satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

はじまりのソラ 3ー4

~attention~
この作品はポケダンを元にした小説です。そこら辺が嫌な方はバック!
ピカ「そこら辺って…どこら…」
ポチャ「そういうことは言わなくても察してってことだと思うよ」
ピカ「…………めんどくさっ」
そっ……率直な意見ありがとう、ピカちゃん…


~3‐4 目眩の先にあるもの~


順調にダンジョンを攻略していき、『トゲトゲやま』の頂上。遠目ではあるが、スリープとルリリの姿を確認することが出来た。何やら話をしているようだが、ルリリは怯えきっていて、スリープの話を聞いているか怪しい。というか、全く耳に入っていないだろう。かなり遠いが、耳をすませば聞こえるだろうか。
「……そこの小さな穴の先には、お宝があるって言われてんだ。でも、俺じゃ通ることは出来ねぇ」
なるほど。つまり、ルリリの真後ろにある穴にあるとされる、お宝欲しさにルリリをここまで連れてきたのか。最初からそうするつもりで……利用するためにか。
「え……えっと………」
「大人しく言うことを聞いてくりゃ、ちゃんと兄ちゃんのところに帰してやるよ」
スリープはああ言うが、実際のところ、どうなのだろう。予想は大体つくが。
ルリリは恐怖が頂点に達したのか、その場から立ち去ろうと、スリープの横を通りすぎようとした。しかし、そこは逃げられるはずもなく、ルリリの前をスリープが遮る。
「だから、言うことを聞けば、帰すって言ってるだろ。言うことを聞かないと、痛い目に遭わせるぞ!」
「たっ…助けて!!」
あの夢と同じ光景……!
「…………っ! 待てっ!!」
やっとスリープ達のところまで辿り着いた私達は、スリープの前に立ちはだかる。一応、すれ違った者同士だが、相手の方は覚えがないようだ。少し首をかしげると、警戒するように低い声を出した。
「あ……? なんだ、お前ら」
「ぼく達は探検隊だ! お尋ね者のスリープを捕まえに来た!」
威勢よくポチャが宣言する。その隙に私はルリリに手招きをし、こちらに来るように催促した。一方のスリープは探検隊という単語を聞き、びくりと体を震わせる。
「たっ…探検隊……!?」
「………ま、そういうことだから、大人しく捕まってよ」
簡単に捕まるとは思ってないけれど。
どこか思案するような顔付きだったが、何かに気付いたのかふっと表情が和らいだ。
「………ふっ。お前ら、新人だろ」
「………!」
スリープの指摘に今度はポチャが体を震わせた。というか、先程から微妙に震えていたのだけれど、あえて突っ込むことはしなかった。雰囲気ぶち壊しだし、なめられるし……と思ったのだが、案の定と言うべきだろう。
「な~んだ。探検隊って言うから、驚いたが……こんなガキ共に捕まるほど弱かねぇ。しかも、女とあれば、尚更だ」
…………は?
「確かにぼくらは新人だし、こんな仕事初めてだ。……それでも、お前を捕まえる!」
「無理無理、諦めな。お互い、痛い思いすんのは嫌だろう? それにお前だって、彼女を傷付けたくないだろ」
何言ってんだ、こいつ。
「えっと……それは…」
そこで詰まるのか。なんでだよ。
「いいじゃねぇか。今回のところは互いに諦めればよぉ。俺だって、女を傷付けるなんて、やりたくねぇしな」
つまり、あれか? 私達がなめられている、というより、私がなめられているということなのか? そういうこと? なるほど、なるほど……黙って聞いていれば、女だからと好き勝手言いやがって………あの野郎。
私の中で何かが途切れた。言うなれば、それは堪忍袋の緒が切れた、と表現すべきだろう。とにかく、このスリープを倒さないと気がすまない。ボコボコにしてやる、絶対。
「…………ポチャ、今から私が言うことに従って」
「えっ? 何………?」
私は手短にポチャにやって欲しいことを告げる。それを聞いたポチャは驚き、慌てて首を振った。
「で…出来るわけないじゃないか! そんなこと……」
「え? 出来るよ? 失敗するわけないじゃん」
「いやいや、成功とかそういう前に危なくて出来ないって意味だよ!?」
「うっさい。うだうだ言う前にやれ。時間は無限じゃないんだよ? つか、こんなところで負けてたまるかっての。私を馬鹿にしたこと、後悔させてやる」
「あれ………? ピカ、もしかして怒って…」
「もしかしなくても怒っていますが、何か?」
