satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 番外編~後編~

はいはーい。
さっきのポチャの言葉……少し呆れられた雰囲気もするが……まあ、全力のスルーをしよう。
ポチャに貰ったプレゼントを見てみると、綺麗にラッピングされている。リボンも綺麗に澄んだ青色だな。ポチャにしてはセンスいいな。あ、店員さんか……
そんなことを思いつつ、リボンに手をかけ、ほどく。そして、中に入っているプレゼントの中身を確認。
………………これは。
「うーん……どうかな? 気に入ってくれるといいんだけど……もしかしてダメだった?」
「……ポチャ」
「はっ…はい!」
何をビビっているのだろう。まあ、いいや。いい意味でもっとビビらせてあげようではないか。
私は立ち上がると、ポチャの後ろに回り、ぴょんと抱きついた。こういうことをすれば、ポチャが赤くなるのはお見通しである。
案の定、かぁっと赤くなり、戸惑いを隠せていないようだ。そんなポチャを楽しむかのように、ぎゅっと力をこめる。
「ありがとっ! ポチャは私の好きなの分かってるね」
「も、もちろんだよ……ピカのことくらい……誰よりも分かっているつもりだから」
なっ……!?
これはかなりの不意打ちを……
「! 恥ずかしい……けど、嬉しいよ」
「ぼく的に……この体勢の方が恥ずかしいんだけど……それよりも、ピカ、素直だね」
「え? そうかな……? ちょっと寂しかったんだよ」
「わっ……ごめんね? そういうつもりじゃ…」
「大丈夫。仕方ないのは理解してる……けど」
「ごめん。今度から気をつける。……だから、どさくさ紛れて、首絞めないで…」
ちくしょう。バレたか。………不覚。
「不覚。……じゃないから。甘えたのも演技なの?」
「え? なんで、分かるの? 流石、私のパートナーだな、絆だよっ♪」
そう返し、何か言いたそうなポチャから離れて、元の定位置に戻る。まあ、演技ではないのだが、そう勘違いしてくれるのなら、それに越したことはない。
戻ったところで、あることを思い出した。
「あ、私もポチャに渡すのあるんだった……んーっと……どこだっけ……? あ、あった!」
ひょいと取りだし、ポチャに差し出す。当のポチャはというと、びっくりしたような疑うような顔で私とプレゼントを交互に見ていた。
「え…え? ピカ……これ……何が入ってるの? さっきのピカじゃないけど……爆弾入っててもおかしくないような…」
ふっ……日頃の信用度が足りない私だな。
「そんなこと言わないでよ。今回だけは真面目だから! 今回だけは!!」
「これからも真面目にしてね? え、本当にぼくになの? 開けて大丈夫?」
大丈夫。今回だけは真面目だから。大切なことなので、何度でも繰り返そう。今回だけは大丈夫だから。
そんな私の熱心な訴えにより、警戒心を解いたのか、普通に開け始めた。恐らく、最初から警戒心などないのだろうが、念のため……だと思う。ポチャに疑う、などという気持ちは一ミリもない。一ミリも。
だって、お人好しだもん。
まあ、そこがいいんだけれど。
先程の私同様、中身を確認し、顔をあげる。
「ありがとう、ピカ」
「ううん。いつものお礼と……クリスマスだし。今日、帰ってくるとは思ってなかったけど……さ」
「あはは……それはそれで、サプライズだろう? いいじゃん♪」
心の準備が……あと、お母さんのお陰なのでは……? まあ、いいや。
私がポチャの隣に移動すると、ポチャが笑顔を向ける。私もポチャに笑顔を返すと、なぜかは知らないが、ふいっと目線を外した。……うん? 照れた?
……話題、変えるか。
「ポチャはサンタクロースとか信じてた?」
「いや……別に? ピカ……は信じないよね」
信じません。でも、プレゼントはほしいな。
「いや……それはどうかと」
あ、やっぱり? だよねー♪
自分でも矛盾していると思っていた。分かっているさ。
不意にポチャが目線を外し、周りの雰囲気も変わる。しんと静まった私たちの間には、少し冷たい風が通るだけだ。何かを決心したかのように、私の方を向いた。
「……ピカ。ぼくは」
「うん、知ってる。私もだよ」
「言わせてよ」
「………やだ。恥ずかしいもん」
「…………ダメ?」
「……………ダメ」
「素直じゃないね? そんなとこも好きだけどさ」
「う…うわあぁぁぁぁ……ポチャが気持ち悪い…強気なポチャなんて、ポチャじゃないよぉぉ…」
「ごめん! ってか、ぼくもかなりの勇気出して言ったんだけど!? その反応、ひどくない?」
