satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

黄金の欠片

「でね、そのとき何て言われたと思う? お前のことだから、楽に終わらせるんだろ、とか嫌味たっぷりに言ってくるんだよー! そりゃ、比較的に楽に終わらせますけど!」
森の中を進んで早数時間。……何て言えば聞こえはいいが、恐らく、二、三時間程しか歩いていない。
森の中を歩きながら、おれとペンギンはラルの愚痴を黙って聞いていた。知人の仕事仲間に会って言われたことらしいが、実際その通りなのだから、受け入れればいいと思う。言い方の問題なのかもしれないが。
「全く……私の事をなんだと思っているのかしら。私だって難しいところはあるのにさ。キャリアがどうのって知らないけど、そんなんで簡単に決めないで欲しいよ」
「よくわからんが、お前が苦労しているのは伝わった」
「リーダーだと他の隊と絡むこと意外と多いんだよね。……そんな風に皮肉込めてくる奴等もいるってことかな」
「そういうことなのかなぁ……これだから、お仕事は面倒なんだよなー」
はあ、と溜め息をついた。
おれが思うにラルはペンギンというパートナーがいなければ、ニート生活まっしぐらだったと常々感じる。仕事に対しての意欲が感じられない……というか、疎ら過ぎるのだ。やるときはとことんやるが、やらないときは本当に何もしなくなる。
ペンギンは探検隊の仕事より、ラルの扱いで苦労してそうだ。

『キチャッタキチャッタ』
『チュウコクシタノニネ』

………?
来ちゃった、とは何のことだろう。

『コノサキハクライクライナノニ』
『クサイクサイ。ミンナイヤナニオイ』

この先は暗い暗い、か? あとは臭い。嫌な臭い?
おれは歩みを止め、ぐるりと辺りを見回す。見回しても周りには風に揺れる木々しかない。……となれば、おれに話しかけているのは、木々達?
「なあ、どういうことなんだ?」
ざわざわっとおれの質問に答えるように木々が揺れる。

『クサイクサイ。チノニオイ』
『アブナイ、チノニオイガスルノ』
『ソンナノノゾンデイナイノ。ケド、ダレカガキズツクノモイヤナノ』

血の臭い。危ない。……か。
「それなら、おれ達が何とかする。お前達も望んでいないんだろう?」
木々のざわめきが激しくなる。

『ダメダメ。キミニモキズツイテホシクナイ』
『オトモダチニモキズツイテホシクナイ』

「フォースくーん? どーしーたーのー!」
随分遠くに行ってしまっていた、二人が手を振っている。木々達の言うおともだち、というのはあの二人のことだろう。
二人の方をちらりと見るが、すぐに視線を戻した。
「あの二人は探検隊っていう仕事をしている。お前達が言う、危ない人達を退治するために来たんだ。……その道ではプロって言ってもいいくらい」
木々にプロ等と言っても仕方ないとは思うのだが、この際、どうでもいい。とりあえず、安心してもらいたいというのが本音だ。
「おい、無視すんなよ」
「うるっさい! ピカはちょっと黙ってろ! えーっと……大丈夫だ。お前達にこの場所を返すよ」

『………ツヨイノ?』
『キミハダイジョウブ?』

木々達の口振りからして、おれ達三人以外にも人は訪れていたようだ。恐らくその人達は…いや、考える必要はないか。

『マカセテモイイノ?』
『ワタシタチヲタスケテクレルノ?』

「あぁ。約束する」
……と、ここまで話しておいて、おれは自分から厄介事に首を突っ込んでいることに気が付いた。しかし、時すでに遅し、だ。
ついでに端から見れば、おれは誰と会話しているんだ、となるわけだが……もうそういうのには慣れてしまっている。今更気にすることではないだろう。
「フォース君っ! 何の話してるの。って言うか、うっさいってなんだ! うっさいって!」
いつまでたってもラル達の方に行かなかったからか、二人の方がおれのところまで戻ってきた。ラルに至っては、文句言われながらではあるが、来てくれたのは有り難かった。来なくてもよかったんだけど。
「多分、敵が近くにいる……と思う。気を付けた方がいい」
「えっ? マジでか。叫んじゃったじゃん。もー」
「ピカが緊張感ないからだよ。……ぼくも人のこと言えないけどさ」
二人は互いに背を向け、戦闘体勢を取る。おれも二人に背を向けた。集中すると、ここら一帯の異様な雰囲気を感じることが出来た。どこかどんよりとした雰囲気で……

