドに座りこんだ。
「うにゅ……」
「うみゅ~」
「なんだ。ようやくエネルギー切れ?」
「みたいなのら~……ぽわぽわ、なくなってきた~」
「せっちゃも~」
アルフォースさんが長くても夜までしか持たないだろうって言っていた。部屋に戻ってきて騒ぎまくってたから時間経過なんて忘れていたけれど、外はとっくに夜だ。
「あわわー!」
「ほわー!」
二人の体が淡く発光し、その光が強くなったと思ったら、「ポンッ」と軽い音が二つ聞こえる。スイとセツが剣から妖精へと変化したときと同じ音だ。
光が消えると、見慣れた二つの青い剣が並んでいた。
「……おかえり、スイ。セツ」
『うー……なんか、てぃー、うれしそー』
『ひろいのらー……せっちゃたち、おちこんでるのにー』
嬉しくはないけど。ま、元に戻ってよかったとは思っている。ぼくの大切な相棒とも呼べる剣達だからね。
スイとセツを手に取ると妖精のときにはなかった、ずっしりとした重さが手のひらに伝わってくる。いつもの重さに安心した。
「で、ティール。ルーメンさんのところはどうするの? もう約束の時間になってるけど」
げっ。もう?
時計を確認すると、確かにその時間になっている。ルーメンさんのお願いを聞くなら、早く向かわないと。
「で、でも、今日じゃなくても……」
ティール。時間は有限」
うぐっ。そうだけど。
きちんと向き合うべきなのは分かるんだけれど、今じゃなくてもいいかなって思ってまして……?
『てぃー! すいちゃたち、もとにもどったーって、いいたい!』
『じっちゃにごほーく!』
それ、する必要あるか……?
「どうするの? ティール」
「……うぅ。どうしても、行った方が、いいですかね」
「敵を知る絶好のチャンスを逃すのか、お前はー! ここで逃げると、明日も明後日も逃げ癖つくぞー!」
あう!? それは否定できない!!
ラルの喝にぼくは泣く泣く頷いた。残念だけど、正論です。
ラルの言葉にぐうの音も出なかったらぼくは、Tシャツにスウェットというラフな格好から、再びYシャツにベストという外出スタイルに着替える。そして、ルーメンさんに会いたいというスイとセツも装備して。
なんのためにお風呂入ったのか謎だけれど。
「いってらっしゃい」
扉の前までラルと雫が見送ってくれる。ラルは笑顔だけど、雫は少し不安……いや、心配そうで。
「い、いってき……ね、ほんとに行くの。ぼくは」
「着替えたんだし、うだうだせずに行け! あ、ルーメンさんからもらったブレスレットつけた?」
は、はい……つけてます。ここの鍵は空けられます。だいじょぶっす……
ぼくがかなり不安そうにしていたのか、頼りない表情だったのだろう。ラルが小さくため息をつき、左手を突き出してきた。パーカーの袖からちらりと覗くのは空色のバンド。
ティールはチームの名前……スカイの由来、覚えてる?」
「え……?」
突然、なんだろう。
ぼくがそれを答える前に、ラルはにこっと笑う。
ティールはね、一人じゃないってことよ」
そう言うと、ラルが普段つけている黒いリボンの一本を、ネクタイの代わりとでも言うのか、ぼくの首元でリボン結びをする。
「貸したげる。なんか寂しいみたいだし~? それを私だと思え」
無理がないかな。けど、お借りします……一応。
「ボクも! ボクも! でも、ティールにかせるものがない……はっ! ティール、ちっちゃくなって!」
あ、え、こう?
雫と同じ目線になると、雫の小さな手がぼくの頭をぽんぽんっと優しく撫でていく。
ティールにげんき! あげるの! ボク、まだまだげんきなので!」
マ、マジか……元気なのか。
「さいごのしあげ! ぎゅーっ!」
力一杯抱きついてくる雫に、ぼくも同じように優しく、それでもありがとうって伝わるように強く抱き締めた。
「あはは。……元気出たよ。雫は凄いね。魔法使いさんだ」
「んふー! パパ、いってらっしゃーい!」
誇らしげな我が子と離れ、そっと立ち上がる。そして、ラルと目があった。
「行ってくる。もし遅くなるようなら先に寝てて」
「分かった。まあ、私は起きてるけど。夜行性なんじゃよ~♪」
いや、君。結構朝早くに起きる……いや、なんでもないですね。はい。
「ボクも! おきてるもん!」
うん。無理しないでね。
「……よし。いってきます」