いつもそんなこと言わない……もしかしてさっき、寂しかったと言ってしまったから? いや……口が滑っただけなんだ。だから、こういう恥ずかしいお返しなんていらない。
「ピカ、そういうのは心の奥底にしまってくれる……? ダイレクトにぼくに聞こえてるから」
「え…あ……ごめん。じゃあお詫びに……もうちょっと雰囲気作る」
「へ……? って、ちょ…ピカ?!」
先程と同じようにポチャの後ろに回り、抱きつく。反応も同じようなポチャに、私は少しだけ機嫌を直す。
言葉で直接言われると恥ずかしいから、行動で示そう。マジで、無理。まあ、これなら私の顔は見えないだろうし……何言われても大丈夫のはず。多分。
そんなことを考えていると、回した腕に自然とポチャが触れた気がした。
「メリークリスマスだね、ピカ」
「うん。……メリークリスマス」
「なんか……今でも信じられないんだ。ピカとこうしていられるとか……夢みたいで」
「夢じゃないよ。あ、夢にしてもいいよ?」
「ごめん。それはやめて」
「冗談だよ。私は……ポチャとがいいから。それともポチャは私じゃダメ?」
「そんなことないよ。ぼくもピカがいい。ピカじゃないとダメだから」
「ポチャ……」
「ん……?」
「これからも…傍にいてね?」
ポチャは返事を返す代わりに、触れていた手に力を込めた。そして、ふっと私の方を向いてにっこりと笑う。
きっとそれが答え……
純粋に、素直に、なにも濁りのないその笑顔が。
…………大好きなんだ。
「……ピカ?」
「なんでもない」
きゅと先程と同じように力を込め、少しだけ体重を乗せた。わっとポチャの驚きの声を聞き、くすりと笑う。
「ふふ……ポチャ、かわいいー♪」
「えっ…あ……えぇぇぇ…」
「フォース君とはまた違う魅力だわ~……私はポチャの方が好きだけど♪」
「ありがとう……って……え? ちょ…えぇ!!」
「……好きだよ?」
「はうっ!?」
立場逆転。
「……ずるい……そういうの、ぼくの役目じゃないの……? 男の役目」
「さっきさりげなく言ってるから、いいでしょ」
「面向かって言いたい」
それは照れるから嫌だ。
「……ぼくの願いも叶えてよ?……ラル」
う……あ…
本名で呼ばれ、思わずポチャの背中に顔を埋める。
むりむりむり……言葉はダメ。今のも不意打ちだ。名前で呼ばないで。こんな状況で呼ぶなんて、反則もいいところだ。
「………ラル」
もう一度呼ばれ、仕方なく顔をあげた。すっとポチャから離れ、向き合う。ヤバい、頭が回らない。まあ、頭を働かせろという方が無理だ。
ドキドキしていて、言葉も上手くでるかさえ分からない……何、この状況。いや、とりあえず……返事しなくちゃ…
「はい………?」
「これからもぼくは、君の…ラルの傍にいるよ。……君のこと、好きだから」
「…ティール」
「だから……さ…」
「……………バカ」
うつむきながら、そう呟く。それが精一杯で。
呟いたあとに、ポチャに寄りかかった。寄りかかるというよりは、前に倒れこんだだけである。
ほんとはもっと他のことも言いたかった。でも、今は。
「……ありがとう、ラル」
「………ん」
私はポチャといつもより少し長く一緒に起きていた。それが少し新鮮で、少し恥ずかしかったけれど……一緒に過ごせてよかったとそう思えた。
私から素直に話せるまでは、この関係でいたい。
まだ……言えない。だから、もう少し待ってて……?



~あとがき~
ふぁっ……!!
はずかしっ! 終わりが見えなかったの巻……
うーん……
後日談、作るか……?
いくらなんでもイブたち出てないし……
よくよく考えたら、ピカとポチャがそれぞれ渡したプレゼントも不明だし……あはは♪
……なくてもいい? あった方がいい?
どっちがいいのかな……??

イブ、チコ「……………」
フォース「どした、二人揃って同じ顔して……ぶっちゃけ、文面だから、伝わらないけど」
イブ「出番なっしんぐ」
チコ「名前すら出てないもんね~」
フォース「…………よくね?」
イブ「よくないよー……今年ラストの番外編かもなんだよ! それなのに……」
フォース(……別によくないか?)
イブ「よくないよ」
フォース「おれの心、覗かないでくれる?」
チコ「後日談……どうなるのかな?」
フォース「さあ……?」

あれなんですよねー……
書いてて、恥ずかしくなってきました。
二人に何させたいのかさっぱり……
とりあえず、間を置きつつも好きを連発させてみる(笑)
もっとすっきりさせたかったな。
頑張ろ……

とりあえず、後日談……はどうなるかわかりませんが、ここまでありがとうございました!
ではでは!!