『ウシロ。クルヨ。キヲツケテ』
『コノサキ、アブナイカライッチャダメダヨ』

木々の声に慌てて後ろを振り向いた。キラリと何かが光ったように見えた。何かというのを推測する前に反射的に二人のことを押し倒し、上に覆い被さる。ラルはおれの下で体を一度震わせるが、おれの見ている方へと視線を移した。
「……なんだ…?」
ラルがぽつりと呟くのと同時に、風を切る音が上を通った。体勢的におれとラルには見えなかったのだが、上を見ていたペンギンが息を飲んだのがわかった。
「多分、あれは矢だ。細い…鉄製の……」
「となれば、ボーガンの矢か。弓矢もなくはないけど、使った相手の姿が見えなかったことを踏まえると……間違いないと思う。つか、よく気付いたね、フォース君」
「え? あぁ……周りが教えてくれた」
「ふうん。いいな、その能力」
この能力にも悩まされることもあるのだが。
おれ達はとりあえず、低い体勢を保ちつつ、矢が放たれた方向を見た。次の攻撃をするべく、準備でもしているのだろうか。しかし、周りから仲間が飛び出して来ることもなく、静かなものだ。
「………ポチャ、この体勢から狙えるかな」
「うーん……やってみる…」
自信なさげにラルから銃を受け取り、銃を構えた。ライフルではないし、勾配があるわけでもないため、当たるか怪しいものだ。……普通の相手なら。
相手の姿が見えなかった、ということはおれ達と同じように低い体勢から攻撃してきた可能性が高い。となれば、もしかしたら、当たるかもしれない。
ペンギンの持つ銃は実弾を込めるものではなく、エネルギーを溜めて撃つ、というタイプ。例にあげるならば、“はどうだん”や“きあいだま”、“エレキボール”等々……そう言った類いのを想像してくれれば、そう間違いはない。自分が使える技のエネルギーを弾として打ち出す。ペンギンなら、水タイプや氷タイプ。ラルなら電気タイプの弾になる。おれが使うとどうなるのか定かではないが、試す機会もあるとも思えないため、想像に任せるとしよう。
撃たれた相手が死ぬこともなく、敵を殺さずに捕らえる、ということが可能である。言うなれば、殺傷能力がゼロに等しいということだ。
おれは使う気など起きない代物である。
「フォース君、準備しててね」
「………了解」
ラルの言葉の後、ペンギンの持つ銃がカチャリと音をたてる。そして何の迷いもなく、引き金に手をかけた。



~あとがき~
戦わなかったか~……ま、いいや。
なかなかどう進めたらいいのかがわかりませんね(笑)
いつものことですがね。

次回、ちょっとバトッてもらおうかな、と。

フォースは色んな声を聞くことができます。ある能力のお陰なのですが……ま、そういう話はいいや。本編のどっかでやるっしょ。やらないかもですが。
しかし、木々の会話が全部片仮名なので、読みづらいこの上無いですね。面目無いです。今更ですが、漢字に出来るところは漢字にすればよかった……

考えている展開が二つあるのですが……どうしようかな(笑)
フォース一人になるかピカと組ませるか……ですね。またピカかよって突っ込まれそうなので、フォース一人にしようかな……うん。
ポチャっていう選択肢はないですね。なんか男二人って華がないんですもん。……そうなると、フォース一人ってのも話が進めづらそうですな。
ま、てけとーにやるかな。どうなるか予想して待っててくださいね!

今、普通にテスト期間なんですが、貯めてあるので、何のためらいもなく出しました。
いつもは、毎日やってたのですが、小説出したいし、書きたいしで、まとめて出そうと思います。金曜で終わりなので、テスト期間中の落書きまとめをね。テスト反省とかも……うん。

ではでは。