satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第205話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でもぐもぐしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
さて、前回で朝練の話とラル達三人の朝の風景が終わりました。
今回も朝ご飯ですし、朝の風景ではありますが(笑)


《L side》
昨日の夕食のときと同様、食堂の入口で待ち合わせ、双子ちゃんと合流した。
「おはようございます、ティールさん。しーくん。ラルさんはさっきぶりですね♪」
「おはよう、二人とも」
「おはよー! ツバサお姉ちゃん! ツルギお兄ちゃん!」
「ん。おはよ」
ツルギ君は私の姿を見るなり、冷ややかな目をするものの、ティールやしーくん相手には普通。そりゃそうか。嫌われる要因がない。いいことではあるが、なんだろう。この疎外感は……?
「さあ、行きましょう~♪」
ツバサちゃんは愛らしい笑顔をこちらに向けると、先頭を歩き始める。そんな天使の隣はツルギ君がきっちりお守りし、私に近づくなオーラを放っていた。
「……分かりやすいなぁ」
「そだね。分かりやすいくらいに来るなって言われてるよ、ラル」
まあ、こういうのは慣れているし、構わないのだけれど、こうも分かりやすく嫌悪感を出してくるのも珍しい。敵意を隠せばいいのに。あれでは、いつかお前の命狙ってやるぞと宣言しているものだ。まあ、彼の場合、昨日の時点でしてきているんだけれど。

妹大好きっ子にジト目で見られつつも朝食を楽しんでいると、遠くの方でツバサちゃんを呼ぶ声が聞こえてくる。もちろん、ツバサちゃんの名前ではなく、「お嬢」だけれど。
「ほえ? あ、カズキさん。どうかしました?」
「食事中にすまんな。料理長から伝言を頼まれたんだ。……ちょっといいか?」
「はい。大丈夫ですよ♪」
あ。昨日のアップルパイの人……厳つい方の。
今は片割れというか、一緒にいたハルさんの姿はなく、カズキさん一人のようだ。
「アリアがいつ来るか知りたいみたいなんだよな。ほら、食材の関係があるから」
「あ~……」
カズキさんの話を聞きながら、一口大に切ったパンケーキを咀嚼するツバサちゃん。ごっくんと飲み込んだあと、ぴこんと耳を小さく動かした。
「詳しいことは、あーちゃんのお仕事次第ですけど、今日の夕方か明日の朝くらいには行けるって話ですよ」
「なるほど。んじゃ、そう伝えてくるわ。ありがとな、お嬢! あと、ラル達も食事中に邪魔したな」
「あぁ、いえ……そだ。カズキさん」
そそくさと立ち去ろうとしたカズキさんを呼び止めると、彼は不思議そうにこちらを振り返る。
「昨日はアップルパイ、ありがとうございます。部屋で美味しくいただきました」
「ん? あぁ、ハルが渡したやつか」
「おいしかった! ありがとーございます! ね、ティールもたべたー?」
「うん♪ 美味しかった。期間限定なんてもったいないよ~♪ 永遠に食べられるもん。ありがとうございました!」
「おぉ……? まあ、詫びってことで渡したもんだから、喜んでくれたんならよかったけど……ティール、アップルパイが好きなのか?」
昨日、睨み合った仲とは思えない……というか、敵意を向けていたティールからの食いぎみの感謝に流石のカズキさんも若干引いているご様子。
「アップルパイというか、リンゴが好きなんです♪」
あ、やばい。このままだと長々とリンゴについて語るな。
「あー!? カズキさん! 早く料理長さんのところに行った方がいいですよ!」
「お、おう!? じゃあな」
カズキさんは、私の言葉に大きく頷き、足早に去っていく。年長者だからか、どう動くべきなのかも分かっていらっしゃる。それが正解です。
話を遮られたティールは大変ご立腹……しているわけでもなく、サラダをパクついていた。
やれやれ……切り替えが早くて助かる。
私一人だけがバタバタしているのが不思議なのか、ツバサちゃんはこてんと首を傾げていた。しかし、何かを思い出したのか「あっ」と声を上げる。
「ラルさん、ティールさん。今日の午前中、夏祭りのお仕事……しーくんと衣装合わせとか説明をしたいんですけど、大丈夫ですか?」
しーくんを連れ出してもいいかという話か。それなら、私達ではなく、しーくん本人に確認しないとね。
「しーくん、お仕事の話をご飯の後にしたいんだって。行けそうかな?」
「むゆ? ん! いける!」
……だそうだよ?
「ありがとうございます! じゃあ、朝ご飯のあと、私とツルギと一緒に行こうね♪」
「はーいっ!」
元気よく返事をするしーくんを嬉しそうに見ているツバサちゃんとは対照的に、変わらず私をちらりとジト目で見てくるツルギ君。
「……その間、ラル達は好きにしてていーよ。いなくて大丈夫だし。っていうか、来ないで」
「ツルギ! そんな言い方しない! ごめんなさい、ラルさん! 夏祭りのお話は言っちゃいけない話もあるので、お二人には自由にしていてほしいってお願いなんです」
ぶっきらぼうなツルギ君をいさめるツバサちゃん。これではどちらが上なのかさっぱりである。まあ、私が相手だからなんだろうけれど。
「じゃあ、私とティールは適当に過ごしてるよ。でも、そうなると午前中は暇だなぁ」
正確には一日暇なんだけれど。はてさて、どうしたものか。
街の観光なんかをするなら今日くらいかなと思っていた。祭りに近づくほど、しーくんは忙しくなるだろうし、私とティールも『奇跡の洞窟』探索のために、ある程度体をならしておく必要がある。そのために、簡単な仕事をいくつかやりたいと思っているのだ。つまり、まとまった時間を取れるのは限られている。できるときに遊びなんかは済ませたい……のだけれど。
ティールの体調次第だよねぇ。街中歩くなんて」
「……ん? ごめん。聞いてなかった」
そうでしょうね。今、リンゴ食べてたものね。聞いてないだろうな!!
朝、起きたときの様子や今を見るに、問題なさそうに見える。しかし、それはここの空調設備が整っているからとも言えるし、リンゴパワーのせいとも言える。
今は平気でもこのあと、外の気温は上がるだろうし、迂闊に外を連れ回して倒れられても困る。ここは大人しく部屋にいるべきか。いやいや、籠りっぱなしなのもどうなんだろう。体に悪くないか? 第一、せっかくのスプランドゥールを落ち着いて見られる機会なんて、そうそうないだろう。
っていうか、あれだ。夏休みっぽいことしたい! まだ! なんにも! してないもん!!
「……観光するなら、午後からツバサと一緒に行けば?」
「ほえ?」
……? ツルギ君?
「街の水まきは午後からだもん。そっちの方が暑くないじゃん」
ぶっきらぼうなのには変わらないが、私がうんうん唸っているのを見かねて、知恵を貸してくれた……らしい。
「水まき?」
「あ、えっと、水まきは街に配置されてる噴水を使った打ち水のことです! 何年か前にじいじが置いたんですよ」
ツバサちゃんによると、ルーメンさんが夏バテ、熱中症対策にと設置した機械があるとのこと。その機械から特定の時間になると冷水が流れる仕組みとなっている。その放水も、人が多い場所や日向等に行われるために、街の人々が水まきと呼ぶらしい。
「へぇ? なんかハイテクな機能だねぇ……もしかしてツルギ君、心配してくれたの? 私達が熱中症にならないようにって」
「んぐ!? ち、違う! ツバサの心配だもん!」
午前中に行こうとしていたのは、私とティールだけなんだけれど……? まあ、いい。そういうことにしておこうか。
「むっ!? ラル! ニヤニヤするな! お前の心配なんてこれっぽっちも! してないからな!?」
「はいはい。分かってま~す。……じゃあ、お願いしてもいいかな、ツバサちゃん」
「はいっ! もちろんです!」
顔を真っ赤にして全否定しても説得力がないんだよ、ツルギ君。覚えておきな?

