satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第196話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で暮らしている物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、白雪を呼び出し、ルーメンおじいちゃんと楽しく話が進みました。
今回もその続きですね。


《Te side》
ルーメンさんと白雪の昔話が続いていた──ぼくは完全に蚊帳の外だけれど。そんな中、楽しそうだったルーメンさんの声が、ふと落ち着いたものに変わる。
「……のう、白雪や」
『なぁに?』
「こんなこと、ワシに言われんでも分かっておるだろうが……お主から見て、ライトはどうじゃろうか?」
と、ちらりとぼくを見てきた……気がする。ぼく自身、少し冷めてしまったハーブティーを飲んでいて、ルーメンさんをちゃんと見ていなかった。もしかしたら、気のせいかもしれない。今までの話も、ぼくは全く関係のないものばかりだったし。
そう結論付けて、白雪の父上評価(?)に耳を傾ける。
『……あら。そういう話ね。いいわ。教えてあげる。貴方も時折、王とは会っているでしょう? 答えは、相変わらず、よ』
「ふむ……」
『もちろん、貴方のところにいたことで多少は柔らかくなったけれど。……でも、そっちは不器用なまんま。あれ、死ぬまで治らないわよ』
よく、分かんないけど、父上。白雪にダメ出しされてます……よく、分かんないけど。
「そうか。……白雪」
『今度はなぁに』
「今まで、ワシは部外者じゃった。少しくらいは言ってきたが、深く突っ込んではおらん。じゃがなぁ、ここまで拗れているのではあれば、もう、ワシも介入してもよいかの?」
『……ふぅん。それを私に聞くのはなぜ?』
「お主が王を加護し、守る女神じゃからな。ワシは昔からの知り合いじゃ。アズやライトとは親しくしておるが、他人からすれば第三者。部外者に過ぎん。……それに、これは家族の問題じゃ」
……何の話だろう。とりあえず、ぼくの家族の話っぽいけれど。
ルーメンさんの言葉に白雪はおかしそうに、小さく笑う。
『未来の王を育てるのは歴代の王の役目。……流石の貴方でも、弁えていた、と? 貴方にしては珍しいと思っていたのだけれど、なるほどねぇ……ふふ。ルーメン、遠慮って言葉、知っていたのね?』
「当たり前じゃよ。まあ、さっきもった通り、軽く諭してきたつもりだがの~? して、女神よ。先程の申し出の返答を聞こうかの? お主のことじゃ、また今度返事する、などとは言わんよな?」
『ええ。言わないわよ。答えはお好きにどうぞ、ね。……ふふ。本当に貴方、面白いわよ。貴方、王を導こうとしているんだもの。……まあ、ここでは、単なる世話好きおじいちゃんだから、としておくけれど』
話を聞いたルーメンさんがにっこりと微笑む。少し、意外そうにしながら。
「ほほ~♪ 女神に褒められるとはな♪」
『誇りなさい。私は王以外の人の子を滅多に褒めたりなんてしないわよ? さあ、ルーメン。未来の王を導きなさい? 私が許したのだから、これくらいはやってもらわないと困るわ』
「分かっておるわい♪ 水氷の女神の許可もあるしの。もう今度のワシは自重せんぞ! 任せておれ♪」
……未来の王ってぼくのこと? な、何されるんだ。ぼく……?
混乱してきたぼくをよそに、白雪はくすっと小さく笑った。
『さて。話はおしまい。私の出番も終わりでしょう? ティール。今度こそ、またね?』
「……!? 待て、白雪! 説明……!」
ぼくの制止も無視し、白雪の依り代である大剣は煙のように消えてしまい、手元に残ったのは、スイとセツだけだった。
『ほわ! たーいま!』
『じっちゃ、おはなし、でけた?』
ずいぶん久しぶりに感じる二人の声にどこかほっとしつつ、今聞いていた話をどうにか考えてみる。……けれど、こんなのもやっぱり、ラルの得意分野で、ぼくの出る幕はなさそうで。
全く分からない。……家族の問題、か。それで言えば、ぼくと父上の関係の悪さが一番に思い付くけれど……あれはもう、他人が割り込む余地なんてあるのか。
そもそも、当人のぼくですら、あれはどうにもできる気がしないのに。
「うむっ! バッチリじゃ♪ 水泉と雪花もありがとうの。助かったわい♪」
『にししー!』
『むふー!』
「……あの、ルーメンさん? さっきの白雪との会話って」
ぼく達のことですか、とは聞けなかった。聞くのが怖くて、喉から先まで出てくれなかった。
「なあに、簡単じゃ。ワシはただ、お主ら家族の間にある溝を埋めてもよいかと女神に聞いたんじゃ」
