satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

二人の姫

「力を求める理由……ってさ、一つしかないよね?」
「……む?」
不思議そうに首をかしげる
「力が欲しいから」
ふっと雷姫から表情が消える。そこで落胆したと感じ取った。
過去に何度も聞いたのだろうか、この答えを。しかし、それしか言えないのもまた事実。力が欲しくなければ求める必要もない。小さい子どもでも……それこそ、どんな馬鹿でもわかるであろう、簡単な理由だ。その答えを聞いた雷姫は、無表情のまま少しだけ首をかしげる
「なぜ……なぜ欲するのだ」
「長くなるけど……いいかしら」
「構わん、我を納得させてみろ。出来ぬのなら、わかっておろう」
その先に光はない。
ニヤリ、と笑う雷姫。わかっているではないか……と言い出しそうだ。
納得出来ない……認められなかったら、私はここで終わりってことね。それはそれで短い人生でした、と諦めるしかない。
うわぁ……嫌だな。
「どうした、早く申してみよ」
あー……失敗したらごめんなさい、ポチャ。私がいなくともどうにかやってください……
遺言的なのはこんな感じでいいか。伝わらないとは思うけども。さて、雷姫が待ってるし……さっさと言ってしまおう。誰にも言ったことがない、私の覚悟。
「私が力を求める理由……それは私が弱いからよ。弱いから、力を求める」
「女の貴様が強くなりたいと?」
悪いか。そして、女は関係ないだろ。
とは言わず……
「私は皆を……仲間を護りたい。だから、強くなりたいの。仲間を護れるならば、なんでもする」
これは嘘ではない。本当にそう思っている。しかし、それを雷姫が信じるかは不明だ。案の定、雷姫は不信そうな顔で私を見つめる。
「なんでも……ならば、命を捨てろと言われてもか? 貴様は従うのか」
「従うわ。私一人で救えるのならば……悪魔にも魂を売ってもいい」
今がまさにその状況だろう。
「ふふ……面白いことを言う小娘だな……偽りであれば、喰らうぞ」
「嘘じゃないし……なんなら、見れば? 私の中なんでしょう?」
それもそうだな、と雷姫。
また、言うんじゃなかった……と、後悔した。何回後悔するのだろう。
雷姫はすっ……と目を閉じ、私の頬に触れる。おそらく、これで見られるのだろう。
この場合、『見る』ではなく、『視る』なのだろうか。違いは確か……
と、二つの違いを思い出そうとしているところで、雷姫の目が開いた。
「偽りはないようだな。しかし……なぜそこまで?」
「……私はここが好きなの。最初はただ、使命だから、この世界を守るんだって思ってた」
未来から来たのは世界を守るため。ここにいるのは彼との約束を果たすため。それは今も昔も……そして、これからも変わらない。
その思いに今の話をプラスした原因は多分……
今のパートナーの彼。ドジだけど、優しくて強いポッチャマ
彼がいるから私は今、ここにいるんだ。
「彼を護りたい……仲間を護りたいから、私は強くなりたい……いや、強くならなきゃ駄目なの」
「………面白い。よかろう……我は貴様を主人として認めようぞ」
さきほどの表情とは思えないくらい、優しい笑み。そこで、試されていたのだと改めて実感した。
「なんと呼べばよい」
「主人は嫌よ」
なんか、堅苦しい。
「ふむ……ならば、今風とやらはなんと言う?」
い、今風?
今風ってなんだ。特にないような気もするが………と、とりあえず……
「マ、マスター……? とか?」
「なるほどの。ならば、マスターと呼ぼう」
あ、はい……
なれるまで時間がかかりそうだ。
「マスター、しばらくは馴れるまで時間がかかるだろうが……耐えてくれよ?」
何をだ。
「最初のあの激痛……をだ。我がマスターを呼ぶたびに発生するでの。逆もまた然り」
迂闊に出せないぃぃ……
「そこまでの期間はなかろう。少しの辛抱だよ」
いやぁぁ……泣いていい?
「泣くならば、外で泣け。もうすぐ、朝になるようだ。ではな、マスター」
朝………
パッと目の前が光に包まれ、思わず目を閉じる。雷姫は、変わらずのすまし顔。そんな姿が見えなくなったと思ったら、私はある場所で目が覚めたのだった。

