satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第21話

「おやすみ」


ピカさんとポチャさんは自分達の基地に帰っていき、私達はギルドで夕ごはん。
その際にギルドの先輩達に何があったのか、と何度も聞かれたがピカさんに言わないでね♪……と笑顔で釘を刺されたため、なにもないですよ!……と繰り返し伝えた。
正直、それだけで疲れた。
ピカさんはおそらく、心配をかけたくないのだろう……とは思う。それは多分……
「思いやりなんだろうな」
そう、思いやり……
ピカさん、口では色々言ってたけど、ここにいる人達のこと、好きなんだろうな。
いい人だ……スゴくいい人……
いい人といえば、ポチャさんもだ。
それは少し前から知っていたけれど。
チコちゃんに何やら声をかけてたし……なでてたし。落ち着かせるためとしても……会って間もない女の子の頭をなでるかな?
「ここは……優しい人ばっかりだな」
私の幼い頃なんて……いや、考えるのはよそう……頭の中、気持ち悪くなるし、恥ずかしい行為もしてきた。
特にすーくんに。忘れたい……スゴく忘れたいぃぃ!!
でも、忘れられないのはすーくんを……その……あれだからだと……思うけどぉ……
でも、ダメだ。すーくんには……
「あの人がいるもんね」
「すぅ、おかしくなったのか?」
「きゃぁぁ!! すーくん!? なんで? え、なに、どうしたの!?」
珍しくすーくんは左目をリボンで隠しておらず、さらに珍しく片手に剣を持ってる。
……特訓?
「どうしたって……暇だから……?」
「今の聞いてた?」
すーくんは黙って首を横に振った。
よ、よかった……
ん、すーくんがいるってことは……
「私、寝てる?……気づかなかった」
「すぅ、大丈夫かよ」
無理かも……
「は……無理? どうしたんだよ」
ううん……なんでもないの……なんでも。
すーくんは少し不安そうな顔になるが、深く追求してこなかった。
「すーくん、今日のやつらどう思う? 悪いやつ……だとは思うけど、なんかお尋ね者とは違うみたいだしさ」
とりあえず、すーくんにそう聞いてみたけれど、案の定、ふいっと横を向き……
「おれには関係ないね」
と答えた。
ですよね……
しかし、今回はそれでは終わらなかった。
「でも……嫌な感じがした。気をつけた方がいいと思う」
…………すーくんがそう言うなら……そうなんだろうね。すーくんは色々敏感だし、勘がいい。ついでにいえば、頭もいい方だ。
それでも人を信用していない……ある意味致命的だと思う。
人として……ね。
「悪かったな……信用してなくて」
「……あ、聞いてた?」
「お前……わざとだろ、絶対に。余計なお世話だよ」
むー……
すーくんがいつか信用するときが来ればいいのだけれど、それは……私の能力がバレる……ということを意味するから、なんとも言えない。
相談出来る人がいればいいんだけどな。
そういう意味でいえば、私も信用していないのかもしれないけど。
人のこと……言えないや。
「うぅ……まぁ、いいや……おやすみ……すーくん」
「? おやすみ」
すーくんの少し戸惑った声を聞きながら、私は目を閉じた。

「ねぇ、雷姫」
「なんだ、マスター」
ピカと向き合うように一人のピカチュウがそう答えた。雷姫と呼ばれたそのピカチュウは両目とも赤く輝いている。
それ以外は普通のピカチュウのように見える。
「雷姫って、刀だよね?」
「そうだが、なにを今更」
「……確認よ。最近使ってないから、その姿が本来の姿っぽく見えてきてさ」
ふん……と雷姫がそっぽ向く。
雷姫は妖刀……神器と呼ばれるものであり、ピカが今の所有者だ。
神器とは……と始めてしまうと終わらないため、そのへんは省略させていただく。
「マスター、あのイーブイだが」
「わかってるわ。“強き力”の継承者。制御者もいたし、まず間違いない……でも、深く追求しないよ。誰にも言うな、と言われたしね」
「ほう……誰にだ?」
「ん? 聞いてなかった?……イーブイの男の子よ。そいや、名前は聞かなかったな」
重要なこと、聞いてなかったな……とピカ。しかし、今更後悔しても遅いというものだ。
第一、彼の名前のことなど頭になく、その場をさっさと去ることしか考えてなかったのだが。
そんなこと、口がさけても言えない……と一人、ピカは考えた。
「マスター、重要なことは聞かぬのだな」
「急いでたから」
「まぁ、よい……少しばかり、気にかけるのだな」
「ふぁーい……じゃ、寝よ……おやすみ」
「マスター、今回の件だが……気をつけた方がよいぞ。なにやら、嫌な予感がするでの」
嫌な予感ね……と繰り返す。
「そうと決まったわけてはないが……」
「大丈夫よ。なんとかなるし、なんとかするしね」
「ふむ……マスター……まだ抜けぬな」
「余計なお世話よ……それに、仕方ないもん……直らないし」
雷姫はピカにバレないように静かにため息をついた。
ピカには聞こえているのか、いないのかは雷姫にわかるはずもなく。
そのまま無言でピカは雷姫から離れていった。

「…………朝……か。くぅぅ! おはよーっと。ポチャはまだ寝てる?」
「うぅ……なぁに?……もう朝?」
ポチャはごろん、と転がると薄く目を開けた。
「ポチャって朝弱いよね……ま、おはよう。朝ですよ~?」
「あ…朝か……おはようぅ……」
「うん、おはよう。今日さ、留守番しててよ」
留守番……と首をかしげた。ピカはそう言いながら、着々と準備を進める。
「ロール、捜しに行ってくるからさ! ポチャは多分、ここにいた方がいいかなと」
ポチャは黙ってうなずく。
昨日のペラップの様子からしてここにいた方がいいとポチャも感じたのだろう。かなり、心配をかけたことを思い出したからだ。
「うん、じゃあ、よろしくね」
ポチャはにっこりと笑う。ピカはスカーフを首に巻き、笑い返す。
「うん! チルと行ってくるよ。すぐ戻る」
そう言って基地を出ていった。



~あとがき~
雷姫さん、登場♪
ヤバい、ヤバいよ……漫画と展開変わってるよぉ……!!
ま、ロールを捜しにレッツゴーですな。
ピカとポチャの出会い……最初に書いたし……本当に展開が変わるな。ま、詳しく話せばいっか!

次回、ロール発見♪

今回は久しぶりにイブとフォースのしっかりした会話がありましたね。
イブの幼い頃……とは過去編のやつ。
恥ずかしい行為……とは爆弾発言のことですね!
イブ「あぁぁぁぁ!!!/////」
フォース「な、なんだよ? ビックリしたぁ……大声出すなよ」
イブ「すーくん……あれ、忘れてね!?」
フォース「は? どれのことだよ。多すぎてわかんねぇんだけど」
イブ「!!Σ(///□///)」

次回、ロール発見!
では!(*´∀`)ノ