satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 番外編~後編~

私が料理をしている近くで爆発が何度起こったのだろうか。数えていないので分からないが、まあ、普通ではないだろう。
そんな環境で、淡々とこなしている私って……私って……
リンが指示をくれたのは最初だけしかなかった。恐らく、きまっちがなんかやらかしたのだろう。そのため、私が指示を仰げたのは、「チョコレートを刻む」という手順のみ。
料理に対しての知識はなかったはずなのだが、次の手順がなんとなくわかる。
……人間だったときにしていたのかもしれない。
「これを……えーっと…焼く? のか?……まあ、これに入れちゃえ」
適当にここまで出来るとも思えない。やはり、何か関係が……と、思ったところで確かめる術もない。
多分、焼くための機械に、さっきまで作っていた生地を入れた型を入れる。そして、時間を設定し、暫し待つ。
多分、これで出来るはず。
ちなみにこれは三品目だったりする。

「……………ピカさん、なんですか、これ」
「チョコレートを刻んで固めたやつ」
「これは?」
「なんか……カップケーキ的な?」
「じゃあ、これは……?」
「目の前にあったリンゴで作ったなにか? もしかして、パイってやつかな」
「……もしかしなくてもアップルパイですよ」
あ、やっぱそうか。
三品目を作り終え、次をどうしようかと少し考えていたら、リンがこちらへ戻ってきたのだ。で、職務質問の如く、質問攻めをされていた。
「ピカさん、料理経験、ゼロでしたよね?」
「そうだと思うよ。覚えている限りでは」
「なのにここまでしますか? いえ、いいんですよ? いいんですけど、どうやったら出来るんですか?……レシピもないですよね」
「え、勘でやるとこうなる」
「いや、無理ですから」
だろうな。
私もリンの立場ならば、同じことを言うだろう。
そして、素朴な疑問が一つ。
「これ、美味しいのかな……食べてみる?」
「食べちゃっていいんですか?」
大丈夫じゃない?
と、いうことで、食べてみることに。
男子達にあげる分は分けておき、残ったものを試食することにした。これで不味くても男子達にあげてしまうと言うリンは、ある意味、恐ろしい人だと思う。
まあ、時間もないし、数もいるし、仕方ないのかもしれないが。
作った本人である私は、味見等一才していないので、どうなっているかなんて知るよしもない。
これで不味かったら……それまでだ。しかし、普通にいけたら……?
「いただきます」
「いただきまーす……」
と、言ったものの、他人の反応が気になって食べる気にならない。じっとリンの方を向き、観察。
「……………!」
「リン……?」
「ピカさん、これ、いけますよ! とっても美味しいです♪ こんなの初めてですよ……ふあぁ♪」
「マジか……」
ぱくん、と一口。
こういうお菓子は食べたことがないため、比べようがないが、まあ、食べられる。出しても大丈夫だろう。うん、多分。
それが分かっただけで、ほっと一息をついた。
「じゃあ、明日はこれを渡しちゃいましょう♪」
リンときまっちは?
「うふふ……あのキマワリさんが、人前に出しても大丈夫なようなものが出来たと思いますか?」
爆発してたから無理だと思います。
「そして私はこれから作ります……が、全員分なんて間に合う気がしないので、ピカさんのをあげようかと!」
なんということだ。
まあ、変なものは多分入っていないから、構わない。皆に非難されそうだが……そこは気にしないようにしよう。
私は作ったものを冷蔵庫にしまい、二人の邪魔になるといけないので、部屋に戻ることにした。今度は、リンも何も言わなかった。
部屋に戻る途中、男子達からの質問は特になく。というか、遠巻きにされていたような気もするが……まあ、話しかけてこないのは好都合だった。
寝よ……
「あぁ、ピカ。お疲れさま」
「ん……ポチャか」
私が一日中ギルドにいたため、ポチャもギルドで出来る仕事を任されたようだ。少しだが、周りに書類が散らばっている。
そんなポチャをスルーして、自分のベッドに倒れこむ。
「ふむぅ……寝れる…」
「作れたの? お菓子」
「まあまあ……かな」
「じゃあ、楽しみにしてるよ」
「期待に応えられないと思うけどね。……勘だったし」
「料理ってそんな感じで出来るもんなの? そんなに簡単だったっけ……?」
知らなーい……でも、食べられるから大丈夫だよ。変なものは入ってないから……うん…
「それに人間だったときにやってたのかなって……知らないけどさ……なんか、そう思った」
「やになった?」
「うん?……んん……まあ…少し」
私の知らない私がいるのは少し……いや、かなり気分が悪い。そう思ってしまうと、自分のことが嫌いになっていく。そんな自分に腹が立ち……と、ぐるぐる悪循環に陥ってしまう。
「そっか……でも、ピカはピカだよ。自分のこと、嫌いにならないでほしいな」
ポチャのその言葉で我に返る。そちらの方を向くと、ポチャがにこっと笑っていた。今の場の雰囲気がなんか照れ臭くて、いてもたってもいられず、体を起こした。
「ピカ?」
「…………うっさい」
そう言いながら、軽くポチャの頭を叩く。他人事だが、理不尽だと思う。まあ、私が叩いたんだけど。
「って! え、なに? ぼく、なんかした??」
「した」
「えぇ? どこ?」
「自分で考えればー? 私は一生教えませんから~」
「それじゃあ、直しようがないよね!? ごめんって! よく分からないけど、ごめんなさい!」
「知らない知らなーい……」
「えぇ……何がダメだったの……? ねえ、ピカ、聞いてる? ピーカー?」
ゆさゆさと揺らされるが、知らないを突き通した。揺らすことを諦めたポチャは、それでもなお、何がダメなのか考え込んでいるらしい。別に冗談で言ったから、ダメな部分はないのだが、面白いので、何も言わず放っておくことにする。
こんな風にずっと過ごせることが一番の幸せなのだろう。明日も明後日もこれから先もずっとずーっと、ポチャと探検隊を続けることが私が望むことだ。
まあ、ポチャが抜けるというのなら、それでも構わない……と思うが、実際、目の当たりにすると、自分自身がどんな行動をするのか予想は出来ない。
……私はここが好きなんだ。きっと、皆のことも、ポチャのことも。
「……好きなんだ」
「? 何か言った?」
「いや。ポチャはどんくさいな、と」
「え……ちょ、それはどうすることもできないんですけど!? どうすればいいの……?」
「そのままでいてよ。そのままのポチャがいい。無理に変わろうとすると変だから」
「え? あ……うん」
「照れてるの? かっわいい~」
「そんなんじゃないって! びっくりしただけだから!」
「へぇ~?」
「違うからね!? 変なことなんて考えてないからね! 信じてよ……?」
はいはい。大丈夫だから。
そういうところ、かわいいな。私は好きだよ?……などというと、収拾がつかなくなりそうなので、黙っておこう。なんとなくだけど、こういう言葉に弱いようだ。
私はポチャをいじりつつ、なんだかんだで、夕飯まで話していた。そんな時間も悪くないな、と思った。