「………ギルド?」
とりあえず、体を起こす。すると、隣で聞きなれた声が。
「ピカー!」
は……? あ、ポチャ……あぁぁ!
ガバッと抱きつかれ、バタッと後ろに倒れる。体を起こした意味がなくなった……と考えていると、ギルドのメンバーたちがぞろぞろとやってきた。
「ピカさん! よかった……無事で」
キマワリにリン……なぜに泣いているんだ。
そう言うと噛みつくように迫ってきた。そして、二人同時に喋りだし、もう何を言っているのかさっぱりだ。
「心配かけるなよ、ピカ」
「………ドゴーム………?」
おい、こいつもなぜ、涙目……
その他のギルドの皆様も同じような感じで、落ち着くまで時間がかかった。

「ピカ、海岸に倒れてたんだよ! 何度呼んでも起きないから……ギルドに運んだんだ」
ここはギルドの朝会などを行う広場。
皆の代表として、ポチャが話してくれているが、皆の視線が痛い。
「何があったんだよ、ピカ」
何がと言われましても……
雷姫さんと話してましたー……と言って信じるのか。ま、言ってみようか。
と、思ったそのとき。
「………っあ!…ここでか!……」
思わず、床に手をつく。
「ピカ!?」
突然のことに驚く皆さん。大丈夫、一番驚いているのは私だ。
激痛が走っているために、皆の声を聞く余裕もなく。また、説明することも出来ない。
「ら、雷…!」
「ピカ! え、どうすれば!?」
ポチャ、どうすることも出来ないよ。
とも言えず。
ピタリ、と痛みが止むと顔を上げた。
「雷姫……出るなら、出ると言おうか……ビックリするじゃん」
雷姫……!? と皆の声がそろった。
「こ、この人が……雷姫? 刀じゃないのか? 雷姫って!」
「なんだ、こやつらは……マスターを尋問でもしておるのか?」
尋問って……
「まぁ……よい。マスター、言い忘れたことがあっての」
言い忘れたこと?
「これから、よろしく頼むぞ? マスター。我に見せてみろ、マスターが愛するこの世界をな」
それだけかよ……でもまぁ……
「……えぇ、見せてあげる。私が好きなこの世界を。……よろしくね」
ふっと笑うと雷姫は消える……寸前に私に耳打ちをした。
「さきほどの行動でマスターの好きなやつも視てしまってな。許せ」
………………はぁぁぁ!?
消えていなくなった雷姫。目の前の状況を理解できない皆。まあ、親方だけは、にこにこしてたけど。思いがけない事実を知り、パニックになる私。
最後にその捨て台詞はないだろがぁぁ!!
「ピ、ピカ……さっきのピカチュウ誰?」
「雷姫ってなんだよ?」
このあと、皆からの質問攻めに遭い、大変だったのは言うまでもない。
でも、悪くないと感じたのは内緒だけどね。



~あとがき~
今回の話でピカの見え方が変わるかな? ピカの覚悟……誰も知らないんですけどね。胸のうちに秘めた思いってやつです。
仲間、友達のためならなんでもやってやるぜ!……の彼女。命も捨てる……捨てられるが正しいのかな。
雷姫に一応、命を握られているピカですが、完全に従わせているので、大丈夫です。物語の中で雷姫に喰われることはないでしょう。……おそらく。

ドゴームとかいますね。書いてませんが、ヘイガニとかグレックルもいます。反対にリムはいません。まだ入門前♪
本編では卒業したことにしていますよ、ほとんどのギルメンら。
理由は特にないですが、描くのがめんどくて……((殴

次回はチコちゃんの過去編!
炎、火が嫌いな理由がわかると思いまーす。トラウマ話。
家族でる……と思うよ! 種族の違う兄貴が出る……よ?

ピカ「長かったなぁ……」
雷姫「うむ……長かったの」
………え、なに? ダメでした?
ピカ「いや、別に」
雷姫「理由はないぞ」
なんか怖いなぁ……ま、いいか。
では……ん?
ピカ「つっかれた……」
雷姫「長すぎるも駄目だな。マスター」
ピカ「そだねー……しばらくはないよ? チコちゃんが終わらない限りね………では、終わりまーす。雷姫、続きは向こうでやろ」
雷姫「承知した。ではな」
ちょっとぉぉ!? 色々言っといて勝手に終わらすなよぉぉぉ!!
ピカ「さっさと終われ」
あ……あい……( TДT)
では、次回の過去編はチコです。
最後やね。頑張る♪
では!