今日の予定が大雑把に決まったあと、朝ご飯もほどなくして完食。私達は食堂を出た。
「では、ラルさん、ティールさん。しーくんをちょっと連れていきますね!」
「はいはーい。じゃ、しーくん、お仕事頑張ってね~♪」
「ぼくらは一緒に行かないから、一人でしっかり話を聞いてくるんだよ?」
「うん。だいじょーぶ! ボク、スカイのメンバーだもん。ちゃんとできる!」
うんうん。いい答えだ。
「行くぞ、雫!」
自然としーくんの手を繋ぎ、しーくんを先導していくツルギ君。その姿はまさしく頼れるお兄ちゃんで。……もちろん、ツバサちゃんも、しーくんとはぐれないようにと、空いていた手を繋いでいるんだけれど。
そんなお兄ちゃんに連れられるしーくんの後ろ姿を見送りながら、どこか寂しく思えてきた。
「……やっぱり、疎外感あるなぁ」
「今更? 君が一人でヘイトを集めるように立ち回って仕向けている癖に。ツルギに嫌われるのが正解なんだろ?」
そうなんだけど。そうなんだけどー!!
「ま、まあ、しーくんの愛らしい姿を見られたと思えば安い対価よ。うんうん」
「無理矢理納得してない?」
……ソンナコトナイヨ。



~あとがき~
ご飯食べて終わった。

次回、自由時間を言い渡されたラルとティール。何をしよう?

言いたいことないっすわ。終わり。

ではではー!