satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第36話

「なんだかわかるかしら?」


「チィ……このっ…」
「………逃げないでよっ!」
キーテとピカがやりあう様子をただ見つめるのは、イブと入れ替わったフォースである。
「あららぁ……でたらめな太刀筋だこと。我流か……ババァの教えか……はたまた両方か……だな。“チェーン”」
ジャラと音がして、フォースの手に鎖が握られる。
『すーくん、私にもわかるようにお願いしまーす』
「すぅは、知らなくて大丈夫だ」
『ぶー……』
フォースの視線の先にはやりあう二人の姿。タイミングを見計らうかのように、“チェーン”を構えた。そんなフォースの様子を知るはずのない二人。一方的にピカが斬りかかっている。対してその攻撃を防御することしかできないでいるキーテ。
「雷獣……お前が!」
「その名前、嫌いなんだけど。てか、そんなのに囚われるとか……バカ? 何、死にたいの?」
バチンと火花を散らし、距離を取ったピカ。キーテは剣を構える姿勢を崩す気はないようで、刀身をピカに向けたままである。
「私たち探検隊って、殺しとかしちゃ駄目なんだよねー……ある条件を除いて。なんだかわかるかしら?」
「……………」
「それは相手が武器を使っている場合。相手に殺意があると見なし、殺した方は罪に問われることはない。……言っている意味、わかるわよね」
にこりと微笑みかける。これは殺し合いなのだと言いたいのだろう。
「でもねぇ……私、殺すとかしたくないわけ。だって、相手を逃がすみたいじゃない?……まあ、その様子だと逃げるも襲うもないけどさ」
「…………しまっ」
キーテが自分の体を見ると、鎖が巻き付いていた。この状態を見れば自然と誰がやったのかは想像出来た。キーテの視線は二足で立っているイーブイに動く。
「…………お前」
「サンキューな。いやー……おれ、空気だったな。お前らの中で」
「そーでもないと思うけど。まあ、そこのピチュー君は忘れてたんじゃない?」
「ふうん。お前はおれのこと、覚えてた……ということかよ」
「そうね。覚えているわよ? イーブイ君?」
ふんとピカから、目を逸らした。そんなフォースの様子を気にすることなく、キーテを見る。
「さて、あなたが私を呼ぶとは……いい度胸ね。何? とりあえず、言われるがままに動いたけど……一人だけ?」
「今はどっか行ってんだよ。飛ばしたの」
「ふうん……バカなの? 待つことになるじゃない」
「黙れ、電気ネズミ。こっちの身にもなれよ、バーカ」
「黙んのはそっちよ。そっちがどうなろうと知ったこっちゃないわ。でも、イブちゃんに何かあるのは困るからね」
「はっ……バカらしい。他人のためにかよ。そういうの、嫌いなんだけど」
「だから? 私、あなたみたいな人、嫌いだから」
ふいっとお互いにそっぽ向いた。とりあえず、口出しせずに聞いていたイブだったが、たまらずフォースに話しかける。
『……すーくん、ここは協力しなきゃじゃないの?』
フォースは隣にいるピカに聞こえないくらいのボリュームでイブの質問に答える。
「自分から呼んどいてあれだけど、無理」
『なんなのぉ……なんでこんなに仲悪いの?』
「おれ、ピカチュウ嫌いなんだよねー」
『そこかよ!……っていうか、棒読みでしたが!? じゃあ、なんで呼んだの? ねぇ、すーくん??』
頼れるやつがこいつだけだった……などと言える状況にない。あそこまで言い合っといて、そんなこと言えるわけがない。
第一、恥ずかしすぎる。
「……来た」
『来たってなにが?』
その質問に答えることはなく、帰ってきたもう一人の敵を見る。
「キーテ? え、捕まってんの? うける♪」
スラを初めて見たピカは隣にいるフォースをつつき、質問する。
イーブイ君、あの人誰? 飛ばした人って彼女?」
「そうだけど」
「いや……キルリアのくせに容易に飛ばされてんだろう……と」
「それは同意しよう」
「あら。意外と話が合うかもね。じゃ、弱いな、絶対」
「それも同意」
うんうんとさっきとは変わり、意気投合する二人。
「私、あのピチュー君のこと相手してもいい? 途中だから」
「いいよ。おれ、武器とかあんまり使いたくないから」
「ちょっと……黙って聞いていれば、何よ! あんたら、アタシをなんだと思ってるわけ?」
「敵ですが、何か?」
ぴったりと声を揃えて、言い返したピカとフォース。スラは顔を真っ赤にして反論してきた。
「声を揃えて言わなくてもいいじゃない!!」
しかし、ピカとフォースは気にすることなく、二人だけで話を進める。
「敵のくせになんなの? ウザい。イーブイ君、この人なんなの?」
「知らね。ただ、ウザいな……かなり」
「だねー……なんか、さっきはごめんなさい。飛ばした気持ちもわかる。一番飛ばしやすそうだもの」
「おれも悪かったです。ごめんなさい」
「いえいえ……じゃ、頑張って、倒しますか」
「おー」
「いい加減にしなさいよ!! 二度も同じ手をくうかっての!! “ねんり…」
「させるか。“チェーン”」
素早く“チェーン”を出現させ、スラに向かって投げた。片手での作業ながらも、驚異のコントロールでスラの体を絡めとる。
「二度も同じ手にかかってやがる」
「ぎゃあぁぁぁぁ!? なんで!? “ねんりき”が効かない……?」
「そりゃ、そうだろ。悪タイプを混ぜてあるんだから……効くわけないって」
イーブイ君の技、すごーい……」
「スラ、お前はバカですか。帰ってきたと思ったら、捕まって……二度目とか」
「うっさい!」
イーブイ君、あのピチューの鎖、解いてくれる? 殺ってくるから!」
「おう。いいぜ」
フォースはキーテの鎖を解くと、グイッとスラを縛っている鎖だけを思いっきり引っ張る。ピカはキーテに向かって突っ込んでいった。
「さっきの続きといこうか、ピチュー君!」
「上等だ!」
「きゃん!……ちょ、この鎖を解いてよ! キーテくーん!?」
スラはそう叫ぶが、すでにピカとやりあっている。聞こえるわけがないだろう。
フォースはグイッと鎖を引いた。
「うるさいなぁ……お前の相手はおれだから」
「……………くっ」
「まあ、無理か」
「なんでよぉぉぉ!! 上等じゃない! やってやるわよ!?」
「いや、無理無理……」