……とは、家族には言ったけどね?
「目の前にすると勇気って出ないもんだね」
『てぃー、かっこわるい』
『そーだ。かっこわるいぞー』
うるせぇ。
自分達が借りている部屋から、ルーメンさんの部屋まではすんなり来れた。が、しかし、ルーメンさんの部屋の扉をノックしようと意識した途端、情けない話だが、体が動かなくなった。
そして、今、人様の部屋の前でしゃがんで、落ち込んでいるところだ。今が夜でよかった。人通りなんてないから、こんなことしていても、邪魔だと怒られることもない。
「ぼくって、ここまで意気地無しっすか……」
『ゆーじゅーふだーん』
『てぃー、いしけってーひくーい』
難しい言葉、よく知ってますね!! スイとセツのくせに!
くそ。……苦しい。逃げてしまいたいくらいだ。一人で来るんじゃなかったよ。
部屋の前までラルと来ればよかったな。……あの子なら、彼女なら、何て言うかな。今のぼくを見て。
情けないと怒って、代わりに扉を開けてくれた?
大丈夫だと励まして、一緒に開けてくれた?
それとも、静かに見ているだけだろうか。
どれもあり得そうだな。
ここで、ふと自分のバンドが目に入って、ラルが見送り間際に言った言葉を思い出した。
「……スカイの由来、か」
ぼくらのチーム名はラルがつけた。理由は「空はどこに行っても空だから」だ。これを最初に聞いたとき、意味が分からなかったんだけど。そのあとにラルが「空はどこで見上げても一つしかない。どこまでも繋がっている。だから、空の名前を持つ私達も、離れたって一緒なの」ってふわっと笑って教えてくれた。
「離れてても一つ。傍にいる、か」
ラルらしい励ましだよね。そんな君がぼくは好きだよ。
黒いリボンが揺れるのが目についた。ぼくはそっと端を持ち上げ、軽くキスをする。
「……うん。もう、大丈夫」
『なんでちゅーしたんら』
『てぃー、なんでー?』
「え。なんとなく……手のひらにする感覚だった。うちじゃ挨拶代わりでよくしてたから……あれ。変?」
『いまのはへん』
『るーのこと、あーいらーぶなの?』
それはないと思うけど。……ない、よな?
……? まあ、いいか。
ぼくは立ち上がり、再び扉の前に立つ。
うるさいくらいに鳴り続けてる心臓に抗うように、ぼくは意を決して、手を伸ばした。
その瞬間、触れてもいない扉が独りでに開いた。
……!? お化け的な某様!?
「うわぁぁぁ!?」
「わぁっ! あ、ティールくん……?」
叫びながら後退し、スイを抜剣手前まで構えたところで、びっくりしているアルフォースさんと目があった。
……ま、まあ、普通に考えれば、そうですよ。あっちから開けたんだよ。そりゃそうだわ!! 恥ずかしい!
「あぁぁぁ!!! 心臓に悪いー! お化け嫌いー! この前のやつ! あれがよぎった!!」
『おばけじゃなかったね』
『あるるだねー』
あるる……アルフォースさんのことか。
「お化け……?」
「いえ!! こ、こっちの話です。大袈裟に反応してすみませんでした」
「いえいえ……親方に会いに来たんですか?」
「うっく……え、と。は、はい。……ご、ご迷惑で、なければ……はい」
しどろもどろに答えてしまい、かなり動揺……色んな意味で動揺しているとバレバレである。そんなぼくにアルフォースさんはにっこりと笑うと、部屋の扉を開けてくれる。
「どうぞ。お入りください♪……親方、ティールくんが来ましたよ」
『いっちばんのりー!』
『じっちゃー! きたよー!』
なっ!? お前らぁぁ!!??
アルフォースさんが開けたのをいいことに、スイとセツは水と冷気に姿を変えて、勝手に入っていく。
「ん? おお! 早速来てくれたのか♪ 水泉と雪花もか~♪」
部屋の中からはルーメンさんの声が聞こえる。アルフォースさんが立っているからぼくには見えないけれど。
でも、スイもセツも入っちゃったし、アルフォースさんにもどうぞされたからには、やっぱやめます。なんて言える状況ではない。
さっき、心を決めたはずだ。今更、逃げるなんて、ラルや雫に顔向けできないよ。
「……失礼します」
お昼ぶりにルーメンさんの部屋に入ると、ルーメンさんは眼鏡をかけて、書類仕事をしていたらしい。とはいえ、その眼鏡はデスクの上に置かれているし、周りの片付き具合からもう終わった後みたいだけれど。
「よく来たな♪ さあ、そこのソファに座っとくれ」
「は、はあ……失礼します」
アルフォースさんも一緒に入ったらしく、手早くお茶の準備をしている。
昼はラルも雫も……それに、ツバサやアラシ、リランもいたから、明るくて賑やかだったけれど、今はぼくら三人しかいない。時間帯もあるのか、部屋はしんとしていて緊張感が……
『じっちゃー! もとにもどったのー!』
『てぃー、なんかうれしそーなの! ひろいよねー!!』
……緊張感ってなんだっけ。
「どうぞ、ティールくん」
「あ、ありがとうございます……」
香りからして、ハーブティーだろう。お茶を淹れてくれたアルフォースさんは、ぼくらに向かって小さく微笑んだ。
「それでは、お義父さん。僕はこれで」
「うむ。アルフォースよ、手伝ってくれてありがとの。また明日、頼むぞ?」
「はい。それじゃあ、ティールくん。おやすみなさい」
「あ、おやすみなさい」
静かに扉を閉め、残されたのはぼくとルーメンさん……あと、スイとセツだけ。
あぁ……ついに来ちゃったなぁ。



~あとがき~
ここまで来るのに何話かけたよ。

次回、ティールとルーメンおじいちゃんのお話。
しばらく続きます。

優柔不断なティール、まあ、彼っぽいっすよね。今まで、そういうところありませんでしたが。どちらかといえば、ラルや周りに引っ張られるタイプというか、後ろをついて回るタイプなので、自分自身のことはこれだ! と、決められない感じです。特に自分が苦手なことになるとな。

そして、スカイの名前の由来。これは原作通りです。公開してたか覚えてませんが。
遠い昔にしたような気がするんですよね~
どうだったかな?

ではでは。