satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 番外編~前編~

「走れそりよー♪ 風のようにー♪」
「別に歌わなくてよくないか?」
「クリスマスだもん。いいじゃん♪」
………うん。あのさ。
「まあ、構わないんだけどさ……なんでここにいるわけ? 三人とも」
私は目の前にいる、三人に話しかける。
確かにクリスマスは近い。しかし、それがイブちゃんたちがいる理由にはならないのは明白だ。
「昨日、プクリンがもうすぐクリスマスだー……とか言って、盛り上がったはいいが……んまあ……そういうことだよ! とにかく、ギルドが大変なことに…」
イブちゃんの隣に座っていたフォース君が言う。
どういうことなのか全く伝わらない……が、親方が何かしたんだろう、というのは伝わった。
……お酒に酔った勢いで……だろう。
キョロキョロと辺りを見回し、チコちゃんがこちらを向いた。
「ピカさん、ポチャさんは?」
「お家にお呼ばれ」
そう。帰郷中。
ポチャの故郷である、海の国に帰っているのだ。
本人は最後まで帰るもんかと駄々をこねていた。本当に家のことになると、往生際が悪い。嫌いなのは分かるけれど、さっさとすませて帰ってこようとは思わないのだろうか?
まあ、家族とかそういう問題はよく分からないし……関係ないけれど。
「じゃあ、一人なのか……クリスマスなのにむなしいな」
「フォース君にクリスマスを楽しむ心があったんだねー? 初めて知ったよ」
「……別におれは楽しむ気はないんだけど、周りが騒いでるし」
要は自分も楽しんでるじゃない。
一人とか意識しないようにしていたんだけど……面向かっていわれると、ヘコむ。
「じゃあ、ギルドでクリスマスパーティーしますか? ポチャさん抜きですけど…」
イブちゃんが少し申し訳なさそうに提案した。
クリスマスまでにポチャが帰ってくる保証はないし、それもいいかもしれない。でも……
「んー……いや。帰ってくるかもしれないしね。遠慮するよ。それに親方の盛り上がりについていけないし」
「そうですか……あ、気が向いたら、来てくださいね! 大勢の方が楽しいですもん♪」
「そうだね。考えとく」
にこりと笑い返し、三人に向かい合う。
「ところで、ギルド、直さなくていいの?」
「そうなんですけど。ペラップさん、慌ただしいんですよ。まあ、そこまで崩壊してませんし、すぐに直ると思いますけどね」
チコちゃんが、苦笑いを浮かべながら話す。私はバサバサと翼を羽ばたかせる鳥を思い浮かべた。
なるほど。逃げたくなるわけだ。
「でも、直さないと駄目じゃない?」
「だな……行くか。じゃ、またな。ラル」
ひょいと立ち上がると、そのままスタスタと出ていったフォース君。イブちゃんとチコちゃんは互いに顔を見合わせ、ゆっくりと立ち上がった。ぺこりとイブちゃんが頭を下げる。
「ピカさん、お邪魔しました。すいません、急に…」
「ううん。大丈夫だよ。暇、潰せたし」
「そうですか……? それならいいんですけど……では、失礼します! 行こ、チコちゃん」
「うん! では、ピカさん。また」
静かになった基地をぐるりと見回す。いつもなら、ポチャといるところなんだけれど、いないから、一人だ。
「むなしい……ね」
考えてみると早々ないな……ポチャとしばらく離れるというのは。いや、ないわけじゃないから平気だれけど。
うーん……でも、ここを出るとき、いつ帰るか分からないとか言っていた。下手に仕事に手は出すなと言われてしまっている以上、何もできないだろう。うむ、留守番……暇。
クリスマス……か。どうせなら少し、出かけてみるか……何かあるかもしれないし。いや、一人だけれど気にしていられない。
「そうと決まれば、行動だー」
勢いよく立ち上がると早速、出かける準備を始めた。

基地を出て、どれくらい経ったのだろう。
どこもかしくもクリスマス色に染まっている街を通りすぎ、散歩気分でフラフラしていた。
ちなみに、スルーしてきたが、トレジャータウンも例外なく、クリスマス一色に染まっていた。そこまで盛り上がるイベントなんだろうと嫌でも思わせるかのように。サンタにプレゼントなんて貰える歳でもない私には、興味はないけども……
そして、頼めるのならば、物より休みをくれと頼む。
こう考えてしまう私は可愛いげがないのだろうか。
自覚していても……あれだ。考えてしまうのは仕方ない。うん。
私は気になったお店に入っては出て、入っては出てを繰り返し、暇を潰す。そこまでお金を使うわけにもいかないため、現在、何も買っていない。
クリスマスの影響から、どこも賑わっているようだ。私のように一人で来ている人はあまり見かけない。恋人同士で買い物デートをしている人ばかり。
「……やっぱり、一人で来るようなところじゃないな。失敗した」
ぽつりとそう呟く。
ポチャといれば、まだましだったか……まあ、いない人のことを気にしても仕方ないというもの。せめて、イブちゃん達と来るべきだった……
そんなことを考えつつも目に入ったのは、アクセサリー屋。立ち止まって見てみると、ブレスレットやネックレスなどが綺麗に並べてある。
そこで、あることを思い付いた。
「……よし♪」
ある決心を胸に秘め、少し浮かれつつお店の中に入っていった。



~あとがき~
後編と思いきや、中編に続きます。
ポチャと離れ、一人のクリスマスを迎えることになりそうなピカ。そんな彼女が思い付いたこととは……?

前にもどっかで言いましたが……
時系列的に本編からすると、少しあとの話ですね。
だから、フォースがギルドの話をしているわけだが。
いつものようにトークしてもよかったのですが、それじゃあ……ネタがないってわけでして……テヘペロ
もしくは別物とお考えいただければ幸いです……!

え、ピカとポチャがくっつくかどうか?
いや、くっついてもらわないと、私が困りますw
まあ、今回はくっついていると思ってください。はい。本編じゃ、まだわからないけども。
しかし、ピカとポチャがメインみたいなものなので、イブ達は出番少ないです。許して((
イブ、チコ「………………」
フォース「…………あふ…」
イブ「すーくん、呑気にあくびしている場合じゃないよ? 番外編なのに、出番ないよ!」
フォース「あのなぁ……本編じゃいつ見られるかわからない、ラルとペンギンのラブラブが見れるんだぞ? そんくらい我慢しろよ」
イブ「……それもそうか」
チコ「いや、納得なの? イブ、それでいいの?」
イブ「……………はっ!!」
フォース「いーじゃん……それで」
イブ「よくなぁぁぁい!!!!」
フォース「えぇ……」

次回をお楽しみに~♪