バレンタイン当日、どうなったかは省略させていただくことにする。(理由としては、作者の気力が続かないかららしい。まあ、私も面倒なので、口頭で簡単に説明させてもらおう。)
とりあえず、私の料理は警戒されつつも、先に手を出したのはポチャ。当然、チョコレートではなく、アップルパイに手を出した。うん、そっちだよね、と思いつつ、各々、好きなものに手を伸ばしていた。
しばらくはじっと手にしたものを見つめていた。
そこでも動いたのはポチャだ。というか、ポチャはアップルパイに感動して、感嘆を漏らしながら眺めていた。そして、満足したのか、ぱくん、と一口食べた。
「ピカ、すっごく美味しいよ! ありがとう」
食べたあとの第一声がそれだった。
それが皆の警戒を解いたのだろう。少しずつ食べ始めたのだ。そして、ポチャと同じように美味しいを連発してくれていた。
嬉しくもあり、照れ臭くもあり、不思議な感じがしたが、たまにはこういうのも悪くないな、と思う。
毎日料理するのは勘弁だけどね。



~あとがき~
最後だけなんか長い……
ってことで、バレンタインっぽくないけど、番外編だから、いいよね! いいよね!!
バレンタイン当日は、イラスト投稿できればと思っていますが、まあ、無理だと思うので、土日かなと思ってます。まあ、手をつけてないがな!!((殴

そーいえば……
中編で突っ込まれたとき、ポチャが普通に冷静(?)なのは、ギルド時代なので、ピカに対しての恋心が特にないからです。っつても、一目惚れみたいな部分も少しあるので、どうなのやら。
それでも、今みたいに慌てて否定して、墓穴を掘ることもないようです。

そして、ピカが少し素直に物事を考えていますが、これもギルド時代だからです。まあ、口にするのは今と変わらないんですがね。

ピカとポチャの二人の関係は今現在と同じですよ。多分。
変わらない関係ってなんかいいですよね。ピカとポチャは、多分、友達以上恋人未満ってやつ。
それを何年か続ける二人なんですがね(笑)

ではでは、番外編はこれにて終了です!
次はホワイトデーで男子のわたわたした話を書きたいです。そして、久しぶりにトーク形式にしたいと思います。ライとショウも出したいね。
では、閲覧ありがとうございました♪