「ってあ!」
「…………っあ!」
ピカの攻撃で弾き返される、キーテ。受け身をとるところを見ると、冷静に対処しているようにも見える。そんな様子を観察するように、更に何かを考え込むように少し唸った。
「ふむ……ねえ、ピチュー君? あなた、やる気あんの? まーったくなってないんだけど。攻撃するどころか、防御も曖昧。さっき言ったよね? 武器使い同士では…」
「殺し合い、だろ? 知ってるさ」
「だったら、本気になれよ。殺す気はないけれど、やる気のない人を斬ろうとも思わない」
ピカは持っていた刀をキーテの首筋に当たるか、当たらないかというギリギリのラインで止める。
「そんなんじゃ、大切な人も守れないわよ」
キーテはピクンと少しだけ震わせる。その様子を見て脈ありかと察し、自然と微笑む。そして、サッと相手と距離を取った。キーテはゆっくりと立ち上がり剣を構えた。そして、先程とは違うスピードでピカに迫ってくる。
「……………」
「ほへー……そんなに激変しますか。……いけないスイッチ押したかなぁ……まあ、いいけどね」
突進技だと思っていたピカは横に逸れるが、それを読んでか一気に振り上げた。
「…………あ、やべ。斬られる」



~あとがき~
なんか、ピカとフォースの言い合いがしてみたくてやってみました。
が、勝手に仲直りしました………(;´∀`)
あっれぇ……ケンカしたままにしようと思ったのに……
ピカ、フォース「……………」

次回、ピカVSキーテ、フォースVSスラ!
なんだけど、フォースとスラ、戦う気ありますか?
スラ「なんで……なんでなの?!」
フォース「知るかよ。弱いんだよ」
スラ「ムカツク」
フォース「うっせ!」

ピカ、相手を本気にさせちゃダメでしょ。
ピカ「本気じゃない人に、刀を向けるなって言われてるの♪」
あ、そう………( ̄▽ ̄;)
ピカ「言っとくけど、殺しはしないもんねっ♪」
そうですか……

では!