思いきり笑顔で返したつもりだが、ポチャはスリープと対峙していたとき以上に体を震わせ、何度も首を振る。仲間に怯えてどうするのだ、こいつは。
「やってくれるよね、相棒君?」
「は…はい……了解です、リーダー……」
ポチャから無理矢理ではあるものの、承諾も得たことだし、作戦を開始しようか。
私はスリープに近付き、キッと睨み付ける。相手もこの行動には驚いたのか、若干の焦りを見せた。
「悪いけど、こちとらあんたみたいな奴の言うことを聞くほど馬鹿じゃないの。つーことで、大人しく捕まりなさい」
「は……何を言い出すかと思えば……お前みたいな小娘に捕まるわけねぇだろ」
「いいじゃない。きっと生涯の自慢話になるよ? 新人の女の子探検隊に捕まったっていい武勇伝じゃない。………ま、男として滅茶苦茶ダサいけどねぇ?」
ニヤリと馬鹿にするように言い放つ。もちろん、わざとだ。こっちの方がなんかウザいかと思ったからやってみただけ。私は相手の言葉を待たず、更に続ける。
「あ、でも、ショタを拐ったってだけでも十分すぎる武勇伝かしら? ショタって………そっち系っすか? ロリを拐うのもあれだけど、そっちはまだ性別がセーフじゃん。いやぁ……でも、引くわ。犯罪だし。そもそも誘拐が犯罪だけどね。ね、ショタコン野郎さん♪ 私の言うこと、どこか違いますぅ?」
「こ…この………!」
自分で言っていてあれなのだが、かなり効果覿面だと思う。これからも使っていこうか、これ。特に敵の煽りに使えそうだ。よし、私の武器にしてやろう。
怒りで言葉が出てこないスリープに畳み掛ける。満面の笑みを浮かべ、上目遣いに見上げた。
「あ、怒っちゃった? でも、本当のことですし~? あ、でもでも大丈夫。そういう人もいるって理解してるし。……マニアックではあるけれど、分かってくれる人はいるよ。きっと」
哀れみの念を込めつつ、慰めるように笑う。言うまでもなく、全て嘘。口からの出任せである。そのため、これっぽっちもこんなことは思っていない。……ショタコンというのは、少し思っていた部分だが。
嘘九割、本音一割の私のマシンガントークは、スリープをブチ切れさせるには十二分だったようだ。目付きが変わり、前触れもなく、私を捕まえるために手が伸びてきた。単調なその攻撃を避けるのは容易い。軽く横に回避し、またスリープを煽るために笑顔を見せる。
「やだやだ。怒らないでよ♪ 全部本当なんだから」
いや、ほぼ嘘だ。
「どうやら……痛い目見ないとわかんねぇようだなぁ!?」
来た来た。これを待っていたんだ、私は。
スリープを倒すにあたって注意点がある。彼の特性だ。彼の特性はよちむ……こちらの攻撃を読み、回避する特性というわけだ。戦いにおいての経験値が足りない私達と、お尋ね者としてある程度戦いに慣れているスリープとでは、少々……というか、かなり分がある。
では、それをクリアするにはどうしたらいいか。答えは簡単だ。相手によちむを使わせないこと、余裕を無くすこと。要は、ペースをこちらに向かせ、隙を与えず、尚且、相手を焦らせ、感情的に攻撃させる。これが今の状況。相手を煽り、怒らせて冷静さを消す。この状況こそが私の望む展開。
そして、それは完了した。あとはこの状態を保ちつつ、敵を倒すのみ。まあ、ここが最大の難関でもあるのだけれど、そこは心配しなくても大丈夫かな。



~あとがき~
あともう少しで三話終わるかな~? 終わってほしいな。うん。

次回、スリープVSピカの決着!?

先程まで冷静なピカさんが、がらりと性格が変わりましたね。怒りって恐ろしい。しかしまあ、これなら、本編ピカを少し感情的にさせたみたいな感じになってます。結構近付いてきましたね。
つっても、心の中と言いますか、頭の中は至って冷静なピカ様がおられますけれども。これが彼女の普通なんですよね。そこは今も昔も変わりありません。
今のピカの相手を煽っていく(言葉攻め)スタイルが出来たのは、これが原因ですね。きっと。
ま、元がSっ気あるんだけども。
そしてそんなピカ様に押されるポチャ君であった……なんか頼りないぞ、ポチャよ。

実は最初の頃のピカは記憶喪失なので、無知なんですよね。常識的なことはもちろん、世界についても知らないし、事情も全くわかってません。ポケモンのことなんてほぼ知らないです。常にだれおま状態です。そんなピカがスリープについての情報はさらさらと出しています。………なんででしょうね?

ではでは!