安心させるような笑顔を浮かべ、はっきりと答えた。それに対して、ぼくは触れられたくないところを撫でられたような気がした。実際、今の今まで、誰にも触らせないようにしてきたところで。ラルにすら、ついさっき、話したばかりなのに。
「……そ、れは」
「今までのライトとセイラさんの様子から、なんとなく察してはおったんじゃよ? しかし、これはあくまで家族の問題じゃったからな。深くは突っ込まんかった。軽く聞くことは何度かしてきたがの~……?」
そこで一旦、言葉を切り、やれやれと首を振る。そして、呆れたようにため息一つついた。
「まあ、あの不器用男にどうにかできるとも思うとらんかったがの」
「は……ぶ、不器用、おと、こ?」
「む? 決まっておるじゃろ。ライトのことじゃ。ライト! まーったく、あいつはなんも分かっとらんの~?」
……父上、白雪だけじゃなく、ルーメンさんにもダメ出しされています。いいんですか、それで……?
いきなり始まった父上のダメ出しにぼくは感じていた不安感も、焦燥感もなくなっていた。
だって、にっこにこ笑顔で他人の父親のダメ出ししてるんだもん。ぽかんとしてしまうでしょ……これは。
「水氷の女神である白雪は、主であるお主らを大切にしておる。万が一、女神の許可なしにクランド家の問題に踏みいってしまえば、女神の怒りすら買いかねんからの。だから、ティールに頼んで白雪と話す機会を貰い、許可を貰った……というわけじゃな♪」
ん~……つまり、今からルーメンさんがぼくと父上の仲をどうこうしてやるぜ宣言……聞いてるの、ぼく? それを聞かされたぼくは、どういった反応をするべきなのか。
なんてことを考えていると、ルーメンさんはぼくの名前を呼ぶ。その声にぼくの思考は中断された。そして、間髪入れず、笑顔を絶やさぬまま──
「お主、父親であるブライトのこと、嫌いか? 必要以上に避けとるじゃろう?」
と、問いかけてきた。
「…………っ!? それは、あの……ですね」
本当に心から嫌いかと問われれば、それはNOだけれど、避けているのは事実だ。会いたくもなければ、話だってしたくはない。父上を目の前にするとすごく、苦しくなるから。
だから、毛嫌いしているのは……本当、なんだろう。父上のことは複雑に絡まってて、どれが本当の気持ちかなんて、ぼく自身にも分かっていないのだ。
ぎゅっと心が締め付けられ、ルーメンさんの方も見れなくなった。つい目線を逸らし、じっと足元を見つめる。
落ち着け……ぼくは、一人じゃない。ラルが、雫がいる。大丈夫。
「あ~……よい。無理して言わなくても大丈夫じゃ。むしろ、少しの会話とその反応でよく分かったわい。……お主のその分かりやすさはセイラさん譲りじゃの~?」
ぼくが改めて何かを言う前に、ルーメンさんが苦笑ぎみに話を止める。気遣ったのか、本当に分かってしまったのか……はたまたその両方なのか。
そんなことよりも、母譲りと言われてしまったのがちょっと……そんなに分かりやすいか? ぼくと母は。
不意にルーメンさんはソファから立ち上がり、自身のデスクへと向かい、引き出しを漁り始めた。
「その様子じゃと……結構な重症みたいじゃの? パートナーであるラルにも心配さとらんか?」
「た、たま……に」
そ、そういえば、ここに来てから結構、気を遣われているような……?
『いっぱい、きにしてたよ』
『いっぱい、しんぱいしてたよ』
で、ですよね……
「ほっほ♪ 二人の話を信じるならば、たまに、というのも、怪しいところじゃの?」
ぼくが気づけていないだけで、ラルの中には常にあったんだろうか。いいや、ラルのことだ。なかった、なんてあり得ない。彼女はいつでも仲間優先だから。
「おぉ。あった♪ ティールや」
「は、はい?」
お目当てのものを引き出しから見つけたルーメンさんは再び、ぼくの正面に座る。
「お主、チェスはできるかの?」
「チェス? 一応は。……ですが、そこまでやりませんから、あまり強くないですよ」
そういうの、ラルやフォースがよくやってるけど、ぼくはあんまりなんだよね。
「なるほどの。……それじゃあ、今から一戦、相手してもらおうかの?」
「……は、はい?」
親の話から、なぜ……チェス……?
しかし、ぼくの戸惑いなんてどこ吹く風。ぼくができると分かると、楽しそうに場を整え始める。なぜですかと聞ける雰囲気でもなく、頭にはてなを浮かべながら、ルーメンさんの相手をすることとなった。



~あとがき~
チェスって言葉だけでかっけーって思うくらい、単純な私です。響きがいいよね←

次回、ティールとおじいちゃんのお喋り会は続く。

ティールとブライトの仲をどうしていくのか、ルーメンおじいちゃんの手腕に期待。
そして、場面の転換もないので、話したいこともないです。
ん~……ラルとフォースの戦略系ゲーム対戦、終わらなそうっすよね。んで、どっちかが盤を投げそうです。やってられっか、こんなゲーム! みたいな。
どうでもいい話でした。

ではでは。